療育教材の選び方とおすすめ|無料プリント・手作り・家庭や学校での使い方

自立活動•SST

「療育で使える教材を探しているけれど、種類が多くて選べない」「無料プリントを印刷してみたものの、子どもが取り組まなかった」。家庭でも学校でも、放課後等デイサービスでも、教材を用意するところで迷うことはありませんか。

私は小学校で特別支援教育に携わり、自立活動やSSTの教材を制作してきました。教材選びで大切にしたいのは、子どもが今困っていることと、無理なく参加できる方法が合っているかという点です。

話すことが難しければ指差しで選ぶ。書くことが負担ならカードを置く。うまくいかないときは、教材の難しさや大人の関わり方を見直します。

この記事では、療育教材の選び方、無料見本、手作りの工夫、家庭・学校・放課後等デイサービスでの使い方を紹介します。声かけや活動の流れは実践例として示しているので、目の前の子どもに合わせて調整してください。

本文には、私が制作・販売している教材の紹介も含みます。必要な教材を判断できるよう、使う目的と準備するものを併せて説明します。

  1. 【早見表】子どもの様子から療育教材を選ぶ
  2. 療育教材を選ぶときに確認したい4つのこと
    1. ① 年齢の目安に加えて、今できることを見る
    2. ② 一度に求めることを絞る
    3. ③ 興味と答えやすい方法を確かめる
    4. ④ 大人が準備・継続できるものを選ぶ
  3. 【目的別】療育教材の種類と具体的な使い方
    1. 好きなことや希望を伝える|「すきなのどっち」
    2. 気持ちや困りごとを伝える|感情カード・SSTマッチング
    3. 友達との場面を一緒に考える|SST場面絵カード
    4. 予定や手順を確かめる|スケジュール・手順カード
    5. 同じものや文字・数に親しむ|マッチング教材
    6. 手先を使って遊ぶ|シール貼り・ひも通し
  4. 無料プリント・手作り・購入教材はどう選ぶ?
    1. カード教材の準備は、使う分だけから
  5. 家庭・小学校・放課後等デイサービスでの使い分け
    1. 家庭では、生活の中で使える一つから
    2. 学校では、同じ教材でも参加の仕方を変える
    3. 放デイでは、担当が替わっても応じ方を共有する
  6. 教材に取り組みにくいときは、何を変える?
  7. 教材でのやり取りを日常の支援につなげる
  8. 継続して使う方へ|単品と教材セットの選び方
  9. 療育教材についてよくある質問
    1. 家庭で使う場合、専門的な知識が必要ですか?
    2. 年齢が対象と違っていても使えますか?
    3. 無料サンプルはどこから見られますか?
    4. 紙の教材が届きますか?
    5. 放課後等デイサービスの療育で使ったり、職員同士で共有したりできますか?
  10. その子に合う教材を、一つ試すところから

【早見表】子どもの様子から療育教材を選ぶ

最初から教材を一式そろえる必要はありません。「今、どんなやり取りができると過ごしやすくなるかな」と考え、一つの活動から試してみましょう。

取り組みたいこと教材の例初めの一歩
好きなこと・希望を伝える二択カード好きなものを指差しで選ぶ
気持ちや困りごとを伝える感情カード・SSTマッチング自分に近いカードを選ぶ
友達との場面を一緒に考える場面絵カード何が起きているか絵で確かめる
予定や手順を確かめる予定表・手順カード今することと次にすることを見る
同じもの・文字・数に親しむマッチング教材同じ実物や写真を組み合わせる
手先を使って遊ぶシール貼り・ひも通し扱いやすい大きさで少量から試す

療育教材を選ぶときに確認したい4つのこと

① 年齢の目安に加えて、今できることを見る

対象年齢が合っていても、絵の意味を理解する、質問を聞く、答えを考える、指でつまむといった負担は子どもによって異なります。「小学生だから文字で答える」と決めず、写真や実物、指差しなども選べるようにします。

例えば、同じものを合わせる活動なら、実物同士、実物と写真、絵同士では必要な理解が違います。一つの形式で難しかったからといって、活動そのものができないと判断しないようにしたいです。

② 一度に求めることを絞る

「気持ちを伝える」が目的なのに、文字を書くことや長く座ることまで求めると、目的にたどり着く前に疲れてしまうことがあります。気持ちを一つ選べたら、その日はそこで終えてもかまいません。

③ 興味と答えやすい方法を確かめる

好きな食べ物や遊びなど、本人に身近な題材から始めます。話す以外にも、指差す、カードを渡す、身振りで示すなどの答え方があります。視線は手がかりになりますが、見ただけで選んだと決めつけず、本人のいつもの表し方と合わせて確かめます。

