特別支援学級の自立活動|気持ちカードで感情を言葉にする「おしゃべりゲーム」の実践と使い方

自立活動•SST

「イライラして、うまく言葉にできない」
「なんとなくモヤモヤする。でも、自分でも何が嫌なのか分からない」

特別支援学級で子どもたちと過ごしていると、こうした「気持ちを言葉にすることの難しさ」に出会うことがあります。

困ったときに黙り込む、強い言葉が出る、その場から離れる、物に当たるなど、本人の困り感や気持ちが行動として表れることもあります。

そんなときに大切なのは、行動だけを見て「やめさせる」ことではなく、

「今、どんな気持ちだったのだろう」
「本人は何に困っていたのだろう」

と一緒に考えていくことです。

この記事では、私が特別支援学級の自立活動で行ってきた「気持ちカードおしゃべりゲーム」を紹介します。

表情のあるカードを手がかりに、気持ちに気づく・強さを表す・身体のサインに気づく・自分に合う対処方法を考える活動です。

この記事で分かること

  • 気持ちカードを使ったSST・自立活動の進め方
  • 気持ちを言葉にしにくい子への声かけ
  • 気持ちの強さを表すメーターとの組み合わせ方
  • 気持ちから身体のサイン・クールダウンへつなげる方法
  • 無料の気持ちカード・怒りメーターのダウンロード
  • SST・自立活動ワーク19枚への発展方法

無料ダウンロード|気持ちカード・怒りメーター

まずは無料教材を使って、目の前の子どもに合いそうか試してみてください。

気持ちカードゲーム

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怒りメーター

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この活動で育てたい力

気持ちカードの目的は、「怒らない子にすること」ではありません。

本人が自分の状態に少しずつ気づき、必要なときに伝えたり、自分に合う方法を選んだりするための土台をつくります。

  • 自分の気持ちに気づく:「モヤモヤ」「悔しい」「不安」など、今の状態に近い言葉や表情を探す。
  • 自分なりの方法で伝える:言葉だけでなく、カード・指差し・表情なども使う。
  • 気持ちの強さに気づく:同じ「イライラ」でも、少しのときと強いときがあることを知る。
  • 身体のサインに気づく:胸がドキドキする、身体に力が入るなど、自分の変化を知る。
  • 自分に合う対処方法を探す:休む・水を飲む・その場を離れる・大人に伝えるなど、自分に使えそうな方法を増やす。

ポイント:「怒り=悪い気持ち」「晴れ=良い気持ち」のように、感情そのものを評価しません。どんな気持ちも、そのときの自分の状態を知るための大切な情報として扱います。

自立活動では、子どもの実態や学習上・生活上の困難から必要な項目を選び、それらを関連付けて具体的な指導内容を設定していきます。

そのため、「気持ちカードを使ったから、この区分・項目」と機械的に当てはめるものではありません。

文部科学省「特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編」

活動の概要|気持ちカードおしゃべりゲーム

  • 活動名:気持ちカードおしゃべりゲーム
  • 対象:小学生を中心に、本人の理解や表現方法に合わせて調整
  • 時間:10〜15分程度
  • 形態:個別・少人数

用意するもの

  • 気持ちカード(表情イラスト付き)
  • 必要に応じて、お話サイコロ
  • 気持ちの強さを表すメーター
気持ちカードと気持ちの強さを表すメーターを使った自立活動

