「特別支援学級の学級開き、最初のレクは何をしよう?」
「通常学級でよく使われるレクをそのままやっても大丈夫かな?」
新年度の学級開きでは、こんなことで迷う先生も多いのではないでしょうか。
特別支援学級の学級開きで、私がまず大切にしているのは、「盛り上げること」よりも「安心して参加できること」です。
同じ学級の中にも、
- 初めての活動に不安を感じやすい子
- 大人数でのやり取りが負担になる子
- ルールを一度に理解することが難しい子
- 勝敗への気持ちが大きくなりやすい子
- 人前で話すことが苦手な子
- 体を動かす活動が好きな子
など、さまざまな子どもがいます。
そのため、レクの種類以上に、「パスできる」「見るだけでもいい」「答え方を選べる」といった参加方法を準備しておくことが大切です。
この記事では、私が特別支援学級で実際に取り入れてきた活動をもとに、学級開きで使いやすいレクを10個紹介します。

📋 この記事で分かること
- 特別支援学級の学級開きでレクを選ぶポイント
- 準備なしですぐできるレク5選
- 少し準備して行うレク5選
- 話す・書く・動くことが難しい子への調整方法
- 一般的なレクを目の前の子どもに合わせる方法
- 学級開きで教師が意識したいこと
特別支援学級の学級開きレクで大切にしたい3つのこと
学級開きのレクは、単に楽しい時間を作るためだけのものではありません。
新しい教室・先生・友達の中で、
「ここで過ごしても大丈夫そう」
「無理に話さなくてもいいんだ」
「自分の方法で参加していいんだ」
と感じられることも大切です。
① ルールをできるだけシンプルにする
学級開きでは、先生や友達だけでなく、教室の場所や時間割など、新しい情報がたくさんあります。
そこに複雑なゲームルールが加わると、活動を楽しむ前に「何をすればいいの?」と困ってしまう子もいます。
最初は、
- 見る
- 選ぶ
- 答える
- 次の人へ渡す
など、流れが分かりやすい活動がおすすめです。
必要な場合は、黒板に、
① カードを見る → ② 答える → ③ 次の人
のように流れを示しておく方法もあります。
② 「参加しない方法」も最初から用意する
学級開きでは、初対面の人の前で話したり、突然ゲームへ参加したりすること自体が負担になることがあります。
そこで活動を始める前に、
「分からなかったらパスしていいよ」
「見ているだけでも大丈夫だよ」
「言葉じゃなくて、指差しでもいいよ」
と伝えておきます。
大切なのは、「参加=みんなと同じ行動をすること」ではないと考えることです。

③ 勝敗への反応も考えてレクを選ぶ
勝ち負けのあるゲームを楽しめる子もいれば、負けたときの悔しさが大きくなりやすい子もいます。
そのため、「支援級では勝敗のある活動は禁止」と決めるのではなく、今の子どもたちにとって、その勝敗を受け止められそうかを考えます。
学級開きでは、まだ子どもの反応が十分に分からないことも多いため、私は最初は、
- 順位をつけない
- 全員が参加したら終了
- 自分の記録に挑戦する
- 先生と一緒に取り組む
といった活動を多めにしています。
⚠️ 「通常学級で人気だから、この学級でも大丈夫」とは限りません。
一方で、「特別支援学級だからこのレクは無理」と決める必要もありません。
目の前の子どもの実態を見ながら、ルール・人数・時間・参加方法を調整します。
【準備なし】特別支援学級の学級開きレク5選
まずは、ほとんど準備をせずに始められる活動を5つ紹介します。
30秒程度の時間を決め、先生や友達とじゃんけんをする活動です。
「何回勝ったか」ではなく、
- 何人とじゃんけんできたか
- 先生と1回じゃんけんできた
- 友達のところへ行けた
など、交流したこと自体を振り返ります。
🔧 支援級アレンジ
歩き回ることが負担なら、席に座ったまま先生が回っても構いません。
じゃんけん自体をしたくない場合は、「手を振る」「こんにちはと言う」「カードを見せる」などに変えても参加できます。

