小学生向けSSTプリント「振り返りシート」を使った自立活動

自立活動•SST

「また手が出てしまった……」
「どうしてあんなことを言ったんだろう……」

学校生活では、子ども自身も「どうしてそうなったのか」をうまく説明できないまま、トラブルにつながることがあります。

そんなときに大切なのは、すぐに反省させたり、「次からしません」と書かせたりすることではありません。

「何があったのか」「そのときどんな気持ちだったのか」「何をしたのか」「次は何があると少し助かりそうか」を、本人が落ち着いてから一緒に整理することです。

この記事では、私が自立活動やSSTで活用してきた、小学生向けの「振り返りシート(衝動と行動の整理シート)」を紹介します。

無料PDFもこのページからダウンロードできます。

この記事で分かること

  • SSTや自立活動で振り返りシートを使う目的
  • 無料振り返りシートのダウンロード
  • トラブル後に使うタイミングと教師の声かけ
  • 書くことが苦手な子への支援方法
  • 「うまくいった日」も振り返る理由
  • 自立活動6区分27項目との関連の考え方
  • 振り返りを「次に使える方法」へつなげる方法

無料ダウンロード|衝動と行動の整理シート

出来事・気持ち・行動・次に使えそうな方法を、子どもと教師が一緒に整理するための振り返りシートです。

まずは無料版を使って、目の前の子どもに合いそうか試してみてください。

無料プリントをダウンロード

小学生向けSST「振り返りシート」は何のために使う?

例えば、

「気づいたら手が出ていた」
「イライラして、大きな声を出してしまった」

という出来事があったとします。

そのとき、大人には「手が出た」「大きな声を出した」という行動が見えていても、本人の中には、

  • 本当は貸してほしかった
  • 何と言えばいいか分からなかった
  • 疲れていた
  • 急に予定が変わって困った
  • 相手の言葉がとても嫌だった
  • どうすればその場から離れられるのか分からなかった

など、さまざまな背景があるかもしれません。

だからこそ、行動だけを見て「よかった・悪かった」で終わらせるのではなく、出来事・気持ち・行動・そのとき必要だった支援を分けて整理していきます。

振り返りシートは「悪かったことを書かせる反省文」ではありません。自分の状態を知り、次に自分を助ける方法を増やすための教材として使います。

振り返りシートの4ステップ

無料で配布しているシートでは、出来事を4つの視点から整理します。

ステップ考えること
① できごといつ・どこで・誰と・何があったのかを短く整理する
② 気持ちイライラ・悲しい・悔しい・不安など、そのときの気持ちに近いものを考える
③ 行動そのとき自分が何をしたのかを、事実として確認する
④ 次を考える次に似た場面があったとき、何があると助かりそうかを考える
小学生向けSST 振り返りシート 衝動と行動の整理シート

ただし、大切なのは4つの欄をすべて埋めることではありません。

その日の本人の状態や理解の仕方に合わせて、必要なところだけ扱っても構いません。

使う前に確認したいこと

感情が大きく高ぶっている最中に、このシートを書かせることはおすすめしません。

まず安全と安心を優先し、本人が落ち着いて考えられる状態になってから使います。その日のうちに振り返ることにこだわらず、必要なら翌日以降にすることもあります。

振り返りシートの使い方|5つのポイント

① トラブル直後ではなく、落ち着いてから使う

強く怒っている、泣いている、興奮が続いているときに、

「どうしてやったの?」
「ちゃんと振り返りなさい」

と求めても、自分の状態や出来事を整理することが難しい場合があります。

まずは、

  • 安全を確保する
  • 安心して過ごせる場所へ移動する
  • 必要に応じて水を飲む
  • 話しかける量を減らす
  • 本人が普段使っている落ち着く方法を使う

