「療育で使える絵カードを探しているけれど、どんな教材があるのだろう」
「子どもが指差しで参加できたり、会話のきっかけになったりするカードが欲しい」
「絵カードを用意するだけでなく、声かけや活動の進め方も知りたい」
そんな先生や保護者の方に向けて、この記事では、私が制作した好きなものを選ぶカードや、友達との関わり方を考えるSST絵カードを紹介します。
小学校の特別支援学級や通級指導、放課後等デイサービスでの活動はもちろん、家庭で親子が一緒に絵を見ながら話すときにも、子どもの理解や興味に合うものから試せます。
絵カードといっても、教材によってできることは異なります。
まずは、カードの特徴と使う場面を見て、「この活動なら、目の前の子とできそう」というものを見つけてみてください。無料見本がある紹介ページも掲載しています。
※この記事では、筆者が制作・販売している教材を紹介しています。有料教材は、購入後にダウンロードして印刷するデジタル商品です。
療育で使える絵カード|まずは3つの教材を紹介
今回紹介するのは、次の3つです。
| 教材 | カードでできること | 特徴 |
|---|---|---|
| 「すきなのどっち」カード50枚+指導書 | 二つの選択肢から、自分の好きなものを伝える | 正解を当てる活動ではなく、好みを伝え合う活動に使える |
| SST絵カード50種+発問指導書10種 | 日常のさまざまな場面から、気持ちや関わり方を考える | イラストのみ・問いかけ付きの2タイプを使い分けられる |
| 「こんなときどうする?」全20場面セット | 場面を見る、方法を考える、練習する活動を組み立てる | 絵カードに加え、児童用プリントと詳しい教師用指導書がある |
気軽なやり取りから始めたい場合は「すきなのどっち」、具体的な困り事を一緒に考えたい場合はSSTの場面カードが候補になります。
なお、今回紹介する教材は、主にコミュニケーション活動やSSTで使うものです。「トイレに行きたい」と要求を伝えるカードや、一日の予定を並べるスケジュールカードとは役割が異なります。
無料見本を先に見たい方はこちら
それぞれの紹介記事から、無料見本の案内を確認できます。教材全体が無料という意味ではありません。
好きなものを選んで伝える|「すきなのどっち」カード
「何が好き?」と聞かれると、答えを考えるのが難しい子もいます。
一方で、目の前に二つの選択肢があれば、自分の好きなものを指したり、言葉で答えたりしやすい場合があります。
「すきなのどっち」は、二つの選択肢を見ながら、自分の好みを伝え合うカード教材です。
有料セットには50枚のカードと指導書があり、無料見本も公開しています。
「正しい答え」を考えなくてよいカード
例えば、食べ物の好みについて話すなら、「どちらが正しいか」を考える必要はありません。
大人と違う方を選んでも、友達と同じ方を選んでも構いません。
この活動で大切にしたいのは、正解を言うことよりも、自分の好みを表し、それを相手に受け止めてもらうことです。
「どちらも好き」「どちらも好きではない」「今日は選ばない」という答えも大切にします。二つの選択肢があるからといって、必ずどちらかを選ばせる必要はありません。
話すことだけを参加の条件にしない
カードを使うときは、子どもに合う答え方を用意します。
- 好きな方を指差す
- 絵に触れる
- 言葉で答える
- 大人が指した選択肢に、うなずくなどして応じる
視線で選んでいるように見える場合も、大人だけで決めつけず、「こちらかな?」と確かめます。
理由を説明することは、全員の目標にしなくても大丈夫です。まずは選ぶ、伝える、相手の答えを知るところから始められます。
家庭・学校・放デイでの使い方
次のような活動が考えられます。
| 場所 | 活用例 |
|---|---|