「イヌが好きな人」「今日パンを食べた人」など、お題に当てはまる人が席を移動する活動です。
学級開きでは、教師がお題を出すと、内容を調整しやすくなります。
例えば、
- イヌが好きな人
- カレーが好きな人
- 青色が好きな人
- 外で遊ぶのが好きな人
など、答えやすい内容から始めます。
🔧 支援級アレンジ
席を急いで取り合うルールにすると、ぶつかったり焦ったりすることがあります。
学級開きでは、席を奪い合わず「当てはまったら別の椅子へ移動するだけ」にする方法もあります。
移動したくない子は、手を挙げる・カードを上げる参加方法でも構いません。
3×3程度のマスに、好きな食べ物・動物・色などを入れます。
その後、教師が、
「カレーが好きな人?」
「ネコが好きな人?」
と聞き、当てはまれば○をつけます。

🔧 支援級アレンジ
書字を活動の条件にしません。
- 教師が代筆する
- 絵を描く
- 選択肢から選ぶ
- あらかじめ教師がマスを用意する
方法でも参加できます。
ビンゴにならなくても、友達との共通点を一つ見つけられれば十分です。
教師と順番にじゃんけんをする、とてもシンプルな活動です。
「先生に何回勝てるか」という競争にしてもよいですが、学級開きでは、
「先生と1回じゃんけんできたらクリア」
程度でも十分です。
🔧 支援級アレンジ
じゃんけんのルール理解が難しい場合には、
- 教師がグーだけ出す
- 「先生と同じものを出そう」に変える
- 絵カードからグー・チョキ・パーを選ぶ
など、活動のねらいに合わせて変えます。
教師が事前に一人ずつ、
- 好きな食べ物
- 好きな動物
- 好きな遊び
などを一つ聞いておきます。
その後、
「〇〇さんが好きなのは、イヌとネコ、どっちでしょう?」
など、簡単なクイズにします。

🔧 支援級アレンジ
本人の情報をクイズにする前に、紹介してよい内容か確認します。
答えられない子には、教師が選択肢を提示します。
また、正解できることよりも、「〇〇さんはそれが好きなんだね」と友達について一つ知ることを大切にします。
【少し準備】特別支援学級の学級開きレク5選
次は、カードなどを少し準備して行う活動です。
学級開き当日だけでなく、新年度最初の1〜2週間にも使いやすい内容です。
自己紹介や気持ちに関するお題を入れたすごろくです。
例えば、
- 好きな食べ物を一つ教えて
- 今楽しみにしていることは?
- うれしいとき、どんな感じ?
などがあります。
一方で、自己開示を強制しないよう、「パスできる」ルールも入れています。

