特別支援学級の種類は7つ|それぞれの特徴・対象・授業内容を小学校の現場から解説

支援の工夫

特別支援学級の種類は7つ|それぞれの特徴・対象・授業内容を小学校の現場から解説

「特別支援学級には、どんな種類があるの?」

子どもが特別支援学級への入級を検討することになったとき、まず気になるのが「どんな種類の学級があるのか」ということではないでしょうか。

特別支援学級には、文部科学省の学校基本調査上、7つの区分があります。

具体的には、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害です。

ただし、「7種類ある」と知っただけでは、実際の学校生活をイメージするのは難しいかもしれません。

「どんな子どもが対象なの?」「それぞれの学級では、どんな授業をするの?」「知的障害学級と自閉症・情緒障害学級は何が違うの?」——このような疑問を持つ方も多いと思います。

この記事では、特別支援学級の7種類について、それぞれの特徴・対象・授業内容をわかりやすく解説します。

私はこれまで小学校の特別支援学級の担任として、実際の学校現場で子どもたちの指導に携わってきました。そのため、制度上の説明だけではなく、「実際の小学校ではどのような学び方をしているのか」という現場の視点も交えながら説明していきます。

特別支援学級について調べている保護者の方だけでなく、特別支援学級の担任になった先生や、特別支援教育について学びたい方にも参考になるようにまとめました。

  1. 特別支援学級には7種類ある
    1. 「同じ種類の学級」でも、子どもの姿は一人ひとり違う
    2. 特別支援学級は7種類すべてが設置されているわけではない
  2. 特別支援学級7種類の特徴・対象・授業内容
    1. ①知的障害特別支援学級
      1. 知的障害特別支援学級ではどんな子どもが学ぶの?
      2. 知的障害特別支援学級ではどんな授業をする?
      3. 「教える」よりも「できる環境をつくる」
    2. ②自閉症・情緒障害特別支援学級
      1. 自閉症・情緒障害特別支援学級ではどんな子どもが学ぶの?
      2. 自閉症・情緒障害特別支援学級ではどんな授業をする?
      3. 「できないから参加させない」ではなく、参加できる方法を考える
      4. 運動会に参加できなかった子が、自分から列に並んだ日
      5. 自閉症・情緒障害学級では「見通し」が大きな支援になることも
    3. ③肢体不自由特別支援学級
      1. 肢体不自由特別支援学級ではどんな配慮が必要?
    4. ④病弱・身体虚弱特別支援学級
      1. 病弱・身体虚弱特別支援学級ではどんな授業をする?
      2. 院内学級とは違うの?
    5. ⑤弱視特別支援学級
      1. 弱視特別支援学級ではどんな配慮をする?
    6. ⑥難聴特別支援学級
      1. 難聴特別支援学級ではどんな配慮をする?
    7. ⑦言語障害特別支援学級
      1. 言語障害特別支援学級ではどんな指導をする?
    8. 7種類の特別支援学級を簡単に整理すると
  3. 特別支援学級の種類によって授業はどう違う?
    1. 知的障害学級ではどんな授業をする?
    2. 自閉症・情緒障害学級ではどんな授業をする?
    3. 特別支援学級では自立活動をどう取り入れる?
      1. 朝の支度が「できる」ようになったのは、教え方を変えたから
    4. 通常学級と同じ教科を学ぶの?
  4. 特別支援学級と通常学級の違い
    1. ①学級の人数が少なく、一人ひとりに合わせた指導をしやすい
    2. ②教育課程を子どもの実態に応じて工夫できる
    3. ③授業の進め方や教材を一人ひとりに合わせやすい
      1. 「同じ教え方」ではなく「分かる教え方」を考える
    4. ④子どもの困りごとに合わせた個別の支援を行いやすい
      1. 「できない」のではなく、「分かる方法」が違った
    5. ⑤通常学級との「交流及び共同学習」がある
      1. 交流学級に「全部参加すればいい」というわけではない
    6. 特別支援学級と通常学級の違いを比較すると
    7. 「特別支援学級=勉強が簡単」というわけではない
  5. 特別支援学級と通級指導教室の違い
    1. 一番大きな違いは「在籍する場所」
    2. 対象・指導内容の違い
    3. どちらが子どもに合っている?
      1. 考えるときのポイント
      2. 「どちらの学級がいい?」ではなく「どんな環境なら力を発揮できる?」

特別支援学級には7種類ある

まず結論からお伝えすると、特別支援学級は大きく7種類に分けて考えることができます。文部科学省の学校基本調査では、次の7つに区分されています。

種類主な対象学習・支援の特徴
知的障害知的発達に遅れがある子ども子どもの実態に応じて、教科等の学習や生活に結びついた学習などを行います。
自閉症・情緒障害自閉症や情緒面に困難のある子どもなど教科学習に加えて、子どもの実態に応じた自立活動などを行います。
肢体不自由肢体の動作などに困難のある子ども身体の状態や学習上の困難に応じた配慮・指導を行います。
病弱・身体虚弱病気や身体虚弱のため、継続的な配慮が必要な子ども健康状態に配慮しながら、学習を進めます。
弱視視覚による認識に困難のある子ども拡大教材や視覚補助具などを活用しながら学習します。
難聴聴覚による情報取得に困難のある子ども補聴器等の活用や、聞き取りやすい環境づくりなどを行います。
言語障害言語面に困難のある子ども発音や話すこと、聞くことなど、子どもの課題に応じた指導を行います。