| 家庭 | 親子で1枚だけ見て、お互いの好みを伝える |
| 小学校 | 朝の会や自立活動で、友達の好きなものを知る |
| 放デイ・療育 | 個別活動の導入や、少人数での自己紹介に使う |
声かけは、長く説明しなくても構いません。
「どっちが好き?」
子どもが選んだら、
「こっちが好きなんだね」
と受け止めます。
その後、大人も自分の答えを伝えると、一方的に質問するだけの活動になりにくくなります。
話が続きそうなときだけ、「どんなところが好き?」と広げてみてください。
無料で試して、使うテーマを増やしたい方へ
まずは無料見本で、絵や選択肢が子どもに伝わるか、やり取りを楽しめそうかを確かめてみてください。
継続して使う中で、「いろいろなテーマで話したい」「進め方を確認できる指導書も欲しい」と感じた方には、カード50枚と指導書のセットを用意しています。
友達との関わり方を考える|SST絵カード50種
「友達に貸してと言われたけれど、まだ使っていたい」
「ゲームで負けて、悔しくなった」
「順番を抜かされて、どう伝えればよいか分からない」
こうした場面では、出来事を言葉だけで説明すると、状況を思い浮かべにくい子もいます。
SSTの場面カードは、同じ絵を一緒に見ながら、何が起きているのか、どんな方法がありそうかを考える教材です。
「SST絵カード50種」には、イラストのみのタイプと、問いかけ・アドバイス付きのタイプがあり、10場面分の発問指導書を組み合わせています。すべての50場面に個別の指導書が付くセットではありません。
いろいろな場面から、身近なテーマを取り上げられる
この教材の特徴は、扱う場面の幅です。
最初から全部のカードを順番に使う必要はありません。子どもが経験したことのある場面や、これから経験しそうな場面から、一つ取り上げます。
例えば、貸し借りについて考えるなら、最初から「どうするのが正しい?」と聞くより、
「この子は何を使っているかな」
「もう一人の子は、何をしたいのかな」
と、絵に描かれた状況を確かめるところから始められます。
一つの「正解」を言わせるために使わない
貸してほしいと言われた場面でも、すぐに貸すことだけが答えではありません。
ここでは、声かけの例として、次のような方法を考えられます。
| 状況 | 一緒に考えたい方法の例 |
|---|---|
| 今は使っていない | 貸せるかどうか考える |
| まだ使っている | 「終わったら貸すね」と伝える |
| 貸したくない事情がある | 「今日は貸せない」と伝える |
| 自分だけでは対応が難しい | 大人に相談する |
相手の希望と、自分の希望の両方を確かめながら、安全に使える方法を増やしていきます。
大人が望む答えが出るまで質問を重ねると、子どもは「先生が言ってほしいことを当てる活動」と感じてしまうかもしれません。
「そう感じることもあるね」
「ほかの方法も考えてみようか」
と、気持ちを受け止めながら方法を広げます。
家庭では親子の会話、学校や放デイでは小集団活動にも
家庭で使うときは、毎回プリント学習のように進めなくても構いません。
一枚の絵を見て、「こんなことがあったら、どうしたい?」と話し、子どもが疲れる前に終わる形でも使えます。
学校や放デイでは、同じ場面について複数の考えを出し合う活動も考えられます。ただし、全員の前で自分のつらい経験を話すことは求めません。
カード上の人物の話として考えることと、本人の経験を振り返ることは、分けて扱うとよいでしょう。
場面の種類を増やして使いたい方へ
無料見本では、カードの雰囲気や問いかけ方を確認できます。
「子どもの困り事に近い場面を選んで使いたい」「同じ教材形式で、いろいろなテーマを扱いたい」という方は、全50種の内容をご覧ください。
活動の進め方も確認したい|「こんなときどうする?」全20場面セット
絵カードを手に入れても、
