「SSTの授業で使える簡単なゲームを知りたい」
「特別支援学級の自立活動で、明日すぐできるSSTゲームはないかな?」
「楽しいだけではなく、子どものコミュニケーションや感情理解につながる活動を選びたい」
そんな先生に向けて、この記事では小学生の特別支援学級で取り入れやすいSSTゲームを5つ紹介します。
私自身、小学校教員として、特別支援学級でもSSTや自立活動を実践してきました。
今回選んだのは、単に「盛り上がるゲーム」ではありません。
この記事で大切にしている考え方
子どもの困り感
↓
育てたい力
↓
その力を練習できるSSTゲーム
という順番で選べるようにしています。
準備がほとんどいらないゲーム、室内で体を動かせるゲーム、感情理解に使えるゲーム、コミュニケーションを楽しめるゲームまで、タイプの異なる5つをまとめました。
- 特別支援学級でおすすめのSSTゲーム5選【まず一覧で比較】
- SSTゲームとは?「遊ぶこと」だけが目的ではない
- ① スリーヒントクイズ|準備なしでもできる簡単SSTゲーム
- ② 「こんなときどうする?」ゲーム|学校生活の場面を考えるSST
- ③ こころカルタ|気持ちを楽しく考えるSSTゲーム
- ④ ストップ&ゴーゲーム|室内で体を動かすSST
- ⑤ SSTすごろく|少人数で会話を楽しむコミュニケーションゲーム
- 目的別|どのSSTゲームを選べばいい?
- 準備なし・短時間でできるSSTゲームを探しているなら
- 低学年と高学年でSSTゲームはどう変える?
- SSTゲームを自立活動で行うときの考え方
- SSTゲームを「楽しかった」で終わらせない3つのポイント
- もっと探したい人へ|目的別SSTゲーム・活動集
- SSTゲームについてよくある質問
- SST教材を使ってゲームや授業の準備を減らしたい先生へ
- まとめ|SSTゲームは「楽しい+目の前の子に必要」で選ぶ
- 参考資料
特別支援学級でおすすめのSSTゲーム5選【まず一覧で比較】
| SSTゲーム | 主なねらい | 人数 | 時間目安 | 準備 |
|---|---|---|---|---|
| ① スリーヒントクイズ | 聞く・質問する・分かりやすく伝える | 2人〜集団 | 5〜15分 | ほぼ不要 |
| ② こんなときどうする?ゲーム | 場面理解・問題解決・コミュニケーション | 1人〜集団 | 10〜20分 | 場面カードがあると便利 |
| ③ こころカルタ | 感情理解・自己理解・他者理解 | 2〜6人程度 | 10〜20分 | カード |
| ④ ストップ&ゴー | 合図を聞く・止まる・切り替える | 2人〜集団 | 5〜15分 | ほぼ不要 |
| ⑤ SSTすごろく | 会話・自己表現・順番・友達理解 | 少人数向き | 15〜30分 | すごろく |
準備なしですぐやりたいなら「スリーヒントクイズ」や「ストップ&ゴー」。
友達とのトラブルや学校生活の場面を考えたいなら「こんなときどうする?」。
気持ちについて扱いたいなら「こころカルタ」。
少人数で会話を楽しみたいなら「SSTすごろく」というように、目の前の子どもに合わせて選んでみてください。
なお、ゲームだけでなくロールプレイ・プリント・場面想定などSSTの具体例を幅広く探したい方はこちらの記事にまとめています。
SSTゲームとは?「遊ぶこと」だけが目的ではない
SSTは、Social Skills Training(ソーシャルスキルトレーニング)の略です。
学校生活では、
- 人の話を聞く
- 自分の気持ちを伝える
- お願いする
- 断る
- 助けを求める
- 順番を待つ
- 友達と相談する
- 困ったときに別の方法を考える
など、さまざまな力が必要になります。
SSTゲームは、こうした力を遊びやゲームの形を使って経験したり、考えたりする方法の一つです。
ただし、「ゲームをすればコミュニケーション力が伸びる」と単純に考えるのではありません。
大切なのは、
① この子はどこで困っている?
② 今回のゲームで何を経験してほしい?
③ ゲームの中でどんな姿を見る?
④ 実際の学校生活のどこにつなげる?
を教師が考えておくことです。
① スリーヒントクイズ|準備なしでもできる簡単SSTゲーム
最初に紹介するのは、スリーヒントクイズです。
「3つのヒントを聞いて答えを当てる」というシンプルなゲームなので、特別な教材がなくてもすぐに始められます。
ねらい
- 相手の話を最後まで聞く
- 必要な情報に注目する
- 分からないときに質問する
- 相手に分かるようにヒントを伝える
やり方
- 出題者が答えを一つ決める
- 答えにつながるヒントを3つ考える
- 一つずつヒントを伝える
- 聞き手は答えを予想する
- 慣れてきたら子どもも出題者になる
例えば答えが「りんご」なら、
ヒント1「食べ物です」
ヒント2「丸いです」
ヒント3「赤いものがあります」
という形です。
特別支援学級でのポイント
最初から「自分で3つヒントを考えて」と言われると難しい子もいます。
その場合は、
- 色は?
