学期末が近づくと、毎年頭を抱えるのが「所見」ではないでしょうか?
特に「自立活動」の所見は、「どの項目にあてはまるのか?」「言葉がかたくならず、子どもの頑張りをあたたかく伝えられるか?」と、迷うことが多いですよね。
「限られた時間で、一人ひとりの成長を丁寧に伝えたい」
「保護者の方に、子どもの頑張りがしっかり伝わる所見を書きたい」
そんな先生方の願いを叶えるために、
この記事では自立活動の6区分27項目に対応した所見文例をご紹介します。
すべて実際の実践をもとにした文例なので、明日からそのまま使え、所見作成の時間を大幅に短縮しながら、質の高い内容に仕上げることができます。この記事を読めば、もう所見作成で悩むことはないと思います。
はじめに「🌱自立活動の6区分」とは?
まずは、自立活動の6区分と、それぞれの具体的な内容(27項目)を確認しておきましょう。
- 健康の保持:心身の健康維持と管理に関する活動
- 心理的な安定:情緒の安定と自己理解、ストレス対処に関する活動
- 人間関係の形成:コミュニケーション能力や社会性の育成に関する活動
- 環境の把握:周囲の状況を理解し、適切に行動する能力に関する活動
- 身体の動き:基本的な運動能力や身体感覚の向上に関する活動
- コミュニケーション:言葉や非言語的手段を用いた表現・理解に関する活動
以下では、この6区分ごとに、明日から使える所見文例を3〜5つご紹介します。これらの文例は、主に小学校中学年〜高学年の児童を想定していますが、表現を調整することで幅広い学年でご活用いただけます。
「自立活動」所見文例集
🌼1. 健康の保持
心身の健康を保ち、基本的な生活習慣を身につけるための活動に関する所見です。
- 気持ちの良い一日の始まり
朝の会では自分から「おはようございます」と元気にあいさつをし、一日を気持ちよく始めることができました。規則正しい生活を続ける中で、体調管理にも自ら意識が向くようになり、着実に成長が見られます。 - 体調の変化を伝える力
少し疲れた様子の時にも、「今日はちょっとだけ眠い」と自分の状態を言葉にして伝えることができるようになってきました。自分の体と向き合い、適切な休息を取ろうとする意識が高まっています。 - 身の回りを整える習慣
ハンカチやティッシュの準備を忘れずにできるようになり、身の回りのことを整える意識が高まっています。清潔を保つことの大切さを理解し、日々の生活で実践しようと努力しています。
🌈2. 心理的な安定
心の安定を図り、自己を理解し、感情をコントロールする力を育む活動に関する所見です。
- 感情との上手な向き合い方
友達とのトラブルがあったときも、深呼吸をして落ち着こうとする姿が見られました。すぐに感情的になることなく、気持ちの整理の方法を少しずつ身につけ、冷静に対応しようと頑張っています。 - 自分自身を見つめる時間
自分の「できること」「苦手なこと」をノートにまとめ、じっくりと振り返る姿がありました。自己理解が進むことで、自身の特性を受け入れ、前向きに学習に取り組む姿勢が見られます。 - 安心して過ごせる場所づくり
いつもの環境や先生、友達との関わりの中で安心して過ごし、以前にも増して笑顔で学校生活を楽しむ姿が増えました。学校が「安心できる場所」として感じられるようになり、様々な活動に意欲的に参加しています。
🤝3. 人間関係の形成
他者との関わり方を学び、より良い人間関係を築く力を育む活動に関する所見です。
- 明るく積極的な声かけ
教室や廊下ですれ違うときに、「こんにちは」と明るく声をかける姿が多くなり、人との関わりに自信がついてきています。積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢が素晴らしいです。 - 相手を思いやる気持ち
友達の困っている様子に気づき、「だいじょうぶ?」と優しく声をかける姿が見られました。相手の気持ちを察し、自然と手を差し伸べることができるようになり、思いやりの心が豊かに育っています。 - 協調性と思いやりの芽生え
グループ活動では自分の意見を伝えるだけでなく、友達の意見にも真剣に耳を傾ける姿が見られるようになってきました。協調性を大切にし、互いに協力しようと努める姿に成長を感じます。
🔍4. 環境の把握
周囲の状況を認識し、適切に対応する力を育む活動に関する所見です。
- 自分から見つける役割
掃除や係活動の時間になると、自分のやるべきことを理解し、必要な場所や物をすぐに取りに行くことができるようになりました。周囲の状況を把握し、自ら考えて行動する力が向上しています。 - 時間感覚の明確化
タイマーを活用して行動することで、活動の切り替えがスムーズになりました。「あと○分で終わるよね」と自分から時間を意識して動く姿が見られます。時間の見通しを持つことで、落ち着いて行動できています。 - 見通しを持って行動する力
一日の予定を朝に確認し、心の準備をすることで落ち着いて行動できるようになっています。次に何をするのかを把握することで、安心して学習や活動に取り組めています。
🏃♂️5. 身体の動き
基本的な身体能力を向上させ、身体の調整能力を高める活動に関する所見です。
- 運動への前向きな挑戦
体育の授業では「前より速く走れるようになった!」と自信を持って取り組む姿があり、身体を動かすことへの前向きな気持ちが育っています。挑戦することの楽しさを感じているようです。 - 手先の器用さの向上
ハサミやのりの使い方に慣れ、細かい作業も集中して取り組めるようになりました。指先の巧緻性が向上し、表現活動にも意欲的に取り組んでいます。 - 安定した学習姿勢
姿勢を意識して椅子に座る時間が増え、学習への集中力が高まってきています。正しい姿勢を保つことで、落ち着いて学習に取り組むことができるようになってきました。
🗣️6. コミュニケーション
言葉や非言語的手段を使って、自分の気持ちを伝えたり、他者の意図を理解したりする力を育む活動に関する所見です。
- 丁寧に伝える言葉の力
自分の気持ちや希望を「〇〇したいです」と丁寧に伝える姿が増えてきました。相手に分かりやすく伝えようとする意識が育ち、やりとりの力が伸びています。 - 耳を傾ける姿勢
会話中、相手の目を見てうなずきながら話を聞くなど、聞く姿勢が安定してきました。相手の話を真剣に聞こうとすることで、より深いコミュニケーションが図れるようになっています。 - 多様な表現の工夫
図やカードを使って、自分の気持ちや考えを伝えることができるようになりました。言葉だけでなく、様々な方法で表現する力を身につけ、伝えたいという意欲が感じられます。
おわりに
所見は、単なる記録ではありません。
「こんな素敵な姿が見られましたよ」「こんなに成長していますよ」というメッセージを保護者に届ける、あたたかい手紙のようなものです。
どの子も、かならずどこかで前に進んでいます。
その小さな一歩、ささやかな成長を、ていねいにすくい上げて、言葉にして届けましょう。
「できるようになったこと」だけでなく、
「がんばろうとしている姿」や「気持ちの変化」にも目を向けることで、
子どもも保護者も、そして私たち教師も、みんなが前向きになれるはずです。
この文例集が、あなたの思いを届ける一助となれば幸いです。
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次回予告
次回は「所見づくりのための観察メモの取り方と整理術」についてご紹介予定です。
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