🔧 先生のコツ
子どもが話してくれたときには、
「そうなんだね」
「教えてくれてありがとう」
と短く返します。
理由をさらに聞く場合も、本人が話したそうかを見ながら進めます。
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自己紹介や気持ちを扱うお題を入れた、学級開きで使いやすいすごろくです。
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カードに、
- 名前
- 好きなもの
- 好きな遊び
などを書いたり描いたりして、友達と紹介し合う活動です。
🔧 支援級アレンジ
「得意なこと」を書くのが難しい子もいるため、必須項目にはしません。
また、
- 絵だけ
- シールを貼る
- 教師が代筆する
- 交換せず教師へ見せるだけ
でも参加できます。
一人ひとりから、紹介してもよい「好きなもの」などを聞いておきます。
教師が、
「この人はカレーが好きです。ネコも好きです。誰でしょう?」
とクイズにします。
🔧 支援級アレンジ
本人についてクイズを出す場合は、事前に本人へ確認します。
「クイズにしてほしくない」という選択も認めます。
また、記憶力を競うゲームにはせず、必要なら名前カードなどの選択肢を示します。
「今の気持ちに近い天気はある?」と問い、
- 晴れ
- くもり
- 雨
- 雷
などから選びます。
「どうして?」と必ず説明させる必要はありません。
また、二つ選んでも「分からない」でも構いません。
🔧 支援級アレンジ
気持ちを全員の前で公開する必要はありません。
教師にだけカードを見せる、自分の机で選ぶなど、その子が安心できる伝え方を用意します。
ランキングを競うのではなく、みんなの好きなものを一つのボードへ集める活動です。
例えば「好きな動物」なら、
ネコ 🐱🐱
イヌ 🐶
ハムスター 🐹
恐竜 🦕
のように、選ばれたものを並べていきます。
人数の多さを順位にせず、
「同じ人がいたね」
「こんな好きもあるんだね」
と、共通点と違いの両方を楽しみます。
🔧 支援級アレンジ
言葉で答えることが難しい場合は、絵カードを選んで貼るだけでも参加できます。
「自分だけ違う答えだった」ことも、否定せず一つの好みとして扱います。
一般的なレクを、目の前の子どもに合わせる5つの方法
市販のレク本や通常学級向けに紹介されている活動でも、ルールを少し変えるだけで使いやすくなることがあります。
| 困りやすいこと | 調整例 |
|---|---|
| 参加への負担が大きい | 「パス」「見学」「途中参加」を用意する |
| 勝敗への気持ちが大きくなりやすい | 順位をなくす、自分の記録への挑戦に変える |
| ルールが分かりにくい | 教師が実演する、流れを絵や短い言葉で示す |
| 自由回答が難しい | 二択・三択や絵カードを用意する |
| 身体接触が負担になる | タッチを手振り・カード・ジェスチャーへ変える |
| 大人数だと参加しにくい | 1対1→2〜3人→少人数と人数を調整する |
学級開きレクで教師が意識したい3つのこと
① まず教師が参加方法のモデルを見せる
「先生が一番盛り上げなくては」と考える必要はありません。
むしろ、教師自身が落ち着いて、
「先生はネコを選ぶよ」
「先生はこれはパスするね」
「分からないときは、こうやって聞いていいよ」
と、いろいろな参加方法を見せることが大切です。
教師自身がパスするモデルを示すと、子どもにとっても「本当にパスしていいんだ」と分かりやすくなります。
② 子どもが伝えた方法を認める
発表できたときだけ褒めるのではなく、
- 指差しで選べた
- パスと言えた
- 教師に助けを求めた
- 途中まで参加できた
- 見学していたが最後に1回参加した
なども大切な姿です。
例えば、
「指で教えてくれたから、先生にも分かったよ」
「今日はパスって伝えられたね」
「教えてくれてありがとう」
と、具体的に返します。

③ 盛り上がらなくても失敗ではない
学級開きにレクを行っても、静かなまま終わることがあります。
それだけで「レクに失敗した」と考える必要はありません。
例えば、
- 教室に最後までいられた
- 友達の名前を一人知った
- 先生に好きなものを伝えられた
- 活動を見て過ごせた
のであれば、その子なりの新年度のスタートになっています。
💡 学級開きでまず大切にしたいのは、「大盛り上がり」より「ここなら過ごせそう」という感覚です。

学級開きレクを「自立活動」として行う場合は?
今回紹介したレクの中には、SSTやコミュニケーションの要素を含むものがあります。
ただし、レクを行っただけで教育課程上の「自立活動」になるわけではありません。
自立活動として位置付ける場合には、一人ひとりの実態から、
困っていること・実態
↓
個別の目標
↓
必要な自立活動の項目
↓
具体的な活動
という順番で考えます。
例えば同じ「SSTすごろく」を使っていても、
- 自分の好きなものを一つ伝える
- 友達の答えを一度聞く
- 困ったら「パス」と伝える
- 自分の番を視覚的に確認して待つ
など、目標は子どもによって異なります。
文部科学省も、自立活動では個々の児童の実態を把握し、必要な項目を選定・関連付けて具体的な指導内容を設定することを示しています。
文部科学省「特別支援学校小学部・中学部学習指導要領 第7章 自立活動」
まとめ|特別支援学級の学級開きは「参加できる方法を増やす」
今回紹介した10個のレクをまとめます。
- 30秒じゃんけん
- なんでもバスケット
- 好きなものビンゴ
- 先生とじゃんけんチャレンジ
- みんなの「好き」を知ろうクイズ
- SSTすごろく
- 自己紹介カード交換
- 私はだーれだ?ヒントクイズ
- こころの天気
- みんなの「好き」ボード
どの活動を選ぶ場合も、一番大切なのは、そのレクを全員に同じ方法でやらせることではありません。
✅ パスできる
✅ 見学できる
✅ 指差しで答えられる
✅ 教師と一緒に参加できる
✅ 少人数から始められる
✅ 途中で休める
といった選択肢を準備しておくことで、一人ひとりが参加しやすくなります。
学級開きは、その後の1年間の学級づくりのスタートです。
「この教室なら、自分の方法で過ごせそう」と感じてもらえる時間を、まず大切にしてみてください。
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