④ 大人が準備・継続できるものを選ぶ

印刷だけで使える教材もあれば、カードの切り取りやラミネートが必要な教材もあります。最初から全ページを加工せず、試す分だけ用意すると、合わなかったときにも調整しやすくなります。

【目的別】療育教材の種類と具体的な使い方

好きなことや希望を伝える|「すきなのどっち」

自由に話すことが難しい子には、二つの選択肢から好きな方を選ぶ活動が入り口になります。例えば「りんごとみかん、すきなのどっち?」と絵を見せます。

初めは理由まで聞かず、「指で教えてもいいよ」と伝えます。選んだら「りんごが好きなんだね」と受け止めます。「どうして?」を続けて質問するより、まずは自分の答えが相手に届くやり取りを大切にしたいです。

答えが返ってこない場合は、少し待ち、大人が「私はりんごが好きだよ」と見本を示す方法もあります。ただし、同じ答えを求めません。「どっちも」「どっちでもない」「今は選ばない」も認めます。

「すきなのどっち」教材の紹介画像。noteでカード50枚と指導書の内容を見る
「すきなのどっち」の紹介画像。画像をタップするとnoteの教材紹介へ移動します。

カード50枚と指導書をまとめた教材を用意しています。家庭でのやり取りや、学校・放デイでの小集団活動に取り入れるときの候補です。

まず試したい方は、「すきなのどっち」の進め方・無料サンプルをご覧ください。

気持ちや困りごとを伝える|感情カード・SSTマッチング

「どうしたの?」と聞かれても、すぐには言葉にできないことがあります。そのようなときに、気持ちや体の感じを表すカードが、伝える手がかりになる場合があります。

使うときは「今の気持ちに近いものはある?」と尋ねます。表情の絵を見て、大人が「本当は悲しいんでしょう」と答えを決めないようにします。ぴったりのカードがなければ、選ばなくても、別の表し方をしてもかまいません。

形を合わせるマッチングと、自分の気持ちを選ぶ活動は、分けて考えます。気持ちには、一つの場面に一つの正解があるわけではありません。

SSTマッチング50枚の紹介画像。noteで操作型ワークと指導書の内容を見る
SSTマッチング50枚の紹介画像。画像をタップするとnoteの教材紹介へ移動します。

SSTマッチング50枚は、カードを選んで貼る形式のワークです。書くことの負担を減らして取り組みたい場合の候補になります。繰り返し使う場合は、必要に応じてラミネートと面ファスナーを使います。

教材の詳しい使い方と無料見本は、療育で役立つSSTワーク50枚の記事で紹介しています。

友達との場面を一緒に考える|SST場面絵カード

貸してほしい物があるとき、遊びに入りたいとき、断りたいとき。場面絵カードは、その状況を落ち着いて確かめる手がかりになります。SSTは、人との関わり方などを練習するソーシャルスキルトレーニングのことです。

初めから「正しい答えは?」と聞かず、「何をしているところかな」「この子はどうしたいのかな」と、絵の状況を共有します。そのうえで、頼む、断る、待つ、大人に助けを求めるなど、複数の方法を一緒に考えます。

トラブルの直後に無理に振り返らせるより、本人が落ち着き、話してもよさそうなタイミングを選びます。教材上で答えられることと、実際の場面で使えることも同じではありません。

場面を広げて取り組みたい方には、「こんなときどうする?」絵カード50種&発問指導書10種があります。

予定や手順を確かめる|スケジュール・手順カード

次に何をするかが分かりにくい場合は、写真や絵で流れを示します。最初は一日分を並べるより、「今すること」「次にすること」の二つに絞る方法があります。

例えば「片付け→好きな遊び」と提示し、終わった項目を外します。予定が変わる場合も、カードを黙って入れ替えず、「雨だから外遊びはお休み。室内では何をしようか」と、変更と選べることを伝えます。

予定表は、本人が見通しを持つための道具です。疲れている、分からない、休みたいといった表現にも応じながら使います。

同じものや文字・数に親しむ|マッチング教材

同じ物を組み合わせる、写真と実物を合わせる、文字と絵を対応させるなどの教材です。本人が分かるものから始め、選択肢の数や見せ方を調整します。

例えば、絵のカードをたくさん並べて探しにくそうなら、二つだけに減らします。それでも難しければ、身近な実物同士の組み合わせに戻して試します。すぐに答えを教える前に、何を合わせる活動なのかが伝わっているかを確かめます。

教材は教材・無料プリント一覧からも探せます。文字や数、SSTなど、取り組みたい内容に合わせて選んでください。

手先を使って遊ぶ|シール貼り・ひも通し

シールを貼る、ひもを通す、物を容器に入れるといった活動も、身近な物から用意できます。細かく正確に仕上げることだけを目標にせず、触る・つまむ・入れるといった操作を楽しめる形にします。

小さなシールが扱いにくければ大きいものに替え、台紙の一部をはがして渡す方法があります。ひも通しは、穴の大きさやひもの硬さを調整します。口に入れることがある子には小さな部品を避け、大人が安全を確かめながら使います。

無料プリント・手作り・購入教材はどう選ぶ?

