特別支援学級のSSTすごろく|自立活動で使えるお題・進め方・支援のコツ【無料DL】
「自立活動でSSTすごろくをやってみたいけれど、どんなお題にすればいい?」
「すごろくを用意したものの、答えたくない子がいたり、勝ち負けにこだわったりして、うまく進まなかった」
「楽しいだけで終わらず、子どもの学びにつながる活動にしたい」
特別支援学級でSST(ソーシャルスキルトレーニング)を取り入れるとき、すごろくは会話や自己表現のきっかけを作りやすい活動です。
一方で、普通のすごろくと同じように「全員が必ず答える」「早くゴールした人が勝ち」という進め方をすると、子どもによっては参加しにくくなることがあります。
この記事では、特別支援学級での実践経験をもとに、SSTすごろくのお題、授業の進め方、特殊マス、参加しにくい子への支援まで具体的に紹介します。
この記事で分かること
- SSTすごろくを自立活動で使うときの考え方
- 子どもが参加しやすくなる3つの基本ルール
- SSTすごろくに使える4テーマのお題例
- 授業での具体的な進め方と教師の声かけ
- ロールプレイ・パスなどの特殊マスの使い方
- 不安・待つこと・言語化・勝敗などで困りやすい子への支援
- 無料で使える学級開き用SSTすごろく
市販のSSTすごろくを探している方へ
この記事では、SSTすごろく全般のお題・授業の進め方・支援方法を紹介しています。
完成した市販教材を使いたい方には、SSTボードゲーム「なかよしチャレンジ」の内容・遊び方・特別支援学級での活用法を別記事で詳しく紹介しています。
SSTすごろくは自立活動でどう位置付ける?
最初に大切な点を確認しておきます。
「SSTすごろくをすれば、自立活動になる」というわけではありません。
自立活動では、子どもの実態を把握した上で、障害による学習上・生活上の困難に応じて必要な内容を選び、個別の目標や指導内容を設定します。
自立活動には、次の6区分27項目があります。
- 健康の保持
- 心理的な安定
- 人間関係の形成
- 環境の把握
- 身体の動き
- コミュニケーション
SSTすごろくは、その中でも例えば、
- 自分や相手の気持ちを考える
- 自分の考えを伝える
- 友達の話を聞く
- 困ったときの対応方法を考える
- 順番を待ちながら活動に参加する
といった目標を設定している子に対して、「人間関係の形成」「コミュニケーション」「心理的な安定」などに関連する活動の一つとして活用できます。
ポイント
先に「すごろくをする」と決めるのではなく、子どもの困り感 → 目標 → 必要な内容 → 活動の順に考えます。SSTすごろくは、その目標を達成するための一つの手段です。
なぜSSTに「すごろく」を使うのか
「友達への声のかけ方を練習しましょう」
そう言われると、緊張したり、「正しい答えを言わなければ」と考えたりする子もいます。
すごろくでは、
「止まったマスについて、みんなで考えてみる」
というゲームの流れの中に会話が組み込まれています。
そのため、直接「あなたのことを話してください」と求めるよりも、発言ややり取りのきっかけを作りやすいことがあります。

さらに、すごろくには、
- 自分の順番を確認する
- 相手が話している間は待つ
- 友達の答えを聞く
- 分からないときに「パス」を選ぶ
- ゲームのルールを共有する
といったやり取りも含まれます。
ただし、これらを全員に一律に求めるのではなく、その子がどの部分を学習目標としているのかを明確にしておくことが重要です。
特別支援学級でSSTすごろくをするときの3つの基本ルール
私が特に大切にしているのは、次の3つです。
① 「パスしてもいい」を最初に伝える
開始前に、
「答えたくない問題は、パスしていいよ」
と伝えておきます。

自分の気持ちや経験を話すことは、子どもによって負担が大きく異なります。
「話す」「話さない」を自分で選べること自体が、安心して活動に参加するための大切な条件になります。
② 答えの内容を評価しすぎない
