【ワークシート付】座っていられない発達障害とADHDへの対処法|小学生の「座ってられない」原因と対策を徹底解説
「授業中にどうしても席を立ってしまう」
「座っていられない」
という悩みは非常に切実です。
無理に座らせようと叱責することは、子どもの自己肯定感を下げるだけでなく、二次障害(不登校やうつ状態など)を引き起こすリスクもあります。大切なのは、「なぜ座っていられないのか」という根本的な原因を理解し、その子に合った具体的なツールと環境を用意することです。
本記事では、座っていられない発達障害とADHDのある子への対処法について、教育現場での「自立活動」の視点を取り入れた専門的な解説を行います。
また、記事の後半では、子ども自身が自分の状態をコントロールできるようになるための「オリジナルワークシートと絵カード」の活用法もご紹介します。
この記事を読むと分かることこの記事では、以下の「座っていられないという困り感への対処法」に関する重要ポイントを網羅しています。
- 座ってられない子 小学生特有の学校生活での困りごとと心理的背景
- 座ってられない子 原因のメカニズム(感覚探求、筋緊張、実行機能の問題)
- ADHDの特性である「多弁(しゃべり方)」や「衝動性」の落ち着く時期について
- 学校や家庭ですぐに実践できる、具体的な環境調整と対応策
- 子どもが自分で衝動をコントロールするための「体メーター」ワークシートの使い方
座ってられない子の原因とは?発達障害と身体的要因の関係
「座っていられない」=「やる気がない」「しつけがなっていない」というのは大きな誤解です。多くの場合、脳の機能特性や身体的な感覚の問題が隠れています。ここでは主な原因を3つの視点から解説します。
1. 感覚探求(前庭覚・固有受容覚のニーズ)
ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)のある子の中には、感覚入力の調節が苦手な子がいます。特に以下の2つの感覚が満たされていないと、体を動かして刺激を補おうとします。
- 前庭覚(ぜんていかく):揺れやスピード、傾きを感じる感覚。「もっと揺れたい」「動きたい」という欲求が強く、椅子をガタガタさせたり走り回ったりします。
固有受容覚(こゆうじゅようかく):筋肉や関節の曲げ伸ばしを感じる感覚。体に力を入れたり、何かをギュッと握ったりしていないと、自分の体の輪郭がはっきりせず不安になるため、貧乏ゆすりや手遊びが止まらなくなります。

2. 低緊張(姿勢保持の難しさ)
発達障害のある子は、極端に筋肉の張りが弱い「低緊張」の場合があります。彼らにとって、背筋を伸ばして長時間座り続けることは、健常児が空気椅子をし続けるのと同じくらい過酷な重労働です。姿勢が崩れる、机に突っ伏す、椅子からずり落ちるのは、サボっているのではなく「疲労困憊」しているサインかもしれません。
3. 実行機能の弱さと衝動性
脳の司令塔である前頭葉の働き(実行機能)の弱さにより、「今は座っている時間だ」という目標に対し、目に入った刺激(窓の外の鳥、落ちた消しゴム)への反応を抑制できない状態です。
(参考外部リンク:文部科学省:発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン)
座ってられない子 小学生の現状と学校生活への影響
小学生になると、幼稚園や保育園とは異なり「45分間または40分」という長い時間を椅子に座って過ごすことが求められます。この環境変化に適応できないことを「小1プロブレム」と呼ぶこともありますが、ADHD特性のある子にとっては特に高いハードルとなります。

