
「授業中にイライラして教室を飛び出してしまう」

「自分の思い通りにならないと、大声で泣き叫ぶ」

「ささいなことですぐにキレて手が出てしまう」
小学校の教室やご家庭で、こうした子どもの「怒り」の対応に悩み、疲弊していませんか?
感情のコントロールは、算数や国語と同じように、練習すれば誰でも身につけられる「スキル」です。しかし、ただ「我慢しなさい」と言うだけでは、子どもには伝わりません。
この記事では、
アンガーマネジメントを子どもたちに楽しく、分かりやすく教えるための具体的な方法と、明日からすぐに使える実践的なゲーム・教材を紹介します。
この記事を読むと分かること
• 小学生が感情のコントロールができない脳の仕組みと原因
• イライラした時に子どもが自分でできる具体的な対処法
• やってはいけない「NGな叱り方」と正しい向き合い方
• クラスや家庭で盛り上がる!アンガーマネジメントゲーム3選
• 視覚支援で驚くほど伝わる「3つの魔法の教材」の使い方
特に、言葉だけで感情を説明するのが苦手な低学年〜中学年の子どもたちには、「視覚化(見える化)」された教材を使うことが劇的な変化を生む近道です。記事の後半では、実際の授業や家庭療育で成果を上げている教材セットの無料サンプル配布についてもご案内します。
小学生が感情のコントロールができない原因とメカニズム
なぜ、今の子どもたちは昔に比べて「キレやすい」と言われるのでしょうか?
それには、子どもの発達段階と脳の仕組み、そして環境要因が大きく関わっています。まずは大人が「なぜできないのか」を理解することが、解決への第一歩です。
脳のブレーキ「前頭前野」が未発達
人間の脳の中で、理性や感情のコントロールを司るのが「前頭前野」という部分です。この部分は脳の中でも最も発達が遅く、高校生〜大人になるまで成長し続けると言われています。
つまり、小学生の段階では「我慢する脳の機能」が完成していないのです。車のエンジン(感情)は全開なのに、ブレーキ(理性)がまだ自転車並み、という状態をイメージしてください。この状態で「もっとしっかりブレーキを踏みなさい!」と怒っても、機能的に難しいのが現実です。

言語化スキルの未熟さ
「悔しい」「寂しい」「心配」「恥ずかしい」といった複雑な感情を、子どもはまだうまく言葉にできません。心の中に生じたモヤモヤした不快感を、すべて「ムカつく!」「ウザい!」という簡単な言葉や、暴言・暴力という行動で表現してしまっているケースが非常に多いのです。
アンガーマネジメント教育では、この「名もなき不快な感情」に名前をつけてあげることが重要になります。

環境の変化とストレス
現代の子どもたちは、習い事や塾、ゲームやSNSなど、常に多くの刺激にさらされています。睡眠不足や、ゆっくりと心を休める時間の不足が、慢性的なイライラを引き起こしていることもあります。学校での人間関係のトラブルも、大人から見れば些細なことでも、子どもにとっては世界の終わりのようなストレスになり得ます。
小学生がイライラした時の対処法は?今日からできる魔法のアクション
子どもが「今、イライラしている!」と気づいたときに、爆発を防ぐための具体的なテクニックを教えましょう。これを「コーピング(対処行動)」と呼びます。普段の落ち着いている時に練習しておくことが大切です。
1. 6秒ルール(魔法のカウントダウン)
怒りのピークは長くて「6秒」と言われています。この6秒間さえやり過ごせば、理性の脳が働き始めます。
方法
イラッとしたら、心の中で「1、2、3…」とゆっくり数字を数える。

ポイント: ただ数えるだけでなく、手のひらに指で数字を書いたり、グーパー運動をしながら数えると気が紛れます。
2. 魔法の言葉(コーピングマントラ)
自分を落ち着かせる「合言葉」を決めておきます。
例: 「大丈夫、大丈夫」「何とかなる」「ドンマイ」「怒っても変わらない」
ポイント: 自分の好きなキャラクターのセリフなどでもOKです。イラッとした瞬間に心の中で唱える練習をします。
3. 深呼吸(バルーンブレス)
怒っている時は呼吸が浅く早くなっています。意識的に呼吸を整えることで、副交感神経を優位にし、体をリラックスさせます。

