「何度注意しても、同じことを繰り返してしまう」
「宿題を始めない」「ゲームをやめられない」「友達とトラブルになってしまう」
小学生のお子さんへの接し方に悩んでいる保護者の方もいるのではないでしょうか。
特に、発達障害のグレーゾーンかもしれないと感じている場合、「どこまで注意すればいいの?」「手伝いすぎてもよくないのでは?」と、関わり方に迷うこともあると思います。
私は小学校教員として、特別支援学級の担任を長く経験してきました。その中で、子どもへの声かけや環境を少し変えることで、活動に取り組みやすくなる場面を見てきました。
一方で、声かけを工夫しても、すぐにはうまくいかないこともあります。
そんなときに大切なのは、さらに強く注意することではなく、「なぜ今の方法では難しいのか」を考え直すことだと感じています。
この記事では、グレーゾーンが気になる小学生への接し方について、家庭でよくある6つの場面を取り上げ、具体的な声かけ12例と、うまくいかなかったときの対応を紹介します。
- 朝の支度や忘れ物への対応
- 宿題や勉強を嫌がるときの関わり方
- ゲームや好きな活動をやめられないときの対応
- 怒ったり泣いたりしているときの声かけ
- 友達とのトラブルが起きたときの関わり方
- 学校から帰って疲れているときの対応
すべての方法を試す必要はありません。まずは、お子さんが困っている場面を一つ選んでみてください。
※「グレーゾーン」は正式な医学的診断名ではありません。この記事で紹介する方法は、診断の有無にかかわらず、生活の中で困りごとがある子どもへの支援例です。実際の接し方は、本人の状態や希望に合わせて調整してください。家庭での声かけ例は筆者の教育経験を踏まえた提案であり、すべて実際に家庭で行って成功した事例という意味ではありません。
- グレーゾーンの小学生への接し方で大切な3つのこと
- 【場面別】グレーゾーンの小学生への声かけ12例
- 声かけを変えても改善しないときに確認したいこと
- 子どもを叱ってしまったとき、親はどうすればいい?
- 家庭での接し方を学校の担任と共有する方法
- グレーゾーンの小学生への接し方についてよくある質問
- 家庭で気持ちの伝え方を練習したい方へ|SSTという方法もある
- まとめ|子どもに合わせて、大人の関わり方も変えてみる
グレーゾーンの小学生への接し方で大切な3つのこと
具体的な声かけを紹介する前に、子どもへの接し方を考えるうえで大切にしたいことを3つお伝えします。
なお、グレーゾーンという言葉の意味や、小学生の学校生活で見られる困りごとについては、別の記事で詳しく解説しています。
① 行動だけでなく、その前後の状況を見る
例えば、宿題を始めない子どもがいたとします。
大人から見ると、やる気がないように見えるかもしれません。
しかし、実際には次のようなことが考えられます。
- 宿題の内容が難しく、どこから始めればよいか分からない
- 学校で疲れていて、取り組む余裕がない
- 書くことそのものに強い負担を感じている
- 失敗することへの不安がある
- 好きな活動を途中でやめることが難しい
同じ「宿題をしない」という行動でも、背景が違えば必要な支援も変わります。
そのため、行動だけを見て判断するのではなく、「何をしていたときか」「どんな声かけをしたか」「どこで手が止まったか」を確認してみましょう。
② 注意を繰り返すより、伝え方を変える
「早くしなさい」「ちゃんとやりなさい」「何度言ったら分かるの」
毎日の生活の中で、こうした言葉が出てしまうこともあると思います。
ただし、「早く」「ちゃんと」という表現は、子どもによっては何をすればよいか分かりにくい場合があります。
例えば、「早く準備して」と伝える代わりに、「まず靴下をはこう」と伝えます。
今することが一つに絞られると、取り組みやすくなる子もいます。
国立障害者リハビリテーションセンターの情報でも、言葉だけでなく絵や実物を見せること、短く具体的に伝えることなどが、支援方法として紹介されています。
参考:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害児の家族への助言」
③ 声かけだけでなく、子どもが動きやすい環境を整える
どれだけ分かりやすく声をかけても、必要な物が見つからなかったり、周囲が騒がしかったりすると、活動に取り組みにくいことがあります。