離席が引き起こす悪循環
授業中に歩き回ることで、以下のような悪循環に陥りやすくなります。
- 学習の遅れ:先生の話を聞き逃し、何をする時間かわからなくなる。
- 対人関係のトラブル:動いた拍子に友達の物に触れてしまったり、集中している子の邪魔をしてしまい、「迷惑な子」というレッテルを貼られる。
- 自己肯定感の低下:毎日「座りなさい!」と叱られ続けることで、「僕はダメな子なんだ」と思い込んでしまう。
ADHDの特性に関するQ&A:しゃべり方や衝動性について
座っていられないことに関連して、よく保護者の方からいただく質問に答えていきます。
Q. ADHDの人のしゃべり方の特徴は?
ADHD、特に多動・衝動性が強いタイプのお子さんは、「多弁(マシンガントーク)」という特徴が見られることがあります。
- 一方的に話す:相手が興味を持っているかに関わらず、自分の関心事を話し続ける。
- 話題が飛ぶ:話している途中で別の言葉が思い浮かぶと、文脈なしに話題が変わる。
- 割り込み:先生や友達が話している途中でも、「あ、そういえば!」と会話を遮って話し始める。
- 声のボリューム調整が苦手:興奮すると極端に声が大きくなる。
これも「口の多動」と言える状態で、脳内の思考スピードが速すぎるために言葉が溢れ出してしまう現象です。
Q. ADHD 衝動性 いつ落ち着く?
「いつになったら落ち着いて座れるようになりますか?」という質問は非常に多いです。
一般的に、多動性や身体的な衝動性は、脳の前頭前野の発達とともに、小学校高学年(10歳〜12歳頃)から中学生にかけて徐々に目立たなくなるケースが多いと言われています(これを「多動の減少」と呼びます)。
しかし、脳内の不注意(集中できない)や、精神的な衝動性(カッとなりやすい、待てない)は大人になっても残ることがあります。
重要なのは、「年齢がくれば自然に直る」と放置するのではなく、「衝動が出そうになった時にどう対処するか」というスキル(コーピング)を、小学生のうちに身につけておくことです。
ADHDなどの発達障害のある子の座っていられない困り感への対処法
では、具体的にどのような対応が必要なのでしょうか。精神論ではなく、物理的・視覚的なアプローチが有効です。

じっとできない子にはどう対応したらいいですか?
対応の基本は「動いてはいけない」ではなく「動き方を工夫する」という視点の転換です。
1. 刺激の代替案を用意する(感覚統合アプローチ)
動きたい欲求を無理やり抑え込むと、ストレスが爆発します。「授業の邪魔にならない動き」を許可しましょう。
- 手元の刺激:スクイーズや凸凹のある定規などを「手遊びグッズ(フィジェット)」として許可する。
- 足元の刺激:椅子の脚にゴムチューブを巻きつけ、それを足で引っ張ったり踏んだりできるようにする。足裏がブラブラしないよう、足置き台を置くのも必須です。
- 座面の工夫:バランスボールチェアや、突起のあるバランスクッションを椅子に敷き、座りながら微細に動けるようにする。
手遊びグッズを探されているなら、下記リンク(Amazon)のフィジェットトイが好評でした。→こちら
2. 構造化と視覚支援
「終わり」が見えないと不安でソワソワします。

- タイマー:「あと何分座っていればいいか」を残り時間の色で見える化する。
- パーソナルスペースの明示:床にテープを貼り、「ここまでは動いていいエリア」を視覚的に示す。
3. 合法的な離席(お使い作戦)
15分に1回など、限界が来る前に先生が「プリントを後ろの棚に置いてきて」「職員室にこれを届けて」と役割を与え、正当に動ける時間を作ります。

【noteで公開中】学校・家庭で使える「体メーター」ワークシートと絵カード活用術
ここまで紹介した対処法を、さらに体系化し、子ども自身がゲーム感覚で取り組めるように開発したのが、現在noteで公開している「自己調整力を育てるワークシート&絵カードセット」です。
「すわりチャレンジ」ワークシートの3つのすごい仕掛け
今回作成した「すわりチャレンジ」ワークシートは、単なるチェック表ではありません。発達支援の現場で使われる「認知行動療法」や「感覚統合」の要素を、子どもにも分かるようにかわいく落とし込んだものです。
このワークシートには、座っていられない子が自然と変わっていくための「3つの仕掛け」があります。
仕掛け1:自分の状態が見える「からだメーター」
ADHD傾向のあるお子さんは、自分の興奮状態に気づくのが苦手です。気づかないうちに爆発して離席してしまいます。
そこで、ワークシートでは自分の状態を3段階で視覚化しました
- 青(すわるのにちょうどいい):落ち着いている状態
- 黄(ちょっとうずうず):貧乏ゆすりなどが出始めたサイン
- 赤(すわるのがむずかしい):限界寸前!

