特別支援学級や通級指導教室、あるいは通常の学級での学級経営において、このような悩みをお持ちではありませんか?
「子どもたちの対人トラブルを減らしたいけれど、良い教材が見つからない」
「自立活動の指導案作成や教材準備に時間がかかりすぎてしまう」
「子どもの実態に合った、視覚的にわかりやすいワークシートが欲しい」
ソーシャルスキルトレーニング(SST)や自立活動の指導では、子どもの特性に合わせた教材選びが非常に重要です。しかし、日々の多忙な業務の中で、ゼロから教材を手作りするのは至難の業です。
そこで本記事では、現役の教育現場ですぐに使える「自立活動・SST 無料プリント」を厳選してご紹介します。
- 授業ですぐに使えるSST・自立活動の無料プリント教材(全11種)の入手先
- 各教材を使った具体的な指導手順と、効果的な「教師の声かけ」のコツ
- 子どもの「自己理解」や「他者理解」を深めるための授業展開のヒント
紹介するプリントはすべて無料でダウンロード可能です。明日の授業準備の時間を短縮しつつ、子どもたちの笑顔が増える指導の一助としてご活用ください。
また、自立活動の基本的な指導内容や学習指導要領との関連については、文部科学省のガイドラインも合わせて参照すると、より理解が深まります。
(参考リンク)文部科学省:特別支援学校学習指導要領解説 自立活動編
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感情のコントロールを学ぶ SST 無料プリント
自分の気持ちを言葉にするのが苦手な子どもたちにとって、感情を可視化するツールは必須です。まずは、自分の心と向き合うための基礎的なプリントをご紹介します。
1. こころの天気予報|自分の気持ちを「天気」で表現する
子どもがイライラしていたり、落ち込んでいたりするとき、「どうしたの?」「何があったの?」と聞いても、うまく答えられないことがよくあります。そんな時に役立つのが「こころの天気予報」プリントです。
この教材は、自分の感情を「天気」に例えることで、子どもが直感的に今の気分を表現できるように工夫されています。
【使い方のポイント】
ワークシートには以下の天気マークと感情が対応して描かれています。
- 🌞 晴れ:うれしい・たのしい
- ☁️ くもり:なんとなくモヤモヤ
- 🌧️ 雨:かなしい・がっかり
- ⚡ 雷:いらいら・怒っている
指導の具体例(声かけ)
朝の会や、授業の導入でこのシートを提示します。
「みんな、今日のこころの天気はどんな感じかな? 指で差してみてね」
もし「雷」を選んだ子がいたら、「そっか、今は雷なんだね。教えてくれてありがとう」と、まずはその感情を受け止めます。無理に理由を聞き出そうとせず、「自分の気持ちを表現できたこと」を評価してあげてください。
ホワイトボードに大きな天気マークを用意し、子どもたちが自分のネームプレートを貼る形式にするのもおすすめです。クラス全体の「今の気分」が可視化され、教師も学級の雰囲気を瞬時に把握できます。

2. 振り返りシート(4ステップ)|パニック後のクールダウンに
トラブルが起きてしまった直後、子どもは興奮状態でうまく説明ができません。そんな時に活用したいのが、事実と感情を整理するための「振り返りシート」です。
【このプリントの特徴】
認知行動療法(CBT)の考え方を取り入れ、以下の4つのステップで構成されています。
- できごと(いつ?どこで?だれと?)
- 気持ち(イライラ、かなしい、くやしい等を選択+自由記述)
- 行動(手が出た、叫んだ、逃げた等を選択+自由記述)
- ふり返り(よかった?よくなかった?こんどはどうする?)
指導の具体例
トラブル直後のクールダウンしたタイミングで使用します。
「少し落ち着いたね。さっき何があったか、この紙に丸をつけて教えてくれる?」
書くことが苦手な子でも、選択肢があることで「自分は怒っていたんだ」「叩いてしまったんだ」と客観的に認識しやすくなります。「こんどはどうする?」の欄を一緒に埋めることで、次のトラブル防止につなげることができます。

