特別支援学級や通級指導教室で、子どもたちの言葉の理解力や表現力をもっと伸ばしたい、そして論理的に考える力や質問する力を育みたいと感じることはありませんか?
今回は、そんな時にぴったりのSST・自立活動アイデアの1つ「スリーヒントクイズ」をご紹介します。
このゲームは、先生やお友達が3つのヒントを出し、それが何かを当てるというシンプルなクイズ形式の活動です。
子どもたちはヒントを注意深く「聴き」、頭の中で「推測」し、時には「質問」しながら答えを導き出します。また、自分たちがヒントを出す側になることで、「言葉で表現する力」も自然と身につけられます。準備もほとんどいらず、少人数から大人数まで、様々な場面で活用できるのが魅力です。
📋 この記事でわかること
- スリーヒントクイズの基本ルールと特別支援学級でおすすめの理由
- 自立活動6区分との対応・育まれる6つの力
- 準備物・遊び方・声かけ例(そのまま使えるマニュアル)
- 難易度別お題リスト100例以上(物・動物・場所・食べ物・学校生活)
- ASD・ADHD・場面緘黙など特性別の指導のコツ
- 家庭への波及と保護者連携の方法
🃏 スリーヒントクイズの次のステップに使える教材があります

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SST・自立活動「スリーヒントクイズ」とは?
「スリーヒントクイズ」は、先生が頭の中で何かを思い浮かべ、それに関するヒントを3つ順番に出していくクイズゲームです。子どもたちはそのヒントを頼りに、それが何であるかを考え、答えます。
たとえば、先生が「1つめ、空を飛びます。2つめ、鳴き声は『カーカー』です。3つめ、色は黒いです。さあ、何でしょう?」とヒントを出し、子どもたちが「カラス!」と答える、といった具合です。

当てっこする楽しさだけでなく、ヒントをどのように選べば相手に伝わるか、限られた情報からどう推測するかといった、言葉を使った思考プロセスを自然に学べるのがこのゲームの大きな特徴です。子どもたちがヒントを出す側に回れば、さらに表現力や語彙力を高めることができます。
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SST・自立活動「スリーヒントクイズ」のねらい
このゲームは、言葉の理解と表現、そして論理的思考力を育む上で、多くの大切なねらいを持っています。
- 聴覚情報の処理能力の向上
- 先生やお友達が話すヒントを注意深く「聴き」、その情報を正確に理解する練習になります。
- 複数のヒントを頭の中で整理し、統合する力を養います。
- 必要に応じて「もう一度言ってください」などと聞き返す力も育みます。
- 推測力・論理的思考力の育成
- 与えられたヒントから、論理的に答えを推測する力を養います。
- 複数の可能性の中から、最も適切な答えを選ぶ思考プロセスを経験します。
- どのヒントが重要かを見極める力を育みます。
- 語彙力・概念理解の深化
- ヒントとして様々な言葉に触れることで、語彙が増えます。
- 「空を飛ぶもの」や「鳴き声が○○のもの」など、言葉の概念理解を深めます。
- 新しい言葉を知るきっかけにもなります。
- 質問する力・表現力の向上(子どもがヒントを出す側の場合)
- 自分が思い浮かべたものを、相手に伝わるように的確な言葉で表現する力が育ちます。
- 相手の反応を見て、さらに適切なヒントを考える柔軟な思考力を養います。
- 相手に「何を知りたい?」と質問する力も育ちます。(例:「それは大きいもの?小さいもの?」)
- 集中力・注意力の育成
- ヒントを聞き逃さないように、話者に集中する力が養われます。
- 答えを考える過程で、集中力を持続させる練習になります。
- コミュニケーションの楽しさの体験
- クイズを当てる喜びや、自分のヒントで相手が分かってくれた時の達成感を味わえます。
- 友達や先生との言葉のやりとりを通して、コミュニケーションの楽しさを体験します。
