音韻意識を育てる遊び10選|しりとり・おはじき・一音削除など家庭や教室でできる活動
「しりとりがなかなかできない」「言葉を一つずつの音に分けるのが難しい」「ひらがなを覚えているのに、読むことや書くことにつまずいている」
このような子どもの姿があるとき、「音韻意識」の育ちが関係していることがあります。
音韻意識とは、言葉を構成している「音」に気づき、その音を分けたり、取り出したり、操作したりする力です。
そして、この力は読み書きの土台の一つになります。
ただし、音韻意識は「勉強」として教え込むよりも、まずは遊びの中で音に気づく経験を重ねることが大切です。
この記事では、特別支援学級で子どもたちと取り組んできた経験をもとに、音韻意識を育てる遊びを「簡単なもの→少し難しいもの」の順番で10個紹介します。
家庭でも教室でも取り組める活動を中心に紹介するので、子どもの様子に合わせて、できそうなものから試してみてください。
音韻意識とは?読み書きを支える「音に気づく力」
音韻意識とは、言葉を構成している音に気づき、その音を意識したり、分解したり、操作したりする力です。
例えば「さかな」という言葉を、
と一つずつの音に分けて考えることも、音韻意識に関係します。
さらに、「さかなの最初の音は?」「最後の音は?」「一つ音を抜いたらどうなる?」といった活動も、音に注目して操作する経験になります。

音韻意識は読み書きとどう関係する?
ひらがなを読むためには、文字を見て、その文字に対応する音を思い浮かべる必要があります。
そのため、言葉を「音のまとまり」として捉える経験は、かな文字と音を結びつけていくうえでも大切です。
ただし、子どもの読み書きのつまずきにはさまざまな要因が考えられます。「ひらがなが読めない=音韻意識が弱い」と決めつけるのではなく、子どもがどこで困っているのかを丁寧に見ていくことが大切です。
音韻意識の育ちがゆっくりな子に見られる姿
- しりとりが難しい
- 言葉を一つずつの音に分けることが難しい
- 言葉の最初や最後の音に注目しにくい
- 音の順番を入れ替えてしまうことがある
- ひらがなと音の対応がなかなか結びつかない
- 「っ」「ゃ・ゅ・ょ」「ー」などを含む言葉でつまずく
このような場合も、「練習が足りない」と考えるのではなく、まずは遊びながら音に注目する経験を増やしてみましょう。

音韻意識を育てる遊び10選
音韻意識の遊びは、いきなり難しい課題に取り組む必要はありません。
まずは「音を聞く」ことから始め、音に気づく→音の位置に注目する→音を分ける→音を取り出す→音を操作するというように、少しずつ難しくしていくと取り組みやすくなります。
1同じ音を探す遊び
まずは、言葉の音に耳を向けるところから始めます。
例えば、「りんごの『り』と同じ音から始まるものはどれ?」と聞いてみます。
絵カードや身の回りの物を使って、「りんご」「りす」「りぼん」などを探していくのもよいでしょう。
文字をまだ十分に読めない子の場合は、最初から文字を見せる必要はありません。
絵や実物を見ながら、音を聞くことから始めることがポイントです。
2頭文字探しゲーム
次は、言葉の最初の音に注目します。
と聞きます。
教室なら、「かばん」「カード」「かみ」など、周囲にあるものを探してもよいでしょう。
子どもが答えにくい場合は、大人がいくつか候補を出して、「これは『か』から始まるかな?」と一緒に確認します。
3最後の音を探す遊び
今度は、言葉の最後の音に注目します。
と聞いてみます。
「こ」と答えられたら、「『こ』で終わる言葉はあるかな?」と広げていきます。
この活動は、次に紹介する「しりとり」にもつながります。
4しりとり
音韻意識の遊びとして、もっとも身近なのがしりとりです。
しりとりでは、言葉の最後の音に注意を向け、それを次の言葉の最初の音として使います。
というように、言葉の音の位置を意識することになります。
ただし、しりとりが難しい子に、いきなり「一人でやって」と求める必要はありません。
最初は絵カードを使って、「りんごの最後は『ご』だね」「『ご』から始まる絵はどれかな?」と一緒に考えるところから始めましょう。

5おはじき法で言葉を音に分ける
ここから、音を「分解する」活動に進みます。
おすすめなのが、おはじきを使った方法です。
「りんご」なら、「り・ん・ご」と一音ずつ言いながら、おはじきを一つずつ置きます。
文字だけで考えるよりも、音を目に見える形に置き換えられることが、この方法のよいところです。