子どもが答えてくれたときは、
「教えてくれてありがとう」
と返します。
「その答えは正しい」「それは違う」とすぐに評価すると、次第に「先生が求める正解を当てるゲーム」になってしまいます。
まずは、安心して考えや気持ちを表現できることを大切にします。
③ ゴールの順位を活動の目的にしすぎない
すごろくなので、ゴールするともちろん嬉しいものです。
ただ、SSTで使う場合は、教師側の評価軸を、
- 友達の話を一つ聞けた
- 自分の気持ちを一つ伝えられた
- 困ったときにパスを選べた
- 自分の順番を確認できた
など、その子の目標に応じた姿に置いておきます。
現場で気をつけたいこと
「盛り上がらなかった=失敗」ではありません。初回はゲームを見ていただけ、先生と一緒なら参加できた、パスを使えた、という姿も大切な一歩です。
SSTすごろくのお題|使いやすい4つのテーマ
お題は、授業のねらいに合わせて選びます。
ここでは、特別支援学級で使いやすい4つのテーマを紹介します。
① 困ったときの対処方法を考えるお題
感情に気づいたり、困ったときに使える方法を増やしたりする活動です。
- 「イライラしたとき、どんなことをすると少し落ち着く?」
- 「失敗したとき、自分にどんな言葉をかけたい?」
- 「嫌なことがあったとき、どう伝える?」
- 「困ったとき、誰に相談できそう?」
② 友達・コミュニケーションのお題
実際の学校生活で起こりやすいやり取りを題材にします。
- 「一緒に遊びたいとき、どう伝える?」
- 「友達と違う意見だったとき、どうする?」
- 「遊びに入りたいとき、どんな方法がある?」
- 「友達が困っていたら、どんなことができそう?」
③ 自己理解につながるお題
自分の好きなこと、得意なこと、自分に合った方法などを考えます。
- 「好きなことを1つ教えて」
- 「自分がやりやすいと思うことは何?」
- 「困ったとき、どんな手伝いがあると助かる?」
- 「今の気持ちを天気にすると何?」
「いいところを言いましょう」と求めると難しい子もいます。「好きなこと」「やりやすいこと」など、答えやすい質問から始めるのがおすすめです。
④ 場面を見て考えるお題
具体的な学校生活の場面から、自分ならどうするかを考えます。
- 「列に入ろうとしたら友達と重なった。どうする?」
- 「友達が悲しそうにしている。どうする?」
- 「先生から注意を受けた。次はどうする?」
- 「みんなの前で間違えた。どんな方法で気持ちを切り替える?」
4月の学級開きなら
いきなりトラブル場面や怒りを扱うより、「好きな食べ物」「好きな遊び」「今の気持ち」など、答えやすい自己紹介系のお題から始めると参加しやすくなります。
学級開きに使える無料SSTすごろく
新しいクラスでまだ関係ができていない時期に使いやすいよう、自己紹介や感情理解を中心にした学級開き用SSTすごろくを作成しています。

「パスOK」など、参加を強制しすぎないための工夫も入れています。
🎁 学級開きで使える無料教材
「なかよくなろう!SSTすごろく」無料版
LINE公式アカウントに登録後、「すごろく」と送るとダウンロードできます。まずは無料版で、子どもたちの反応を見ながら試してみてください。
LINEで無料特典を受け取るSSTすごろくを使った授業の進め方
ここでは、30分程度で行う場合の一例を紹介します。
① 導入・ルール確認|5分
- すごろくの遊び方を確認する
- 教師が1〜2マス実際にやって見せる
- 「答えにくいときはパスしてOK」と確認する
- 今日のめあてを短い言葉で伝える
例えば、
「今日は、友達のことを少し知ったり、自分のことを少し伝えたりしてみよう」
程度で十分です。
② 教師によるモデル|5分
先生が実際にサイコロを振り、止まったマスに答えて見せます。
ここであえて一度、
「これは答えにくいから、今回はパスします」
とモデルを見せてもよいでしょう。
「パスもルールの一つ」と分かることで、子どもも選びやすくなります。
③ すごろく|15分
- 順番にサイコロを振る
