📌 この記事でわかること
- Iメッセージの基本構造と3つのメリット
- ロールプレイの場面設定と具体的な例文
- カードゲーム「Iメッセージバトル」のルールと進め方
- 実践後の子どもたちの変化(数値データあり)
- 指導を成功させる3つのコツ
「また友達とトラブルになってしまった…」「何度言っても、カッとなって怒鳴ってしまう…」
特別支援学級の担任をしていると、こんな場面に何度も直面します。子どもが悪いわけじゃない。でも、気持ちの伝え方を知らないだけで、関係がこじれていく。その歯がゆさを感じたことのある先生は多いのではないでしょうか。
今回は、そんな悩みに直接アプローチできる自立活動の実践として、「Iメッセージ」を使ったコミュニケーション指導をご紹介します。ロールプレイとオリジナルカードゲームの2ステップで、子どもたちが楽しみながら自分の気持ちを上手に伝えるスキルを育てる授業です。私自身、長年の支援学級担任経験の中でも、特に手応えを感じた実践のひとつです。
今回は、
大切なコミュニケーションスキルの中でも、相手を責めずに自分の気持ちを伝える強力なツール「Iメッセージ」に焦点を当てた自立活動の実践をご紹介します。
ロールプレイとオリジナルカードゲームという2つのアプローチで、子どもたちが楽しく、そして効果的にIメッセージを学ぶ授業を行いました。
Iメッセージとは?〜相手を責めずに気持ちを伝える方法〜
Iメッセージとは、「私は〇〇だと感じた。だから△△してほしい」というように、「私」を主語にして気持ちと要求を伝えるコミュニケーション方法です。
対になるのが「Youメッセージ」。「あなたがずるいことをした!」「バカにするな!」のように相手を主語にした言い方で、受け取る側は攻撃されたと感じやすく、トラブルがさらに悪化しがちです。
基本的には以下の2つの要素で構成されます。
1.感情表現
「私は〇〇だと感じた」「私は〇〇な気持ちになった」
2. 要求表現
「だから△△してほしい」「△△してくれると嬉しいな」
この伝え方には、驚くほどたくさんのメリットがあります。
①相手を責めずに気持ちを伝えられる
「あなたは~だ!」ではなく「私は~だと感じた」と伝えることで、相手は攻撃されたと感じにくくなります。
②自分の感情を明確に表現できる
漠然とした不満ではなく、自分がどう感じているのかを具体的に伝えることで、相手も理解しやすくなります。
③具体的な解決策を提案できる
感情を伝えるだけでなく、次にどうしてほしいのかを明確にすることで、問題解決につながりやすくなります。
Iメッセージを使う3つのメリット
① 相手を責めずに気持ちを伝えられる
「あなたは~だ!」ではなく「私は~と感じた」と伝えることで、相手は攻撃されたと感じにくくなります。防衛反応が起きにくいため、話し合いがスムーズになります。
② 感情を具体的に言語化できる
「なんか嫌だ」で終わらせず、「悲しかった」「がっかりした」と具体化することで、相手に伝わりやすくなります。感情語彙の習得にも直結します。
③ 問題解決の糸口をつくれる
「やめてほしい」「一緒に考えてほしい」と要求を言語化することで、解決に向けた対話が始まりやすくなります。
ロールプレイで実践!「困った!」を「伝わった!」に変える練習
言葉でIメッセージの構造を理解しても、実際に使うのはなかなか難しいもの。そこで、まずはロールプレイで実践的に練習しました。
基本のステップ
①ホワイトボードに基本構造を提示
「私は〇〇だと感じた。だから△△してほしい」を視覚的に示します。

②教師が模範例を分かりやすくデモンストレーション
「こんな時、私ならこう伝えるよ」と具体的に示し、子どもたちがイメージしやすいようにします。
③生徒と一緒にチャレンジ!
実際に場面を設定し、子どもたちがIメッセージを使って表現する練習をします。

具体的な場面設定とIメッセージ例
日常でよくある「困った」場面を想定し、Iメッセージの力を体験しました。
場面1:待ちに待った順番を抜かされた時
① つい言ってしまいがちな言葉
「ずるい!横入りするなよ!」(相手を非難する「Youメッセージ」)
② Iメッセージで伝えよう!
「僕は順番を抜かされて悲しかったです。次からは、ちゃんと並んでほしいです」
場面2:友達にからかわれて嫌な気持ちになった時
① つい言ってしまいがちな言葉
「バカにするな!最低!」(感情的になりやすい「Youメッセージ」)
② Iメッセージで伝えよう!
「私はからかわれて嫌な気持ちになりました。そういう言い方はやめてほしいです」

