発達障害のある子どものアンガーマネジメント|教え方と教材を紹介

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発達障害のある子どものアンガーマネジメント|小学校現場で使える教え方と教材を紹介


小学校の特別支援学級を長年担任し、多くの子どもたちとアンガーマネジメントに取り組んできました。

この記事では、

現場で実際に効果があった「怒りのコントロールの教え方」と、すぐ使える教材をご紹介します。


「また叩いてしまった…」
「何度言っても同じことの繰り返しで、もうどうしていいかわからない」

学校でも家庭でも、こんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

特に、発達障害のある子どもの「怒りの爆発」は、周囲の大人を疲弊させ、本人も自己嫌悪に陥るという悪循環を生みやすいです。

でも、安心してください。

怒りのコントロールは、生まれつきの性格や意志の強さではなく「スキル」です。正しい方法で繰り返し練習すれば、どの子も確実に上達します。


なぜ発達障害のある子は怒りのコントロールが難しいのか

発達障害のある子どもが感情コントロールに苦労するのは、「やる気がない」からでも「わがまま」だからでもありません。脳の特性によるものです。

前頭前野の発達と衝動性(特にADHD)

人間の脳には、感情を理性でコントロールする役割を担う「前頭前野」という部位があります。この部分は25歳頃まで発達し続けると言われており、小学生の段階ではまだ十分に機能していません。

ADHDのある子どもの場合、この前頭前野の発達がさらにゆっくりであったり、機能が弱かったりすることが多いです。そのため、「怒り」という感情が湧き上がった瞬間に理性でブレーキをかけることが、定型発達の子と比べてもはるかに難しい状態にあります。

「わかっているのにやめられない」——これが彼らの正直なところです。

感情の言語化の難しさ(特にASD)

ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもの多くは、自分の内側で起きていることを言葉にするのが苦手です。「なんとなくモヤモヤする」「急にイライラした」という感覚はあっても、それが「怒り」なのか「不安」なのか「悲しみ」なのかを自分でも判別できていないことがあります。

感情に名前がつけられない状態では、適切な対処もできません。感情が膨らみきってから突然爆発してしまうのは、こうした理由からです。

「0か100か」の思考パターン

発達障害のある子どもに多く見られるのが、白か黒か・全部か無か、という極端な思考パターンです。

「わざとぶつかってきた→絶対許せない→叩く」
「ルールが少しでも変わった→全部ダメになった→パニック」

グレーゾーンや「まあいいか」という柔軟な思考が難しいため、ちょっとしたことでも爆発につながりやすくなります。


「我慢しなさい」が通じない理由と、効果的な支援のアプローチ

よく見られる指導として「落ち着きなさい」「我慢しなさい」と繰り返す方法があります。しかし、これには根本的な問題があります。

「我慢しなさい」は、やり方を教えていない。

たとえば、泳いだことのない子どもをプールに連れていって「溺れないようにしなさい」と言っても、泳げるようにはなりません。それと同じで、感情コントロールのスキルを持っていない子どもに「我慢しなさい」と言い続けても、スキルは育ちません。

では、何が必要かというと——感情の「見える化(可視化)」です。

目に見えない感情を、目で見えるかたちにしてあげること。これが、発達障害のある子どもへのアンガーマネジメント指導の出発点です。

具体的には、次のような問いかけに変えます。

  • 「今、怒りはレベルいくつ?」(数値化)
  • 「これは許せる?許せない?」(境界線の可視化)
  • 「こういうときどうすればよかった?」(行動の選択肢を広げる)

言葉だけでなく、カードや図などの視覚支援ツールを使うことで、発達障害のある子どもも自分の感情を客観的に観察できるようになります。


アンガーマネジメントを教える3つのステップ

実際の指導では、以下の3ステップを順に踏むことで、子どもの理解と定着が格段に変わります。

ステップ1:感情に名前をつける

最初のステップは「今の自分の気持ちは何か」を言葉にすることです。

発達障害のある子は、感情の種類(怒り・悲しみ・不安・恥ずかしさ)を混同しやすいです。まず、日常的にあるあるな「イライラ場面」を題材に、「こういう時ってどんな気持ち?」と話し合う練習をします。