例えば、忘れ物が多い子には、「忘れないでね」と伝えるだけでなく、ランドセルに入れる場所を決めたり、チェックリストを用意したりする方法があります。
ゲームをやめにくい子には、終了時刻を知らせるだけでなく、途中で区切りをつけやすいタイミングを考えることもできます。
子どもが頑張り続けなくても取り組める仕組みをつくることも、大切な支援です。
【場面別】グレーゾーンの小学生への声かけ12例
ここからは、家庭でよくある6つの場面について、それぞれ2つずつ声かけの例を紹介します。
紹介する言葉は、必ず使わなければならない正解ではありません。本人に合わなければ別の言葉に変えたり、言葉以外の方法を使ったりして構いません。

1. 朝の支度や忘れ物が多いとき
声かけ① 朝の準備がなかなか進まない
朝、何度声をかけても着替えが進まないことがあります。
そんなとき、「早くしなさい!」と繰り返しても、本人は何から始めればよいのか分からないかもしれません。
代わりに試したい声かけ:「まず、靴下をはこう」
着替え全体を一度に求めず、最初の一つを具体的に伝えます。
それでも動けない場合は、靴下を目の前に置いたり、着替える順番を写真で示したりする方法もあります。
ただし、朝から強い疲労や体調不良がある場合は、準備の方法だけでなく、睡眠や体調も確認してください。
声かけ② 毎日のように忘れ物をしてしまう
忘れ物が続くと、「また忘れたの?」と言いたくなることがあります。
しかし、本人も忘れないようにしているのに、持ち物の管理が難しい場合があります。
代わりに試したい声かけ:「どこで準備が止まったか、一緒に見てみよう」
例えば、連絡帳を確認できていたのか、必要な教科書を見つけられたのか、ランドセルに入れるところまでできたのかを確認します。
持ち物チェックリストを使う場合も、最初からすべてを一人で確認させず、大人と一緒に使い方を練習するところから始めてもよいでしょう。
必要な物の置き場所を減らしたり、プリント用ファイルを一つに決めたりすることも役立ちます。
2. 宿題や勉強を嫌がるとき
声かけ③ 宿題を始めようとしない
「宿題をやりなさい」と声をかけても、なかなか取り組まないことがあります。
学校では、教師が「教科書を開いて、問題をノートに書いて、終わったら見せてください」と指示しても、教科書を開いたまま固まってしまう子どもに関わったことがあります。
このような姿は、必ずしもやる気がないことを意味しません。活動の始め方が分からなかったり、複数の手順を覚えておくことが難しかったりする場合があります。
家庭でも、まず最初の行動を分かりやすくしてみましょう。
代わりに試したい声かけ:「最初の1問を一緒に見てみようか」
最初の問題が難しければ、問題文を一緒に読んだり、必要な道具を準備したりします。
それでも難しい場合は、課題の量や難易度、疲労の状態を確認しましょう。宿題そのものが本人にとって大きな負担になっている場合は、学校と調整することも大切です。
関連記事:発達障害の子に指示が通らない本当の理由|3段階で見極める対応法
声かけ④ ノートやプリントに書くことを嫌がる
問題の答えは分かっているようなのに、なかなかノートに書こうとしない子もいます。
「ちゃんと書きなさい」と伝える前に、書くことの何が負担になっているのかを考えてみます。
代わりに試したい声かけ:「口で答える?それとも、一行だけ書いてみる?」
書く量が多いこと、文字を書く動作が難しいこと、間違いへの不安など、背景はさまざまです。
学習の目的が「答えを考えること」であれば、口頭で答えたり、選択肢から選んだりする方法も考えられます。
一方で、文字を書く力を育てることが目的の場合は、その練習も必要です。ただし、負担の大きさに合わせて量や方法を調整します。
「書かないからできない」と決めつけず、何を学ぶ活動なのかを整理することが大切です。
3. ゲームや好きな活動をやめられないとき
声かけ⑤ ゲームを途中でやめられない
ゲームの終了時間になっても、なかなかやめられないことがあります。
特に、対戦中だったり、セーブできない場面だったりすると、途中でやめることに強い抵抗を感じる場合があります。
代わりに試したい声かけ:「次の区切りで終われるように、どうするか考えよう」
大切なのは、終了時刻になってから初めて声をかけるのではなく、遊び始める前に終わり方を一緒に決めておくことです。
- 終了予定時刻を見えるようにする
- 区切りをつけやすい場面を確認する
- 終了前に予告する
