「個別の指導計画って、結局何を書けばいいんだろう?」
特別支援学級を担任していると、年度初めや学期末になるたびに、個別の指導計画について悩む先生も多いのではないでしょうか。
- 子どもの実態は、どこまで書けばいい?
- 長期目標と短期目標の違いがよく分からない
- 「支援の手立て」が毎回同じような文章になる
- 評価欄に何を書けばいいか迷う
- 個別の教育支援計画との違いが曖昧
- 前年度の文章を少し変えるだけになっている
私自身、特別支援学級を担任していたとき、個別の指導計画を何度も作成してきました。
最初の頃は、「様式の欄をどう埋めるか」に意識が向いてしまうこともありました。
しかし、実際に子どもたちへの指導と結び付けながら作成していく中で、本当に大切なのは、きれいな文章を書くことではなく、「子どもの姿→目標→支援→評価」を一貫させることだと考えるようになりました。
個別の指導計画は、提出するためだけの書類ではありません。
「この子にどんな力を育て、そのためにどのような指導や支援を行うのか」を整理する、いわば子どものための指導の設計図です。
この記事では、個別の指導計画とは何かという基本から、対象となる子ども、個別の教育支援計画との違い、実態把握、長期目標・短期目標、支援の手立て、評価まで、記入例を交えながら分かりやすく解説します。
「何を書けばいいのか」だけでなく、「なぜその目標や支援を書くのか」まで理解できることを目指して紹介していきます。
個別の指導計画とは?
個別の指導計画とは、一人ひとりの子どもの実態に応じて、具体的な指導目標・指導内容・指導方法などを明確にするために学校で作成する計画です。
同じ特別支援学級に在籍している子どもでも、必要な学習や支援は一人ひとり違います。
例えば「友達との関わり」という同じテーマでも、
- 友達に自分から声をかけることが難しい
- 相手との距離感をつかむことが難しい
- 嫌なことを言葉で伝えることが難しい
- 負けたり断られたりしたときに気持ちを切り替えることが難しい
など、子どもの姿によって必要な指導は変わります。
そのため、「特別支援学級だからこの活動をする」と考えるのではなく、まず目の前の子どもの実態を捉え、その子に必要な目標や指導・支援を考えることが大切です。
個別の指導計画は「指導の設計図」
個別の指導計画は、次のような流れで考えると分かりやすくなります。
子どもの姿を見る
↓
困っていること・伸ばしたい力を整理する
↓
目標を設定する
↓
具体的な指導・支援を考える
↓
実際に指導する
↓
評価して次の指導につなげる
この流れがつながっていれば、個別の指導計画は日々の授業や支援に役立つものになります。
反対に、計画に書いた目標と実際の授業がつながっていなければ、どれだけ丁寧に文章を書いても「提出するための書類」になってしまいます。

個別の指導計画を作る目的
個別の指導計画には、例えば次のような役割があります。
- 一人ひとりの実態や教育的ニーズを整理する
- 具体的な指導目標を明確にする
- 目標に対する指導内容や支援方法を考える
- 関係する教職員の間で指導や支援の方向性を共有する
- 指導した結果を評価する
- 次の学期や次年度の指導につなげる
つまり、「計画→実践→評価→改善」をつなぐために活用するものです。
「個別の指導計画を書いたけれど、その後ほとんど見ていない」
という場合は、文章の書き方より先に、「普段の授業と個別の指導計画がつながっているか」を確認してみることをおすすめします。
個別の指導計画は誰に作る?作成は義務?
「個別の指導計画は、どの子どもにも作らなければならないの?」という疑問をもつ先生もいると思います。
ここは、特別支援学級・通級による指導・通常学級を分けて考えると整理しやすくなります。
特別支援学級では作成し、効果的に活用する
特別支援学級に在籍する児童生徒については、個別の指導計画を作成し、効果的に活用することが学習指導要領に位置付けられています。
同じ学級でも、子どもによって学習内容、自立活動の目標、必要な環境調整や支援方法などは異なります。
だからこそ、一人ひとりの実態に応じた具体的な指導目標・内容・方法を整理する必要があるのです。
通級による指導でも作成し、活用する
通級による指導を受ける児童生徒についても、個別の指導計画を作成し、効果的に活用します。
通級では、通常学級での学習を基本としながら、障害による学習上・生活上の困難の改善・克服を目的とした特別の指導を受けます。
そのため、「どのようなことに困っているのか」「どんな力を育てたいのか」「どのような指導を行うのか」などを個別に整理していきます。
通常学級の場合は?