この7種類を見ると、「障害の種類ごとに学級が分かれている」と感じるかもしれません。確かに、制度上はこのように区分されています。

しかし、実際の小学校現場では、子どもを診断名だけで単純に分類して考えることはできません。同じ「自閉症・情緒障害学級」に在籍していても、子どもによって得意なことや苦手なこと、必要としている支援は大きく異なります。

例えば、教科学習はほとんど問題なくできる一方で、友達との関係づくりに大きな困難を抱えている子もいます。反対に、対人関係には大きな問題がなくても、感情のコントロールや環境の変化への対応に難しさを抱えている子もいます。

だからこそ、特別支援学級では、「何の障害があるか」だけではなく、「その子にはどのような教育的支援が必要なのか」を見ることが大切です。

【元・特別支援学級担任の実践コラム】

「同じ種類の学級」でも、子どもの姿は一人ひとり違う

特別支援学級の種類を調べていると、「この障害なら、この学級」というイメージを持ちやすいと思います。しかし、実際に特別支援学級の担任として子どもたちと関わっていると、それだけでは説明できないことがたくさんあります。

同じ学級に在籍している子どもでも、学習面で困っている子、友達との関係で困っている子、気持ちの切り替えに困っている子、見通しを持つことに困っている子など、抱えている困難はさまざまです。

そのため、私は特別支援学級の指導を考えるとき、診断名や学級の種類だけを見るのではなく、「この子は、何に困っていて、どんな環境なら力を発揮できるのか」を考えることが大切だと感じてきました。

特別支援学級は7種類すべてが設置されているわけではない

ここで、特別支援学級について調べるときに、ぜひ知っておいてほしいことがあります。それは、すべての小学校に7種類の特別支援学級が設置されているわけではないということです。

例えば、ある小学校には「知的障害特別支援学級」と「自閉症・情緒障害特別支援学級」が設置されていても、弱視や難聴などの特別支援学級は設置されていない、ということがあります。

ここがポイント

  • 特別支援学級は7つの区分に分けられる
  • すべての学校に7種類が設置されているわけではない
  • 学校や地域によって設置されている学級は異なる
  • 学級の種類だけでなく、子どもの教育的ニーズを見ることが大切

では、それぞれの特別支援学級では、実際にどのような子どもが学び、どのような授業をしているのでしょうか。ここからは、7種類の特別支援学級について、「対象」「特徴」「授業内容」の3つの視点から一つずつ詳しく見ていきます。

特別支援学級7種類の特徴・対象・授業内容

特別支援学級の「種類」は、子どもを診断名だけで分類するためのものではありません。同じ種類の特別支援学級に在籍していても、子どもによって得意なことや苦手なこと、必要な支援方法は大きく異なります。そのことを念頭に置きながら、一つずつ見ていきましょう。

①知的障害特別支援学級

知的障害特別支援学級は、知的障害のある児童生徒を対象とした特別支援学級です。知的な発達の遅れによって、学習した内容を理解したり、身に付けたことを生活の中で活用したりすることに困難が生じる場合があります。

そのため、知的障害特別支援学級では、子どもの発達段階や生活経験、学習上の課題などを踏まえながら、「分かる」「できる」「生活の中で使える」ことを大切にした学習が行われます。

知的障害特別支援学級ではどんな子どもが学ぶの?

知的障害特別支援学級で学ぶ子どもの実態は、一人ひとり異なります。例えば、

  • 学習内容を理解するまでに時間がかかる
  • 抽象的な説明よりも、具体物や実際の経験のほうが理解しやすい
  • 一度覚えたことを別の場面で活用することが難しい
  • 生活習慣や身辺自立について継続的な支援が必要
  • コミュニケーションや対人関係にも困難がある

など、さまざまな姿があります。したがって、「知的障害がある」という一つの情報だけから、その子の学習の得意・不得意を決めつけることはできません。大切なのは、子どもの現在の力を丁寧に把握し、「何を教えるか」だけでなく、「どのように教えれば理解しやすいか」を考えることです。

知的障害特別支援学級ではどんな授業をする?

知的障害特別支援学級の教育課程では、子どもの実態に応じて、各教科の学習だけでなく、生活に結び付いた学習や自立活動などを組み合わせて指導することがあります。国語・算数などの教科学習に加え、生活単元学習や日常生活の指導、交流学級での学習などを組み合わせるのが一般的です。

特に知的障害のある子どもにとっては、教科書の中だけで学習を完結させるのではなく、実際の生活や体験と結び付けて学ぶことが重要になる場合があります。具体的な授業の工夫については、次の章「特別支援学級の種類によって授業はどう違う?」で詳しく紹介します。

【元・特別支援学級担任の実践コラム】

「教える」よりも「できる環境をつくる」

私が知的障害特別支援学級の担任をしていたとき、特に印象に残っている子どもがいます。その子は、言葉でのコミュニケーションが難しく、活動の流れが分からなくなるとパニックになりやすい傾向がありました。

あるとき、買い物学習を行うことになりました。最初は、教師が言葉で「次は○○を買います」「お金を出します」「袋に入れます」などと説明していました。しかし、その子にとっては、言葉だけで活動の順番を理解し続けることが難しく、見通しを持てないことが不安につながっていました。

そこで、活動を一つひとつ分け、視覚的な手順カードを使って、次に何をすればよいのかを目で確認できるようにしました。すると、驚くほど落ち着いて活動できるようになりました。「次は何をするの?」と教師の指示を待つのではなく、カードを確認しながら、自分から次の行動に移る姿も見られるようになりました。