- ゲームの後にすることを具体的に伝える
区切りを待つ場合も、無制限に延長するという意味ではありません。家庭のルールを明確にしながら、本人が守りやすい終わり方を一緒に考えます。
声かけ⑥ 好きな活動から次の活動へ切り替えられない
好きな遊びをしているときに、「もう終わり!次はお風呂!」と突然言われると、強く反発する子もいます。
その場合は、次の活動を予告し、終わりまでの見通しを持てるようにします。
代わりに試したい声かけ:「あと5分でお風呂だよ。今やっているところは、どこで区切れそう?」
5分という時間が分かりにくい場合は、タイマーや時計を使ってもよいでしょう。
それでも切り替えられない場合は、時間の予告だけで十分だったか、活動の途中で区切ることが難しくなかったか、次の活動に嫌なことがなかったかを考えます。
「時間を守ること」と「切り替えやすい方法を一緒に考えること」は、両立させることができます。
関連記事:気持ちの切り替えが苦手な子への対応|見立て方と支援の工夫
4. 怒る・泣く・気持ちを伝えられないとき
声かけ⑦ 強く怒ったり、泣き出したりしたとき
子どもが強く怒ったり泣いたりしていると、大人も早く落ち着かせたいと考えます。
しかし、「いい加減、落ち着いて」「泣くのをやめなさい」と伝えても、すぐに気持ちを切り替えることが難しい場合があります。
代わりに試したい声かけ:「今は話さなくてもいいよ。落ち着ける場所に行く?」
まずは安全を確保し、刺激の少ない場所で休むなど、本人に合う方法を考えます。
物を投げたり、人をたたいたりする場合は、本人と周囲の人の安全を優先してください。危険な行動をそのまま認めるという意味ではありません。
気持ちが高ぶっている最中に、出来事を詳しく説明させたり、反省を求めたりする必要はありません。
本人が落ち着き、話せる状態になってから、何が起きたのか、次にどんな助けが必要なのかを考えます。
声かけ⑧ 「どうしたの?」と聞いても説明できない
困っているように見えるのに、理由を聞いても答えられないことがあります。
そんなとき、「どうしてなの?ちゃんと説明して」と質問を繰り返すと、負担が大きくなる場合があります。
代わりに試したい声かけ:「話す、書く、指差しする。どれが伝えやすい?」
例えば、気持ちカードを使って「困った」「悲しい」「怒っている」などから選ぶ方法があります。
ただし、選択肢に本人の気持ちがない場合もあります。「どれでもない」「分からない」「今は答えたくない」という選択も認めましょう。
無理に説明させることよりも、本人が安心して気持ちや困りごとを伝えられる関係をつくることが大切です。
5. 友達とのトラブルが起きたとき
声かけ⑨ 友達にきつい言葉をかけてしまった
友達にきつい言葉をかけてしまい、相手を傷つけてしまう場合があります。
こうした場面で、「とにかく謝りなさい」と伝えるだけでは、本人は何が問題だったのか分からない場合があります。
代わりに試したい声かけ:「まず、何があったか教えてくれる?」
本人が何を伝えたかったのかを確認したうえで、その言葉を相手がどう受け取ったのかを一緒に考えます。
例えば、相手の書いた文字が読みにくかった場合、「字が汚いから変えてよ」と言う代わりに、「ここをもう少し大きく書いてもらえる?」と伝える方法もあります。
本人の気持ちを理解することと、相手の傷ついた気持ちを大切にすることは、どちらも必要です。
本人に悪気がなかったとしても、相手への配慮や必要な関係修復を考えましょう。
関連記事:小学生の友達トラブルへの対応|誰が悪いかより先に確認したいこと
言葉の言い換えを練習したい場合は、ふわふわ言葉・ちくちく言葉の無料プリントと具体例も参考にしてください。
声かけ⑩ 友達と話が食い違い、本人は納得できない
友達との出来事について、本人と相手の説明が大きく違うことがあります。
そんなとき、すぐに「嘘をつかないで」と決めつけると、本人の説明を聞くことが難しくなる場合があります。
代わりに試したい声かけ:「そう見えたんだね。何があったか順番に確認しよう」
まず、本人が見聞きしたことを整理します。そのうえで、相手からは違う見え方をしていた可能性も伝えます。
出来事の順番を紙に書いたり、絵を描いたりして整理する方法もあります。
ただし、家庭で聞いた話だけで事実関係を断定することは避け、必要に応じて学校と確認しましょう。
相手の気持ちを想像することが苦手な場合でも、「相手は絶対にこう思った」と正解を押しつける必要はありません。