- 形は?
- どこにある?
- 何に使う?
など、教師がヒントを考えるための視点を示します。
低学年なら身近な物、高学年なら人物・教科・学校行事などに広げても楽しめます。
詳しい授業の進め方はこちらです。
② 「こんなときどうする?」ゲーム|学校生活の場面を考えるSST
2つ目は、学校生活で起こりそうな場面について、「自分ならどうする?」と考えるゲームです。
例えば、
- 友達に鉛筆を貸してと言われた
- 順番を抜かされた
- 遊びに入りたいけれど声をかけられない
- 友達と意見が違った
- 分からない問題がある
といった、実際の学校生活に近い場面を扱います。
ねらい
- 自分の気持ちに気づく
- 相手の立場について考える
- 一つではなく複数の対応方法を知る
- 困ったときに使える行動を増やす
やり方
- 教師が一つの場面を提示する
- 「どんな気持ちになりそう?」と考える
- 「あなたならどうする?」と聞く
- 複数の意見を出し合う
- 「その後どうなりそう?」まで考える
ここで大切なのは、教師の考える「正解」に誘導しすぎないことです。
例えば「先生に言う」以外にも、
- 自分で相手に伝える
- 少し離れる
- 別の友達に相談する
- 今回は気にしない
など、場面によってさまざまな方法があります。
「どんな方法なら自分が使えそうか」を考えることを大切にします。
🃏 場面を見ながらSSTゲームをしたい先生へ
SSTカード「こんなときどうする?」
友達関係・学校生活・自分の気持ちなど、子どもが出会いやすい場面から「自分ならどうする?」と考えられる教材です。
カードを引いて答えるだけでも使えるため、少人数のSSTゲームや自立活動にも取り入れられます。
※この教材は支援級パックにも収録されています。最新の収録内容・利用条件は販売ページでご確認ください。
無料プリントを使った詳しい実践はこちらです。
③ こころカルタ|気持ちを楽しく考えるSSTゲーム
3つ目は、感情理解や自己表現を扱いたいときに使いやすい「こころカルタ」です。
「うれしい」「かなしい」「くやしい」「不安」「恥ずかしい」など、さまざまな気持ちについてゲームを通して考えます。
ねらい
- 感情を表す言葉を知る
- 自分の気持ちを振り返る
- 人によって感じ方が違うことに気づく
- 友達の話を聞く
基本的な進め方
- 感情を表すカードを並べる
- 教師が場面やエピソードを伝える
- 近いと思う気持ちカードを選ぶ
- 話せそうなら理由を伝える
- 友達の感じ方も聞いてみる
例えば、
「頑張って作った作品を先生にほめてもらいました」
という場面でも、「うれしい」を選ぶ子もいれば、「はずかしい」に近いと感じる子もいるかもしれません。
教師が答えを決めるのではなく、「同じ場面でも感じ方が違うことがある」と確認します。
言葉で話すのが難しい子は指差しでもOK
「理由を言いましょう」と全員に求める必要はありません。
カードを取る、指差す、教師と一緒に選ぶなど、その子が参加しやすい方法を使います。
こころカルタを使った詳しい実践はこちらです。
感情理解のSSTゲームをもっと探している方はこちらも参考にしてください。
④ ストップ&ゴーゲーム|室内で体を動かすSST
「机に座って話すSSTだと参加しにくい」「体を動かす活動の方が入りやすい」という子どもには、ストップ&ゴーも一つの選択肢です。
基本はとても簡単です。
「ゴー」の合図で動き、「ストップ」の合図で止まります。
ねらい
- 合図を聞く
- 動いている途中で止まる
- ルールを共有して遊ぶ
- 活動を切り替える経験をする
やり方
- 安全に動けるスペースを作る
- 「ゴー」で歩く
- 「ストップ」で止まる
- 慣れてきたら合図の種類を増やす
慣れてきたら、
- ゆっくり歩く
- 大股で歩く
- 動物になって動く
- 音楽が止まったら止まる
など、子どもの実態に合わせて変化をつけられます。
「止まれた・止まれない」だけで評価しない
このゲームを「言うことを聞く練習」にしないことも大切です。
合図を聞き取りやすかったか、ルールが分かりやすかったか、待つ時間が長すぎなかったかなど、活動そのものの設定も見直します。
ストップ&ゴーの詳しい授業例はこちらです。
ほかにも室内で体を動かせるSSTゲームを探している方はこちらへ。
⑤ SSTすごろく|少人数で会話を楽しむコミュニケーションゲーム
5つ目は、SSTの定番として使いやすいSSTすごろくです。
普通のすごろくと同じようにサイコロを振って進み、止まったマスに書かれたお題について話します。
例えば、
- 好きな給食は?