まずは大人がお手本を見せ、その後、子どもに同じように取り組んでもらいます。
最初は「いぬ」「ねこ」などの2音から始め、慣れてきたら3音、4音と増やしていきましょう。
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絵カード・ますシート・ひらがなチップを使って、10単語に取り組める教材です。
2音→3音→4音と段階的に進められるようにしています。

6音の位置を当てる「音抽出ゲーム」
おはじきで言葉を分けられるようになったら、次は「どの音が入っているか」を考える遊びに進みます。
り・ん・ご
「真ん中に入る音は何?」
→「ん」
子どもは「りんご」という言葉全体を思い出しながら、指定された位置の音を答えます。
最初はおはじきを使い、慣れてきたらおはじきを使わず、頭の中で音を分けて答えるようにしていきます。
難しい場合は、すぐに答えを求めず、大人が一緒に音を言いながら支えてあげましょう。
7一音削除ゲーム「たぬき言葉」
ここからは、音を「操作する」遊びです。
「たぬき」から「ぬ」を抜いたら?
たき
ほかにも、「さくら」から「く」を抜くと「さら」、「くるま」から「る」を抜くと「くま」というように、頭の中で一つの音を取り除いて考えます。

この活動では、文字を見せず、耳で聞いた言葉だけで考えることがポイントです。
音を「聞く」だけでなく、頭の中で動かす経験になります。
8逆さ言葉遊び
言葉を逆から言ってみる遊びも、音の並びに注目する活動になります。
最初は2~3音程度の短い言葉から始めると取り組みやすくなります。
正確に答えることだけを目的にせず、「音の順番を意識してみよう」という経験として取り入れてみてください。
9特殊音節を含む言葉を探す
次は、「っ」「ゃ・ゅ・ょ」「ー」などを含む言葉に注目します。
| 種類 | 言葉の例 |
|---|---|
| 促音「っ」 | きっぷ・コップ・らっぱ・きって |
| 拗音「ゃ・ゅ・ょ」 | きゃべつ・おちゃ・しゃしん |
| 長音 | ケーキ・とけい・ぼうし・ノート |
こうした言葉の中から、「『っ』が入っている言葉はどれ?」「小さい『ゃ・ゅ・ょ』が入っている言葉は?」と探してみましょう。
10特殊音節を動きや図形に変えて遊ぶ
特殊音節は、耳で聞くだけでは分かりにくい子もいます。
そこで、音を「動き」や「図形」に置き換えてみます。
促音「っ」=小さい丸
「きっぷ」の「っ」のように、一瞬つまる音を、手を叩いて少し止まる動きで表します。
拗音=大きい丸
「きゃ」「しゃ」などの音は、両手を使って一つのまとまりとして表現します。
長音=大きな長方形
「ケーキ」のように音を伸ばす部分は、手を横にスライドさせ、「伸びる」感覚を表します。
音だけで理解するのが難しい場合に、耳→体→目と複数の感覚を使って表現することで、子どもにとって分かりやすくなることがあります。
音韻意識の遊びは「簡単→難しい」の順番が大切
ここまで10個の遊びを紹介しました。
ただし、すべてを順番にやらなければいけないわけではありません。
大切なのは、子どもが今どの段階なら取り組めるのかを見ることです。
音韻意識のステップ
① 音を聞く
↓
② 言葉の最初・最後の音に気づく
↓
③ 言葉を一つずつの音に分ける
↓
④ 特定の音を取り出す
↓
⑤ 音を抜く・並べ替える
↓
⑥ 特殊音節を扱う
例えば、おはじき法が難しい子に、いきなり一音削除ゲームをさせても難しすぎることがあります。
反対に、音の分解ができるようになっている子なら、次のステップとして音の抽出や一音削除に進めます。
音韻意識の遊びがうまくできないときの3つの工夫
① いきなり文字を見せない
音韻意識を育てる段階では、まず絵や実物を見ながら「音」に注目する方法があります。
文字を見せることで、かえって音に集中しにくくなる場合は、まず文字なしで取り組んでみましょう。
② 最初は短い言葉から始める
「かたつむり」のような長い言葉から始める必要はありません。
「いぬ」「ねこ」のような短い言葉から始め、できるようになったら少しずつ音の数を増やします。
③ できないときは一緒に動かす
子どもが一人でできないからといって、すぐに「もう一回やって」と繰り返す必要はありません。
「一緒に言ってみよう」「先生がおはじきを置くから、同じように置いてみよう」と支えながら取り組みます。
「できた・できない」だけではなく、音に注目する経験そのものを積み重ねることを大切にしましょう。
特殊音節が苦手な子にはどうする?
「きっぷ」「きゃべつ」「ケーキ」のような言葉は、通常のひらがなだけの言葉とは少し違った音のまとまりを含んでいます。
そのため、特殊音節でつまずく場合は、音を聞くだけでなく、動作や図形などを使って分かりやすくする方法があります。
- 「っ」は一瞬止まる動きで表す
- 「ゃ・ゅ・ょ」は一つのまとまりとして表す
- 長音は手を横に動かして「伸びる」ことを表す
- 絵カードから該当する言葉を選ぶ
- ひらがなカードを並べて言葉を作る
- 最後に見ながら書く
このように、絵→音→動作→文字→書くと段階を作ることができます。

