【自立活動ゲーム5選】自分の気持ちを理解するSST

自立活動•SST

【自立活動ゲーム5選】気持ちを知る・伝えるSST|特別支援学級で使える実践例

「自分の気持ちをうまく言葉にできない」

「友達の気持ちを考える活動をしたいけれど、何をすればいい?」

「自立活動で、楽しみながら取り組めるSSTゲームを知りたい」

特別支援学級で自立活動を考えていると、このように感情理解やコミュニケーションに関する活動を探すことがあります。

この記事では、私が特別支援学級で取り入れてきた活動をもとに、子どもが自分の気持ちや考えに気づいたり、それを自分なりの方法で伝えたりするために使えるSSTゲームを5つ紹介します。

この記事で大切にしていること

ゲームを行えば、自動的に「感情理解」「社会性」「コミュニケーション力」が育つわけではありません。

その子の実態 → 個別の目標 → 必要な自立活動の項目 → 活動という順番で考え、ゲームはそのための一つの方法として使います。

自立活動で「感情」を扱うときに大切なこと

感情を扱う活動では、まず感情そのものに正解・不正解をつくらないことを大切にしています。

例えば、同じ「友達に断られた」という場面でも、

  • 悲しい
  • 怒った
  • 残念
  • 恥ずかしい
  • 特に気にならない

など、感じ方は人によって違います。

そこで、

「この気持ちが正解」

ではなく、

「自分ならどう感じる?」
「ほかの感じ方もあるかな?」
「困ったとき、どんな方法が使えそう?」

と考えていきます。

自立活動6区分27項目との関係

今回紹介する活動は、子どもの実態や目標によって、例えば次の項目との関連を検討できます。

  • 2-(1) 情緒の安定に関すること
  • 3-(2) 他者の意図や感情の理解に関すること
  • 3-(3) 自己の理解と行動の調整に関すること
  • 6-(2) 言語の受容と表出に関すること
  • 6-(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること

ただし、「このゲーム=この項目」と固定するものではありません。

同じゲームを使っていても、一人ひとりの目標は異なります。

自立活動ゲーム①|「こころカルタ」で自分のことを伝える

最初に紹介するのは、質問カードを使った「こころカルタ」です。

一般的なカルタのように札を早く取るゲームではなく、カードに書かれた質問をもとに、自分のことを話したり選んだりする活動です。

例えば、

  • 最近うれしかったことは?
  • 好きな食べ物は?
  • 今楽しみにしていることは?
  • 困ったとき、誰に相談する?

などの質問を使います。

ねらいの例

  • 自分の好きなものや考えを一つ伝える
  • 質問の意味を理解して、自分なりの方法で答える
  • 答えにくいときに「パス」と伝える
  • 友達の答えを聞く

実践するときのポイント

必ず言葉で答えるルールにはしません。

  • 二択から選ぶ
  • 絵カードを指差す
  • 教師が代わりに読む
  • 「分からない」と答える
  • パスする

なども立派な参加方法です。

また、「どうして?」「もっと詳しく教えて」と毎回答えを深掘りする必要もありません。

子どもが話したそうなときには聞き、話したくなさそうなときには「教えてくれてありがとう」と短く返します。

自立活動ゲーム②|「フィーリングマッチ」で感じ方の違いを知る

次は、場面カードと感情カードを組み合わせて考えるフィーリングマッチです。

例えば、

場面:友達に遊びを断られた

感情カード:悲しい/怒った/残念/ほっとした/よく分からない など

から、自分ならどう感じるかを考えます。

「正しい感情」を当てるゲームにしない

この活動で特に気を付けたいのは、

「この場面なら悲しいが正解」

のように決めないことです。

同じ出来事でも、人によって感じ方は異なります。

そのため、

  • 「自分ならどれ?」
  • 「ほかの気持ちもある?」
  • 「二つの気持ちが一緒になることもある?」

と問いかけます。

他者の気持ちについて扱う場合も、「この人は絶対にこう感じている」と決めるのではなく、複数の可能性を考え、必要なら本人に確認するという考えにつなげます。

自立活動ゲーム③|I(アイ)メッセージで自分の気持ちを伝える

友達とのトラブルなどで、自分の気持ちを伝える方法の一つとして使えるのがI(アイ)メッセージです。

Iメッセージは、相手を一方的に責めるのではなく、自分を主語にして自分の状態や気持ちを伝える考え方です。

小学生向けには、例えば、

「ぼくは、急に取られて嫌だったよ」

「私は、順番を待ってほしいな」

のような短い表現から練習できます。

「私は○○と感じた。できれば△△してほしい」といった形を練習用の型として使うこともできますが、すべてのIメッセージをこの形に固定する必要はありません。

Iメッセージは「魔法の言葉」ではない

Iメッセージで伝えても、相手が必ず希望どおりに行動してくれるわけではありません。

また、いじめや強い力関係がある場面などでは、子ども自身に「上手に伝えること」を求めるのではなく、大人が安全確保や環境調整を行うことが優先されます。

ロールプレイも必須ではありません。実際のつらい経験を再現することが負担になる場合は、架空の場面カードを使ったり、教師のモデルを見るだけにしたりします。

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自立活動ゲーム④|協力型ボードゲーム「スペースエスケープ」

