放課後等デイサービスの室内遊び30選|参加しやすい工夫と5領域・記録の視点
「雨の日にできる活動が、いつも同じになってしまう」「集団遊びを用意しても、参加しにくい子がいる」。放課後等デイサービスで室内活動を考えるとき、遊びの種類だけでなく、一人ひとりがどう参加できるかも悩みどころです。
この記事では、道具を使った遊びから少人数のゲームまで、室内で取り入れやすい活動を30例紹介します。準備と進め方に加え、本人の意思を確かめる方法、安全面、活動後に記録したいことも整理しました。
筆者は小学校の特別支援学級で子どもたちと関わってきました。以下の30例は、その教育実践で大切にしてきた参加の工夫も踏まえ、放課後等デイサービスで検討できる活動案としてまとめたものです。放デイで30例すべてを実施し、効果を確認したという意味ではありません。子どもの状態、設備、職員配置、事業所の安全計画に合わせて選んでください。
この記事の使い方
「何をさせるか」だけで選ばず、本人がやってみたいか → 参加しやすい形は何か → 安全に実施できるか → 何を見て振り返るかの順に確認してください。見学、短時間の参加、別の役割、休息を選ぶことも大切な情報です。
室内遊びを選ぶ前に確認したい4つのこと
1.本人は何をしたいか
学校帰りで疲れている日もあれば、体を動かしたい日もあります。「風船とカード、どちらがいい?」「今日は見てから決める?」など、本人に合う方法で希望を確かめます。言葉で答えることが難しければ、実物や写真を見せる、指差しで選ぶ、反応を見ながら少し試す方法もあります。
2.参加の形を一つに決めない
同じゲームでも、「投げる」「道具を並べる」「得点を数える」「見学する」など、関わり方は複数あります。全員が同じ動きや発言をする必要はありません。途中から参加する、休憩する、別の遊びを選ぶことも認めます。
3.場所・道具・人数を確認する
動く活動では床面、家具の角、動線、子ども同士の距離を確認します。小さな部品やひも、風船、食品を使う場合は、誤飲、窒息、アレルギーなどにも注意が必要です。活動の可否と見守り方は、子どもの状況と事業所の安全計画に沿って判断してください。
4.活動名より「その子に起きたこと」を記録する
「風船バレーをした」だけでは、次の支援を考えにくくなります。「本人が何を選んだか」「どんな調整で参加しやすくなったか」「困ったとき何を伝えたか」「次に何を試すか」を短く残すと、職員間で共有しやすくなります。
活動と5領域の関係を詳しく整理したい方は、放課後等デイサービスの5領域とは?活動例と個別支援計画へのつなげ方もご覧ください。
① 感覚や素材を楽しむ室内遊び6選
触り心地や動きの感じ方には個人差があります。感覚への負担がある子に、苦手な素材へ触れることを目標として押し付けないようにします。道具を介して関わる、離れて見る、別の素材を選ぶ方法も用意しましょう。

- バランスボールキャッチ:大きなボールを職員がゆっくり転がし、本人が止める・返す遊びです。手で受ける以外に、足で止める、職員と一緒に転がす方法も選べます。ボールが急に動かない広さを確保し、乗る遊びと混同しないようにします。
- 風船バレー:椅子に座ったままでもできる、風船を打ち返す遊びです。「一回触ってみる」「落ちたら拾う」など役割を分けられます。風船の破裂音が苦手な子には柔らかいボールなどを代用し、割れた風船はすぐ片付けます。
- 新聞紙ちぎり・丸め:新聞紙をちぎり、丸め、箱に入れたり的に投げたりします。音が気になる子には少量から試すか、別の紙を選びます。紙の端やインクの扱いに配慮し、活動後に床の紙片を回収します。
- 段ボールトンネルくぐり:箱をつないで短いトンネルを作ります。くぐることを急がせず、入口からのぞく、外から飾る役割も選べます。箱の安定、鋭い切り口、出口の見通しを確認し、閉塞感がある子には無理に勧めません。
- 小麦粉粘土・スライム遊び:丸める、伸ばす、型を押すなど、好きな操作を選びます。道具越しに触る、別素材の粘土を選ぶこともできます。小麦などのアレルギー、材料の誤飲、皮膚への刺激を事前に確認してください。
- ミニトランポリン跳び:使える設備と安全管理体制がある場合に限り、短い時間で行います。跳ぶ代わりに床上のステップ遊びを選ぶこともできます。機器の仕様、設置場所、転倒時の危険、見守る職員の位置を確認し、安全に実施できなければ別の活動にします。
記録の視点:触れられたかを成果にするより、「本人が選んだ素材」「避けたい刺激をどう伝えたか」「どの距離や道具なら楽しめたか」を記録します。運動・感覚だけでなく、希望を伝える場面は言語・コミュニケーションとも関わります。
② 体を動かす室内遊び6選
動きたい子と静かに過ごしたい子が同じ空間にいることを前提に、活動場所や時間を調整します。速さや勝敗を競う形だけにせず、狭い室内でも安全に参加できる方法を選びます。
- 室内サーキット:床の印に沿って歩く、マットをまたぐ、的に物を置くなど、2~3か所を回ります。コースを選ぶ、最初は一か所だけ行う、準備係になる方法もあります。器具の固定と動線を確認し、走る活動にする必要はありません。
- 的当てゲーム:床や壁際に置いた的へ、柔らかいボールやお手玉を投げます。近い位置、転がす方法、的を持つ役割も選べます。投げる方向をそろえ、ほかの子が前を横切らない配置にします。