最初は、一人ひとりの特性に合う支援方法を見つけるまで、試行錯誤の連続でした。それでも、小さな成功体験を一つずつ積み重ねていく中で、ある日、その子が活動を終えて「できた!」という表情で笑った瞬間がありました。その笑顔は、今でも強く心に残っています。

この経験から、私は特別支援学級の指導では、教師が一方的に「教える」ことだけを考えるのではなく、「どうすれば、この子が自分の力でできる環境をつくれるか」を考えることが非常に大切だと実感しました。

知的障害特別支援学級では、このように子どもの実態に合わせて、教科学習だけでなく、生活につながる学習や自立に向けた指導を組み合わせていくことがあります。

一方で、特別支援学級には、知的発達に大きな遅れがないものの、自閉症の特性や情緒面の課題などによって通常の学級での学習や集団生活に困難を感じる子どもが学ぶ「自閉症・情緒障害特別支援学級」もあります。次に詳しく見ていきます。

②自閉症・情緒障害特別支援学級

自閉症・情緒障害特別支援学級は、自閉症などの特性や、情緒面・対人関係などに困難がある児童生徒を対象とする特別支援学級です。原則として小学校の学習指導要領に基づいて各教科等の学習を行いながら、子どもの実態に応じて自立活動などの指導を行うことができます。

発達障害教育推進センターも、自閉症・情緒障害特別支援学級では、教科学習だけでなく、人との関わりやコミュニケーション、生活する力を育てるための自立活動が重要であると説明しています。発達障害教育推進センター

自閉症・情緒障害特別支援学級ではどんな子どもが学ぶの?

自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する子どもの姿は、非常に多様です。例えば、

  • 友達とのコミュニケーションが難しい
  • 集団活動への参加が難しい
  • 予定変更や環境の変化に強い不安を感じる
  • 感情のコントロールが難しい
  • 音や光、人の多さなどの刺激が苦手
  • 見通しが持てないと不安になりやすい
  • 学習能力は高いものの、集団生活で大きな困難が生じる

などがあります。もちろん、これらすべてに当てはまるわけではありません。子どもの実態を把握し、通常の教科学習をどのように保障するか、そしてどのような自立活動が必要なのかを考えて教育課程を組み立てていく必要があります。

国立特別支援教育総合研究所の研究でも、自閉症のある児童生徒の実態は多様であり、視覚情報の活用や場の構造化、自立活動など、個々の特性に応じた指導上の工夫が重要であることが示されています。国立特別支援教育総合研究所

自閉症・情緒障害特別支援学級ではどんな授業をする?

自閉症・情緒障害特別支援学級では、基本的には各教科等の学習を行います。国語、算数、理科、社会、音楽、図画工作、体育など、学年や子どもの実態に応じた教科学習を進めます。

その一方で、子どもの障害による学習上・生活上の困難を改善・克服するために、自立活動を取り入れることがあります。例えば、

  • 自分の気持ちを言葉で伝える
  • 困ったときに援助を求める
  • 気持ちを落ち着ける方法を身に付ける
  • 相手の気持ちを考える
  • 集団活動に参加するための方法を身に付ける
  • 予定変更に対応する
  • 見通しを持って活動する

といった内容です。ここで重要なのは、自立活動を「特別な授業」として切り離して考えすぎないことです。例えば、「気持ちを落ち着ける方法を身に付ける」という目標を自立活動で扱ったのであれば、その力を実際の授業や休み時間、行事、交流学級での活動などでも使えるようにしていく必要があります。

自立活動と各教科等の学習を関連付けながら指導することは、自閉症のある子どもの学びを支えるうえで重要な視点です。発達障害教育推進センター

「できないから参加させない」ではなく、参加できる方法を考える

自閉症・情緒障害特別支援学級の指導では、運動会、遠足、校外学習、音楽会といった行事への参加について考える場面も多くあります。こうした行事は、普段の教室とは違って、音や人の動き、待ち時間、予定変更など、多くの刺激があるためです。

ここで大切なのは、「参加できるか、できないか」の二択で考えないことです。「どの部分なら参加できるか」「どのような環境なら参加しやすいか」「最初は何から始めればよいか」という視点で、参加の方法そのものを工夫していきます。

【元・特別支援学級担任の実践コラム】

運動会に参加できなかった子が、自分から列に並んだ日

私が特別支援学級を担任していたとき、集団行動が苦手で、運動会の練習に参加することが難しい児童がいました。周囲にはたくさんの子どもがいて、音楽が流れ、先生からの指示があり、普段とは違う場所で長い時間待たなければならない。その子にとって、運動会の練習は刺激の多い環境でした。

最初から「みんなと同じように参加しよう」と無理をさせるのではなく、まずは見学するところから始めました。そして、少しずつ参加できる場面を増やしていきました。最初は見ているだけ。次は一部分だけ参加する。そして、少しずつ活動時間を伸ばしていく。本人の様子を見ながら、無理のない範囲で段階を踏んでいきました。

もちろん、毎回うまくいったわけではありません。それでも、少しずつ参加できる場面が増えていきました。そして運動会当日。その子は、なんと自分から列に並び、最後まで笑顔で踊りきることができました。

その姿を見たとき、「参加できるようになった」という結果以上に、本人が「自分もできる」という感覚を得られたことが大きかったのではないかと感じました。特別支援教育では、「できるようにするために、どう教えるか」を考えることも大切です。しかし、それと同じくらい、「できるようになるまでの階段をどう作るか」を考えることが大切なのだと思います。