4つ目は、協力型ボードゲーム「スペースエスケープ」です。

このゲームは、プレイヤー同士で競争するのではなく、全員で協力してデバネズミをヘビから守りながら脱出ポッドを目指すゲームです。

スペースエスケープそのものが「感情を学ぶゲーム」というわけではありません。

自立活動で使う場合には、例えば、

  • 困ったときに相談する
  • 友達の提案を聞く
  • 自分の考えを伝える
  • 順番を確認する
  • 思いどおりにならなかったときの自分の状態に気づく

といった個別目標との関係を考えます。

教師が「協力させよう」としすぎない

協力型ゲームだからといって、自然に全員が相談したり、友達を思いやったりするとは限りません。

例えば、必要に応じて、

  • 「誰に相談する?」と選択肢を出す
  • 手札を見せながら教師と一緒に考える
  • 発言しなくてもカードを指して意思表示できるようにする
  • ゲーム時間を短くする

といった支援を行います。

ゲーム終了後も「協力できた?」だけではなく、

「困ったとき、どうした?」

「誰かに聞けた?」

「うまくいかなかったとき、どんな感じだった?」

など、個別目標に合わせて振り返ります。

自立活動ゲーム⑤|「きもちビンゴ」で感情語を増やす

最後は、さまざまな感情を使った「きもちビンゴ」です。

例えば、ビンゴカードに、

  • うれしい
  • かなしい
  • わくわく
  • どきどき
  • いらいら
  • ほっとする
  • こまる
  • はずかしい

などの言葉やイラストを入れます。

カードが出たら、「どんなときにこの気持ちになる?」と考えます。

自分の経験を話すことは必須にしない

感情によっては、本人にとって話したくない経験と結び付いていることがあります。

そのため、

  • 自分の経験を話す
  • 架空の例を考える
  • 教師の例を聞く
  • 絵カードを選ぶ
  • パスする

などから参加方法を選べるようにします。

また、「この感情になったことがある人?」と全員の前で挙手させる場合も、内容によっては本人のプライバシーに関わるため注意が必要です。

5つのゲームを使うときの共通ポイント

① 言葉で話すことを参加条件にしない

SSTというと「話す練習」をイメージしやすいですが、コミュニケーションの方法は音声言語だけではありません。

  • 指差し
  • 絵カード
  • 文字
  • ジェスチャー
  • タブレット

など、その子が使える方法を活用します。

② 「パス」をルールとして認める

自分の感情や経験を話す活動では、答えたくない質問が出ることがあります。

活動前に、

「答えたくないときはパスしていいよ」

と明確に伝えておきます。

「パスと言えること」自体が、その子にとって大切なコミュニケーションになる場合もあります。

③ 答えの内容ではなく、目標に沿って見取る

例えば、

  • 自分に近い感情カードを一つ選べた
  • 「分からない」と伝えられた
  • 友達とは違う答えを選べた
  • 困ったときに教師へ聞けた
  • 友達の答えを否定せず聞けた

など、個別目標に沿って具体的な姿を見取ります。

④ 感情が大きくなっている最中に無理に振り返らない

気持ちが大きく高ぶっているときに、

「今どんな気持ち?」

「さっき習った方法を使ってみて」

と何度も求めると、かえって負担になることがあります。

まず安全を確保し、刺激を減らし、本人が落ち着きやすい方法を使います。

振り返りは本人の状態を見ながら、必要な場合に後から行います。

自立活動として行うなら「ゲームの名前」ではなく個別目標から考える

同じ「きもちビンゴ」を4人で行っていても、4人の目標が同じとは限りません。

児童個別目標の例
Aさん自分に近い気持ちのカードを選ぶ
Bさん友達と自分で感じ方が違う場合があることに気づく
Cさん答えたくないときに「パス」と伝える
Dさん分からないときに教師へ質問する

このように、活動は同じでも、目標と評価する姿は一人ひとり違うという考え方が重要です。

文部科学省の自立活動でも、6区分27項目を順番に指導するのではなく、実態把握から必要な項目を選び、それらを関連付けて具体的な指導内容を設定することが示されています。

文部科学省「特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編」

まとめ|自立活動ゲームは「何を育てたいか」から選ぶ

今回は、気持ちやコミュニケーションを扱う自立活動・SSTゲームを5つ紹介しました。

  1. こころカルタ|自分のことを伝える
  2. フィーリングマッチ|感じ方の違いを知る
  3. Iメッセージ|自分の気持ちを伝える方法を考える
  4. スペースエスケープ|相談・援助要請・協力を経験する
  5. きもちビンゴ|さまざまな感情語に触れる

どのゲームを使う場合も、

子どもの実態を知る
↓
個別の目標を決める
↓
必要な自立活動の項目を考える
↓
ゲームや教材を選ぶ
↓
目標に沿って子どもの姿を見取る

という順番を大切にしてください。

ゲームは、子どもを「正しい行動」に当てはめるためのものではありません。

自分を知る方法、相手との違いを知る方法、困ったときに使える方法を増やすための一つの手段として活用していきたいと考えています。

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