- 間違っても誰も責めない、安心して発言できる雰囲気の中で、積極的に参加できます。
準備物と遊び方
準備物
- 特になし(ホワイトボードやメモがあれば尚良い)
- 先生がお題を考えて口頭でヒントを出すだけでもOKです。
- お題リストを事前に用意しておくとスムーズに進められます。
- 子どもがヒントを出す場合は、メモ用紙や鉛筆を用意しても良いでしょう。
遊び方
- ルール説明
- 「先生(または〇〇くん)が頭の中で何かを思い浮かべるよ。」
- 「それに関するヒントを3つ言うから、それが何か当ててみてね!」
- 「ヒントは3つ全部聞いてから考えてもいいし、途中でわかったら手を挙げてくれてもいいよ。」
- 「もし間違っても大丈夫!みんなで一緒に考えるのが楽しいからね。」と、間違ってもOKな雰囲気を強調します。
- 先生がお題を考え、ヒントを出す
- 先生が頭の中で一つお題を決めます。(例:カブトムシ)
- ゆっくりと、分かりやすい言葉でヒントを3つ順番に言います。
- 「1つめ:森に住んでいます。」
- 「2つめ:大きなツノがあります。」
- 「3つめ:夏によく見かけます。」
- 子どもたちが考える・答える
- 子どもたちはヒントを聞きながら、頭の中で答えを考えます。
- 答えが分かったら手を挙げたり、指名されたら答えを言います。
- もし答えが出なくても、「もう少しヒントが欲しいな」と質問しても良いことを伝えます。
- 答え合わせと振り返り
- 正解が出たら、「大正解!すごいね!」と大いに褒めます。
- 間違った答えが出ても、「惜しい!〇〇もツノがあるもんね」などと、その子の考えを肯定的に受け止めます。
- 「どのヒントで分かった?」と尋ねることで、子どもたちの思考プロセスを共有できます。
- 子どもがヒントを出す側だった場合は、「どうしてそのヒントを選んだの?」と聞くと、言葉で伝える工夫を促せます。
- 役割交代(子どもがヒントを出す場合)
- 慣れてきたら、子どもがヒントを出す側に回る機会を設けます。
- 最初は先生がサポートしながら進め、徐々に子どもたちだけでヒントを考えて出せるように促しましょう。
指導のポイントと声かけ例
このゲームをより効果的に、そして楽しく進めるための大切なポイントをご紹介します。
- ヒントの難易度調整(具体的にヒントを出す練習)
- 最初は簡単なヒントから: 「色」「形」「大きさ」「鳴き声」「場所」「用途」など、具体的で分かりやすい特徴をヒントにしましょう。
- 難易度の調整:
- 易しい: 「赤いものです」「丸いです」「食べられます」
- 普通: 「木になります」「リンゴの仲間です」「ジャムにしたりジュースにしたりします」
- 難しい: 「昔話によく出てきます」「英語だとappleです」
- 子どもがヒントを出す際は、「もっと詳しく教えてくれる?」「どんなふうに使うもの?」などと促し、具体的なヒントを出す練習をサポートしましょう。
- 声かけ例:「このヒントだと、どんな人が当てやすいかな?」「色や形、音など、特徴を教えてあげてね。」
- 答えられなくてもヒントを追加するなどのサポート
- 子どもたちがなかなか答えにたどり着けない場合、無理に急かさず、さらにヒントを追加したり、選択肢を与えたりしてサポートしましょう。
- 「〇〇か△△のどっちかな?」「何か動物かな?食べ物かな?」など、ジャンルを絞るヒントも有効です。
- 声かけ例:「うーん、難しいかな?じゃあ、もう一つヒントを出すね!」「これは、みんなのお家にもあるものかな?」
- 声かけ例:「これは生き物かな?それとも物かな?どっちだと思う?」
- 当てられたときの喜びを共有する
- 正解が出たときは、「大正解!やったね!」「よく分かったね、すごい!」と、一緒に喜びを表現しましょう。
- みんなで拍手をしたり、「お見事!」などと声をかけたりして、成功体験を共有することを大切にしてください。
- 声かけ例:「みんなで力を合わせて当てられたね!素晴らしい!」「〇〇ちゃんのヒントがすごく分かりやすかったから、当てられたね!」