- 最近うれしかったことは?
- 友達に言われてうれしい言葉は?
- 困ったときは誰に相談する?
- 休み時間に何をしている?
といったお題を使います。
ねらい
- 自分のことを伝える
- 友達の話を聞く
- 順番を待つ
- 共通点や違いに気づく
- 質問や相づちを経験する
SSTすごろくで大切にしたい3つのルール
- 答えたくないお題はパスしてよい
- 友達の答えを否定しない
- 盛り上がることより安心して参加できることを優先する
特に自己開示を含むお題では、「絶対に答える」というルールにしないことが重要です。
SSTすごろくのお題・授業の流れ・支援の工夫はこちらの記事で詳しく解説しています。
目的別|どのSSTゲームを選べばいい?
SSTゲームは、「人気だから」「盛り上がりそうだから」だけで選ぶ必要はありません。
目の前の子どもの困りごとから考えると選びやすくなります。
| こんな姿がある | 候補になるSSTゲーム |
|---|---|
| 話を聞く・説明する経験を増やしたい | スリーヒントクイズ |
| トラブル場面でどうしたらよいか分からない | こんなときどうする? |
| 気持ちを表す言葉が少ない | こころカルタ |
| 座って考える活動より体を動かす方が参加しやすい | ストップ&ゴー |
| 少人数で会話や自己表現を楽しみたい | SSTすごろく |
ただし、同じ行動が見られる子でも、困っている理由は同じとは限りません。
「この子にはこのゲーム」と診断名や行動だけで固定せず、本人の様子を見ながら選びます。
準備なし・短時間でできるSSTゲームを探しているなら
忙しい学校現場では、「教材を印刷して切って準備する時間がない」という日もあります。
そんなときは、今回の5つの中では、
- スリーヒントクイズ
- ストップ&ゴー
- 口頭版の「こんなときどうする?」
が取り入れやすいです。
5分程度しか時間がない場合は、ゲームを最後まで完成させる必要もありません。
例えば朝の会で「こんなときどうする?」を1問だけ扱う方法もあります。
朝の会でできる短時間SSTゲームはこちらにまとめています。
低学年と高学年でSSTゲームはどう変える?
低学年は「短く・具体的に・選びやすく」
低学年では、
- 説明を短くする
- 1回のゲーム時間を短くする
- 身近な学校生活を題材にする
- 答えを自由回答だけにしない
- 絵やカード、実演を使う
と取り組みやすくなります。
例えば「こんなときどうする?」なら、3つ程度の選択肢から選んでも構いません。
高学年は「なぜ?」「その後は?」まで考える
高学年では、ゲーム自体を幼く感じる子もいます。
その場合は、
- 実際にありそうな友達関係
- LINEやオンラインゲームを含むコミュニケーション
- 係活動やグループ学習
- 断り方や頼み方
- 相手と意見が違ったとき
など、年齢に合ったテーマへ変えます。
「正解を当てるゲーム」ではなく、「なぜそう考えた?」「その後どうなりそう?」まで話せる内容にすると取り組みやすくなります。
SSTゲームを自立活動で行うときの考え方
特別支援学級でSSTゲームを自立活動として行う場合は、ゲーム名から自立活動の項目を決めるのではありません。
自立活動は6区分27項目から、児童一人ひとりの学習上・生活上の困難やその背景を踏まえて、必要な項目を選び、関連付けながら具体的な指導内容を設定していきます。
SSTゲームでは、子どもの実態によって、例えば、
- 心理的な安定
- 人間関係の形成
- コミュニケーション
などに含まれる項目と関連する場合があります。
しかし、「SSTゲームだから人間関係の形成」と一律に決めるものではありません。
自立活動として考える順番
子どもの困り感
↓
指導目標
↓
関連する自立活動の項目
↓
具体的な指導内容
↓
その手段としてSSTゲームを選ぶ
SSTゲームを「楽しかった」で終わらせない3つのポイント
① ゲームの前に「今日のめあて」を一つ決める
例えばスリーヒントクイズなら、
「友達のヒントを最後まで聞いてみよう」
SSTすごろくなら、
「友達の答えを一つ覚えてみよう」
など、一つに絞ります。
② できなかった子をゲーム中に何度も修正しない
SSTであっても、ゲーム中に教師から何度も訂正されると、参加すること自体が嫌になる場合があります。
必要に応じてモデルを見せたり、選択肢を示したりしながら、まずは安心して参加できることを大切にします。
③ 最後に実生活とのつながりを確認する
ゲームの最後に、
「今日のゲームで気づいたことは?」
「学校のどんなときに使えそう?」
「次にやってみたいことは?」
と短く振り返ります。
授業でできたことが、すぐ実生活でできるとは限りません。
日常場面で使えたときに、
「今、自分から聞けたね」「友達に伝えられたね」
と具体的に振り返ることで、授業と生活をつないでいきます。
自立活動での「めあて→活動→振り返り」についてはこちらで詳しく解説しています。
もっと探したい人へ|目的別SSTゲーム・活動集
「今回の5つ以外にもSSTゲームを探したい」という方は、目的に合わせて以下の記事も使ってください。
小学生向けSSTの具体例を幅広く探す
室内で体を動かせるSSTゲームを探す
気持ち・感情理解のSSTゲームを探す
朝の会で5分程度のSSTゲームを行う
SSTすごろくを詳しく知る
SSTゲームについてよくある質問
SSTゲームは準備なしでもできますか?