方法: お腹の中に風船があるイメージで、鼻からゆっくり息を吸ってお腹を膨らませ、口から細く長く息を吐いてお腹をへこませます。
4. その場を離れる(タイムアウト)
どうしても我慢できない時は、物理的にその場を離れるのが最善策です。
方法: 「トイレに行ってきます」「水を飲んできます」と言って、刺激の原因から距離を置きます。
ポイント: クラスでは「クールダウンスペース」を作っておき、許可なくそこに避難しても良いルールを作ると効果的です。
子供の叱り方でNGなのは?アンガーマネジメントの視点から
子どもが感情を爆発させた時、大人もつられて感情的になっていませんか? アンガーマネジメントは子どもだけでなく、指導する大人にとっても重要です。ここでは、子どもの自己肯定感を下げ、反発を招くだけの「NGな叱り方」を紹介します。
NG1: 「人格」を否定する
×: 「お前は本当に乱暴な子だ」「性格が悪い」「意地悪だ」
○: 「叩くのはいけないことだよ」「その言い方は相手を傷つけるよ」

解説: 怒る対象は「その子の性格(人格)」ではなく「行動」であるべきです。「We act(私たちの行動)」ではなく「You are(あなたは〜だ)」で叱ると、子どもは「自分はダメな人間なんだ」と思い込み、改善する意欲を失います。
NG2: 「過去」を引っ張り出す
• ×: 「前も言ったよね?」「いつもそうやって約束を破る!」
• ○: 「今、約束の時間過ぎているよ」
怒るべきは「今、目の前で起きていること」だけです。過去の失敗まで持ち出されると、子どもは「どうせ僕はいつもダメだ」と感じ、話を聞く耳をふさいでしまいます。
NG3: 「感情」をぶつけるだけ
• ×: (大声で)「いい加減にしなさい!」「うるさい!」
• ○: (落ち着いたトーンで)「静かにしてほしいな」

大人がヒステリックに怒ると、子どもは「怒られないようにしよう」と萎縮するか、「大きな声を出せば相手をコントロールできる」という誤った学習をしてしまいます。大人が冷静さ(アンガーマネジメント)のモデルになることが最大の教育です。
アンガーマネジメント小学生向けワークシートを活用した視覚支援の重要性
「怒ってはいけない」と教えるのではなく、「怒ってもいいけれど、上手に表現しよう」と教えるのがアンガーマネジメントです。しかし、言葉だけで「怒りのレベル」や「許容範囲」を議論するのは、小学生にはハードルが高いものです。
そこで活躍するのが、視覚的に直感でわかる教材(ワークシートやカード)です。
今回は、実際の教育現場や療育の場で作られた、非常に効果の高い3つの教材セットをご紹介します。
教材1:怒りの場面カード(全80枚)
「どんな時にイライラするか」は人によって全く違います。このカードには、小学生の日常で起こりうる具体的な「イライラ場面」が80種類も描かれています。

【実際のカードに描かれている場面例】
• 図工の時間: 一生けんめい描いた自分の絵を友だちに笑われた。
• 朝の整列: 朝の並びで列を作っていたのに、後ろの子が順番を抜かして入ってきた。
• 給食当番: 給食を配っているときに、横から押されてお皿がぶつかった。
• 休み時間: 友達の投げたボールが、わざとじゃないけれど顔に当たった。
• 家庭で: スーパーで買いたかったお菓子を親にすぐ「ダメ」と言われた。
• お出かけ: 夏休みに遊ぶ計画を立てたのに雨で全部中止になった。
これらの具体的な場面イラストがあることで、子どもは「あ!これあるある!」と共感し、自分事として捉えることができます。
教材2:怒りレベルカード(感情の温度計)
怒りの大きさをキャラクターの表情でレベル分けしたカードです。