- 止まったマスのお題を読む
- 自分に合った方法で答える
- 答えたら次の人へ進む
言葉だけで答える必要はありません。
- 指差し
- 選択肢から選ぶ
- カードを見せる
- 教師に代わりに読んでもらう
など、その子に合った参加方法を用意します。
④ 振り返り|5分
振り返りでは、たくさん話させる必要はありません。
- 「友達について知ったことはあった?」
- 「答えやすかったマスはどれ?」
- 「困ったとき、どうした?」
- 「またやってみたい?」
などから一つ選びます。
表情カードや「楽しかった・普通・難しかった」の3択などで振り返ってもよいでしょう。
答えにくそうな子への声かけ例
| 場面 | 教師の声かけ例 |
|---|---|
| 何を答えればよいか迷っている | 「〇〇と△△なら、どっちに近い?」 |
| 一人では答えにくそう | 「先生と一緒に考えてもいいよ」 |
| 答えたくなさそう | 「パスでも大丈夫だよ」 |
| 答えてくれた | 「教えてくれてありがとう」 |
| 指差しで選べた | 「こっちを選んだんだね」 |

SSTすごろくに入れたい5つの特殊マス
普通のお題マスだけでなく、活動のねらいに合わせた「特殊マス」を入れると、すごろくに変化が生まれます。
① ロールプレイマス
具体的な場面を、先生や友達と実際にやってみます。
例えば、
「消しゴムを貸してほしい。どう言う?」
という場面で、教師が相手役になります。
難しい子は、見るだけ・教師と一緒に言うだけでも構いません。
② 言い方練習マス
「こんなとき、どんな言い方ができる?」を考えます。
教師が、
- 「貸して」
- 「あとで貸してくれる?」
- 「使い終わったら貸してください」
など複数の例を示し、その中から選ぶ方法も使えます。
③ みんなで考えるマス
一人で答えず、みんなで方法を出します。
SSTでは、場面によって複数の対応方法があります。
教師がすぐ正解を示すのではなく、
「ほかの方法もあるかな?」
と考えを広げます。
④ いいところ発見マス
友達のよかったところや、自分が気づいたことを伝えます。
「相手のいいところを必ず言う」ことが負担になる場合は、
- 「今日知ったこと」
- 「同じだったこと」
- 「面白いと思ったこと」
などから選べるようにしてもよいでしょう。
⑤ パスマス
「今日は答えない」を選べるマスです。
教師は、パスしたことを大げさに評価する必要はありません。
「分かったよ。次に進もう」
と自然に受け止めます。
自立活動・SST授業で使えるSSTすごろく
無料版より一歩進んで、自立活動やSSTの授業で継続して使える内容として作成したのが「SSTすごろく」です。

困ったときの対応、友達とのコミュニケーション、自己理解、場面判断などを扱い、授業で使いやすい特殊マスも取り入れています。
また、単にPDFを印刷して遊ぶだけにならないよう、授業の進め方や教師の声かけ、個別支援の考え方をまとめた指導書も用意しています。
🎲 自立活動・SSTの授業で使いたい先生へ
SSTすごろく+教師用指導書
印刷して使えるSSTすごろくと、授業の進め方・声かけ・支援のポイントをまとめています。無料版を試して「授業でも続けて使いたい」と感じた先生におすすめです。
SSTすごろくの詳しい内容を見る無料版と授業用SSTすごろくの使い分け
| 無料版 | 授業用 | |
|---|---|---|
| おすすめ時期 | 学級開き・関係づくり | 関係ができてきた後の自立活動・SST |
| 中心テーマ | 自己紹介・好きなもの・気持ち | 対処方法・コミュニケーション・自己理解・場面判断など |
| 主なねらい | 安心して関わるきっかけをつくる | 個別の目標に応じて具体的なスキルを考える・試す |
| 教師用資料 | まず体験するためのシンプル版 | 授業の進め方や支援をまとめた指導書あり |
| 入手方法 | LINE無料特典 | note販売ページ |
子どもが参加しにくいときの支援の工夫