トラブルを未然に防ぐ SST 無料プリント(学校生活編)
学校生活には、廊下歩行や休み時間など「暗黙のルール」がたくさんあります。これらを視覚的に学び、適切な行動を身につけるための教材です。
3. こんなときどうする?|廊下でぶつかった時の対応
廊下を走って友達とぶつかってしまった時、とっさに「ごめんね」と言えず、トラブルになることがあります。このプリントは、具体的な場面設定を通して、適切な対応を学ぶことができます。
【授業での活用法】
A4サイズで印刷できるワークシートに加え、提示用のイラストも提供しています。テレビや電子黒板に映し出して、クラス全体で話し合う活動に最適です。
指導の展開例
- イラストを見せて「この後、どうなりそうかな?」と想像させる。
- 「もし自分だったら、なんて言う?」と問いかける。
- 実際に教室でロールプレイ(役割演技)を行い、「大丈夫?」「ごめんね」と言葉にする練習をする。
活動の入り口として活用することで、実際の場面でもスムーズな言葉かけができるようになります。

4〜7. 学校生活の過ごし方シリーズ|休み時間・給食・掃除
ここでは、学校生活の「特定の場面」にフォーカスした SST 無料プリント を4枚セットでご紹介します。これらは日常の場面を切り取ったイラストを見ながら、「自分ならどうするか」「相手はどう思うか」を考える実践的なワークです。

👉 学校生活SSTワークシート(4〜7)の無料ダウンロードはこちら
4. 授業と授業の間の「短い休み時間」
10分休みなどは時間が短く、トイレや移動教室の準備などで慌ただしくなりがちです。見通しを持てずにパニックになる子もいます。
- ねらい: 限られた時間で何を優先すべきか(トイレ、水分補給、準備など)を整理し、優先順位をつける練習をします。
5. 昼休みのトラブル防止(校内・校庭)
自由度の高い昼休みは、最もトラブルが起きやすい時間帯です。
- ワークの内容: イラストを見ながら以下の問いを考えます。
- 「楽しそうに過ごしている人は誰?」
- 「注意してあげたい人は誰? なんて声をかける?」
- 「自分ならどこで何をする?」
- 発展活動: ワークシートで考えた後、実際に学校内を歩いて「安心して過ごせる場所マップ」を作るのがおすすめです。「教室がうるさい時は図書室に行こう」など、自分の避難場所(クールダウンスペース)を確保することは、学校への安心感に直結します。
6. 給食のマナーと思いやり
給食指導は「早く食べなさい」といった注意になりがちですが、SSTの視点を入れることで「楽しいコミュニケーションの時間」に変えられます。
- ワークの内容:
- 「マナーを守れている人は?」
- 「苦手な野菜を頑張って食べた友達に、どんな言葉をかける?」
- 指導のコツ: 「〇〇さんがんばってるね」「一緒に食べてみようか」といった具体的な肯定語のストックを増やしてあげましょう。自分が言われて嬉しい言葉は、相手に言っても喜ばれます。
7. 昼休みの教室での過ごし方
雨の日など、教室内で過ごさなければならない時のルール確認に使います。
机の上に乗ったり、大きな声を出したりしているイラストを見て、「なぜ危ないのか」「周りの人はどんな気持ちか」を考えさせます。
※このシリーズは、担任の先生の声かけ一つで、クラスの雰囲気が劇的に変わる良質な教材です。
自己肯定感を高める SST 無料プリント(振り返り・自己理解)
SSTや自立活動の最終的な目標は、子どもたちが自分自身を理解し、主体的に行動できるようになることです。そのために欠かせない「自己理解」と「振り返り」のツールを紹介します。
8. 1日の振り返りシート|「できたこと」に注目する
毎日の終わりに活用する振り返りシートです。このシートの最大のねらいは、反省させることではなく、「成功体験」を言語化し、自己肯定感を高めることにあります。
【シートの記入項目】
子どもが負担なく継続できるよう、項目は極めてシンプルに設計されています。
- 今日できたこと
- もう少しがんばりたいこと
記入例
- 今日できたこと: 発表のとき、みんなの方を見て話せた。給食を時間内に食べ終わった。
- もう少しがんばりたいこと: 先生の話を最後まで座って聞く。
指導のポイント
「できたこと」が見つからない子には、教師が「今日は朝の挨拶が元気だったね」とフィードバックし、それを書かせてください。小さな「できた」の積み重ねが、次の挑戦へのエネルギー(心理的な安定)となります。