などを優先します。

十分に落ち着いてから、

「さっきのこと、少しだけ一緒に見てみる?」
「今日はやめておいて、あとで考えてもいいよ」

などと確認して始めます。

② 「なぜやったの?」より、まず事実を短く整理する

振り返りの最初から原因を追及するような質問を続けると、本人が「責められている」と感じる場合があります。

まずは、

「休み時間に、○○があったんだね」
「そのときは、どんな気持ちに近かった?」

というように、出来事を短く整理します。

本人と教師で出来事の捉え方が違う場合もあります。

その場合も、すぐに「違うよ」と訂正するのではなく、まず本人にはどのように見えていたのかを確認します。

③ 「書くこと」をゴールにしない

文章を書くことが苦手な子に、長い文章を書かせる必要はありません。

  • 教師が選択肢を読む
  • ○をつける
  • 指差す
  • 絵で表す
  • 単語だけ書く
  • 教師が本人に確認しながら代筆する

といった方法に変えます。

「何行書けたか」ではなく、「本人なりの方法で自分の状態を整理したり、相手に伝えたりできたか」を見ます。

④ 「悪かった」で終わらず、次に使えそうな方法を一つ考える

振り返りの最後を、

「手を出したのは悪かった」

だけで終わらせないことが重要です。

例えば、次に似た場面があったときに、

  • 「貸して」と伝える
  • 先生に知らせる
  • 少しその場を離れる
  • 「たすけて」カードを使う
  • 休んでから戻る

など、本人が実際に使えそうな方法を一つ選びます。

「次に似たことがあったら、何をすると少し助かりそう?」
「この中なら、どれが一番やってみやすそう?」

教師が正解を押しつけるのではなく、本人と相談しながら考えます。

⑤ 子どもの行動だけでなく、環境や支援も振り返る

振り返りで見直すのは、子どもの行動だけではありません。

教師側も、

  • 課題は難しすぎなかったか
  • 活動時間が長すぎなかったか
  • 予定や変更を分かりやすく伝えていたか
  • 刺激の多い環境ではなかったか
  • 助けを求められる方法を用意していたか
  • 大人の説明や声かけが多すぎなかったか

などを確認します。

振り返りを「本人だけが直す時間」にしないことが大切です。子どもの行動と同時に、環境や大人の支援も見直します。

教師の声かけは「評価」より、できたことを具体的に返す

振り返り後の教師の声かけでは、「すごい」「えらい」だけで終わるのではなく、本人ができたことを具体的に返します。

場面声かけ例
気持ちを選べた「『くやしい』が近かったんだね。教えてくれたから分かったよ」
出来事を整理できた「何があったのか、一緒に確認できたね」
次の方法を選べた「次は先生に知らせる方法を選んだんだね」
実際に別の方法を使えた「今日は手が出る前に、先生に伝えられたね」
自分から休めた「気持ちが大きくなる前に、自分から休むことを選べたね」

本人の人格を評価するのではなく、「選べた」「伝えた」「試した」「休めた」「戻れた」など、具体的な行動を返すことを意識します。

振り返りは「失敗した日」だけに使わない

振り返りというと、「トラブルがあった日」「うまくいかなかった日」に使うイメージが強いかもしれません。

しかし、うまくいった日を振り返ることも大切です。

例えば、

「今日は友達に言葉で伝えられたね。何があったからできたと思う?」
「先生に助けを求められたね。どの方法が役に立った?」

と聞くことで、本人が「自分に役立った方法」に気づきやすくなります。

難しかった出来事だけを見る
↓
うまくいった出来事も振り返る
↓
自分に役立った方法を見つける
↓
次の場面でも使えるようにする

無料振り返りシートから、SST・自立活動ワークへつなげる

この記事で配布している無料シートは、トラブルや困った出来事を整理する入り口として使えます。

さらに、SST・自立活動ワーク19枚+教師用指導書では、「振り返る」だけで終わらず、自己理解、気持ち、援助要請、自分に役立つ方法などを段階的に扱えるようにしています。

振り返りと特に関連の深いワークには、例えば次のようなものがあります。

No.ワーク主に取り組むこと
13わたしの きもちを つたえよう気持ち・強さ・「してほしいこと」を分けて伝える
14うまくいった ひの ふりかえり何がうまくいったのか、自分に役立った方法を見つける
15むずかしかった ひの ふりかえり難しかった出来事を責めずに整理し、次に試せそうな方法を考える
19やくにたつ ほうほう BEST3これまで試した方法から、自分に役立ったものを整理する

この4枚を必ず番号順に行う必要はありません。

例えば、難しかった出来事を整理したい場合はNo.15から取り組めます。

一定期間の学習を振り返る場合は、

No.14「うまくいった日の振り返り」
↓
No.15「難しかった日の振り返り」
↓
No.19「役立つ方法BEST3」

という流れで、自分に役立った方法を整理する使い方もできます。

SST・自立活動ワーク19枚+教師用指導書

SST・自立活動ワーク19枚と教師用指導書

振り返りだけでなく、

  • 好きなこと・得意なことを知る
  • 困りごとや自分のサインに気づく
  • 気持ちや身体の状態に気づく
  • 自分に合うクールダウン方法を探す
  • 「たすけて」と伝える
  • 友達との関わりを振り返る
  • 自分に役立つ方法を整理する

など、自立活動やSSTで扱いやすい内容をまとめています。

教師用指導書では、各ワークのねらい、授業展開、教師の声かけ、個に応じた支援、見取りの視点なども確認できます。

19枚セットの詳しい内容を見る

※この教材は支援級パックにも収録されています。

SST・自立活動の中で振り返りをどう位置付ける?

