この記事を読むとわかること
- 自立活動で「めあて」を設定する意味
- 活動後に「振り返り」を行う理由
- めあて・振り返りを授業に取り入れる具体的な方法
特別支援学級で行う自立活動では、子ども一人ひとりの実態や教育的ニーズを踏まえながら、必要な力を育てていくことが大切です。
「今日はどんな活動をしよう?」と教材やゲームを考えることも大切ですが、それ以上に私が意識しているのが、活動を通して子どもが「何を学び、どんな力を身につけるのか」を明確にすることです。
そのために欠かせないのが、活動前の「めあての設定」と、活動後の「振り返り」です。
この2つをセットにすることで、単に「楽しい活動をした」で終わらず、子ども自身が自分の頑張りや成長に気づきやすくなります。
この記事では、私が自立活動でめあてと振り返りを大切にしている理由と、実際の授業で取り入れている方法を具体的に紹介します。
個別の指導計画と自立活動のつなげ方を知りたい方はこちら👇
めあてや振り返りを取り入れた具体的な授業実践はこちらも参考にしてください👇
自立活動で「めあて」の設定が重要な理由
自立活動では、ただ活動に参加するのではなく、「今日は何を意識して取り組むのか」を子ども自身ができるだけ理解していることが大切です。
例えば、同じゲームに参加していても、
- 困ったときに「助けて」と伝える
- 負けそうになっても気持ちを切り替える
- 友達の話を最後まで聞く
- 順番を待つ
など、その子によって学ぶべきことは異なります。
私が「めあての設定」を大切にしている理由は、主に次の5つです。
- 活動の目的を明確にする
「今日はこのゲームをします」だけではなく、「今日はこのゲームをしながら、困ったときに言葉で伝える練習をしようね」と伝えます。何のために活動するのかが分かることで、子どもも活動の意図を理解しやすくなります。 - 自分の「頑張りどころ」を意識できる
同じ活動をしていても、子どもによって伸ばしたい力は異なります。自分のめあてを意識することで、「今日はここを頑張ろう」と自分の行動を調整するきっかけになります。 - 主体性や自己決定につながる
教師が一方的に目標を決めるだけではなく、複数の選択肢から自分で選んだり、慣れてきたら自分でめあてを考えたりします。こうした経験は、自己理解や自己決定にもつながります。 - 目標を「見える化」できる
めあてカードを掲示したり、自分の名前カードを貼ったりすると、活動中も目標を確認できます。言葉だけでは意識しにくい子にとって、視覚的な支援は特に有効です。 - 活動後の評価につながる
最初にめあてを決めておけば、「今日はできたかな?」と具体的に振り返ることができます。教師が子どもの様子を評価するだけでなく、子ども自身が成長を確認するためにも役立ちます。
めあては、授業の最初に形式的に言うものではありません。
「今日、自分は何を意識して取り組むのか」を子ども自身が分かる状態をつくることが大切です。
自立活動で「振り返り」が不可欠な理由
活動後の「振り返り」も、めあてと同じくらい重要です。
「楽しかった」「疲れた」といった感想だけで終わらせず、体験したことを自分の成長や次の行動につなげることが振り返りの目的です。
私が振り返りを大切にしている理由は次の5つです。
- 体験を「学び」に変える
活動中は無意識だった行動も、「あのとき先生に相談できた」「負けても怒らなかった」と振り返ることで、自分ができたこととして意識できるようになります。 - 自己評価する力を育てる
「できた」「もう少し」「難しかった」など、自分の行動を振り返ります。これは、自分の状態や行動を客観的に捉える自己モニタリングの練習にもなります。 - 成功体験を実感できる
「今日はできたね」と具体的な場面を一緒に確認すると、「自分にもできた」という達成感につながります。次の活動への意欲を高めるためにも重要です。 - 課題を次の目標につなげられる
うまくできなかったときも、「ダメだった」で終わらせません。「次はどうしてみよう?」と考えることで、課題を次の学びにつなげます。 - 他の場面でも使える力にする
ゲームの中でできたことを、「休み時間でも使えそうだね」「教室でも困ったら伝えられそうだね」と日常生活につなげます。自立活動で学んだことを、他の場面でも活用できるようにする視点が大切です。
振り返りは活動の「最後のおまけ」ではありません。
活動で得た経験を学びとして整理し、次の行動につなげるための大切な時間です。
めあて設定→活動→振り返り|私が大切にしている自立活動の流れ
私が自立活動で大切にしている流れは、とてもシンプルです。
- 子どもの実態や困り感から「めあて」を設定する
必要に応じて、自立活動の6区分27項目との関連も考えます。 - めあてを意識して活動に取り組む
ゲーム、ワーク、ロールプレイなど具体的な活動を行います。 - 活動後にめあてを振り返る
できたこと、難しかったことを具体的に確認します。 - 次の活動や日常生活につなげる
「次はどうする?」まで考えて終わります。
めあて設定 → 活動 → 振り返り → 次につなげる。
私は、このサイクルを繰り返すことを大切にしています。

「めあて」を設定する3つの方法
① 選択式のめあてカードを使う
「今日のめあては何にする?」と口頭で聞くだけでは、自分の状態を言葉にすることが難しい子にとって負担が大きい場合があります。
そこで私がよく使うのが、選択式のめあてカードです。
例えば、次のような選択肢を黒板やホワイトボードに掲示します。
- 「こまったら せんせいに つたえる」
- 「さいごまで あきらめない」
- 「ともだちの きもちを かんがえる」
- 「まけても おこらない」
選択肢を3〜4つ程度に絞ると、「今日はどれを頑張ろう?」と自分で考えやすくなります。
選ぶという行為自体が、自己理解や自己決定の練習にもなります。
② 全体のめあてと個別のめあてを使い分ける
同じ活動をするときでも、全員が同じ課題を持っているとは限りません。
そこで、学級全体のめあてとは別に、一人ひとりに合わせた個別のめあてを設定します。
| 子どもの課題 | 全体のめあて例 | 個別のめあて例 |
|---|---|---|
| 感情のコントロール | 友達と楽しく活動する | 負けそうなときに深呼吸する |
| コミュニケーション | 友達と楽しく活動する | 困ったときに「助けて」と言う |
| 順番を待つこと | 友達と楽しく活動する | 自分の順番まで待つ |
全体のめあては授業全体の方向を示し、個別のめあては「その子が今、特に意識したいこと」として使い分けます。
③ 慣れてきたら子どもと一緒にめあてを決める
最初は教師が選択肢を用意しても構いません。
慣れてきたら、「前回は何が難しかった?」「今日は何を頑張りたい?」と問いかけながら、子ども自身がめあてを考える段階に進みます。
自分の困り感や目標を言葉にする経験は、自己理解を深めることにもつながります。
「振り返り」を行う3つの方法
① 3段階で自己評価する
「今日どうだった?」だけでは、「楽しかった」「普通だった」で終わってしまうことがあります。
そこで、例えば次のような3段階の視覚的な評価を使います。
- 😄 できた!