自閉症・情緒障害学級では「見通し」が大きな支援になることも

自閉症のある子どもへの支援では、視覚的な情報を活用したり、活動の流れを分かりやすくしたりすることがあります。例えば、

  • 写真やイラストによる予定表
  • 活動の手順カード
  • タイマー
  • チェックリスト
  • 「終わり」が分かる教材
  • 活動場所を分かりやすく区切る

などです。これは、「子どもに分かるように何度も言葉で説明する」という発想とは少し違います。「言葉で分からせる」のではなく、「見れば分かる環境をつくる」という考え方です。

国立特別支援教育総合研究所の研究でも、自閉症のある児童生徒が在籍する特別支援学級において、場の構造化や視覚情報の活用などが指導上の工夫として挙げられています。国立特別支援教育総合研究所

特別支援学級の支援で大切にしたい視点

子どもが「できない」とき、すぐに本人の能力だけに原因を求めるのではなく、

「今の環境や伝え方は、この子にとって分かりやすいものになっているだろうか?」

と考えてみることが大切です。

自立活動の指導、もっと具体的にしたい方へ

「困ったときに助けを求める」「気持ちを落ち着ける」など、この記事で紹介した自立活動の目標は、個別の指導計画の文言にそのまま落とし込めると、日々の記録がぐっと楽になります。ASD・ADHDの特性別に使える自立活動の文例集を作りました。

自立活動 文例集を見てみる

ここまで見てきたように、知的障害特別支援学級と自閉症・情緒障害特別支援学級では、子どもの実態や教育課程、授業づくりの考え方に違いがあります。ただし、両者を完全に別物として考えることもできません。自閉症のある子どもが知的障害特別支援学級に在籍する場合もあり、その場合には知的障害に応じた教育課程だけでなく、自閉症の特性に応じた自立活動についても考える必要があります。

国立特別支援教育総合研究所の研究でも、知的障害特別支援学級に在籍する自閉症のある児童生徒と、自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する自閉症のある児童生徒について、それぞれの実態に応じた自立活動や教育課程の在り方が検討されています。国立特別支援教育総合研究所

つまり、特別支援学級の種類を理解するときに大切なのは、「この学級は○○だから、全員こういう学習をする」と決めつけないことです。学級の種類を出発点にしながら、最後は「その子には、どのような学び方や支援が必要なのか」というところまで考える必要があります。

続いて、残りの5種類——肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害の特別支援学級について、それぞれの対象や特徴、授業内容を見ていきます。

③肢体不自由特別支援学級

肢体不自由特別支援学級は、肢体不自由のある児童生徒を対象とした特別支援学級です。肢体不自由とは、身体の動きに関する器官が病気やけがなどによって損なわれ、歩く、座る、手を動かす、物を操作するなどの動作に困難がある状態を指します。ただし、肢体不自由の程度や現れ方は一人ひとり異なります。

肢体不自由特別支援学級ではどんな配慮が必要?

肢体不自由のある子どもの学習では、単に「できる・できない」を考えるのではなく、「どのような方法なら学習に参加できるか」を考えることが大切です。例えば、次のような配慮があります。

  • 机や椅子などの学習環境を調整する
  • 教材を扱いやすい形にする
  • 書くことが難しい場合にICT機器などを活用する
  • 移動しやすい環境を整える
  • 活動に必要な時間を確保する
  • 姿勢を安定させるための環境を整える

体育の授業である運動をそのまま行うことが難しい場合も、「参加できない」と終わらせるのではなく、道具を変える、距離を短くする、動作を一部にするなど、活動の条件を調整することで参加できる場面を増やせることがあります。「できないことを減らす」のではなく、「できる方法を探す」という視点は、特別支援教育全体に共通する大切な考え方です。

④病弱・身体虚弱特別支援学級

病弱・身体虚弱特別支援学級は、病気や身体の状態などによって、継続的に学習や生活上の配慮が必要な児童生徒を対象とする特別支援学級です。ここで大切なのは、「病気がある=必ず病弱特別支援学級で学ぶ」というわけではないということです。病気の種類だけではなく、健康状態や学習への影響、必要な配慮などを含めて、教育的なニーズを考える必要があります。

病弱・身体虚弱特別支援学級ではどんな授業をする?

基本的には、健康状態に十分配慮しながら学習を進めます。例えば、体調に合わせて学習時間を調整する、休憩を取りながら学習する、運動や活動の内容を調整する、服薬や医療的な配慮について関係者と連携する、欠席や早退による学習の遅れに対応するなどです。

そのため、担任だけで判断するのではなく、保護者や医療機関、養護教諭、関係する専門職などと連携しながら教育を進めることが重要です。

院内学級とは違うの?

「病弱」と聞くと、病院の中にある院内学級をイメージする方もいるかもしれません。しかし、病弱・身体虚弱特別支援学級と院内学級は同じものではありません。院内学級は病院に入院している子どもの学習を保障するために病院内に設置された学級などを指しますが、病弱・身体虚弱特別支援学級は小学校や中学校などに設置される学級です。病気の治療と教育をどのようにつなげていくかという点では共通していますが、設置される場所や教育の形態には違いがあります。

⑤弱視特別支援学級

弱視特別支援学級は、視覚による認識に困難があり、学習や学校生活の中で特別な配慮が必要な児童生徒を対象とする特別支援学級です。「見えない」ということだけではなく、「見えにくいことで学習や生活にどのような困難が生じているか」という視点が重要になります。

弱視特別支援学級ではどんな配慮をする?