無料か有料かだけでなく、「試したいこと」「準備に使える時間」「必要な説明」を比べます。身近な物で十分に目的に合う場合は、新しい教材を購入する必要はありません。

選択肢向いている使い方確認すること
無料プリント・無料見本本人に合うか少量で試したい無料の範囲、印刷方法、利用条件
手作り教材好きな物や実際の生活に合わせたい制作時間、扱いやすさ、安全性
市販の教具実物を操作する活動を用意したい大きさ、難易度、収納、部品の管理
PDF教材・指導書付きセット複数の場面や進め方をまとめて用意したい収録内容、印刷・加工の手間、共有範囲

無料見本は、まず1枚で構いません。「見て意味が分かりそうか」「答える方法に無理がないか」「大人がどう応じればよいか」を確かめるために使います。枚数をこなすことを目標にしなくて大丈夫です。

カード教材の準備は、使う分だけから

カードを繰り返し使う場合の準備例は、使うページを選ぶ→印刷する→必要に応じてラミネートする→カードを切り分ける→面ファスナーを付ける→台紙と一緒に保管するという流れです。加工方法は教材の説明に合わせてください。

まず紙のまま置いたり指差したりして試し、使えそうなら丈夫にする方法もあります。切り口や角、外れやすい部品を確認し、本人が扱いやすい形にします。面ファスナーをはがす力や音が負担になる場合は、置くだけの使い方に変えてもかまいません。

家庭・小学校・放課後等デイサービスでの使い分け

使う場所活動の例大切にしたいこと
家庭遊びや絵本を選ぶ前に二択を提示する練習時間を増やしすぎず、本人の希望に応じる
小学校・特別支援学級・通級自立活動で絵カードを使い、伝え方を試す全員に同じ答え方を求めず、個別のねらいを持つ
放課後等デイサービス・療育施設個別で試した方法を小集団や生活場面で使う本人の表し方と大人の応じ方を職員間で共有する

家庭では、生活の中で使える一つから

家庭で毎日たくさんのプリントに取り組む必要はありません。例えば、実際に選べる二冊の絵本を見せて「どっちを読む?」と尋ね、選んだ絵本を一緒に読みます。選ぶ活動が、その後の楽しみにつながる形です。

食べ物の好みを答えるカードは、その場で食べ物がもらえるとは限りません。「好きなものを話す活動」と「今使う物を選ぶ活動」を区別し、子どもが期待することと大人の意図がずれないようにします。

学校では、同じ教材でも参加の仕方を変える

小集団で「すきなのどっち」をする場合も、言葉で答える子、指差す子、カードを渡す子がいて構いません。理由を話せる子に合わせて、全員に理由の説明を求める必要はありません。

「自分の希望を伝える」「相手と違う答えを知る」など、教材を通して何を経験してほしいかを絞ると、子どもの様子を見取りやすくなります。

放デイでは、担当が替わっても応じ方を共有する

教材を共有するときは、本人が選びやすかった枚数、いつもの意思表示、休みたいときの合図、大人がどのように応じたかも伝えます。例えば「二枚なら選びやすかった」「カードを伏せたときはいったん止めた」など、次の支援で使える情報を残します。

子どもが使う教材と職員用の進め方をまとめて用意したい方には、放課後等デイサービス向けのSST・コミュニケーション活動パックがあります。12の活動を軸に、ワーク・カード・場面教材・職員用ガイドなどを収録しています。

放課後等デイサービス向けSST・コミュニケーション活動パックの紹介画像。noteで収録内容を見る
放デイ向け活動パックの紹介画像。画像をタップするとnoteで内容を確認できます。

教材に取り組みにくいときは、何を変える?