「そう感じたかもしれない」「本人に確認してみよう」と、さまざまな可能性を考えられるようにします。
6. 学校から帰って疲れているとき
声かけ⑪ 帰宅後、イライラしたり泣いたりする
学校では落ち着いて過ごしていても、帰宅後に疲れが強く出る子もいます。
学校生活では、授業を受けるだけでなく、友達との関係、集団行動、予定の変更など、さまざまなことに対応しています。
そのため、家に帰ってからは休息が必要な場合があります。
代わりに試したい声かけ:「まず少し休もう。話したくなったら聞くよ」
帰宅後すぐに学校であったことを詳しく聞くのではなく、本人が落ち着ける時間を確保する方法もあります。
もちろん、学校で困ったことがなかったか確認することも大切です。しかし、聞くタイミングは本人の状態に合わせて考えたいところです。
声かけ⑫ 学校であったことを話したがらない
「今日、学校どうだった?」と聞いても、「普通」「別に」としか答えないことがあります。
学校生活を心配するあまり、質問を続けたくなる場合もあると思います。
代わりに試したい声かけ:「今日は話さなくてもいいよ。何かあったら教えてね」
言葉で一日の出来事を説明することが負担になる子もいます。
話すことを強制せず、好きな遊びや食事など、自然な会話の中で話せる機会をつくる方法もあります。
ただし、急に学校へ行くことを強く嫌がる、眠れない、食欲が大きく変化するなど、気になる変化が続く場合は、本人の状態を確認し、必要に応じて学校や専門機関に相談してください。
声かけを変えても改善しないときに確認したいこと
ここまで12の声かけを紹介しましたが、実際には、言い方を変えるだけではうまくいかないこともあります。
私は学校で子どもたちと関わる中で、「指示が通らない」という状態を一つにまとめて考えないことの大切さを感じてきました。
例えば、同じように動けない子でも、次のような違いがあります。

① そもそも言葉が届いているか
遊びや動画などに集中しているとき、声が届きにくい場合があります。
その場合は、声を大きくする前に、近くで声をかけたり、本人が気づきやすい方法で知らせたりしてみます。
目を合わせることが負担になる子もいるため、必ず目を見て聞くように求める必要はありません。
本人に合った方法で、伝えたいことに注意を向けられるようにします。
② 言葉の意味を理解できているか
声が聞こえていても、指示の意味が分からない場合があります。
例えば、「ちゃんと片付けて」という言葉では、何をどこにしまえばよいのか分からないかもしれません。
そんなときは、「本を棚に戻そう」と具体的に伝えたり、実物を見せたりします。
必要に応じて、大人が一度やり方を見せることもできます。
③ 分かっていても、行動を始めることが難しくないか
指示された内容を理解していても、活動を始めるところで手が止まる子もいます。
例えば、宿題をすることは分かっていても、ノートを出す、ページを開く、鉛筆を持つという手順を組み立てることが難しい場合があります。
そんなときは、最初の一つを一緒に始めてみることが役立つ場合があります。
「まずノートを開こう」と伝え、必要であればノートの置き場所を示します。
大人がすべてを代わりに行うのではなく、本人が取り組める部分と、手伝いが必要な部分を見極めます。
④ 疲労・不安・感覚刺激などが影響していないか
内容は理解できていても、疲れや不安、周囲の音や刺激などが負担になっている場合があります。
その場合は、声かけを増やすよりも、休憩したり、取り組む場所を変えたり、課題の量を調整したりすることが必要かもしれません。
本人の状態を確認し、必要な環境を整えていきましょう。
困りごとを整理するときの簡単な確認表
| 確認したいこと | 見直す方法の例 |
|---|---|
| 言葉が届いていない | 声をかける位置やタイミングを変える |
| 意味が分からない | 短く具体的に伝え、見本を示す |
| 行動を始められない | 最初の一つを一緒に始める |
| 疲労や不安が強い | 休憩や環境調整を考える |
| 活動そのものが難しい | 課題の量・内容・方法を調整する |
この表は、子どもを分類したり診断したりするためのものではありません。複数の要因が重なっている場合もあります。
声かけがうまくいかなかったときは、「もっと強く言う」以外の方法を考えてみてください。
子どもを叱ってしまったとき、親はどうすればいい?