  • 教材を拡大する
  • 文字や図を見やすくする
  • 照明や座席の位置を調整する
  • 拡大読書器などの視覚補助具を活用する
  • 必要に応じてICT機器を活用する
  • 教室内の物の配置を分かりやすくする

同じ教材を全員に配れば平等に学べるとは限りません。教材を拡大したり、タブレットで確認できるようにしたりすることで、情報にアクセスしやすい環境をつくることが重要になります。

特別支援教育で大切な考え方

「全員に同じものを与えること」が、必ずしも「公平」とは限りません。

一人ひとりが学習に参加できるように、必要な環境や方法を整えること。それも特別支援教育における大切な支援の一つです。

⑥難聴特別支援学級

難聴特別支援学級は、聴覚による情報の取得に困難があり、学校生活や学習に特別な配慮が必要な児童生徒を対象とする特別支援学級です。

難聴特別支援学級ではどんな配慮をする?

  • 教師の顔が見える位置で話す
  • 教室内の騒音を減らす
  • 重要な内容を板書する
  • 視覚的な情報を併用する
  • 補聴器や人工内耳などを適切に活用する
  • 友達の発言内容を確認できるようにする

特に重要なのが、「聞こえているから、すべて理解できている」とは限らないということです。教室がざわざわしている中で教師の声を聞き取ることは、静かな場所で一対一で話を聞くよりも難しくなります。そのため、音声だけに頼らず、板書や資料、写真、図などを組み合わせて情報を伝えることが大切です。

これは、教師が「話し方」を変えるだけではなく、教室そのものを「分かりやすい環境」に変えていくという発想です。

⑦言語障害特別支援学級

言語障害特別支援学級は、話すことや聞くこと、発音など、言語に関する困難がある児童生徒を対象とする特別支援学級です。言語障害と一口に言っても、その状態はさまざまです。例えば、発音が正確にできない、話すことに時間がかかる、言葉をうまく組み立てられない、相手に伝わるように話すことが難しい、話すことに強い不安を感じるなど、さまざまな困難が考えられます。

言語障害特別支援学級ではどんな指導をする?

子どもの言語面の課題に応じて、個別または小集団での指導を行うことがあります。発音の練習や、言葉を使って自分の考えを伝える練習、会話の練習などです。ただし、言語面の困難だけに注目するのではなく、「言葉を使って何をしたいのか」という視点も大切です。

例えば、「正しく発音できるようになる」ことだけが目標なのではなく、「友達に自分の考えを伝えられる」「困ったときに助けを求められる」といった、実際の生活や学習につながる目標を考えることが重要です。言葉をうまく話せない子どもに「もっと大きな声で言って」と繰り返し求めるだけでは、本人の負担が大きくなってしまうことがあります。本人が安心して話せる環境をつくりながら、必要な支援を行っていくことが大切です。

7種類の特別支援学級を簡単に整理すると

種類特に大切な視点
知的障害学習内容を具体化し、生活と結び付ける
自閉症・情緒障害特性に応じて環境を整え、見通しや対人関係を支える
肢体不自由身体の状態に合わせて学習への参加方法を工夫する
病弱・身体虚弱健康状態と学習の両方を考える
弱視視覚情報にアクセスしやすい環境をつくる
難聴音声だけに頼らず、情報を多様な方法で伝える
言語障害言葉の困難だけでなく、コミュニケーション全体を支える

特別支援学級の種類によって授業はどう違う?

ここまで、特別支援学級には7種類あること、それぞれの学級で対象となる子どもや必要な支援が異なることを説明してきました。では、実際の授業はどう違うのでしょうか。

「特別支援学級だから、普通の小学校とはまったく違う授業をする」と考えるのは少し違います。特別支援学級でも、国語、算数、理科、社会、音楽、図画工作、体育などの教科学習を行います。一方で、子どもの障害の状態や発達段階、学習上・生活上の困難などに応じて、教育課程や指導方法を工夫することができます。つまり、重要なのは「何を学ぶか」だけではなく、「どのように学ぶか」です。

知的障害学級ではどんな授業をする?

知的障害特別支援学級では、子どもの発達段階や学習上の課題に応じて、教科学習だけでなく、生活に結び付いた学習を取り入れることがあります。例えば、算数で「お金」を学習する場合、教科書を使って硬貨の種類や金額を学ぶことも大切です。しかし、それだけではなく、

  • 実際の硬貨を触る
  • 100円で買えるものを探す
  • 買い物をする
  • 店員にお金を渡す
  • おつりを確認する

といった実生活に近い活動につなげることで、学習したことを使う場面をつくることができます。「時間」の学習であれば、時計の読み方を練習するだけではなく、「9時になったら登校する」「10時になったら休み時間」といった生活場面で時間を理解することにつなげることもできます。このように、知的障害特別支援学級では、教科の学習と生活経験を結び付けることが重要なポイントになります。

自閉症・情緒障害学級ではどんな授業をする?

一方、自閉症・情緒障害特別支援学級では、基本的に各教科等の学習を行いながら、子どもの実態に応じて自立活動を取り入れていきます。学習内容そのものは理解できていても、集団参加や予定変更への対応、感情のコントロールなどに困難がある場合、教科学習の内容を教えるだけでは学校生活全体の困難は解決しません。そこで、自立活動を通して、子どもが学校生活を送りやすくなるための力を育てていくことがあります。

特別支援学級では自立活動をどう取り入れる?

