
「ドリルを何冊買っても、鉛筆を持つことすら嫌がってしまう」

「もうすぐ小学生になるのに、ひらがながなかなか読めない…」
子どものひらがな学習について、このような悩みを抱えていませんか?
周りの子が文字を読み書きし始めると、「このままで大丈夫かな」と焦ることもあると思います。
ただ、ひらがなが難しい子に対して、すぐに書く量を増やせばよいとは限りません。
「読めない」「書けない」の手前で、何ができていて、どこから難しくなっているのかを見ていくことが大切です。
例えば、文字をまだ読めなくても、見本と同じ文字を見つけることはできるかもしれません。
そこでこの記事では、鉛筆で何度も書く前に取り入れられる「見る・選ぶ・合わせる」マッチング学習について、特別支援学級での実践も踏まえて紹介します。
この記事でわかること
・ひらがなの読み書きでつまずくときに確認したいこと
・「読めない」と「書けない」を分けて考える理由
・書く前にできるマッチング学習
・選択肢の減らし方や声かけの工夫
・無料で試せるひらがな教材サンプル
・マッチングから読み・書字へつなげる考え方
発達障害のある子がひらがなを読みにくいときに確認したいこと
「発達障害があると、ひらがなが読めない」という単純な話ではありません。
同じように「読みにくい」という姿でも、背景は子どもによって異なります。
例えば、次のような力が関係していることがあります。
- 文字の形を見分ける力:「ぬ」と「め」、「わ」と「れ」などの違いに気づく
- 音韻意識:ことばがいくつかの音からできていることに気づいたり、最初の音を捉えたりする
- 文字と音の対応:「あ」という文字を見て「あ」と読める
- 注意や記憶:文字の形や読み方を保持しながら課題に取り組む
例えば「さかな」ということばを聞いて、最初の音が「さ」だと気づくことが難しい場合、文字だけを何度も書いても定着しにくいことがあります。
こうしたことばの音に気づく力については、別の記事で遊びとして取り組める活動をまとめています。
まずは「書けるか」だけでなく、同じ文字を見つけられるか、文字を読めるか、ことばの音に気づけるかなど、一つずつ確認してみてください。

ひらがなを読めるのに書けないこともある
「読めるようにはなってきたけれど、どうしても書けない」という子もいます。
ここで大切なのは、「読めない」と「書けない」を同じ問題として扱わないことです。
文字を書くときには、文字を覚えていることに加えて、
- 鉛筆を持つ
- 文字の形を思い出す
- 目で位置を確認する
- 指や手首を動かす
- マスの中に形を整えて書く
といった複数の動作が必要になります。
そのため、口では答えられるのに、鉛筆を持った途端に止まってしまうこともあります。

「書けない=ひらがなを理解していない」とは限りません。
まず、指さしやカード選びなら答えられるか確認してみてください。
ひらがなの覚え方は「書く」前にマッチングから始めてもいい
そこで取り入れやすいのが、マッチング(同じものを合わせる)学習です。
例えば、見本の「あ」と同じ「あ」のカードを探す活動なら、まだ「あ」と読めなくても取り組める場合があります。

| 学習方法 | 主に取り組むこと | 使い分けの考え方 |
|---|---|---|
| なぞり書き・書字 | 文字の形を書く、運筆する | 文字をある程度理解し、書字練習へ進む段階で使いやすい |
| マッチング | 見る、探す、選ぶ、合わせる | 書く負担を減らしながら文字の形やことばに触れたいときに使いやすい |
どちらか一方が正しいということではありません。
今の子どもがどこまでできるかによって、学習の入り口を変えることが大切です。
マッチングでは、台紙の文字や絵と同じカードを選び、貼ったり置いたりします。
「同じものを見つけられた」という成功から始め、少しずつ文字と音、文字と意味を結びつけていきます。
知的障害・軽度知的障害のある子の学習方法を詳しく知りたい方へ
50音、はじめの音、濁音・拗音などをどのように段階づけるかを別記事で詳しくまとめています。
→ 知的障害・軽度知的障害のある子のひらがな覚え方を見る無料サンプルあり|ひらがなマッチング教材でできること
私が作成し、指導の中でも使っているひらがなマッチング教材を紹介します。
基本の文字や身近なことばから、少しずつ課題を広げられるように構成しています。

この教材の3つの特徴
- 「書く」以外の方法で文字に触れられる
文字や絵のカードを選んで貼るため、鉛筆を使った書字とは別の方法で学習できます。 - 子どもの理解に合わせて段階的に使える
基本的な文字や身近な単語から始め、色・形・季節・ことばなどへ少しずつ広げられます。 - 見やすさに配慮したシンプルな構成
課題に必要な情報を捉えやすいよう、イラストや文字の配置をできるだけシンプルにしています。
最初からすべての教材を使う必要はありません。
今の子どもが取り組みやすいページから始めることをおすすめします。
【サンプル1】言葉のペアを作ろう