通常学級に在籍する障害のある児童生徒などについても、個々の実態を的確に把握し、各教科等の指導に当たって、個別の指導計画を作成し活用することに努めることが学習指導要領に示されています。
ここで注意したいのは、診断名だけを見て個別の指導計画を考えるのではないということです。
その子が学校生活や学習のどこで困っているのか、どのような支援を必要としているのかを把握し、実態に応じた目標・内容・方法を考えていくことが大切です。

参考:文部科学省
▶ 「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総則編」
個別の指導計画と個別の教育支援計画の違いは?
個別の指導計画について調べていると、よく出てくるのが「個別の教育支援計画」です。
名前は似ていますが、役割には違いがあります。
| 比較 | 個別の指導計画 | 個別の教育支援計画 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 学校で行う具体的な指導を明確にする | 長期的な視点で必要な支援をつなぐ |
| 主な内容 | 指導目標・指導内容・指導方法など | 本人・保護者の意向、支援目標、関係機関との連携など |
| 主な視点 | 今、学校でどのように指導するか | 長期的にどのように支援をつなぐか |
個別の教育支援計画は、教育だけでなく医療・福祉などの関係機関との連携も含め、長期的な視点で必要な支援を整理する計画です。
一方、個別の指導計画は、個別の教育支援計画なども踏まえながら、学校で具体的にどのような目標を設定し、どのような内容・方法で指導するかを明確にします。

個別の教育支援計画
「長期的に必要な支援をつなぐ」
↓
個別の指導計画
「学校で具体的に何を指導するか」
↓
日々の授業・支援
参考:文部科学省
▶ 「個別の教育支援計画と個別の指導計画」
個別の指導計画には何を書く?決まった様式はある?
個別の指導計画には、全国の学校でまったく同じ様式を使わなければならないという共通様式があるわけではありません。
自治体や学校によって様式は異なります。
様式によって名称や項目は異なりますが、例えば次のような内容を整理します。
| 項目 | 考える内容 |
|---|---|
| 実態 | できていること、困っていること、支援があるとできることなど |
| 本人・保護者の意向 | 本人が望んでいること、家庭が大切にしたいことなど |
| 長期目標 | 比較的長い期間を見通して目指す姿 |
| 短期目標 | 長期目標につながる、より具体的な目標 |
| 指導内容・支援 | 目標に向けて行う具体的な指導や手立て |
| 評価 | 子どもの変化、支援の有効性、次の課題など |
大切なのは、それぞれの欄を別々に埋めることではありません。
「この実態があるからこの目標を設定する。その目標に近づくためにこの支援を行う」というように、項目同士をつなげて考えることが重要です。
個別の指導計画の書き方|6STEPで考える
ここからは、個別の指導計画をどのような順番で考えていけばよいのかを紹介します。
STEP1 子どもの実態を把握する
↓
STEP2 本人・保護者の意向を確認する
↓
STEP3 長期目標を考える
↓
STEP4 短期目標を設定する
↓
STEP5 具体的な指導・支援を考える
↓
STEP6 評価して次の指導につなげる
STEP1|子どもの実態を把握する
最初に行うのが子どもの実態把握です。
ここが曖昧なまま目標を考えると、その子に必要な目標ではなく、「教師ができるようになってほしいこと」を並べた計画になりやすくなります。
実態を見るときは「できないこと」だけでなく、
- 今できていること
- 得意なこと・好きなこと
- 一人でできること
- 支援があるとできること
- どの場面で困りやすいか
- どのような支援があると行動しやすいか
なども見ていきます。
例えば「授業中に離席する」という姿だけでは、なぜ離席するのかまでは分かりません。
さらに観察すると、
- 課題の終わりが分からないときに離席する
- 難しい問題が続くと席を立つ
- 10分程度なら取り組める
- 課題を3つに区切ると最後まで取り組める
- 教師が近くにいると困ったことを伝えられる
といった姿が見えてくるかもしれません。
すると、「離席しない」ではなく、「課題の順番を確認し、分からないときには援助を求めながら取り組む」といった、その子に必要な力を考えやすくなります。
実態把握のポイント
「できない」で終わらず、「何があればできるのか」「どこまでならできるのか」まで見ると、その後の目標や支援が具体的になります。
STEP2|本人・保護者の意向を確認する
次に、本人がどうなりたいと思っているのか、保護者がどのような成長を願っているのかを確認します。
例えば、本人に「友達ともっと遊びたい」という願いがあったとします。