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音韻意識を育てる無料ワークシート
「音韻意識の遊びをやってみたいけれど、何を用意すればいい?」
という方は、まず無料のおはじき法ワークシートから試してみてください。
絵カード・ますシート・ひらがなチップを収録し、2音→3音→4音と段階的に取り組める構成です。
まずは「いぬ」「ねこ」などの短い言葉から、無理なく始めてみましょう。
無料教材の次は、さらにステップアップ
無料教材でおはじき法に慣れてきたら、次の段階として「もっと長い言葉」「音の操作」「特殊音節」へ進むことができます。
今回作成した「音韻意識トレーニング教材 フルセット」では、次の3段階をまとめています。
音韻意識トレーニング教材 フルセット
STEP1 音節分解・抽出カード
無料版に続いて、さらに4~5音の言葉にも挑戦します。
STEP2 一音削除ゲーム「たぬき言葉」
一つの音を頭の中で取り除き、別の言葉を作ります。
STEP3 特殊音節ワークシート
促音・拗音・長音を、動作化・図形化しながら学びます。
無料版で「音を分ける」ことに慣れたあと、音節分解→音の操作→特殊音節と、少しずつステップアップできるようにしています。
「音韻意識の活動を一から準備するのは大変」「家庭や教室ですぐ使える教材がほしい」という方におすすめです。
音韻意識の遊びに関するよくある質問
音韻意識は何歳から育てられますか?
年齢だけで活動を決めるのではなく、子どもの現在の姿に合わせて取り組むことが大切です。
まずは音を聞く遊びや、短い言葉のしりとりなど、無理なくできる活動から始めてみましょう。
しりとりができないと音韻意識が弱いのでしょうか?
しりとりが苦手だからといって、それだけで音韻意識に問題があるとは言えません。
言葉の理解、語彙、記憶、ルール理解など、さまざまな力が関係します。
「最後の音に注目することが難しいのかな?」など、具体的な姿を見ながら支援を考えていきましょう。
ひらがなが読めない子にも音韻意識の遊びはできますか?
できます。
最初から文字を使わず、絵や実物を使って音に注目する方法があります。
「絵を見る→言葉を言う→音を分ける」という活動から始めてみましょう。
音韻意識の遊びは毎日やったほうがいいですか?
長時間取り組む必要はありません。
子どもが集中できる短い時間に、遊びとして繰り返すことをおすすめします。
「今日は2~3問だけ」という取り組み方でも構いません。
まとめ|音韻意識は「遊びながら音に気づく」ことから
音韻意識は、言葉を構成する音に気づき、分けたり、取り出したり、操作したりする力です。
読み書きにつながる大切な力ですが、最初から難しい課題をさせる必要はありません。
音を聞く
↓
最初・最後の音に気づく
↓
しりとりをする
↓
言葉を音に分ける
↓
音を取り出す
↓
音を操作する
↓
特殊音節に取り組む
というように、子どもの段階に合わせて進めていきましょう。
特に大切なのは、「できないから繰り返し練習させる」のではなく、子どもが音に気づきやすいように、遊び方や教材を工夫することです。
まずは、身近なしりとりや音探しからでも十分です。
「音を分けるのが難しい」という場合は、ぜひ無料のおはじき法ワークシートから試してみてください。
さらに、「もう少し難しい活動にも取り組みたい」「一音削除や特殊音節までまとめて取り組みたい」という場合は、音韻意識トレーニング教材のフルセットも活用できます。
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