「どこから話し始めればよいのだろう」
「答えが出ないとき、どう聞き直せばよいのだろう」
「話し合った後、生活の中で使えるようにするにはどうしたらよいのだろう」
と迷うことがあります。
そのような方に向けた教材が、「こんなときどうする?」全20場面セットです。
新デザインの提示用イラスト20枚、標準版・やさしい版の児童用プリント40枚、教師用指導書42ページなどを収録しています。従来のクラシック版も含まれますが、扱う場面は全20場面です。
50種セットとの違いは、枚数だけではありません
名前が似ていますが、「SST絵カード50種」と「全20場面セット」は別の商品です。
| 比較する点 | SST絵カード50種 | 全20場面セット |
|---|---|---|
| 主な特徴 | 幅広い場面の絵カードを使える | 絵カード・プリント・指導書を組み合わせて使える |
| 指導資料 | 厳選10場面の発問指導書 | 全20場面を扱う教師用指導書42ページ |
| 検討しやすい用途 | さまざまな場面で対話を広げる | 活動の導入から練習・振り返りまで確認する |
「たくさんの場面から選びたい」のか、「一つの活動をどう進めるか詳しく確認したい」のかによって、必要なセットは変わります。
両方をそろえることを前提にせず、無料見本と収録内容を比べてください。
プリントに書くことだけが参加方法ではない
プリントが付く教材でも、子ども全員に書くことを求める必要はありません。
絵を見て話す、選択肢を指す、大人が代わりに書く、実際に言葉や動きを試すなど、参加の仕方を調整できます。
例えば「困ったときに助けを求める」活動なら、方法を考えた後に、大人を相手に短く伝えてみる時間を設けることもできます。
「手伝ってください」と長く言うのが難しければ、その子が使いやすい言葉や合図を一緒に考えます。
まずは一場面を試したい方へ
無料見本を使うと、絵の雰囲気だけでなく、プリントや指導資料が自分の活動に合うかも確認できます。
療育の絵カードを使うときは、子どもの反応から調整する
使ってみて反応が少なくても、すぐに「この子には絵カードが使えない」と判断する必要はありません。
カードの内容や見せ方、活動の負担を確かめます。
絵の意味が伝わっているかを確かめる
大人には分かるイラストでも、子どもが同じように理解しているとは限りません。
初めて見る物、経験したことのない出来事、背景に情報が多い場面などは、分かりにくいことがあります。
身近な実物や写真を見せたり、大人が短く状況を説明したりして、内容が伝わるか確かめます。
写真の方が分かりやすい子もいれば、背景が少ないイラストの方が注目しやすい子もいます。
カードをたくさん見せすぎない
一度に多くのカードを並べると、どこを見ればよいか分かりにくくなる場合があります。
最初は必要な一枚や、見比べられる少ない数から始めます。
SSTの場面カードなら、一枚について少し話しただけで終わっても構いません。全部使うことより、無理なくやり取りできることを大切にします。
返事を急がず、答えないことも受け止める
質問した直後に大人が次々と話すと、子どもが考えたり表現したりする時間がなくなってしまいます。
少し待ち、反応がなければ質問を短くする、大人が例を示す、その日は終わるなど調整します。
「言葉で言って」「理由も教えて」と要求を重ねる前に、今の参加方法で十分ではないかを考えてみてください。
トラブル直後の説教に使わない
子どもが強く怒っていたり、不安になっていたりするときにカードを見せても、考える余裕がないことがあります。
まずは落ち着ける環境や関わりを整えます。
振り返る場合も、本人が話せそうなときに、短い時間で行います。絵カードが「叱られるときに出てくるもの」にならないようにしたいところです。
印刷した絵カードは、どう準備する?