基本の進め方|「話させる」ことをゴールにしない

① 気持ちカードを見る・選ぶ

まず、表情のある気持ちカードを数枚提示します。

「今日の気持ちに近いものはある?」
「言わなくてもいいよ。指で教えても大丈夫だよ」

最初からたくさんのカードを見せる必要はありません。選択肢が多いと迷いやすい場合は、2〜3枚から始めます。

② その気持ちになった場面を考える

本人が話せそうであれば、

「こんな気持ちになったことはある?」
「学校であった? おうちであった?」

などと聞きます。

ただし、本人が話したくない場合に理由を聞き出す必要はありません。

実際の体験について話すことが負担になる場合は、「こんな場面だったら、どんな気持ちかな?」と架空の場面から考える方法も使えます。

③ 気持ちの強さを表す

気持ちを選べるようになってきたら、メーターを組み合わせます。

「同じイライラでも、少しのときと、すごく強いときがあるよね」
「このときは、どのくらいだったと思う?」

数字で答えることが難しい場合は、メーターを指差すだけでも構いません。

大切なのは正確な数値を答えることではなく、「自分の状態には強さの違いがある」と気づくことです。

この記事で配布している「怒りメーター」も、まずは怒りの強さを整理する教材として使えます。

④ 身体のサインにも目を向ける

さらに発展させる場合は、感情だけではなく身体にも注目します。

  • 胸がドキドキする
  • 身体に力が入る
  • 涙が出そうになる
  • 動きたくなる
  • ぼーっとする

など、本人が感じている身体の変化を一緒に探します。

感情を言葉にすることが難しくても、「身体がこうなっている」というところから自分の状態に気づける子もいます。

⑤ 自分に合う対処方法を考える

最後に、本人が使いやすそうな方法を考えます。

  • 少し休む
  • 静かな場所へ行く
  • 水を飲む
  • ゆっくり息をする
  • 先生に伝える
  • 自分が落ち着きやすい活動をする
「どれならできそう?」
「先生にしてほしいこともある?」

教師が一つの方法を「正解」と決めるのではなく、本人と一緒に試しながら、使いやすい方法を探していきます。

気持ちに気づく
↓
強さに気づく
↓
身体のサインに気づく
↓
自分に合う方法を選ぶ

無料の気持ちカードから、SST・自立活動ワークへつなげる

この記事の気持ちカードは、感情について学び始める入り口として使えます。

さらに、SST・自立活動ワーク19枚+教師用指導書では、気持ちについての学習をより細かく分けて取り組めるようにしています。

No.ワーク主に取り組むこと
05こころの てんきよほう今の気持ちを天気に置き換えて選ぶ
06こころの つらさメーター今のつらさの強さと、楽になれそうな方法を考える
07きもちと からだの サイン気持ちと身体の変化を結び付ける
08わたしの クールダウンほうほう自分に合う落ち着き方を探す
09きょうの わたしの ようすチェック心・身体・今してほしいことを伝える
16おちつく さくせんシートつらくなる場面と、自分に合う方法を整理する

例えば、

No.05「こころの てんきよほう」
↓
No.06「こころの つらさメーター」
↓
No.07「きもちと からだの サイン」
↓
No.08「わたしの クールダウンほうほう」
↓
No.16「おちつく さくせんシート」

と使えば、「気持ちを知る」だけで終わらず、「自分がどうなるか」「どうすれば少し楽になれそうか」まで考える流れを作れます。

No.09は、朝や授業前などにその日の状態を確認するときにも使えます。

SST・自立活動ワーク19枚+教師用指導書

SST・自立活動ワーク19枚と教師用指導書

気持ち・身体・クールダウンだけでなく、

  • 自己理解
  • 困りごとへの気づき
  • 援助要請
  • 友達との関わり
  • うまくいった日の振り返り
  • 難しかった日の振り返り
  • 自分に役立つ方法の整理

など、自立活動・SSTで扱いやすい内容を児童用ワークにまとめています。

教師用指導書では、各ワークのねらい・授業展開・教師の声かけ・個に応じた支援・見取りの視点などを確認できます。

19枚セットの詳しい内容を見る

※この教材は支援級パックにも収録されています。

気持ちの学習の前に、自己理解から取り組みたい場合

「何が好き?」「何が苦手?」「どうしてもらえると助かる?」というところから整理したい場合は、「わたしのトリセツ」から始められます。

「わたしのトリセツ」を使った自己理解の自立活動を見る

気持ちやクールダウンが分かってきたら、学校生活の具体的な場面へ

次は、「友達とぶつかった」「断られた」「予定が変わった」などの具体的な場面を見ながら、実際に使えそうな言葉や行動を考えていきます。

学校生活の困った場面で使える方法を考えるSST「こんなときどうする?」を見る

子どもの様子に合わせた進め方の工夫

気持ちの言葉がなかなか出てこない場合

「どんな気持ち?」という自由回答が難しい場合は、複数の言葉や表情から選べるようにします。

  • 最初は2〜3枚から選ぶ
  • 教師が一つずつ読み上げる
  • 「今の自分」ではなく架空の場面から始める
  • 表情だけでなく身体のサインも手がかりにする