できます。スリーヒントクイズ、ストップ&ゴー、口頭で行う「こんなときどうする?」などは、ほとんど準備なしでも取り組めます。
ただし、カードやイラストがあった方が考えやすい子もいるため、必要に応じて教材を使います。
SSTゲームは何人くらいで行うのがよいですか?
活動によって異なります。
1対1から始めた方が安心できる子もいれば、3〜5人程度の少人数で友達の考えを聞くことに意味がある活動もあります。
「SSTだからグループで行う」と決めず、その子の参加しやすさや目標から考えます。
SSTゲームで子どもが答えたくないと言ったら?
「パス」を認めて構いません。
特に自分の気持ちや経験について話す活動では、答えることを強制しない方が安心して参加できます。
ゲームが盛り上がらなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。
SSTの目的は「盛り上がること」ではありません。
静かに参加する子、友達の話だけ聞く子、カードを一枚選ぶだけの子がいても、その子の目標に沿った参加ができているかを見ます。
低学年でもできるSSTゲームはありますか?
あります。ストップ&ゴー、簡単なスリーヒントクイズ、絵カードを使った「こんなときどうする?」などは、ルールや時間を調整すれば低学年でも取り組みやすくなります。
高学年でもSSTゲームは使えますか?
使えます。ただし、幼く感じない題材選びが重要です。
友達との距離感、グループ活動、頼み方・断り方、自分の気持ちの伝え方など、高学年の学校生活に近いテーマを使うと取り組みやすくなります。
SST教材を使ってゲームや授業の準備を減らしたい先生へ
SSTゲームは、教師が口頭で場面を提示するだけでもできます。
一方で、毎回場面や質問を一から考えるのは負担になります。
そこで、学校生活で起こりやすい場面を使ってSSTを行えるカード教材も作成しています。
🃏 具体的な場面からSSTを始めたい先生へ
SSTカード「こんなときどうする?」
友達関係・学校生活・自分の気持ちなどの場面を使って、「どんな気持ち?」「自分ならどうする?」と考えられる教材です。
※この教材は支援級パックにも収録されています。最新の収録内容・利用条件は販売ページでご確認ください。
まとめ|SSTゲームは「楽しい+目の前の子に必要」で選ぶ
今回は、特別支援学級や小学生の自立活動で取り入れやすいSSTゲームを5つ紹介しました。
- スリーヒントクイズ|聞く・質問する・伝える
- こんなときどうする?|場面理解・問題解決
- こころカルタ|感情理解・自己理解
- ストップ&ゴー|合図を聞く・切り替える
- SSTすごろく|会話・自己表現・順番
どのゲームが一番優れている、ということではありません。
大切なのは、
この子は今、何に困っているのだろう?
その困り感から育てたい力を考え、その手段としてSSTゲームを選びます。
ゲームで練習したことが実際の学校生活で少しでも使えたら、その瞬間を本人と一緒に確認していきたいところです。
✅ SST・自立活動の教材をまとめて準備したい先生へ
支援級パック(自立活動・SST教材フルパック)
SST・自立活動、感情理解、自己理解、コミュニケーション、アンガーマネジメントなど、特別支援学級で活用できる教材をまとめています。
「SSTゲームの題材を毎回ゼロから考える時間を減らしたい」「子どもの困り感に応じて教材を選べるようにしたい」という先生にも活用しやすい内容です。
※最新の収録内容・利用条件は販売ページでご確認ください。
参考資料
自立活動の指導内容を検討する際は、文部科学省「特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編」も参考にしてください。












コメント