今回紹介した有料教材は、PDFをダウンロードして使う形式です。紙のカードが届く商品ではありません。
初めて使う場合は、次のように準備すると取り掛かりやすくなります。
- 無料見本や、使う予定のページを印刷する。
- 必要なものだけ切り取る。
- 実際に見せて、大きさや絵の見やすさを確かめる。
- 繰り返し使うものは、必要に応じてラミネートなどで補強する。
- 教材ごとに封筒やファイルで保管する。
最初から全ページを印刷して加工しなくても大丈夫です。
一対一で使う場合と、複数の子に提示する場合では、必要な大きさが違います。また、ラミネートの光の反射で見にくくなる場合もあるため、実際の使い方に合わせます。
保管するときは、「好みを伝える」「友達との関わり」など、使う目的が分かる名前を付けると、次の活動で取り出しやすくなります。
自立活動やSSTの教材をまとめて用意したい先生へ
絵カードを使い始めると、子どもによって必要な活動が異なることにも気づきます。
好みを伝える活動が合う子もいれば、気持ちの整理や、困ったときの相談の仕方を扱いたい子もいます。
その都度教材を一から探す負担を減らしたい先生に向けて、「自立活動・SST教材フルパック」も用意しています。
販売ページでは、「すきなのどっち」や「こんなときどうする?Ver.2」など、収録教材と使い道を紹介しています。
検討していただきたいのは、次のような方です。
- 特別支援学級などで、複数の子どもに合わせて教材を使いたい方
- 一年間を通して、自立活動やSSTの活動を準備したい方
- 絵カード以外のワークや指導資料もまとめて確認したい方
特定のカードだけを使いたい場合は、単品で十分なこともあります。
フルパックと単品には重複する教材があるため、購入前に収録内容をご確認ください。
療育の絵カードについてよくある質問
言葉で話せる子にも使えますか?
会話のきっかけや、状況を整理する手がかりとして使うことが考えられます。
言葉を話せても、自分の好みをその場で答えることや、複雑な出来事を説明することは難しい場合があります。
ただし、絵を見せることが負担になる子に、無理に使用する必要はありません。
未就学児にも使えますか?
年齢だけで一律には判断できません。
絵や選択肢の意味が分かるか、扱う場面を経験しているか、無理なく参加できるかを確認してください。
今回のSST教材には学校生活に関係する場面も含まれます。未就学児の場合は、無料見本や収録一覧を見て、身近な内容があるか確かめることをおすすめします。
家庭では、毎日取り組んだ方がよいですか?
毎日の課題にする必要はありません。
親子で少し話せそうなときに一枚見るなど、負担のない取り入れ方で構いません。カードの活動を続けること自体よりも、子どもが表した好みや気持ちを、日常の関わりでも受け止めることを大切にしてください。
「すきなのどっち」は、要求を伝えるカードとして使えますか?
この教材は、主に好みを伝え合う活動用です。
実際に欲しいものを伝える場面では、その場で選べる実物や写真などを使った方が分かりやすい場合があります。
「好きなものについて話す時間」と「今、欲しいものを選ぶ時間」が混同されないようにします。
放課後等デイサービスで共有して使えますか?
事業所での使用、職員間のデータ共有、複数拠点での使用、保護者への配布は、それぞれ利用条件の確認が必要です。
活動内容が放デイに合うことと、施設内で自由に共有できることは別です。購入前に各販売ページの利用条件を確認し、不明な場合はお問い合わせください。
無料版と有料版は何が違いますか?
無料見本は、絵の分かりやすさや活動の進め方を試すためのものです。
有料版では、教材ごとにカードの種類や指導資料などが増えます。内容は商品によって異なるため、枚数だけでなく、「自分が必要とする活動や資料が含まれているか」をご確認ください。
まずは一枚、使ってみたい絵カードから
療育の絵カードには、好みを伝えるもの、場面を見て気持ちや関わり方を考えるものなど、異なる役割があります。
今回紹介した教材は、次のように使い道が分かれます。
| やってみたいこと | 教材 |
|---|---|
| 好きなものを選び、やり取りを楽しむ | 「すきなのどっち」カード |
| いろいろな場面で、気持ちや方法を考える | SST絵カード50種 |
| 指導資料を見ながら、活動を組み立てる | 「こんなときどうする?」全20場面セット |
まずは無料見本を一枚見て、「この絵は伝わりそうかな」「この話題なら一緒に楽しめそうかな」と考えてみてください。
使ってみて合いそうであれば、必要な場面やテーマを少しずつ増やしていけます。


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