カタカナが覚えられない子への教え方|何度書いても忘れるときの5ステップ【特別支援】
「ひらがなは読めるのに、カタカナになると分からなくなる」
「何回書いても、次の日には忘れている」
「小学1年生でカタカナを習ったけれど、なかなか覚えられない」
このような姿を見ると、
「もっと繰り返し書かせた方がいいのかな?」
と考えたくなるかもしれません。
もちろん、カタカナを書く練習は大切です。
ただ、特別支援学級で子どもたちと関わっていると、書く練習を増やす前に「その子がどの段階でつまずいているのか」を見た方がよいと感じることがあります。
例えば、同じ文字を見つけることはできるのか。
「カ」という文字を見て「カ」と読めるのか。
「カメラ」と聞いて、最初の音が「カ」だと分かるのか。
ここが違えば、必要な練習も変わります。
この記事でわかること
・カタカナが覚えられないときに確認したいポイント
・「何度も書く」以外のカタカナの覚え方
・カタカナが苦手な子への5ステップの教え方
・間違えたときの効果的な声かけ
・選択肢の減らし方やヒントの出し方
・「前よりできた!」を子ども自身が感じる工夫
・家庭で無理なく続ける方法
カタカナが覚えられないのは「練習不足」とは限らない
カタカナを覚えられないと、つい練習量を増やしたくなります。
「10回書こう」
「昨日やったから、今日は覚えているはず」
しかし、その子がまだ文字と音を十分に結びつけられていない段階なら、書く回数を増やしても負担だけが大きくなることがあります。
例えば「サ」を覚えるために10回書く前に、まず確認したいのは、
- 「サ」と「サ」が同じ文字だと分かるか
- 「サ」を見て「サ」と読めるか
- 「サラダ」の最初の音が「サ」だと分かるか
- いくつかの文字の中から「サ」を選べるか
という部分です。
「覚えられない」という結果だけを見るのではなく、その手前のどこまでできているのかを見る。
これが、カタカナを教えるときの出発点になります。

まず確認したい|カタカナのどこでつまずいている?
「カタカナが苦手」といっても、困っているところは子どもによって違います。
| 確認したいこと | 見てみたい子どもの姿 |
|---|---|
| 文字の形を見分けられる? | 同じ「ア」と「ア」を合わせられる |
| 文字を見て読める? | 「ア」を見て「あ」と音にできる |
| ことばの音が分かる? | 「アイス」の最初は「ア」と分かる |
| 文字を選べる? | 2〜3枚のカードから正しい文字を選べる |
| 文字を並べられる? | 「バ」「ス」を並べて「バス」を作れる |
| 読めるけれど書けない? | 口では答えられるが、書字になると止まる |
例えば、読めるけれど書けないのであれば、文字そのものを覚えていないとは限りません。
反対に、文字を書く形だけ覚えていても、見た文字を読めない場合もあります。
まずは「何ができて、どこから難しくなるのか」を探してみてください。
カタカナが覚えにくい子に見られる4つのつまずき
① 一度に覚えようとしている文字が多い
五十音表を見せて、たくさんの文字の中から覚えようとすると、探すこと自体が負担になる子もいます。
その場合は、最初から全部覚えようとせず、2〜3文字程度から始めます。
② 似た形の文字で迷う
「シ」と「ツ」、「ソ」と「ン」のように、カタカナには形が似ている文字があります。
間違えたときに何度も書き直させるだけでなく、2文字を並べて、
「どこが違うかな?」
と見比べる活動を入れる方法もあります。
③ 「読む・選ぶ・書く」を一度に求めすぎている
文字を書く活動には、文字を思い出すだけでなく、形を捉え、鉛筆を操作し、マスの中に書くなど、複数の要素があります。
そのため、書字が難しい子には、まず「見る」「選ぶ」「合わせる」活動から始める方法があります。
④ 学習することばに興味を持ちにくい
子ども自身がよく知っていることばや好きなものから始めると、カタカナそのものに興味を持ちやすくなることがあります。
例えば、
- ポケモンなど好きなキャラクターの名前
- ゲームのタイトル
- アイスやプリンなど好きな食べ物
- バス・テレビ・カメラなど身近なもの
などです。
カタカナが覚えられない子への5ステップの教え方
私は、いきなり「書いて覚える」のではなく、次のように段階を分ける方法をおすすめしています。