現在の姿を確認すると、「友達と遊びたい気持ちはあるが、自分から『入れて』と伝えることは難しい。教師と一緒なら伝えられる」という実態が見えてくるかもしれません。
そこで短期目標を、
教師と一緒に、友達へ「入れて」と伝えることができる。
とすれば、本人の願いと現在の実態をつなげられます。
本人や保護者の意向は大切ですが、願いをそのまま指導目標にするとは限りません。
例えば「もっと自信をもってほしい」という願いなら、「分からないときに援助を求める」「自分で選んだ活動に取り組む」など、学校で指導・評価できる具体的な姿へ落とし込んでいきます。
STEP3|長期目標を考える
長期目標は、比較的長い期間を見通して「どのような姿を目指すのか」を示す目標です。
期間や名称は学校で使用している様式によって異なるため、「長期目標=必ず1年間」と全国一律に決まっているわけではありません。
長期目標を考えるときは、現在の子どもの姿から離れすぎた大きな目標にならないようにします。
また、伸ばしたい力がたくさん見えても、すべてを重点目標にすると「今、一番大切にすること」が分かりにくくなります。
今の子どもにとって優先度の高いものは何かを整理することも大切です。
STEP4|短期目標を具体的に設定する
短期目標では、長期目標へ近づくための「今の子どもが次に到達できそうな一歩」を考えます。
大切なのは、実際の姿を見て達成できたかどうかを確認できる目標にすることです。
| 抽象的な目標 | 具体化した目標 |
|---|---|
| コミュニケーション力を高める | 困ったときに「手伝ってください」と教師に伝える |
| 落ち着いて学習する | 予定表を確認し、10分間課題に取り組む |
| 気持ちをコントロールする | 腹が立ったときに、気持ちカードから今の気持ちを選ぶ |
| 自分で行動する | 写真付き手順表を確認し、朝の準備を3つ行う |
また、最初から「一人でできる」ことを目標にする必要はありません。
教師と一緒に → 声かけがあれば → 視覚的な手掛かりがあれば → 自分で
というように、子どもの変化に合わせて必要な支援を調整していくこともできます。
STEP5|具体的な指導・支援を考える
目標を設定したら、その目標に近づくために教師が何をするのかを考えます。
例えば「課題の順番を確認し、最後まで取り組む」という目標に対して、「必要に応じて声をかける」だけでは具体的な支援が分かりません。
「取り組む課題を3つに絞って順番に提示する」「終わった課題をケースへ入れ、残りが分かるようにする」など、誰が読んでも実際の支援をイメージできる形まで具体化します。
支援・手立ての具体的な書き方は、後半でさらに詳しく紹介します。
STEP6|評価して次の指導につなげる
個別の指導計画は、作成して終わりではありません。
実際に指導した後、子どもの姿を振り返り、目標や支援が適切だったかを評価します。
評価するときは「できた・できなかった」だけでなく、どの支援が有効だったか、どの場面ではまだ難しいか、次にどのような目標や支援につなげるかまで考えます。
評価の具体的な書き方についても、後半で詳しく紹介します。

【記入例】個別の指導計画を実際に書いてみる
ここでは、6STEPの考え方を実際の記入例に当てはめてみます。
以下はあくまで考え方を示すための例です。実際には、目の前の子どもの実態や学校で使用している様式に合わせて作成してください。
記入例|見通しをもって行動することが難しい子
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 実態 | 次に何をするのか分からないと不安になり、教師に何度も確認することがある。写真付きの予定表があると、自分で次の活動を確認できる。 |
| 長期目標 | 自分に必要な手掛かりを活用しながら、見通しをもって学校生活を送る。 |
| 短期目標 | 朝の会で予定表を確認し、次の活動に必要な物を準備することができる。 |
| 支援・手立て | 写真と文字を組み合わせた一日の予定表を提示する。活動が終わったら本人がカードを外し、次の活動が分かるようにする。 |
| 評価例 | 予定表を確認することで、教師に尋ねずに次の活動へ移れる場面が増えた。予定変更時には不安になる様子があるため、変更箇所を事前に示す支援を継続する。 |
この例では、単に「自分で行動できるようにする」とはせず、「写真付き予定表があると確認できる」という実態を、そのまま支援につなげていることがポイントです。
記入例は、そのままコピーするためのものではありません。
「なぜこの目標になったのか」「なぜこの支援を設定したのか」というつながりを見ることが大切です。
学年別・場面別の記入例をもっと探したい方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
👉 個別の指導計画|1年生〜6年生の記入例・文例を詳しく見る
国語・算数の教科別の記入例はこちらです。
個別の指導計画は「3観点」で書く必要がある?