振り返りシートを毎週必ず書く必要はありません。

自己理解や感情理解、困った場面への対応など、ほかの自立活動・SSTと組み合わせて使います。

学習の例取り組む内容振り返りとのつながり
自己理解好き・得意・苦手・困りごとを知る自分の特徴や困りやすい場面に気づく
感情理解気持ちや身体のサインを知る振り返りの中で自分の気持ちを捉えやすくする
対処方法クールダウン・援助要請などを試す「次は何があると助かるか」の選択肢を増やす
振り返り実際の学校生活で起きたことを整理する使えた方法・難しかったことを確認する
定着・般化役立った方法を整理する別の場面でも使えるようにつなげる

この順番も固定ではありません。

「今、目の前の子どもが何に困っているのか」を出発点に、必要な内容を選びます。

自立活動6区分27項目とどう関連付ける?

振り返りシートを使ったからといって、「必ずこの項目」と機械的に当てはめるものではありません。

まず、子どもの障害の状態や発達の段階、学習上・生活上の困難などを整理し、指導目標を設定します。

そのうえで、自立活動の6区分27項目から必要な項目を選び、相互に関連付けて具体的な指導内容を考えます。

振り返りや自己調整を扱う場合には、例えば次のような項目との関連を検討できます。

区分関連を検討できる項目の例指導内容の例
2 心理的な安定2-(1) 情緒の安定に関すること自分の気持ちや状態に気づき、自分に合う方法を考える
2 心理的な安定2-(3) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること難しかった場面を振り返り、次に試せそうな方法を考える
3 人間関係の形成3-(3) 自己の理解と行動の調整に関すること自分の状態・行動・役立つ方法を関連付けて考える
6 コミュニケーション6-(2) 言語の受容と表出に関すること
6-(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること
自分の気持ちや「してほしいこと」を、自分に合う方法で伝える

※関連する区分・項目は、子どもの実態や指導目標によって変わります。プリントそのものに自立活動の項目が固定されているわけではありません。

文部科学省「特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編」

振り返りを続ける中で大切にしたい変化

振り返りを続けていると、教師から言われたことを書くのではなく、本人から、

「今日は先生に言えた」
「前は怒ったけど、今回は少し待てた」
「次はこっちを使ってみたい」

といった言葉が出てくることがあります。

こうした変化は、単に「問題となる行動がなくなったか」だけでは捉えにくいものです。

自分の状態に気づいた。
相手に伝えた。
方法を選んだ。
実際に試した。

その一つひとつを、子どもの学びとして見取っていきます。

一方で、毎回このシートを使えばよいわけではありません。

  • 書くことへの負担が大きい
  • 本人が出来事を思い出したくない
  • 感情の高ぶりがまだ残っている
  • 振り返りが本人にとって「叱られる時間」になっている

といった場合には、使わない、短くする、別の日にする、別の方法で整理するなどの調整が必要です。

無料プリントの次に、どれを選べばいい?

こんな場合おすすめ
まず1枚使って、トラブル後の振り返りを試したいこの記事の無料振り返りシート
自己理解・気持ち・援助要請・振り返りなどを継続的に扱いたいSST・自立活動ワーク19枚+教師用指導書
19枚セットに加えて、SST・感情理解・アンガーマネジメントなどの教材もまとめて準備したい支援級パック

気持ちに気づく学習から始めたい場合

気持ちカードなどを使ったSST・自立活動はこちらで紹介しています。

気持ちを言葉にするSST・自立活動を見る

自己理解から始めたい場合

好きなこと・苦手なこと・困ったときにしてほしいことを整理する「わたしのトリセツ」を紹介しています。

「わたしのトリセツ」を使った自己理解の自立活動を見る

1日の中の「できたこと」を振り返りたい場合

トラブル場面に限らず、1日の中でできたことや助けになったことを振り返るプリントはこちらです。

1日の振り返りシートを見る

まとめ|振り返りの目的は「反省」ではなく、次に使える方法を増やすこと

トラブルがあったときに、ただ叱ったり「次はしません」と書かせたりするだけでは、本人が次の場面でどうすればよいのか分からないままになることがあります。

振り返りで大切にしたいのは、

  • 何があったのかを整理する
  • 自分の気持ちや状態に気づく
  • そのときの行動を事実として見る
  • 何があると助かるのかを考える
  • 次に使えそうな方法を一つ選ぶ

という流れです。

そして、難しかった日だけではなく、うまくいった日に「何が役に立ったのか」を振り返ることも大切です。

最終的には、教師から「こうしなさい」と言われるだけではなく、本人自身が、

「自分には、この方法が役に立つ」

と気づき、自分に合った方法を少しずつ増やしていけることを目指します。

自立活動・SSTの教材をまとめて準備したい方へ

支援級パック(自立活動・SST教材フルパック)

支援級パック(自立活動・SST教材フルパック)では、SST・自立活動、感情理解、自己理解、コミュニケーション、アンガーマネジメントなど、特別支援学級で活用しやすい教材をまとめています。

この記事で紹介したSST・自立活動ワーク19枚+教師用指導書も収録されています。

支援級パックの詳しい内容を見る

※最新の収録内容・利用条件は販売ページでご確認ください。

関連する自立活動・SST

コメント

タイトルとURLをコピーしました