STEP1|同じカタカナを合わせる
最初は、
ア → ア
カ → カ
サ → サ
のように、同じ形の文字を合わせます。
まだ「ア」と読めなくても構いません。
まずは、文字の形を見て「同じものを見つけられる」ことから始めます。
STEP2|2〜3枚から正しい文字を選ぶ
同じ文字を合わせられるようになったら、複数のカードから選びます。
例えば、見本が「カ」なら、
「カ」「サ」
の2枚から選ばせます。
できるようになったら3枚、5枚と少しずつ選択肢を増やします。
ポイント
「間違える=分かっていない」とは限りません。選択肢が多すぎて探せない場合もあります。迷ったら、まずカードの枚数を減らしてみてください。
STEP3|絵と「はじめの文字」を結びつける
次は、文字だけではなく、ことばの音と結びつけます。
例えば、
カメラ → カ
テレビ → テ
メロン → メ
という活動です。
難しい場合は、
「カ・メ・ラ。最初は何の音だった?」
と、ゆっくり区切って聞かせる方法もあります。
STEP4|カードを並べてことばを作る
一文字ずつ選べるようになったら、複数のカードを並べます。
最初は、
バス
パン
など、短いことばから始めます。
慣れてきたら、3文字・4文字と増やし、小さい「ッ」や「ャ・ュ・ョ」、長音「ー」を含むことばにも取り組みます。

STEP5|読めるようになってから書く練習につなげる
カードを選び、ことばを作り、読めるようになってきたら、なぞり書きや書字へつなげます。
「書くことから始める」のではなく、「分かるようになった文字を書く」という順番です。
もちろん、子どもによって順番は前後して構いません。
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① 10回書く前に「選べるか」を確認する
書けないからといって、すぐに10回、20回と反復する必要はありません。
まずは、その文字を見て正しく選べるか確認します。
選べない場合は、書字より前の段階から取り組んだ方がよいことがあります。
② 選択肢を減らす
5枚から選べなければ2枚にします。
2枚ならできたのであれば、「できない」のではなく、現在は2択なら理解しやすいということです。
③ 一度に扱う問題数を減らす
集中が続きにくい子なら、1回に10問する必要はありません。
「今日は3問」でも構いません。
10問やって嫌になって終わるよりも、3問できて「できた」で終わる方が、次の活動につながりやすい場合があります。
④ できる課題を途中に入れる
難しい問題ばかりが続くと、学習そのものへの意欲が下がってしまいます。
新しい課題の間に、すでにできる文字を入れる方法もおすすめです。
例えば、
できる → 少し難しい → できる → 少し難しい
という構成です。
⑤ 難しければ一段階戻る
ことば作りが難しければ、「はじめの文字」に戻る。
それも難しければ、同じ文字を合わせる活動へ戻る。
戻ることは失敗ではありません。
できる活動から再スタートし、少しずつ支援を減らしていきます。
カタカナが苦手な子への効果的な声かけ
子どもが間違えたとき、すぐに、
「違うよ」
と言って答えを教えるよりも、一段ずつヒントを出す方法があります。
間違えたときの声かけ例
① もう一度見てもらう
「もう一回、絵を見てみようか」
② 音に注目する
「サ・ラ・ダ。最初は何の音かな?」
③ 選択肢を減らす
「『サ』と『カ』なら、どっちかな?」
④ それでも難しければモデルを示す
「これは『サ』だよ。サラダの『サ』だね」
大切なのは、正解できるまで困らせ続けることではありません。
「少しの助けがあればできる状態」を作り、慣れてきたらその助けを減らしていくことです。
「すごい!」だけで終わらず、何ができたか伝える
ほめるときも、具体的に伝えると成長に気づきやすくなります。
「絵をよく見て選べたね」
「『サ』っていう音をよく聞けたね」
「自分でカードを探せたね」
「間違えたけれど、もう一回考えられたね」
「昨日は先生と一緒だったけれど、今日は一人でできたね」
「前よりできた!」を子ども自身が感じられる工夫
カタカナ学習を続けるうえで大切にしたいのが、子ども自身が成長を実感できることです。
「全部覚えた」という大きなゴールだけでなく、小さな変化を見えるようにします。
① タイマーで「昨日の自分」と比べる
慣れてきた課題なら、5問終わるまでの時間を測る方法があります。
例えば、
前回:1分10秒
今回:55秒
だったら、
「前より15秒も早くなったね」
と伝えられます。
ただし、友達との競争にする必要はありません。競うとすれば、前回の自分です。
タイマーがプレッシャーになる子には使わなくて構いません。
② できた問題数を記録する
例えば、
1回目 2問
2回目 3問
3回目 5問
と記録しておけば、
「最初は2問だったけれど、今日は5問できたね」
と具体的に成長を伝えられます。
③ シールで「取り組めた」を見える化する
シールを使う場合も、正解したときだけ貼る必要はありません。
例えば、
- 3問取り組めた
- 最後までできた
- 自分から始められた
- 間違えてもやり直せた
といった頑張りに対してシールを貼ります。
10個のマスが少しずつ埋まっていけば、子ども自身も「こんなにやった」と振り返れます。
④ 「助けが減った」ことも成長として伝える
最初は答えを教えていた。
次は2択ならできた。
その次はヒントだけでできた。
最後には一人でできた。
答えが同じでも、必要な支援が減っていること自体が大きな成長です。
「前は先生が一緒だったけれど、今日は一人でできたね」
と伝えてみてください。
家庭でできるカタカナの覚え方
家庭では、長時間「勉強」をする必要はありません。
おすすめは、生活の中のカタカナとつなげることです。