- 質問する力を育む
- 子どもがクイズを当てる側の場合、「それは食べられますか?」「どこにいますか?」など、ヒントを求める質問をすることを促しましょう。
- ヒントを出す側の場合も、「これでもう分かったかな?」「他に知りたいことはある?」などと、相手に働きかける質問を促しましょう。
- 声かけ例:「もっと知りたいことはあるかな?先生に質問してみていいよ。」
- 教師も楽しんで参加する
- 先生自身が楽しんでクイズを出したり、答えたりすることで、子どもたちも安心して活動に参加できます。
- 先生の意外な一面を見せることで、場が和むこともあります。
特性別の指導のコツ|ASD・ADHD・場面緘黙の子への対応
スリーヒントクイズは子どもの特性によって参加の仕方が大きく異なります。以下の対応を事前に把握しておくと、全員が安心して参加できる環境づくりができます。
ASD(自閉スペクトラム症)の子への工夫
- お題のジャンルを事前に伝える:「今日は動物のクイズをします」と先に伝えることで、見通しが持てて安心して参加できます。
- ヒントをカードや文字で提示する:耳からの情報処理が苦手な子には、ホワイトボードにヒントを書きながら進めます。
- 答えが1つに決まるお題を選ぶ:「正解が複数ある可能性がある」という曖昧さが苦手な子には、明確に1つに決まるお題を優先します。
ADHD(注意欠如・多動症)の子への工夫
- ヒントの間隔を短くする:「1つめ・2つめ・3つめ」とテンポよく進めることで、集中が続きやすくなります。
- 動作を取り入れる:答えを紙に書く・ホワイトボードに貼るなど、体を動かす要素を加えると集中しやすくなります。
- 「ヒントを出す役」を積極的に任せる:受け身より能動的な役割の方が意欲的に参加できます。
場面緘黙・言葉が少ない子への工夫
- 「書いて答える」選択肢を用意する:声に出すのが難しい子には、答えをホワイトボードや紙に書いて見せるだけでOKにします。
- 指差しや絵カードで答えられるようにする:選択肢を3〜4枚の絵カードで提示し、指差しで答えられる形式にします。
- グループで答える場面を作る:「みんなで相談してから答えを出す」という形式にすると、一人で答えるプレッシャーが減ります。
語彙力が低い・言葉の理解が難しい子への工夫
- ヒントにイラストを添える:「空を飛びます」とセットで飛んでいる絵を見せることで、言葉の意味理解を補助します。
- お題を身近なものに絞る:子どもたちが毎日触れている学校の物・給食のメニュー・家の中のものなど、生活に密着したお題から始めます。
- 3択形式にする:「バナナ・りんご・みかん、どれ?」と選択肢を絞ることで参加しやすくなります。
学校生活・季節テーマのお題リスト追加版
既存のリストに加えて、特別支援学級で使いやすい「学校生活」「季節・行事」テーマのお題を追加します。
【学校生活】
| お題 | ヒント例 |
|---|---|
| 給食 | 毎日学校で食べる/みんなで一緒に食べる/栄養があって美味しい |
| 休み時間 | 授業と授業の間にある/外で遊べる/チャイムが鳴ったら終わり |
| ランドセル | 学校に持っていく/背中に背負う/教科書が入る |
| 体育館 | 学校の中にある/体を動かす場所/入学式や卒業式をする |
| 先生 | 勉強を教えてくれる/学校にいる/授業をする人 |
【季節・行事】
| お題 | ヒント例 |
|---|---|
| 雪だるま | 冬に作る/雪でできている/丸が2つ重なっている |
| 運動会 | 秋にある/走る競技がある/赤と白に分かれる |
| 七夕 | 7月にある/笹に飾りをつける/お願いごとを書く |
| クリスマス | 12月にある/プレゼントをもらう/ツリーを飾る |
| 入学式 | 春にある/ランドセルを背負う/1年生になるときにある |
「スリーヒントクイズ」お題リストの具体例
ここでは、すぐに使えるお題の例をいくつかご紹介します。子どもの年齢や興味、語彙力に合わせて選んでみてください。