「今、メーターはどこ?」と聞くだけで、子どもは自分を客観視する練習ができます。これだけで、衝動的な行動はぐっと減ります。
仕掛け2:「ダメ」の代わりに「どうする?」を選べる
「動いちゃダメ!」と言われると余計に辛くなりますが、このシートには「動いていいリスト」がついています。
「にぎにぎボール」で手の感覚を満たすのか、「あしぎゅっ」で筋肉に力を入れるのか、あるいは「1分立ってのびる」のか自分で対処法を選んで実行することで、「ボクは自分で自分をコントロールできた!」という自信が育ちます。
仕掛け3:言いにくいことも「カード」なら伝えられる
授業中に「先生、限界です」と手を挙げるのは勇気がいります。
セットに含まれるイラストカードには、「これはこべる?(お手伝いありますか)」や「ゆっくりいきをする」といったカードが含まれています。
机の隅にこのカードを置いて指差すだけで、先生と秘密の合図が送れます。誰にも怒られず、クールダウンの時間を作ることができるのです。
言葉で「静かにしなさい!」と言うよりも、視覚的なカードを見せる方が、ADHDタイプのお子さんの脳には瞬時に届きます。この教材セットには、以下のツールが含まれています。
セット内容(ダウンロード可能)
1. 体メーターカード(3枚)
自分の体の「動きたいレベル」を客観視するためのカードです。
「かるい」「うずうず」「とてもうずうず」の3段階で、今の自分がどのくらい爆発しそうかを確認します。
2. 対処法カード6枚(手・足・全身タイプ)
「うずうず」した時に、離席せずにその場でできる具体的なアクションカードです。
- 手タイプ:にぎにぎボール / えんぴつトントン
- 足タイプ:いすのしたでボール / あしぎゅっ
- 全身タイプ:1分のびる / ゆっくりいき
3. サポートカード 3枚
先生や親とのコミュニケーション用です。
「先生OK(やっていいですか?)」「ストップ」「タイマー(はかってください)」など、意思表示をスムーズにします。
指導書(2000字)で「指導のコツ」を完全マスター

教材はただ渡すだけでは効果が半減します。セットに含まれる指導書には、特別支援教育の「自立活動」の視点を取り入れた本格的なノウハウを詰め込みました。
- ワークシートを使った授業・活動の具体的な進め方
- 子どもがパニックになった時の具体的な声かけ例
- 日常の中で絵カードを効果的に使うタイミング
- スモールステップでの目標設定方法
「何度言っても座れない」と悩む日々に終止符を打ち、お子さんと笑顔で過ごすための強力なツールセットです。
ご褒美シールでモチベーションアップ!
ワークシートを活用する際、非常に重要なのが「できたことを可視化する」ことです。「10分座れた」「絵カードを使って先生に合図できた」という成功体験に対し、シールを貼ることでドーパミンが分泌され、行動が定着しやすくなります。
ワークシートに貼るのに最適なサイズで、子どもたちのテンションが上がるおすすめのシールはこちらです。
おすすめは→ビバリーのごほうびシールシリーズです。
まずは「座れたこと」よりも「カードを使って自分の状態を伝えられたこと」を評価し、シールを貼ってあげてください。それが自己調整への第一歩です。
まとめ:座っていられないのは「困った行動」ではなく「サイン」
「座っていられない」という行動は、お子さんの体からの「刺激が欲しい」「疲れた」「どうしていいかわからない」というサインです。
叱って止めさせるのではなく、今回ご紹介したような「体メーター」や「絵カード」を使って、お子さん自身が自分の体の操縦席に座れるようサポートしてあげてください。
ツールを使うことで、不思議と「座りなさい!」と言う回数が減り、お子さんの表情も穏やかになっていくはずです。ぜひ、noteのワークシートを活用して、今日から新しいアプローチを始めてみませんか?
ADHDなどの発達障害のある子への「こんなときどうする?」の教材を使ったSSTを行うのも有効です⇩



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