自立活動は、特別支援教育を理解するうえで非常に重要なキーワードです。障害による学習上または生活上の困難を改善・克服するために必要な知識や技能、態度、習慣などを育てます。重要なのは、自立活動を「自立活動の時間だけの指導」にしないことです。例えば、「困ったときに先生に伝える」という目標を設定したのであれば、自立活動の時間に練習するだけではなく、実際の授業、休み時間、給食、行事などの場面でも使えるようにしていくことが大切です。

【元・特別支援学級担任の実践コラム】

朝の支度が「できる」ようになったのは、教え方を変えたから

特別支援学級の担任をしていたときに印象に残っている事例があります。その児童は、朝の支度にとても時間がかかり、時間が迫ってくるとパニックになりやすい傾向がありました。「早く準備しよう」と声をかけても、なかなか行動に移すことができません。

そこで、朝の支度を一つの大きな仕事として考えるのではなく、一つひとつの作業に細かく分解しました。さらに、タイマーを使って、「いつまでに終わればいいのか」を目で確認できるようにしました。すると、少しずつ自分から行動できるようになり、朝の準備がスムーズになっていきました。

この経験から強く感じたのは、「教え込む」ことと「できる環境を整える」ことは違うということです。本人に「もっと頑張って」と求めるのではなく、本人が動きやすい環境をつくる。その結果として、自分から行動できるようになる。この経験は、特別支援学級の担任として、支援の方法を考えるときの自分の大きな軸になりました。

通常学級と同じ教科を学ぶの?

「特別支援学級では、通常学級とは違う教科を勉強するの?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。答えは、学級の種類や子どもの実態、教育課程によって異なります。

特別支援学級でも国語や算数などの教科学習を行いますが、子どもの障害の状態や発達段階、学習上・生活上の困難などに応じて、特別の教育課程を編成することができます。例えば、知的障害のある子どもの場合には、知的障害特別支援学校の各教科の内容を参考にしながら教育課程を編成することがあります。一方、自閉症・情緒障害特別支援学級では、通常の学級と同じ教科等を中心に学習しながら、自立活動を取り入れるなど、子どもの実態に応じた教育課程を編成することがあります。

したがって、「特別支援学級では勉強が簡単になる」という理解は正確ではありません。むしろ大切なのは、子どもが学習内容を理解し、身に付けた力を実際の生活の中で活用できるように、教育課程や指導方法を工夫することです。

ここまでのポイント

  • 特別支援学級でも各教科の学習を行う
  • 子どもの実態に応じて教育課程を工夫できる
  • 知的障害学級では生活と結び付いた学習が重要になることがある
  • 自閉症・情緒障害学級では自立活動が重要になることがある
  • 「何を教えるか」だけでなく「どうすれば学べるか」を考える

ここまで見てくると、特別支援学級の授業は、単に「通常学級よりも少人数で勉強する」というものではないことが分かります。子どもの実態に合わせて、教育課程、教材、環境、時間、伝え方、活動への参加方法などを工夫しながら、学びや生活を支えていきます。

次は、「特別支援学級と通常学級の違い」について解説します。学級の人数だけではなく、教育課程、学習環境、個別の支援、そして通常学級との交流及び共同学習まで掘り下げていきます。

特別支援学級と通常学級の違い

「特別支援学級と通常学級は何が違うの?」特別支援学級を検討している保護者の方や、詳しく知りたい方からすると、とても気になるところではないでしょうか。

特別支援学級と通常学級の大きな違いは、単純に「人数が少ないこと」だけではありません。子どもの障害の状態や学習上・生活上の困難に応じて、教育課程や指導方法、学習環境などを柔軟に工夫できることが、特別支援学級の大きな特徴です。ここでは、通常学級との違いを、次の5つの視点から分かりやすく説明します。

  1. 学級の人数
  2. 教育課程
  3. 授業・指導方法
  4. 個別の支援
  5. 通常学級との交流及び共同学習

①学級の人数が少なく、一人ひとりに合わせた指導をしやすい

特別支援学級の大きな特徴の一つが、通常学級よりも少人数で学習できることです。通常の小学校では、1学級あたりの児童数が比較的多く、一斉指導を基本として授業が進められることが多くあります。一方、特別支援学級では少人数の環境を生かし、子どもの実態をより細かく把握しながら指導を行うことができます。

例えば、同じ算数の授業でも、問題を解く量を調整する、具体物や図・写真を使って説明する、問題文を短く区切る、理解できたところで次の課題に進むといった工夫がしやすくなります。ただし、「少人数だから必ず一人ひとりにぴったり合った授業になる」というわけではありません。少人数だからこそ、子どもの実態を丁寧に把握し、「この子にはどのような方法なら分かりやすいのか」を考える教師の専門性が重要になります。

②教育課程を子どもの実態に応じて工夫できる

特別支援学級と通常学級の違いを理解するうえで、非常に重要なのが教育課程です。特別支援学級でも国語や算数などの教科学習を行いますが、子どもの障害の状態や発達段階、学習上・生活上の困難などに応じて、教育課程を工夫することができます。

例えば、知的障害のある児童の場合、通常の学級と同じ学年の教科書を使って学習することだけが学びではありません。子どもの実態に応じて、知的障害特別支援学校の各教科の内容を参考にした教育課程を編成することもあります。一方、自閉症・情緒障害特別支援学級では、通常の学級と同じ教科学習を中心に行いながら、子どもの困難に応じて自立活動を取り入れることがあります。つまり、特別支援学級では、

「この子に、何を、どのような順番で、どのような方法で学んでもらうか」

という視点から教育課程を考えることができます。

特別支援学級の教育課程がどのように編成されるのか、より詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