毎日同じことを繰り返し注意していると、大人も疲れてしまいます。
子どもに必要な支援を考えることは大切ですが、保護者が常に理想的な声かけを続けられるとは限りません。
強く叱ってしまったときは、その後の関わり方を考えることも大切です。
叱ってしまった後は、関係を修復する
例えば、強い口調で注意してしまった場合は、落ち着いてから「さっきは大きな声で言ってしまったね」と伝えることができます。
必要に応じて、大人の言い方について謝ることも大切です。
そのうえで、何が困っていたのか、次はどうするとよさそうかを一緒に考えます。
大人が謝ることと、安全や生活に必要なルールを守ってもらうことは、矛盾しません。
毎日注意しなくてもよい仕組みをつくる
同じことを繰り返し注意しているなら、その場面の仕組みを見直してみましょう。
- 毎朝の準備は写真やチェックリストで確認する
- 持ち物の置き場所を決める
- ゲームの終了時刻と終わり方を先に決める
- 宿題に取り組む時間や場所を本人と相談する
このような仕組みがあれば、大人が毎回口頭で指示しなくても済む場面が増えるかもしれません。
ただし、仕組みを用意するだけで使えるようになるとは限りません。最初は一緒に確認し、本人に使いやすいかどうかを見直しましょう。
家庭だけで抱え込まない
日常生活の困りごとが大きく、家族だけで対応することが難しい場合は、学校や自治体の相談窓口などに相談することも大切です。
保護者がすべての支援を一人で担う必要はありません。
学校生活での様子を確認したり、専門的な助言を受けたりすることで、家庭では気づかなかった方法が見つかる場合もあります。
家庭での接し方を学校の担任と共有する方法
私は学校で子どもたちに関わる中で、家庭と学校の情報共有は大切だと感じています。
家庭では落ち着いていても、学校の集団生活では困る場面があるかもしれません。反対に、学校では頑張っていて、家に帰ってから疲れが出る場合もあります。
大切なのは、家庭と学校のどちらか一方の見方だけで判断しないことです。

困った行動ではなく、具体的な場面を伝える
例えば、「うちの子は言うことを聞きません」と伝えるだけでは、学校でも何を支援すればよいか考えにくい場合があります。
次のように具体的に伝えると、状況を共有しやすくなります。
「家では、一度に複数のことを頼むと途中で分からなくなることがあります。一つずつ伝えると取り組みやすいようです。学校でも似たような場面がないか教えていただきたいです」