自分と同じような場面を見て「そうそう、こういう時ムカつくんだよ!」と共感が生まれると、子どもは急に前のめりになります。共感が学びの入り口です。

ステップ2:怒りの大きさを測る

「怒り」とひとことで言っても、「ちょっとイラッとした(レベル1)」から「爆発寸前(レベル5)」まで幅があります。

この大きさを数値やグラフで表す「感情の温度計」を使うと、子どもは自分の感情を俯瞰して見られるようになります。

「さっきのはレベル3だったんだね。レベル3の時はどうするのが良かった?」

こうした対話が、クールダウンの練習になります。

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ステップ3:対処法を選ぶ

怒りの大きさがわかったら、次は「どうすればよかったか」を考えます。ここで大切なのは、失敗を責めるのではなく、選択肢を増やすことです。

「叩く以外に何ができたかな?」
「先生に言う・その場を離れる・深呼吸する、どれができそう?」

選択肢をカードや絵で提示すると、言語化が苦手な子でも選びやすくなります。このステップを繰り返すことで、「怒った→どうすれば?」という思考の流れが少しずつ身についていきます。


教室・家庭で使える視覚支援教材の選び方

アンガーマネジメントの指導で視覚支援ツールを探すと、市販のものやネットで見つかるプリントなど、さまざまなものがあります。しかし、現場で使ってみると「場面が子どもの実態と合わない」「使い方の説明がなくてどう授業に組み込めばいいかわからない」という悩みが出てきます。

教材を選ぶ際のポイントは3つです。

①子どもの「あるある」に即した場面設定になっているか
「隣の席の子に消しゴムを踏まれた」「給食を先に食べられた」など、小学校の日常にある具体的な場面でないと、子どもは他人事として捉えてしまいます。

②感情を段階的・視覚的に表せるか
「怒ってる」の一言で終わらず、怒りの大きさをレベルで表せる工夫があると、指導の幅が広がります。

③「どう使うか」の指導書がついているか
教材があっても使い方がわからないと、引き出しにしまわれたままになります。指導の流れ・声かけの具体例・子どもが失敗した時のフォローまで書かれているものが理想的です。

市販教材は汎用性が高い反面、特別支援の文脈に特化したものは少ないです。通常学級でも使えるよう設計されているため、支援級・通級での使用を想定すると、指導者がかなりアレンジしなければならないことも多いです。

一方、支援教育の専門家が現場の実態に即して作った教材は、すぐに使えるクオリティになっています。特に無料サンプルで試せるものは、クラスへの合い具合を事前に確認できるのでおすすめです。


実際の指導場面での使い方(具体例)

ここでは、視覚支援カードを使った3つのゲーム形式の指導例を紹介します。

①怒りの温度当てゲーム

「怒りの場面カード」を1枚めくり、先生がレベルをひとつ示します。
「先生はこれ、レベル3だと思うんだけど、〇〇さんは?」

子どもが自分のレベルカードを出して比較します。先生と違っても正解・不正解はありません。「なんでそう思ったの?」という対話が、感情の言語化練習になります。

所要時間は5〜10分。朝の会のショートアクティビティにぴったりです。

②境界線ゲーム

「怒りの場面カード」を「許せる」「まあまあ許せる」「許せない」の3つに仕分けするゲームです。

白黒思考の子どもは最初「全部許せない」に並べがちです。「これはわざとだったの?うっかりだったとしたら?」という問いかけで、「まあまあ許せる」という考え方が少しずつ育ちます。

③行動選択ゲーム

場面カードを見て、「自分ならどうする?」を行動カードの中から選ぶゲームです。「叩く」「先生に言う」「深呼吸する」など複数の選択肢から選び、「その行動の後、どうなると思う?」と結果を想像します。

自分の行動が周囲にどう影響するかを、感情的になる前に頭の中でシミュレーションする練習です。

これらのゲームの詳細な進め方、場面ごとの声かけ例、子どもが失敗したときのフォロー方法は、指導・支援マニュアルに2000字以上でまとめています。


まとめ:アンガーマネジメントは「スキル」として教えよう

発達障害のある子どもへのアンガーマネジメントは、「性格を変える」のではなく「スキルを積み上げる」作業です。

大切なのは次の3点です。

  • 怒ることは悪いことではなく、表現の仕方を練習することが目標
  • 言葉だけでなく、視覚支援ツールで感情を見える化する
  • 失敗しても責めず、選択肢を増やす対話を繰り返す

すぐに変化を感じられなくても、積み重ねは必ず形になります。長年、何十人もの子どもたちとこの取り組みを続けてきた経験から、自信を持ってそう言えます。


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