教師が「怒っているんだね」と先に決めるのではなく、本人が選べる余地を残します。

気持ちが高ぶっている場合

強く興奮している最中に、振り返りや感情の説明を求めることは避けます。

まず安全と安心を優先し、本人が落ち着いて取り組める状態になってから短く振り返ります。

  • カード1枚だけにする
  • 問いを1〜2個に絞る
  • 話す代わりに指差しを使う
  • その日は振り返らず、後日にする

といった調整もできます。

話すこと自体が難しい場合

発話を活動のゴールにしません。

  • 指差す
  • ○をつける
  • カードを渡す
  • 絵を描く
  • 教師が本人に確認しながら代筆する

など、本人が使いやすい方法で伝えられれば構いません。

「話せたか」ではなく、「本人なりの方法で伝えられたか」を見ます。

活動で私が大切にしている3つのこと

① 安心できることを最優先にする

話したくないことを無理に聞きません。

「今日は選ぶだけでもいいよ」
「話したくないことは、話さなくていいよ」

こうした選択肢を用意することで、活動そのものに安心して参加しやすくなります。

② 教師も軽い例を見せる

教師が、

「先生は今日はちょっと眠くて、くもりかな」
「忙しいとイライラすることもあるよ」

など、軽い例を見せると活動のイメージを持ちやすくなることがあります。

教師自身の重い経験や、子どもが心配するような内容を話す必要はありません。

③ 気持ちに正解を作らない

同じ出来事でも、人によって感じ方は違います。

教師が予想した感情を選ばなかったとしても、

「そう感じたんだね」
「教えてくれてありがとう」

と受け止めます。

感情そのものを修正するのではなく、その状態のときに何があると助かるのかを一緒に考えていきます。

学校で学んだ「気持ちの伝え方」を日常へつなげる

SSTの時間にカードを選べても、実際の学校生活で同じ方法を使えるとは限りません。

そのため授業後は、

  • 同じカードを使える場所を決めておく
  • 「たすけて」と伝えたときに大人が応じる
  • 本人が選んだクールダウン方法を実際に使えるようにする
  • 気持ちや困りを伝えられたとき、その行動を具体的に認める

など、学んだ方法を日常でも使える環境を整えることが重要です。

例えば、

「カードで教えてくれたから分かったよ」
「休みたいって伝えられたね。少し休もう」

のように、伝えた結果「実際に助かった」という経験につなげます。

「イライラ」への支援をさらに詳しく知りたい先生へ

怒りの背景や、アンガーマネジメントを自立活動でどう扱うかはこちらで詳しく紹介しています。

アンガーマネジメントの自立活動を見る

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無料の自立活動・SSTプリントをもっと探したい先生へ

気持ち・自己理解・振り返り・「こんなときどうする?」など、無料で使える教材をまとめています。

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無料教材の次に、どれを選べばいい?

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まず気持ちカードや怒りメーターを試したいこの記事の無料PDF
気持ち・身体のサイン・クールダウン・援助要請・振り返りまで継続して取り組みたいSST・自立活動ワーク19枚+教師用指導書
19枚セットに加えて、SST・感情理解・アンガーマネジメントなどの教材もまとめて準備したい支援級パック

まとめ|「気持ちを言う」から「自分を助ける」へ

気持ちカードの目的は、感情の名前をたくさん覚えることだけではありません。

目指したいのは、子どもが少しずつ、

  • 「今はこんな気持ち」
  • 「身体はこんな感じ」
  • 「少し休みたい」
  • 「先生に手伝ってほしい」

と、自分の状態や必要な支援を、自分に合った方法で表せるようになることです。

まずは無料の気持ちカードから始めてみてください。

その子が表現しやすい方法を見つけながら、気持ちに気づく → 強さや身体のサインに気づく → 自分に合う方法を選ぶところまで、少しずつ広げていきます。

自立活動・SSTの教材をまとめて準備したい方へ

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支援級パック(自立活動・SST教材フルパック)では、SST・自立活動、感情理解、自己理解、コミュニケーション、アンガーマネジメントなど、特別支援学級で活用しやすい教材をまとめています。

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※最新の収録内容・利用条件は販売ページでご確認ください。

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実際に難しい出来事があった後は

本人が落ち着いてから、出来事・気持ち・行動・次に使えそうな方法を整理する振り返りへつなげます。

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