困っている行動だけでなく、どんな状況で起きるのか、何を試したのかも伝えるとよいでしょう。
うまくいった声かけや支援も共有する
困ったことだけでなく、家庭で取り組みやすかった方法を伝えることも大切です。
「口頭だけだと忘れてしまいますが、紙に書いておくと確認できます」
「予定が変わるときは、早めに知らせると落ち着いて対応しやすいです」
こうした情報は、学校で支援を考えるための手がかりになります。
家庭と学校で対応を完全に統一する必要はない
家庭と学校では、人数や活動の内容、利用できる環境が異なります。
そのため、すべての対応を同じにする必要はありません。
例えば、学校では手順を黒板に示し、家庭では冷蔵庫にチェックリストを貼る方法でも構いません。
方法は違っていても、「今することが分かるようにする」という支援の目的は共通しています。
家庭と学校で本人の困りごとを共有し、それぞれの環境で実行できる方法を考えることが大切です。
グレーゾーンの小学生への接し方についてよくある質問
Q. 何度注意しても同じことを繰り返すのはなぜですか?
指示が十分に伝わっていない場合や、理解していても実行することが難しい場合、環境や体調の影響を受けている場合など、さまざまな背景が考えられます。
同じ注意を繰り返すだけでなく、言葉が届いているか、具体的な行動が分かるか、必要な環境が整っているかを確認してみましょう。
Q. 手伝いすぎると自立できなくなりませんか?
必要な支援を受けることと、自立することは対立するものではありません。
例えば、最初は一緒に準備していた子が、手順表を使うことで自分で確認できるようになる場合もあります。
本人ができる部分を尊重しながら、必要な支援を考えます。支援を減らすこと自体を目標にするのではなく、本人が自分に合う方法で生活できることを大切にしましょう。
Q. きょうだいと違う対応をしてもいいのでしょうか?
一人ひとりの困りごとや得意なことが違えば、必要な支援も異なります。
同じルールや目標を大切にしながら、取り組み方を調整することはできます。
きょうだいから疑問が出たときは、本人のプライバシーに配慮しつつ、「みんなが取り組みやすいように、必要な手伝いが違うこともある」と説明してもよいでしょう。
Q. 発達障害の診断がなくても学校に相談できますか?
はい。診断の有無にかかわらず、学校での困りごとについて担任などに相談することはできます。
ただし、通級による指導などの制度の利用については、それぞれ対象や判断の仕組みがあります。
まずは、本人が学校生活で何に困っているのか、どんな工夫が必要なのかを共有することから始めてみてください。
家庭で気持ちの伝え方を練習したい方へ|SSTという方法もある
友達との関わり方や、自分の気持ちを伝えることに困っている場合には、SST(ソーシャルスキルトレーニング)を取り入れる方法もあります。
SSTは、具体的な場面を使いながら、人との関わり方や困ったときの方法を考えたり練習したりする活動です。
ただし、子どもを大人の望む行動に一方的に合わせることが目的ではありません。
「助けてほしい」「今は嫌だ」「少し休みたい」など、本人が自分の気持ちや希望を伝える方法を増やすことも大切です。
当ブログでは、家庭でできるSSTの進め方や声かけの例を紹介しています。
無料プリントから始めたい方へ
気持ちを選んだり、困った場面で使える方法を考えたりする無料プリントも紹介しています。
学校での活用を中心に解説している教材ですが、家庭でも本人の困りごとや取り組みやすさに合わせて利用できるものがあります。
無理にすべて取り組ませる必要はありません。本人が使いたい方法や、今困っていることに合うものを選んでみてください。
まとめ|子どもに合わせて、大人の関わり方も変えてみる
今回は、グレーゾーンが気になる小学生への接し方について、家庭で使える声かけ12例を紹介しました。
大切なポイントを振り返ります。
- 困った行動だけでなく、その背景を考える
- 曖昧な指示より、短く具体的な言葉を使う
- 声かけだけでなく、環境や手順も整える
- 気持ちが高ぶっているときは、安全と安心を優先する
- うまくいかないときは、同じ方法を繰り返すだけでなく見直す
- 家庭だけで抱え込まず、学校などと連携する
私は特別支援教育に関わる中で、子どもが何かできなかったときに、「この子はなぜできないのだろう」と考えるだけでは不十分だと感じてきました。
「今の伝え方は分かりやすかっただろうか」
「取り組める環境が整っていただろうか」
「本人は何に困っていたのだろうか」
こうした視点で考えることで、別の関わり方が見えてくることがあります。
もちろん、すべての声かけが、すべての子どもに合うわけではありません。
大切なのは、子どもを一つの方法に合わせようとするのではなく、本人に合った方法を一緒に探していくことです。
まずは、毎日困っている場面を一つだけ選んでみてください。
声かけを一つ変えてみる。手順を見えるようにする。必要なら一緒にやってみる。
そうした小さな工夫が、子どもにとっても大人にとっても、毎日の生活を少し過ごしやすくするきっかけになると思います。
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参考資料
本文の声かけ12例や家庭での調整方法は、筆者の教育経験を踏まえて考えた実践例です。支援の基本的な考え方については、以下の公的資料も参考にしています。


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