- 🙂 もう少し
- 😔 むずかしかった
表情カードなどを使えば、言葉で評価することが難しい子でも参加しやすくなります。
大切なのは、「むずかしかった」を選んだことを責めないことです。
「次はどうしてみよう?」と次の行動につなげます。
② 「どの場面でできたか」を具体的に振り返る
「めあてはできた?」だけで終わらず、具体的な場面まで一緒に確認します。
例えば「困ったときに相談する」がめあてなら、
- 「今日、困った場面はあった?」
- 「そのとき、どうしたの?」
- 「先生に相談できたとき、どうだった?」
と問いかけます。
「いつ・どこで・何ができたのか」を言葉にすることで、体験が学びとして整理されていきます。
③ 振り返りを簡単に記録する
振り返りを簡単なワークシートなどに残しておくと、成長の変化を確認しやすくなります。
「以前は難しかったけれど、今はできるようになった」という変化を子ども自身と共有する材料にもなります。
また、日々の見取りを蓄積しておくことは、個別の指導計画の評価を考える際にも役立ちます。
学年に合わせてめあて・振り返りの方法を変える
| 学年 | めあての設定 | 振り返り |
|---|---|---|
| 低学年 | 絵カード・イラスト付きの選択式 | 表情カードなどで3段階評価 |
| 中学年 | 文字カード+必要に応じて一言追加 | 短い言葉で振り返る |
| 高学年 | 自分でめあてを考える | できた理由や次の目標まで考える |
📝 書くことが苦手な子にも使いやすいSST教材
ラミネート&マジックテープ式SSTワーク
感情の整理、場面判断、コミュニケーションなどを、カードを選んで貼る活動を通して学べる教材です。
「書くことへの抵抗が強い」「選択肢がある方が考えやすい」という子にも取り組みやすく、この記事で紹介しためあて→活動→振り返りの流れにも取り入れられます。
※この教材は支援級パックにも収録されています。最新の収録内容・利用条件は販売ページでご確認ください。
活動そのものより「何を学ぶか」を大切にする
このブログでは、SSTゲームやコミュニケーション活動、感情理解のワークなど、さまざまな自立活動の実践を紹介しています。
ただし、活動そのものを行うことが目的ではありません。
どの活動でも大切にしたいのは、
- この活動で何を学ぶのか
- その子にどんなめあてを設定するのか
- 活動中にどのような支援をするのか
- 活動後にどのように振り返るのか
という視点です。
「このゲームは楽しそうだからやってみよう」だけでなく、「この子のどんな困り感に、この活動をつなげるのか」を考えることで、自立活動としての意味がより明確になります。
まとめ|自立活動では「めあて」と「振り返り」をセットにする
自立活動では、魅力的なゲームや教材を用意すること以上に、その活動を通して子どもが何を学ぶのかを明確にすることが大切です。
そのために、私は次の流れを大切にしています。
- 子どもの困り感・実態を考える
- その子に合った「めあて」を設定する
- めあてを意識して活動する
- 活動後に具体的な場面を振り返る
- 次の活動や学校生活につなげる
めあてと振り返りを繰り返すことで、子ども自身が「前よりできるようになった」「次はこうしてみたい」と自分の成長に気づけるようになります。
活動をこなすことではなく、子どもの困り感を少しずつ減らし、自分でできることを増やしていくことを、自立活動の中心に置いていきたいと考えています。
教材をまとめて準備したい先生へ
支援級パック(自立活動・SST教材フルパック)
自立活動・SST、感情理解、自己理解、コミュニケーション、行動の振り返りなど、特別支援学級で使いやすい教材をまとめています。
「毎回ゼロから教材を作る時間を減らしたい」「めあて→活動→振り返りの流れを授業で実践したい」という先生にも活用しやすい教材パックです。
※最新の収録内容・利用条件は販売ページでご確認ください。
自立活動の個別の指導計画を考えている方へ
めあてを個別の指導計画の目標・支援・評価へどうつなげればよいか迷っている場合は、こちらの記事も参考にしてください。





コメント