教材に取り組まないことを、すぐに「やる気がない」と捉えないようにしたいです。難しさ、疲れ、感覚的な負担、活動の意味の分かりにくさなどを考え、まず一つ条件を変えてみます。

子どもの様子確かめたいこと調整の例
カードを選ばない意味が分かるか、選びたい物があるか絵を写真や実物に替える。「どちらでもない」も認める
書くところで止まる書く負担が目的を妨げていないか指差し・カード・大人の代筆にする
選択肢を探しにくそう枚数や配置が複雑ではないか選択肢を減らし、間隔を空ける
途中で離れる長すぎる、疲れている、休みたいなどはないか短く終える。休憩や場所の変更を試す
答えが場面と合わないように見える絵や質問の理解、大人との解釈の違いはないか本人の考えを確かめ、質問を短くする
嫌がる、拒否を示す活動を続けること自体が負担ではないかいったん止め、別の活動や方法を考える

一度に枚数・場所・声かけをすべて変えると、何が合ったかが分かりにくくなります。可能なら一つずつ調整し、それでも負担が大きければ別の教材に替えます。教材を最後まで終えることより、本人が安心して意思を表せることを大切にします。

教材でのやり取りを日常の支援につなげる

「休みたい」のカードを選んでも、その後に休めなければ、本人にとって伝える意味が分かりにくくなります。教材で表した意思に、大人が実際に応じるところまでを活動に含めたいです。

例えば、「手伝って」を表したら、どこを手伝ってほしいかを確かめて援助する。遊びを選んだら、可能な範囲でその遊びを用意する。すぐに希望に応じられない場合は、理由と代わりにできることを伝えます。

活動の振り返りも「正解できたか」だけでなく、「本人がどう表したか」「大人がどう応じたか」「次は何を変えるか」を短く残すと、日常の関わりに生かしやすくなります。

継続して使う方へ|単品と教材セットの選び方

まず一つの活動を試すなら単品、複数の活動を継続して用意したい場合はセットが候補になります。

探しているもの教材の候補
希望や好みを伝える活動「すきなのどっち」カード50枚+指導書
書くことの負担を減らしたSSTSSTマッチング50枚+指導書
学校の自立活動・SSTを継続して準備する教材自立活動・SST教材フルパック
放デイで教材と職員の進め方を共有するセットSST・コミュニケーション活動パック

自立活動・SST教材フルパックは、学校の先生が教材を選び、授業を進めるための候補です。家庭で一つの活動に取り組みたい場合は、必要な単品から選べます。

単品とセットには、収録内容が重なるものがあります。例えば「すきなのどっち」やSSTマッチング50枚は、学校向けフルパックにも収録されています。すでに教材をお持ちの方は、各noteページの収録内容を確認してからお選びください。

療育教材についてよくある質問

家庭で使う場合、専門的な知識が必要ですか?

まずは、好きなものを選ぶなど、進め方が分かりやすい活動から試せます。うまく答えさせることより、本人の表現を受け止めることを大切にしてください。利用中の支援先があれば、家庭でも使いやすい提示方法や声かけを共有すると取り組みやすくなります。

年齢が対象と違っていても使えますか?

年齢の目安だけでなく、題材への興味、絵や言葉の理解、操作のしやすさから考えます。簡単な形式を使う場合も、本人の年齢や好みに合う題材を選び、幼すぎる表現にならないように配慮します。

無料サンプルはどこから見られますか?

「すきなのどっち」の記事と、SSTマッチング50枚の記事で案内しています。ほかの教材は教材・無料プリント一覧から探せます。無料の範囲や利用条件は、それぞれの案内をご確認ください。

紙の教材が届きますか?

この記事で紹介しているnote教材は、ダウンロードして使用するPDF教材です。紙の教材の発送はありません。印刷、カードの切り取り、必要に応じたラミネートなどは、ご自身で行っていただく形式です。

放課後等デイサービスの療育で使ったり、職員同士で共有したりできますか?

本記事で紹介する私の教材は、購入者本人が担当する授業・療育で使用できます。また、同一事業所内の職員間で共有できます。有料の療育サービス内で教材を使うことも、この利用範囲に含みます。

別事業所・別拠点への教材データの共有、インターネット上での一般公開、教材自体の再販売や外部への再配布は、この許可範囲に含みません。利用できる範囲の詳細は、各商品の利用条件をご確認ください。

その子に合う教材を、一つ試すところから

療育教材は、たくさんそろえることが目的ではありません。「何を伝えたいのか」「どうすれば参加しやすいのか」を考え、教材と大人の関わり方を合わせていくための道具です。

話す代わりに選ぶ。書く代わりに貼る。難しければ実物に戻す。疲れたら休む。そうした調整をしながら、本人が表したことに応じる経験を重ねていきたいと思います。

まずは教材・無料プリント一覧から、今の子どもに合いそうな活動を一つ選んでみてください。

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