「個別の指導計画は3観点で書かなければならないの?」と迷う先生もいると思います。
ここで注意したいのは、教科の学習評価における3観点と、個別の指導計画の様式は同じものではないということです。
現在、各教科における観点別学習状況の評価は、基本的に次の3観点に整理されています。
- 知識・技能
- 思考・判断・表現
- 主体的に学習に取り組む態度
一方、個別の指導計画について、全国すべての学校で「必ずこの3観点に分けた共通様式で作成する」と定められているわけではありません。
ただし、国語や算数などの教科の目標・評価を個別の指導計画に位置付ける場合は、学習指導要領に示された目標や内容、学習評価の観点とのつながりを意識することが大切です。
「3観点」と「個別の指導計画」を混同しない
教科の学習評価では3観点を踏まえますが、個別の指導計画そのものについて全国共通の「3観点様式」が決められているわけではありません。学校で使用している様式と、指導する教科・領域の目標を確認しながら作成しましょう。
参考:文部科学省
▶ 「児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」
個別の指導計画の「支援・手立て」はどう書く?
個別の指導計画で悩みやすいのが「支援・手立て」です。
「必要に応じて声をかける」「できたら褒める」だけでは、具体的に何をするのかが分かりにくいことがあります。
① 誰が読んでも支援を再現できるようにする
個別の指導計画は、担任だけでなく、関係する教職員が指導や支援を考える際にも活用できます。
できるだけ「何を、どのようにするのか」が分かる文章にします。
| 曖昧な支援 | 具体的な支援 |
|---|---|
| 必要に応じて声をかける | 活動前に写真付き手順表を一緒に確認する |
| 集中できるよう支援する | 机上には、その時間に使用する教材だけを置く |
| 困ったら助けを求めるよう促す | 「手伝ってください」カードを用意し、言葉で伝えにくいときにも援助要請できるようにする |
② 子どもの「頑張り」だけを支援にしない
支援欄を書いているつもりでも、内容を見ると子どもへの要求になっていることがあります。
△ 支援になりにくい例
「最後まで集中して頑張るようにする」
○ 具体化した支援
「課題を10分程度で終えられる量に分け、終了するたびに確認できる手順表を提示する」
「子どもに何を求めるか」だけでなく、「そのために教師や環境をどう変えるか」まで考えることが大切です。
③ 環境調整も支援として考える
支援は、声かけや直接的な指導だけではありません。
- 座席の位置を調整する
- 机上に置く教材を整理する
- 活動の順番を視覚化する
- 課題量を調整する
- 休憩できる場所を決めておく
- 選択肢を分かりやすく提示する
子どもが自分の力を発揮しやすい環境をつくることも、重要な支援の一つです。

個別の指導計画の「評価」はどう書く?