9. わたしのトリセツ(自己理解シート)|自分の特性を伝える
高学年の児童や、自分の特性について考え始めた子にぜひ取り組んでほしいのが、この「わたしのトリセツ」です。
これは、自分が「どんな時に困りやすいか」「どう助けてほしいか」を整理し、周囲(先生や友達)に伝えるための自己権利擁護(セルフ・アドボカシー)のツールです。
【シートの構成】
- なまえ(ニックネーム)
- すきなこと・じかん
- きらいなこと・にがてなこと
- こんなとき、こうしてほしい(自分のトリセツ)
- 自分のいいところ
- これからできるようになりたいこと
活用のメリット
例えば「大きな音が苦手です。雷が鳴ったらイヤーマフを使いたいです」と自分で書くことができれば、それは「わがまま」ではなく「必要な支援の要請」になります。
イラスト入りで低学年でも取り組みやすく、個別の指導計画作成時の本人面談資料としても非常に有効です。

楽しくコミュニケーション!ゲーム形式の SST 無料プリント
最後は、楽しみながら自然と他者と関われる、ゲーム形式のSST教材です。学級開きや、席替え後のアイスブレイクに最適です。
10. わたしのベスト3|会話のきっかけを作る
「何を話せばいいかわからない」という子にとって、テーマが決まっている活動は安心感があります。
【やり方:かんたん3ステップ】
- テーマを決める: 子どもの興味や季節に合わせて設定します。
- 身近なテーマ: 「好きな給食ベスト3」「夏休みに楽しかったことベスト3」
- 創造的なテーマ: 「無人島に持っていくものベスト3」「魔法が使えたらやりたいことベスト3」
- ワークシートに記入: 自分のベスト3を書き込みます。
- 発表・交流: ペアやグループで見せ合い、「それ、僕も好き!」「えー、意外!」といった反応を楽しみます。
準備が簡単で、5分〜10分の隙間時間でも実践できるのが魅力です。

11. 自己紹介ビンゴ|動いて、話して、仲間を見つける
「自己紹介ビンゴ」は、ただの自己紹介ではなく、ゲーム性を持たせたインタビュー活動です。
【ルールの概要】
ビンゴカードの各マスには、「朝ごはんにパンを食べた人」「夏休みに海に行った人」「犬を飼っている人」などの特徴(条件)が書かれています。
子どもたちは教室を歩き回り、友達に「ねえ、今日の朝ごはんはパンだった?」とインタビューします。条件に合う人を見つけたらサインをもらい、タテ・ヨコ・ナナメを揃えていきます。
この活動のSST的効果
- 他者への関心: 相手を知ろうとする姿勢が育ちます。
- 社会的スキル: 「今、話しかけていい?」「ありがとう」といった基本スキルを自然に練習できます。
- 集団参加: 普段話さない子とも、ゲームのルール上、自然に関わることができます。
ワクワクしながら取り組む中で、教室のあちこちで笑顔がこぼれる活動です。
まとめ:SST 無料プリントをうまく活用して、指導の幅を広げよう
今回は、明日から使える「自立活動・SST 無料プリント」を11選ご紹介しました。
- こころの天気予報(感情の可視化)
- 振り返りシート(トラブル後の整理)
- こんなときどうする?(行動の予行演習)
- 学校生活SST・短い休み時間(見通しを持つ)
- 学校生活SST・昼休みのトラブル防止(安全基地の確保)
- 学校生活SST・給食のマナー(肯定的な言葉かけ)
- 学校生活SST・教室での過ごし方(ルール理解)
- 1日の振り返りシート(自己肯定感アップ)
- わたしのトリセツ(自己理解・発信)
- わたしのベスト3(会話のきっかけ)
- 自己紹介ビンゴ(他者交流・関わり)
これらの教材は、単に配って書かせるだけでなく、「先生がどう関わるか」「どうフィードバックするか」で効果が何倍にもなります。
まずは、クラスの実態に合いそうなものを1つ選んで、印刷してみてください。先生の準備が楽になれば、その分、子どもたちと向き合う余裕が生まれます。視覚的な教材の力を借りて、子どもたちの「できた!」「わかった!」を増やしていきましょう。
あなたへのおすすめアクション
まずは「こころの天気予報」か「1日の振り返りシート」を1枚ダウンロードし、明日の朝の会や帰りの会で実際に使ってみませんか? 子どもたちの反応が、きっと変わるはずです。

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