• LV.1 たのしい
• LV.2 ふつう
• LV.3 ちょっといや
• LV.4 いらいら
• LV.5 ばくはつ
言葉でうまく表現できない子も、このカードを指差すことで「今、自分はレベル3なんだ」と周りに伝えることができます。
教材3:許す許さないカード(境界線の可視化)
自分の許容範囲(バウンダリー)を知るためのカードです。

• ゆるす
• まあまあゆるす
• ゆるさない
この3枚を使うことで、白か黒か(0か100か)になりがちな子どもの思考に、「グレーゾーン(まあまあ)」という柔軟な選択肢を育てます。
アンガーマネジメント子どもゲームで楽しく学ぶ!実践アクティビティ3選
ご紹介した3つの教材を使って、クラスや家庭でできる楽しいゲームを紹介します。ゲーム形式にすることで、子どもたちは構えることなく自然に自分の感情と向き合うことができます。
※このゲームを行うには、教材セットに含まれる「怒りの場面カード」などを使用するとスムーズです。

1. 怒りの温度当てゲーム
このゲームの最大の目的は、「人によって怒りのツボや感じ方が違う」という多様性を知ることです。

ねらい
• 自分や他人の怒りの感じ方の違いに気づく。
• 感情の大きさを言語化して把握する力を育む。
準備するもの
• 「怒りの場面カード」(または自作のできごとカード)
• 怒り温度メーター(黒板に1〜5の目盛りを書く、または「怒りレベルカード」LV1〜4を使用してもOK)
遊び方
1. 場面提示: 進行役(先生や親)が「怒りの場面カード」を1枚引き、読み上げます。(例:「一生懸命描いた絵を笑われたとき」)
2. 自己評価: 参加者全員が、その場面で自分ならどのくらい怒るか(怒りの温度)を心の中で考えます。(レベルカードのどれか、または温度計の数字でイメージ)
3. 予想タイム: 他の人がその場面で「どれくらい怒ると思うか」を予想し合います。「〇〇ちゃんは絵が好きだから、すごく怒るんじゃない?」など。
4. 発表: 「せーの」で自分の怒りレベルを発表します(指で数字を出す、またはカードを出す)。そして、「なぜその温度なのか」理由を一言ずつ話します。
5. 振り返り: 「Aくんはレベル4だけど、Bさんはレベル2なんだね。人によって違うね」と確認し合います。
指導のポイント
「怒らないのが偉い」のではありません。「自分はこういう時に怒りやすいんだ」と知ることがゴールです。
2. これ許せるゲーム(境界線ゲーム)
子どもたちの人間関係トラブルの多くは、「自分が許せないことを相手がした」時に起こります。このゲームで「許せる・許せない」の境界線を確認します。

ねらい
• 出来事に対しての感じ方にグラデーション(まあまあ許せる)があることを学ぶ。
• 自分の中の「ゆるせる」「ゆるせない」を整理することで衝動的な反応を減らす。
準備するもの
• 「怒りの場面カード」
• 「許す許さないカード」(3種類のシート:ゆるせる・まあまあゆるせる・ゆるせない)
遊び方
1. 場面提示: 場面カードを引いて内容を読み上げます。(例:「給食で押されてお皿がぶつかったとき」)
2. 選択: 一人ずつ「この出来事は、自分にとってどのカードか」を選びます。
3. 意思表示: 選んだカード(エリア)に移動するか、手元のカードを提示し、その理由を話します。「わざとじゃないなら許せる」「服が汚れたら許せないかも」など。
4. 傾聴: 他の人と感じ方が違うときは、「どうしてそう思ったの?」と優しく聞き合います。否定は禁止です。
5. 視点の転換: 「じゃあ、相手がすぐに『ごめん!』って謝ってくれたら変わる?」と問いかけ、考えが変わるか(カードが変わるか)を試してみます。
指導のポイント
「まあまあ許せる」というゾーンを広げることが、生きやすさにつながることを伝えます。
3. こんなときどうする?ゲーム(行動コントロール)
怒りを感じた後に、どう行動するかを選択するトレーニングです。