評価を書くときは、単に「できた・できなかった」で終わらせないことが大切です。
評価するときは4つの視点で振り返る
- 子どもにどのような変化があったか
- どのような支援があるとできたか
- まだ難しいのはどのような場面か
- 次にどのような目標・支援につなげるか
評価の記入例
例えば、短期目標が「困ったときに教師へ『手伝ってください』と伝えることができる」だったとします。
△「おおむねできるようになった。」
だけでは、次の指導につながる情報が十分ではありません。
○ 評価例
机上に援助要請カードを置くことで、困ったときにカードを示したり、「手伝ってください」と伝えたりする場面が増えた。国語では自分から伝えられることが増えている。一方、算数で難しい問題が続くと黙り込むことがあるため、次学期も援助を求める方法を確認しながら、自分から伝えられる場面を広げていく。
こう書いておくと、できるようになったこと・有効だった支援・残っている課題・次の方向性が分かります。
子どもだけではなく、目標や教師の支援も振り返る
目標を達成できなかったときに、
本人が十分に取り組むことができなかった。
だけで終えると、支援の改善にはつながりません。
そのようなときは、
- 目標が現在の実態に合っていたか
- 課題が難しすぎなかったか
- 支援方法が本人に合っていたか
- 活動する時間や場所は適切だったか
- 教師の促しが多すぎたり少なすぎたりしなかったか
という視点でも振り返ります。

評価は、子どもだけを評価するものではありません。
設定した目標や指導・支援が、その子の実態に合っていたのかを確かめ、次の指導へつなげていくことが大切です。
個別の指導計画は「書いて終わり」にしない
個別の指導計画は、年度初めに作成して提出すれば終わりではありません。
本当に大切なのは、作成した計画を日々の授業や支援の中で活用することです。
日々の授業と個別の指導計画をつなげる
例えば「困ったときに援助を求める」という短期目標なら、その力を実際に使える場面を学校生活の中につくります。
- 国語で分からない問題があったとき
- 算数で道具の使い方が分からないとき
- 友達との関わりで困ったとき
- 準備や片付けで困ったとき
日常の場面で実際に指導してこそ、個別の指導計画が生きてきます。
関係する教職員と必要な情報を共有する
子どもには、担任だけでなく交流学級の担任、専科、養護教諭、支援員など複数の教職員が関わることがあります。
個別の指導計画に整理した目標や有効な支援を必要な範囲で共有し、学校の中で一貫した指導や支援につなげることが大切です。
評価した内容を次年度へ引き継ぐ
年度末には、個別の指導計画を次年度へつなげる視点も必要です。
ただし、「前年度の個別の指導計画を渡したから引き継ぎ終了」では不十分だと私は考えています。
特に有効だった支援、困りやすい場面、どこまで自分でできるようになったかなど、文章だけでは伝わりにくい部分も具体的に共有していくことが大切です。
自立活動の個別の指導計画はどう書く?
特別支援学級で特別の教育課程を編成する場合には、自立活動を取り入れます。
そのため個別の指導計画を作成する際にも、一人ひとりの実態を踏まえ、自立活動でどのような力を育てるのかを具体化することが重要です。
まずは「6区分27項目」ではなく子どもの姿から考える
自立活動について考えるとき、最初に「6区分27項目のどれを選ぼう?」と考えるのではなく、まず目の前の子どもの姿を整理します。
子どもの姿 → 背景にある困難 → 育てたい力 → 関連する自立活動の項目 → 具体的な指導内容
という流れで考えていきます。
6区分27項目すべてを指導するわけではない
自立活動には6区分27項目がありますが、すべてを順番に指導するものではありません。
子どもの実態や指導目標を踏まえて必要な項目を選び、それらを関連付けながら具体的な指導内容を設定していきます。
自立活動も基本は同じです。
「この活動をやりたい」から考えるのではなく、「この子にどんな力が必要か」から活動を考えることが大切です。
👉 自立活動の個別の指導計画|目標・支援・評価の書き方を詳しく見る
個別の指導計画でよくある5つの失敗
最後に、私自身の経験も踏まえて、個別の指導計画を作るときに気を付けたい5つのポイントを紹介します。
① 前年度の文章をそのまま使う
前年度の個別の指導計画は重要な資料ですが、文章をそのままコピーするのはおすすめできません。
まず現在の子どもの姿を見て、前年の目標や支援が今も適切なのかを確認します。
② 目標が抽象的すぎる
「コミュニケーション力を高める」「自信をもつ」だけでは、達成できたかを判断しにくくなります。
「どの場面で、何ができるようになるのか」まで具体化します。
③ 目標をたくさん設定しすぎる
子どもを丁寧に見れば、伸ばしたい力はたくさん見えてきます。
しかし、目標が多すぎると重点が分かりにくくなります。「今、この子にとって優先度の高い力は何か」を整理します。
④ 「支援」ではなく子どもへの要求を書く
「集中して取り組ませる」では、教師が何をするのかが分かりません。
「課題量を調整する」「手順表を示す」など、教師や環境側の具体的な働きかけまで考えます。
⑤ 評価しにくい目標を書く
個別の指導計画は、後から評価して見直すことを前提に作ります。
「何事にも意欲的に取り組む」よりも、「3つの課題から取り組むものを選び、10分間取り組む」のように、実際の姿を見て評価できる目標にします。
個別の指導計画で大切なのは「立派な文章」ではありません。
目の前の子どもの姿が見え、明日からどんな指導や支援をすればよいのか分かる計画になっていることの方が重要です。
個別の指導計画についてよくある質問
個別の指導計画は誰が作るのですか?