場面3:大切な物を貸してもらえなかった時
① つい言ってしまいがちな言葉
「ケチ!意地悪だな!」(相手の人格を否定するような言葉)
② Iメッセージで伝えよう!
「貸してもらえなくてがっかりしました。もしよかったら、今度貸してほしいな」
どうでしょうか?Iメッセージを使うと、同じ内容でもずいぶん印象が変わると思いませんか?
場面カードは、こちらからダウンロードできます👇※感情カードもDL可能です。ページ後半にスクロールください。
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ロールプレイで基本を学んだ後は、もっと楽しく、もっと実践的にIメッセージを使いこなすために、オリジナルのカードゲーム「Iメッセージバトル」を開発しました!
ゲームの準備
このゲームで使うのは、たった3種類のカードです。
感情カード
「嬉しい」「悲しい」「嫌だ」「がっかりした」「困った」「びっくりした」など、様々な感情が書かれたカード。

場面カード
「順番を抜かされた」「大切な物を壊された」「からかわれた」「忘れ物を指摘された」など、日常の具体的な場面が書かれたカード。
要求カード
「やめてほしい」「貸してほしい」「謝ってほしい」「一緒に考えてほしい」「次から気を付けてほしい」など、相手にしてほしいことが書かれたカード。
感情カードと場面カードのダウンロードはこちらから👇
ゲームの進め方
- 場面カードを1枚引く→例えば「順番を抜かされた」カードを引きます。
- 手札から感情カードと要求カードを選ぶ→引いた場面に合う感情カード(例:「悲しい」)と要求カード(例:「並んでほしい」)を選びます。
- 選んだカードを使ってIメッセージを完成させる→「僕は順番を抜かされて悲しかったです。次からは並んでほしいです」と声に出して伝えます。
- 先生や他の生徒が「聞き手役」になって反応する→聞き手役は、伝えられたIメッセージに対して「うん、分かったよ」「そうだったんだね」など、共感的な反応を返します。
- うまく伝えられたらポイント獲得!:より相手に伝わるIメッセージが作れたら高得点です。
ゲームのバリエーションでさらにスキルアップ!
難易度調節
最初は感情や要求が具体的に書かれたカードを使いますが、慣れてきたら「どんな感情?」「どうしてほしい?」と自分で考えさせるようにします。
チーム戦
グループで協力して、より伝わるIメッセージを考えることで、多様な表現に触れる機会を作ります。
リアクション評価
聞き手がどんな気持ちになったかを共有し、相手の立場に立った表現を考える視点も育みます。
実践後の子どもたちの変化
このロールプレイとカードゲームを組み合わせた二段階のアプローチは、子どもたちのコミュニケーション能力に目覚ましい変化をもたらしました。
- 表現のバリエーションが豊かに!
- 初回授業では、感情表現が「嫌だ」「悲しい」といった3~4種類に限定されがちでした。
- しかし、3回目以降の授業では、「がっかりした」「困った」「びっくりした」など、10種類以上の感情表現を自然と使いこなせるようになりました。
- 人間関係トラブルの減少!
- 本授業を実施したクラスでは、3ヶ月間の比較で、友達との人間関係トラブルが42%も減少しました。これは、子どもたちが衝突しそうな場面でIメッセージを活用できるようになった証拠です。
- 「伝えられる!」という自信が向上!
- 授業前に「自分の気持ちを伝えられる」と答えた児童は67%でしたが、授業後には89%にまで増加。「自分にはできる」という自己肯定感が高まったことは、何よりも大きな成果です。
実践を成功させるための3つのポイント
「Iメッセージ」の指導を効果的に進める上で、私たちが特に大切にしたポイントをご紹介します。
- 「失敗しても大丈夫!」という安心感を与える
- 最初はうまく伝えられなくても当然です。「間違えても大丈夫だよ」「練習すれば誰でもできるようになるよ」と伝え、子どもたちが安心して挑戦できる環境を作ることが重要です。
- 小さな成功を心から褒める
- 完璧なIメッセージでなくても、「『私』が主語になっているね!」「気持ちを伝えようとできたね!」など、小さな一歩でも具体的に褒めることで、子どもたちの意欲を高めます。
- 日常生活と連携し、実践の機会を増やす
- 授業で学んだスキルを実際の生活の中で活用できた時には、「あの時、Iメッセージ使えたね!すごいね!」と大いに称賛し、定着を促します。
おわりに
「Iメッセージ」の指導は、
単に言葉のスキルを教えるだけではありません。それは、自分の気持ちに気づき、それを大切にし、そして他者に敬意を払いながら表現することの大切さを学ぶ機会でもあります。
ロールプレイで基本を学び、カードゲームで楽しく反復練習するこのアプローチは、特に特別な支援が必要な子どもたちのコミュニケーション能力向上に大きな効果を発揮しました。そして、このスキルは子どもたちだけでなく、私たち大人にとっても、より良い人間関係を築くための強力なツールとなるはずです。
あなた自身の「伝えたい」も、子どもたちの「伝えたい」も、諦めずに一緒に育んでいきませんか?「こんな場面ではどう伝える?」「もっと良い表現は?」といったご意見や、皆さんの実践報告をぜひお聞かせください。
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