ねらい
• 怒りがわいたときの具体的な行動の選択肢を知る。
• 衝動的(叩く、暴言)ではなく、落ち着いた行動(伝える、離れる)につなげる力を育てる。
準備するもの
• 「怒りの場面カード」
• ホワイトボードまたは紙(行動の選択肢を書くため)
遊び方
1. 場面提示: 場面カードを読み上げます。(例:「並んでいる列に割り込まれたとき」)
2. 選択肢の提示: 先生がいくつか行動の選択肢を提示します。
• A:黙って我慢する
• B:大声で「どけよ!」と叫んで突き飛ばす
• C:「順番だよ」と優しく教える
• D:先生に言いに行く
3. 選択: 「自分ならどうするか(または、どうするのが一番かっこいいか)」を選びます。
4. 議論: それぞれのメリット・デメリットを話し合います。「Bはスッキリするけど、喧嘩になるね」「Aは喧嘩にならないけど、自分がモヤモヤするね」。
5. 決定: 「今の自分にとって一番よさそうな対応」を決めます。
指導のポイント
正解は一つではありません。「怒ってもいいけど、暴力は選ばない」というルールを守れる選択肢を探します。
アンガーマネジメントのプリント 無料配布について
ここまで紹介した活動は、手書きのカードでも可能ですが、イラスト付きの教材を使うことで子どもたちの食いつきと理解度が格段に上がります。特に「怒りの場面カード」のリアルなイラストは、子どもたちの経験を想起させる強力なツールです。
「まずはどんなカードか試してみたい」
「クラスの子どもたちに合うか確認したい」
そんな先生や保護者の方のために、今回ご紹介した「怒りの場面カード(サンプル5枚)」と「気持ちカード(レベルカード)」を無料ダウンロードできるように準備しました。
【無料版】お試しダウンロードはこちら
まずは無料でプリントして、お子さんと一緒に「こんな時どう思う?」と話をしてみてください。これだけでも、普段聞けない子どもの本音が聞けるはずです。
【製品版】2000字の指導書付き!完全セットのご案内
無料サンプルを使ってみて、「もっといろんな場面でやってみたい」「クラス全体で本格的に取り組みたい」と感じていただけた方には、全80場面以上を網羅した完全セットをおすすめします。
製品版には、単なるカードデータだけでなく、約2000文字の詳しい「指導書(インストラクションガイド)」が付属しています。

指導書には、授業の進め方、子どもへの声かけの具体例、トラブルが起きた時の介入方法などが丁寧に解説されており、アンガーマネジメントの知識がない方でも、すぐに質の高い指導ができるようになります。
<セット内容>
1. 怒りの場面カード(全80枚・PDF):学校、家庭、友達関係などあらゆるシーンを網羅。

2. 怒りレベルカード3種類(PDF):感情の温度計として使えるビジュアルカード。

3. 許す許さないカード2種類(PDF):バウンダリーを学ぶための3択カード。

4. 特製指導書(約2000字):準備から実践、応用までを解説した虎の巻。

<こんな方におすすめ>
• 特別支援学級・通級指導教室の先生
• 通常学級でクラス経営に悩む担任の先生
• 放課後等デイサービスのスタッフ
• 家庭で子どもとじっくり向き合いたい保護者の方
手作りの教材準備にかかる膨大な時間を、このセットで短縮しませんか?
カードを印刷してラミネートすれば、ずっと使える「教室の財産」になります。
▼【note】アンガーマネジメント教材セットのダウンロードはこちらから

まとめ:アンガーマネジメントは一生モノのプレゼント
アンガーマネジメントは、子どもたちが大人になり、社会に出てからも役に立つ「一生モノのスキル」です。
感情に振り回されて損をする人生ではなく、自分の感情と上手につきあい、他者と良好な関係を築ける人生を歩んでほしい。そのための第一歩を、この教材とゲームで踏み出してみてください。
まずは無料プリントからでも構いません。子どもたちの「わかった!」「できた!」という笑顔のために、今日から始めてみませんか?
参考リンク
文部科学省:第2章 心のケア 各論




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