ここでは診断名で分けるのではなく、実際の授業で見られる「参加のしにくさ」ごとに考えます。
① 不安が強く、最初の一歩が出にくい
- 活動を事前に予告する
- 実物のすごろくを先に見せる
- 教師がモデルを見せる
- パスできることを事前に確認する
- 最初は教師とペアで参加する
「全員と同じように参加する」ことではなく、その子が安心して参加できる入口を探します。
② 自分の順番を待つことが難しい
- 順番カードを並べる
- 「今→次」を視覚的に示す
- 待ち時間が長くなりすぎない人数で行う
- 必要に応じて役割を持たせる
待てたときには、
「〇〇さんが話している間、待っていたね」
と、できた行動を具体的に伝えます。
③ 気持ちや考えを言葉にすることが難しい
- 2択・3択を準備する
- イラストカードから選ぶ
- 指差しで答える
- 教師が本人の確認を取りながら代弁する
- 答えなくても参加できるようにする
「発言できたか」だけを評価せず、自分に合った方法で意思を表せたかを見ます。
④ 勝ち負けへの気持ちが大きくなりやすい
- 活動前にゴールを確認する
- 友達より先に着くことだけを評価しない
- 「今日知ったこと」を最後に振り返る
- 必要なら全員がゴールするまで続ける
- サイコロや順位で気持ちが大きく動く場合は、協力型ルールに変更する
その子の目標によっては、勝敗の経験自体を学習に使う場合もあります。ただし、毎回「負けを受け入れる練習」にする必要はありません。
SSTすごろくで大切なのは「ゲーム後の日常」
SSTで一番大切なのは、ゲームの中で上手に答えることではありません。
例えばすごろくで、
「困ったときは『手伝ってください』と言う」
という方法を考えたとします。
翌日の算数で本当に困っている場面があったときに、教師が、
「昨日のすごろくで、困ったときはどうするって話したっけ?」
と結び付けることで、ゲームの学びが実際の生活につながっていきます。
これがSSTで大切な般化の視点です。
そのため、SSTすごろくは「1回楽しくやって終了」ではなく、そこで出てきた言葉や対処方法を、その後の学校生活でも使えるように支援するところまで考えておくと、授業としての意味が深まります。
まとめ|SSTすごろくは「答えさせる教材」ではなく「考えるきっかけ」
SSTすごろくを特別支援学級で使うときに大切なのは、ゲームをきれいに進行することではありません。
- 子どもの個別目標に合った活動として使う
- 答えない・パスする選択肢も保証する
- 言葉以外の参加方法も認める
- 「正解を当てる活動」にしない
- ゲームで考えたことを日常生活につなげる
ことです。
最初からたくさん話せなくても大丈夫です。
友達の答えを一つ聞けた。先生と一緒なら答えられた。今日はパスを選べた。
そうした一つひとつの姿を、その子の目標と照らし合わせながら見ていきます。
🎲 自立活動の授業でもっと活用したい先生へ
SSTすごろく+教師用指導書
無料版より一歩進んで、コミュニケーション・自己理解・困った場面への対応などを扱える授業用教材です。
SSTすごろくの詳しい内容を見るSST・自立活動の教材をまとめて準備したい先生へ
SSTすごろくだけでなく、感情理解、自己理解、コミュニケーション、アンガーマネジメントなど、さまざまなテーマを扱いたい場合は、教材をまとめたパックも用意しています。
📚 授業準備の負担を減らしたい先生へ
支援級パック(自立活動・SST教材フルパック)
SST・自立活動、感情理解、自己理解、コミュニケーション、アンガーマネジメントなど、特別支援学級で活用できる教材をまとめています。
※最新の収録内容・利用条件は販売ページでご確認ください。
支援級パックの詳しい内容を見るSSTのワーク教材を探している方はこちら👇
参考資料
自立活動の目標・内容を考える際は、文部科学省「特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編」も参考になります。



コメント