学校が作成する計画で、実際には担任などが中心となりながら、必要に応じて関係する教職員と連携して作成・活用していきます。担任一人だけで完結させるものと考えないことが大切です。
個別の指導計画はいつ作りますか?
作成や評価の時期は、学校や自治体の運用によって異なります。年度初めに作成し、学期末や年度末などに評価・見直しを行う学校もあります。子どもの実態が変化した場合には、必要に応じて目標や支援を見直していくことが重要です。
個別の指導計画は年に何回見直せばよいですか?
全国共通で「必ず年○回」と一律に決められているわけではありません。学校で定められた評価時期を基本としながら、実態や目標、支援方法に変化があれば必要に応じて見直します。
通常学級の子どもにも個別の指導計画を作りますか?
特別支援学級に在籍する児童生徒や通級による指導を受ける児童生徒については、個別の指導計画を作成し、効果的に活用することが学習指導要領に示されています。通常学級に在籍する障害のある児童生徒などについても、個々の実態を的確に把握し、個別の指導計画を作成・活用することに努めるものとされています。
保護者の願いはそのまま目標に書けばよいですか?
そのまま指導目標にするとは限りません。例えば「自信をもってほしい」という願いなら、学校でどのような姿を目指すのかを整理し、具体的に指導・評価できる目標へつなげます。
長期目標と短期目標の違いは何ですか?
長期目標は比較的長い期間を見通して目指す姿、短期目標は長期目標へ近づくための、より具体的な目標として考えると分かりやすいです。ただし、名称や期間の設定は学校の様式によって異なる場合があります。
個別の指導計画は3観点で書かなければいけませんか?
個別の指導計画そのものについて、全国一律に「必ず3観点に分けて作成する」という共通様式が定められているわけではありません。教科の学習評価における3観点と、個別の指導計画の様式は分けて考える必要があります。
個別の指導計画と個別の教育支援計画は何が違いますか?
個別の指導計画は、一人ひとりの実態に応じて学校で行う具体的な指導目標・内容・方法などを明確にする計画です。個別の教育支援計画は、長期的な視点から、教育・医療・福祉などの関係機関との連携も含めて必要な支援をつないでいくための計画です。
自立活動の個別の指導計画はどう作ればよいですか?
まず子どもの実態を整理し、学習上・生活上の困難の背景を考えます。そのうえで、自立活動の6区分27項目から必要な項目を選定・関連付け、具体的な指導目標や内容を設定していきます。
まとめ|個別の指導計画は「子どものための指導の設計図」
個別の指導計画は、決められた欄を埋めることが目的ではありません。
大切なのは、目の前の子どもの姿から、今どのような力を育てたいのかを考え、そのために必要な指導や支援を具体化することです。
子どもの姿を見る
↓
困り感・願いを整理する
↓
長期目標を考える
↓
短期目標を設定する
↓
具体的な指導・支援を考える
↓
実践する
↓
評価する
↓
目標・支援を見直す
↺
特に意識したいのは、「実態→目標→支援→評価」が一本の線でつながっているかということです。
目標を達成できなかったときも、「子どもができなかった」で終わるのではなく、目標の設定や教師の支援が適切だったのかを見直します。
個別の指導計画で一番大切なのは、きれいな文章を書くことではありません。
「この子に、今どんな力が必要なのか」「そのために教師として何ができるのか」を考え続けること。その思考を整理し、日々の指導につなげるためのものが個別の指導計画だと私は考えています。
個別の指導計画の具体例をもっと見たい方へ
具体的な文例や、自立活動・教科別の書き方については以下の記事で詳しく紹介しています。

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