「えほん」「あさ」「いぬ」など、生活の中で触れることばを使います。
絵や文字を手がかりにしながら同じものを探すことで、文字だけを暗記するのではなく、ことばの意味と文字を結びつける活動にできます。
【サンプル2】色と文字を一致させよう

「あか」「あお」「きいろ」など、実際の色と文字を対応させます。
身近なものと文字を結びつけることで、教材の中だけではなく、生活の中の文字にも目を向けやすくなります。
教材を使用している様子【動画】
こちらは、マジックテープ式の教材を使って学習している様子です。
文字カードを「選ぶ・剥がす・貼る」という操作をどのように行うのか、教材作りの参考にもしてください。
ひらがなマッチング教材を使うときの5つのポイント
教材は、渡すだけでなく「どう提示するか」によって難しさが変わります。
① 最初は選択肢を減らす
たくさんのカードの中から探すことが難しい場合は、最初から全部並べる必要はありません。
例えば、正解を含む2枚から始め、できるようになったら3枚、5枚と増やします。
5枚では難しくても、2枚ならできた。
それは「できなかった」のではなく、「2択ならできた」という大切な情報です。
② 間違えたら、すぐ答えを言う前にヒントを出す
例えば「いぬ」を選ぶ課題で迷っていたら、
「この絵は何だったかな?」
「『い』から始まるよ」
「この2枚ならどっちかな?」
と、少しずつヒントを増やします。
それでも難しければ、答えを示して構いません。
③ 正解だけでなく「助けが減った」ことも見る
昨日は先生と一緒だったけれど、今日は2択なら一人でできた。
前は答えを教えていたけれど、今日は最初の音のヒントだけでできた。
必要な支援が少なくなったことも成長です。
④ 読む課題と書く課題を分ける
カードなら答えられるのに書けない場合は、まずカードで理解を確認します。
文字と音の対応が安定してから、なぞり書きや書字へ進んでも構いません。
⑤ 子どもが「前よりできた」と分かるようにする
「3問できた」「今日は一人でできた」「昨日よりヒントが少なかった」など、小さな変化を具体的に伝えます。
「すごいね」だけで終わらず、何ができるようになったのかを言葉にすると、子ども自身も成長を振り返りやすくなります。
マッチング教材を作るときにあると便利なもの
繰り返し使う場合は、印刷した教材をラミネートし、カードと台紙にマジックテープ(面ファスナー)を付ける方法があります。
私は、教材の量やカードの大きさに合わせて丸型とロール型を使い分けています。
- 丸型:剥がして貼るだけなので、少量の教材を作るときに手軽
- ロール型:必要な大きさに切れるため、大量制作や接着面の調整に便利
ラミネーターがなくても教材は使えますが、繰り返し長く使用したい場合にはあると便利です。
教材サンプルを無料でダウンロード
記事内で紹介した「言葉のペア」と「色マッチング」のサンプルを無料でダウンロードできます。
まずは実際に使ってみて、「書く課題より取り組みやすそうか」「カードなら選べるか」を確認してみてください。
ひらがなマッチング教材 完全版
無料サンプルを使ってみて、
「もう少したくさんのことばで取り組みたい」
「基本文字だけでなく、濁音・半濁音・拗音などにも広げたい」
「教材だけでなく、使い方も知りたい」
という場合は、noteで完全版を公開しています。

教材データに加えて、指導での使い方をまとめた資料も収録しています。
発達支援教材とひらがな教材をまとめて使いたい方へ
ひらがな教材だけでなく、発達支援のマッチング教材も一緒に使いたい方向けに、セット教材も用意しています。
文字学習だけでなく、ことばや生活に関わる課題も組み合わせたい場合にご覧ください。

SSTに特化したマッチング教材もあります
文字学習とは別に、気持ちの理解や対人場面などのSSTに取り組みたい場合は、こちらの記事で教材を紹介しています。
ひらがなが読めるようになってきたら、カタカナも同じ考え方で進められる
ひらがなが少しずつ読めるようになってきたら、次にカタカナへ進む子もいます。
カタカナでも、いきなり何度も書くのではなく、「見る・選ぶ・合わせる・貼る」ところから始めることができます。
「ひらがなでは分かるのに、カタカナになると止まってしまう」という場合は、こちらの記事を参考にしてください。
次はカタカナへ進みたい方へ
無料PDFを使いながら、同じ文字探し、はじめの文字、小さい文字、ことば作りまで段階的に取り組めます。
→ カタカナ練習プリント|見て・選んで・貼って学べる教材【無料PDFあり】まとめ|「書けない」ではなく「どこならできる?」から始める
ひらがなが読めない、書けないとき、すぐに書く回数を増やすことだけが方法ではありません。
まず、
見る → 同じものを探す → 選ぶ → 合わせる → 読む → 書く
と活動を分けてみてください。
同じ文字なら合わせられる。
2枚なら選べる。
先生や保護者と一緒ならできる。
それも、次の学習につながる大切な力です。
できないところを繰り返すより、今できるところから少しだけ次へ。
無料サンプルを使いながら、目の前の子どもがどの活動なら取り組みやすいか確かめてみてください。



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