③授業の進め方や教材を一人ひとりに合わせやすい

通常学級では、教師がクラス全体に説明し、児童が同じ時間に同じ内容を学習する一斉指導が中心になります。もちろん通常学級でも個別の配慮は行われますが、30人前後の子どもを同時に指導しながら、一人ひとりに合わせて授業の進め方を大きく変えることには限界があります。

特別支援学級では、少人数という環境を生かして、視覚的な教材を多く使う、一つの課題を小さく分ける、活動の順番をカードで示す、タイマーで活動時間を示す、休憩を取り入れる、実物や体験を取り入れるなど、授業方法を調整しやすくなります。こうした工夫は「特別扱い」ではなく、子どもが学習に参加し、力を発揮するために必要な環境調整と考えることができます。

「同じ教え方」ではなく「分かる教え方」を考える

私自身、特別支援学級を担任していて、このことを何度も実感しました。教師が一生懸命説明しているのに、子どもが理解できないことがあります。そのとき、つい「もう一度説明しよう」「もっと分かりやすく説明しよう」と考えてしまいます。しかし、場合によっては、説明を増やすことよりも「説明そのものを減らす」ほうが効果的なことがあります。

例えば、言葉で10個説明するのではなく、写真やカードで3つの手順を示す。「早く準備しよう」と声をかけ続けるのではなく、タイマーで終わりの時間を見えるようにする。このように、教師の言葉を増やすのではなく、子どもが自分で理解できる環境をつくることが、特別支援学級の授業では重要になります。

④子どもの困りごとに合わせた個別の支援を行いやすい

特別支援学級では、学習面だけでなく、朝の支度に時間がかかる、予定変更への対応が難しい、感情のコントロールが難しいといった学校生活上の困りごとについても支援を考えます。本人に「頑張らせる」だけではなく、環境や伝え方を調整することがあります。例えば、

困りごと支援の例
予定が分からない写真・イラスト・予定表で視覚化する
作業の順番が分からない手順カードを使う
時間の感覚がつかみにくいタイマーを使う
刺激が多いと集中できない座席や環境を調整する
困ったことを伝えられない言葉やカードで援助を求める練習をする

【元・特別支援学級担任の実践コラム】

「できない」のではなく、「分かる方法」が違った

特別支援学級の担任をしていると、「この子はなぜできないんだろう」と考える場面があります。しかし、実際には「できない」のではなく、「今の伝え方では分からない」ということが少なくありません。先ほど紹介した買い物学習の児童も、視覚的な手順カードに変えたことで、見通しが持てるようになり、驚くほど落ち着いて活動できるようになりました。

教師が「もっと教えなければ」と考える前に、「この子にとって、今の環境は分かりやすいだろうか?」と考えることの大切さを、この経験から学びました。

⑤通常学級との「交流及び共同学習」がある

特別支援学級に在籍しているからといって、学校生活のすべてを特別支援学級の教室で過ごすわけではありません。学校によって実施方法は異なりますが、体育、音楽、図画工作、給食、休み時間、学校行事、遠足・校外学習など、子どもの実態や教育的なねらいに応じて、通常学級の児童と一緒に活動する「交流及び共同学習」が行われることがあります。

目的は、単純に「通常学級に参加すること」だけではありません。特別支援学級の児童と通常学級の児童が一緒に学習したり活動したりすることを通して、互いを理解し、共に学ぶ機会をつくることが大切です。

交流学級に「全部参加すればいい」というわけではない

「通常学級の授業にできるだけたくさん参加したほうがいい」と考えることもできます。しかし、私は特別支援学級の担任を経験する中で、参加する時間の長さだけを目標にするのは違うと感じるようになりました。大切なのは、

「その子にとって、どのような参加が学びにつながるのか」

ということです。通常学級の体育に30分間参加して、ほとんど活動できず疲れ切ってしまうのであれば、必ずしもそれが最善とは限りません。逆に、最初は10分間だけ参加して、その時間に「できた」「楽しかった」という経験ができれば、それが次の参加につながることもあります。先ほど紹介した、運動会で自分から列に並び、笑顔で踊りきった児童のエピソードも、まさにこの積み重ねの先にあったものでした。

特別支援学級と通常学級の違いを比較すると

項目通常学級特別支援学級
人数比較的大人数での一斉指導少人数での指導
教育課程学年の教育課程を基本とする子どもの実態に応じて工夫できる
授業学級全体での一斉指導が中心個別・小集団での指導を取り入れやすい
支援学級全体への配慮を基本に個別支援を行う個々の実態に応じた支援を行いやすい
交流学級内での活動が中心通常学級との交流及び共同学習を行うことがある

「特別支援学級=勉強が簡単」というわけではない

特別支援学級について、保護者の方からよく出てくる疑問の一つに、

「特別支援学級に入ると、勉強が簡単になるの?」

というものがあります。これは一概には言えません。特別支援学級では、子どもの障害の状態や発達段階、学習上・生活上の困難に応じて教育課程を工夫します。そのため、通常学級と同じ内容を同じ方法で学習する場合もあれば、子どもの実態に合わせて学習内容や方法を調整する場合もあります。大切なのは、「簡単にすること」ではなく、「その子が学べるようにすること」です。