【物】
- 鉛筆(書く、長い、木でできている)
- 消しゴム(消す、四角い、文房具)
- 時計(時間を見る、丸い、チクタク)
- 冷蔵庫(冷やす、大きい、キッチンにある)
- 靴(履く、ペアで使う、玄関にある)
- 本(読む、紙でできている、物語が書いてある)
- 傘(雨を防ぐ、開いたり閉じたりする、棒がある)
- 椅子(座る、足がある、教室にある)
- テレビ(映像を見る、四角い、音がする)
- コップ(飲み物を入れる、透明、割れやすい)
【動物】
- ライオン(たてがみがある、がおーと鳴く、肉を食べる)
- パンダ(白黒、竹を食べる、中国にいる)
- ゾウ(鼻が長い、体が大きい、アフリカにいる)
- カメ(甲羅がある、ゆっくり動く、長生き)
- ペンギン(寒いところに住む、飛べない鳥、よちよち歩く)
- イルカ(海にいる、ジャンプする、賢い)
- カエル(ぴょんぴょん跳ねる、緑色、水辺にいる)
- キリン(首が長い、模様がある、草を食べる)
【場所】
- 学校(勉強する、たくさんの友達がいる、先生がいる)
- 公園(遊具がある、走る、外にある)
- 海(広い、水がある、魚がいる)
- 山(高い、緑色、登る)
- スーパー(買い物する、食べ物がある、たくさん並んでいる)
- 図書館(本がたくさんある、静かにする、借りられる)
- 病院(お医者さんがいる、注射する、病気の時に行く)
【食べ物】
- りんご(丸い、赤い、シャキシャキする)
- バナナ(黄色い、皮をむく、猿が好き)
- ごはん(白い、お米からできている、毎日食べる)
- パン(焼く、小麦粉でできている、朝食に食べる)
- 牛乳(白い、牛からとれる、背が伸びる)
- 卵(丸い、ひよこになる、割って使う)
🃏 言葉のやりとりをさらに楽しく発展させる教材があります

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食べ物・動物・遊び・もしも系など50テーマのカード+指導書付き。スリーヒントクイズで「答える力」がついてきたら、次は「自分の好みを伝える力」を育てるこのカードへ。正解がない二者択一形式なので、言葉が少ない子でも安心して参加できます。
📖 参考資料
国立特別支援教育総合研究所(NISE)では、特別支援教育における言語・コミュニケーション支援として、「言葉の理解と表現を育てる体験的な活動」の重要性が示されています。スリーヒントクイズは、ヒントを聴いて推測し・言葉で答えるというプロセスを通じて、自立活動の「コミュニケーション」区分における指導内容を楽しく実践できる活動として位置づけることができます。
▶ 国立特別支援教育総合研究所(NISE)公式サイトまとめ
「3ヒントクイズ」は、子どもたちの聴く力、考える力、そして言葉で伝える力を楽しみながら育むことができる、特別支援学級や通級指導教室に最適な活動です。
シンプルなルールの中に、語彙力の向上、論理的思考、そして質問力を伸ばす要素がぎゅっと詰まっています。ヒントの選び方を工夫し、答えが出なくても温かくサポートすることで、子どもたちは安心して自分の力を発揮し、言葉の面白さやコミュニケーションの楽しさを実感できるでしょう。
ぜひ、あなたの学級や教室でこのゲームを取り入れて、子どもたちの「わかった!」という喜びの表情をたくさん引き出してみてください。
他のSSTや自立活動に役立つゲームも紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください!
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支援級コンプリートBOX
スリーヒントクイズの「聴く・考える・伝える」を発展させる教材が全9種入っています。
- SSTカード「こんなときどうする?」(場面別の言葉の選び方)
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