家の中でカタカナを探す
例えば、
テレビ、ソファ、コップ、ゲーム、アイス。
家の中にもカタカナのことばはたくさんあります。
「今日覚えた『テ』、どこかにあるかな?」
と探すだけでも、教材の中だけだった文字が生活とつながります。
好きなものの名前を作る
好きなキャラクター、食べ物、ゲーム、乗り物などの名前をカタカナカードで作る方法もあります。
大人が決めた練習問題だけでなく、
「今日は何を作りたい?」
と子ども自身に選んでもらうと、活動への参加意欲が変わることがあります。
1日3問・5分程度でもいい
家庭では特に、量よりも「またやりたいと思えるところで終わる」ことを大切にしてください。
「もう少しできそう」くらいで終えるのも一つの方法です。
ひらがながまだ不安定なら、カタカナを急がなくてもいい
カタカナに取り組んでみたけれど、かなり難しそう。
そのような場合は、ひらがな学習へ戻っても構いません。
ひらがなも、カタカナと同じように、
見る → 選ぶ → 合わせる → 読む
という段階で取り組めます。
カタカナを「書く前」から練習できる無料プリントもあります
「何度書いても覚えられない子に、別の方法を試してみたい」
そんな方向けに、見て・選んで・貼って学べるカタカナ練習プリントを作成しました。

無料サンプルでは、
- 同じカタカナを合わせる
- はじめの文字を選ぶ
- 長音「ー」
- 小さい「ッ」
- 小さい「ャ・ュ・ョ」
- カードを並べてことばを作る
といった活動を実際に試せます。
さらに段階的に取り組める全136ページ+指導・活用ガイド
無料サンプルを使ってみて、「この方法なら取り組めそう」と感じた方向けに、完全版も用意しています。
完全版は、カタカナの基本マッチングから、はじめの文字、長音・促音・拗音、ことば作り、自由課題まで全136ページです。
さらに、教材データだけをお渡しするのではなく、
- どのページから始めるか
- 選択肢を何枚にするか
- 間違えたときにどう声をかけるか
- 課題が難しいときにどう戻るか
- タイマーやシールで成長をどう見える化するか
- 家庭でどう取り組むか
までまとめた「指導・活用ガイド」もセットにしています。

教材はある。でも、どう使えばいいか分からない。
そんな状態を減らし、教材を目の前の子に合わせて使えるようにするためのセットです。
よくある質問
小学1年生でカタカナを覚えられないのは大丈夫ですか?
学習の進み方には個人差があります。まずは「全部覚えているか」ではなく、同じ文字を見分けられるか、いくつか読める文字があるか、2〜3枚から選べるかなど、現在できている部分を確認してみてください。
学校生活や学習全般について気になることが続く場合は、担任や学校の特別支援教育コーディネーターなどに相談する方法もあります。
ひらがなは読めるのに、カタカナだけ覚えられません
その場合は、ひらがなを最初からやり直すのではなく、身近なカタカナ語と文字を結びつける活動から始めてみてください。
「テレビ」「ゲーム」「アイス」など、その子が知っていることばから始めるのも一つの方法です。
カタカナは何回書けば覚えられますか?
「○回書けば必ず覚えられる」という回数を決めるより、文字を正しく見分けられるか、読めるか、選べるかを確認しながら進めることをおすすめします。
「シ」と「ツ」、「ソ」と「ン」をよく間違えます
似た文字を間違える場合は、何度も書かせるだけでなく、2文字を並べて違いを探したり、大きく書いた文字を見比べたりする活動も取り入れてみてください。
カタカナを嫌がるときはどうすればいいですか?
課題量を減らしたり、すでにできる活動から始めたり、好きなことばを使ったりしてみてください。
「今日は3問だけ」など、終わりを分かりやすくすることもおすすめです。
まとめ|「覚えられない」ではなく「どこならできる?」から考える
カタカナが覚えられないとき、もっと書かせることだけが解決方法ではありません。
まずは、
今どこまでできていて、どこから難しくなっているのか。
そこを探してみてください。
同じ文字を合わせるところならできる。
2枚なら選べる。
先生と一緒ならできる。
それもすべて、次の学習につながる大切な力です。
できないところを繰り返すのではなく、できるところから少しだけ次へ。
「昨日より一つ多くできた」「ヒントなしでできた」「自分でやり直せた」という小さな成長を、子どもと一緒に見つけていきたいですね。
カタカナを「見て・選んで・貼る」活動から試したい方は、無料プリントも用意しています。

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