特別支援教育では、「みんなと同じ内容を学ぶこと」だけを学びの基準にしないことが重要です。

特別支援学級と通常学級の違い|この記事のポイント

  • 特別支援学級は通常学級より少人数で指導できる
  • 子どもの実態に応じて教育課程を工夫できる
  • 教材や授業方法を一人ひとりに合わせやすい
  • 学習だけでなく生活上の困難にも支援を行う
  • 通常学級との交流及び共同学習を行うことがある
  • 特別支援学級は「勉強が簡単な学級」ではない
  • 大切なのは「簡単にする」ことではなく「学べるようにする」こと

特別支援学級と通常学級の違いを考えるとき、最も大切なのは「どちらが良い・悪い」という比較ではありません。子どもによって、安心して学べる環境も、力を発揮できる学び方も違います。だからこそ、

「この子にとって、どのような環境なら学びやすいのか?」

という視点から考えることが大切です。では、「特別支援学級」と混同されやすい「通級指導教室」とは、何が違うのでしょうか。最後に、この2つの違いを整理します。

特別支援学級と通級指導教室の違い

特別支援教育について調べていると、「特別支援学級」と「通級指導教室」という言葉を目にすることがあります。どちらも、通常の学級で学ぶことに難しさがある子どもを支える仕組みですが、大きな違いは「どこに在籍して、どこで指導を受けるのか」という点です。

特別支援学級通級指導教室
在籍特別支援学級通常学級
学習の中心特別支援学級通常学級
特別な指導在籍学級で受ける通常学級とは別の場で受けることがある

通級指導教室は、基本的に通常の学級に在籍しながら、障害による学習上または生活上の困難を改善・克服するために、特別な指導を受ける仕組みです。一方、特別支援学級では、特別支援学級そのものが在籍する学級となり、その子どもの実態に応じた教育課程や指導を行います。

一番大きな違いは「在籍する場所」

特別支援学級の場合、子どもは特別支援学級に在籍し、日常の学校生活や授業も特別支援学級を中心として教育課程が組まれます。もちろん、必要に応じて通常学級との交流及び共同学習を行うこともあります。一方、通級指導教室の場合は、基本的に通常学級に在籍したまま、必要な時間に通級指導教室で特別な指導を受けます。

イメージすると分かりやすい

特別支援学級

「特別支援学級を生活・学習の中心にする」

通級指導教室

「通常学級を生活・学習の中心にしながら、必要な時間に通級する」

対象・指導内容の違い

「この障害なら必ず特別支援学級」「この障害なら必ず通級」というように、障害名だけで機械的に決まるものではありません。子どもの障害の状態、発達段階、学習上・生活上の困難、必要な支援などを総合的に考えることが重要です。

特別支援学級では、教科の学習だけでなく、学校生活全体を見通して支援を考えられることが大きな特徴です。一方、通級指導教室では、通常学級での学習や生活を続けながら、発音や言葉の使い方、対人関係、感情のコントロールなど、特に支援が必要な部分について重点的に指導するという考え方になります。

ここで注意したいポイント

「特別支援学級のほうが支援が手厚い」「通級のほうが軽い」という単純な比較ではありません。子どもがどのような困難を抱えていて、どの程度の支援が必要なのかによって、適した学びの場を考えることが大切です。

どちらが子どもに合っている?

「うちの子は特別支援学級と通級のどちらが合っているのだろう?」——これは、保護者にとって非常に悩ましい問題です。単純に「こちらのほうが良い」と決められるものではなく、現在の子どもの困りごとと、必要な支援の量・方法を考えることが大切です。

考えるときのポイント

  • 通常学級での授業にどの程度参加できているか
  • どのような場面で困難が生じているか
  • どのような支援があれば学習できるか
  • 集団の中で過ごすことにどの程度の負担があるか
  • 本人がどのような環境で安心して学べるか

そして、もう一つ大切なのが、「今の状態だけで決めない」ということです。子どもは成長します。今は通常学級で困っていることが多くても、適切な支援を受けることでできることが増える場合があります。担任、保護者、特別支援教育コーディネーターなどが子どもの様子を共有しながら、「今、この子にどのような学びの場が必要なのか」を考えていくことが大切です。

【元・特別支援学級担任として感じたこと】

「どちらの学級がいい?」ではなく「どんな環境なら力を発揮できる?」

特別支援学級の担任をしていると、「特別支援学級に入ったほうがいいですか?」と相談されることがあります。そのとき、私は「特別支援学級が良い」「通常学級が良い」と簡単に答えることはできません。子どもによって困っていることがまったく違うからです。

私が大切だと感じてきたのは、学級の名前から考えるのではなく、

「この子が安心して学び、自分の力を発揮するには、どんな環境が必要なのか?」

というところから考えることです。特別支援教育では、「どこに在籍するか」だけではなく、その子がどんな支援を受けながら、どんな力を身に付けていくのかを見ることが大切だと思っています。

特別支援学級と通級、うちの子にはどちらが合う?

在籍・対象・指導内容・メリットデメリットまで、より詳しく比較したい方はこちらの記事もご覧ください。
支援学級と通級、うちの子に合うのはどっち?後悔しない特別支援学級・通級指導教室の選び方

特別支援学級と通級指導教室は、どちらも子どもの学びを支える大切な仕組みですが、「在籍する場所」と「支援の受け方」に大きな違いがあります。どちらを選ぶべきかを考えるときに大切なのは、単純な優劣ではありません。「その子にとって、どのような環境なら安心して学び、持っている力を発揮できるのか」という視点から考えることが大切です。

特別支援学級は、そのための一つの学びの場です。そして、特別支援学級に在籍しているからといって、通常学級とのつながりがなくなるわけでもありません。交流及び共同学習などを通して、通常学級の子どもたちと一緒に学ぶ機会もあります。

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