- 玉入れ:高さの違うかごを置き、ボールを入れます。時間制限をなくす、座った姿勢で行う、かごを近づける調整ができます。ボールを拾いに行く子と投げる子の動線を分けます。
- ペットボトルボウリング:空のペットボトルを並べ、柔らかいボールで倒します。転がす距離や本数を選べます。ボトルに水や重い物を入れず、倒れたボトルの回収は投球が終わってからにします。
- しっぽ取りゲーム:腰に付けた布を取る遊びです。追いかけるのが負担なら、歩くルールにする、職員の布だけを取る、審判役を選ぶ方法があります。接触や転倒の危険があるため、広さと人数が合わなければ実施しません。布は首や体に巻き付けません。
- 新聞紙バット野球:短く軽い新聞紙の棒で、柔らかいボールを打ちます。打つ代わりに手で転がす、投球係になる方法もあります。振る範囲に人が入らない位置を決め、棒の硬さや先端を確認します。
記録の視点:「何回できたか」に加え、本人が選んだ動き方、疲れたときの休み方、順番を待つ間に必要だった工夫を残します。運動・感覚、健康・生活、認知・行動など、実際に支援した場面から関連を考えます。
③ 手や道具を使う室内遊び6選
完成品のきれいさや速さをそろえる必要はありません。使いやすい道具、材料の大きさ、手順の量を調整し、本人が「作りたい」「続けたい」と思える形を探します。
- 洗濯ばさみ遊び:厚紙の縁に洗濯ばさみを付け、好きな模様を作ります。つまむ力が必要なら、開きやすい大きめの物を選びます。指を挟まないよう、固さを確かめてから渡します。
- ビーズ通し:大きめのビーズをひもに通し、色や並べ方を選びます。ひもを持つ役、色を選ぶ役でも参加できます。小さな部品やひもによる事故を防ぐため、対象となる子どもの状況を確認し、必要に応じて大きな部品や別の教材に替えます。
- 粘土での型抜き:粘土を伸ばし、型を押して形を作ります。手で触りにくい場合は、ローラーや型だけを使う選択肢もあります。材料の安全性、衛生、道具の縁を確認します。
- 折り紙:一つの折り方を選び、実物を見ながら作ります。「折る」「色を選ぶ」「飾る」と役割を分けても構いません。難しい工程は紙を大きくする、一部だけ折るなどして調整します。
- シール貼り台紙遊び:好きなシールを選び、台紙に自由に貼ります。枠にぴったり貼ることを求めず、剥がしやすい大きなシールを使う方法もあります。誤飲の可能性がある場合は素材を替えます。
- ひも通しボード:穴の開いたボードにひもを通して模様を作ります。穴の数を減らす、太いひもを使う、見本を見ながら進める調整ができます。ひもの長さと扱いを確認し、首や体に掛けないようにします。
記録の視点:手先の動きだけでなく、「本人が選んだ題材」「途中で助けを求めた方法」「道具を替えたら取り組みやすかったか」に注目します。必要な支援を頼めたことも、大切な参加の姿です。
④ 人とのやりとりを楽しむ室内遊び6選
「集団に入れたか」だけを目標にしないことが大切です。少人数で始める、見学する、言葉以外で伝えるなど、本人と相手の双方が安心して関われる形を考えます。対人場面の支援を詳しく知りたい方は、放課後等デイサービスのSST実践ガイド|具体例10選と進め方も参考にしてください。
- すごろく:駒を進め、順番が回ってきたらサイコロを振ります。短いコースにする、職員と一緒に振る、駒を動かす役を選ぶこともできます。待つ時間が長くなりすぎない人数に調整します。
- カードゲーム(神経衰弱など):少ない枚数のカードから始め、同じ絵を探します。めくるだけ、カードを並べるだけでも参加できます。勝敗が負担になる場合は、全員で組を探す協力型に替えます。
- 椅子取りゲーム:音や合図で動きを切り替える遊びです。椅子を減らさず全員が座れる形や、好きな席を選ぶ形にもできます。椅子の間隔と転倒の危険を確認し、音が苦手な子には視覚的な合図を用意します。
- じゃんけん列車:じゃんけんをして列につながります。身体に触れて並ぶ方法が苦手なら、間隔を空けて歩く、カードで勝敗を示す、見守り役になる形も選べます。人数と動く範囲を決め、接触を強制しません。
- だるまさんが転んだ:合図に合わせて動き、止まる遊びです。走らず歩く、距離を短くする、鬼の役を選ぶ方法もあります。急停止による転倒や衝突を防げる場所を確保します。
- ジェスチャーゲーム:身近な動作や好きなものを、身振りやカードで表します。人前で演じるのが苦手なら、職員と二人で行う、お題を選ぶだけでも参加できます。答えを当てられないことをからかわない約束を共有します。
記録の視点:「順番を待てたか」だけでなく、待ち時間の長さ、分かりやすかった合図、本人が希望を伝えた方法、友達との距離感を残します。本人が「今日は見ていたい」と伝えた場合も、その意思を受け止めて次の参加方法を考えます。
⑤ 考える・見つける室内遊び6選
学校の学習をそのまま延長する時間にする必要はありません。興味のある絵柄や話題を使い、遊びとして選べるようにします。疲れている日は短時間にしたり、別の活動を選んだりできます。
- ひらがなマッチング:文字と絵、同じ文字同士など、本人が分かる組み合わせから始めます。好きな乗り物や食べ物の名前を題材にできます。文字を読ませることを参加条件にせず、絵を選ぶ方法も用意します。
- 絵合わせ:同じ絵のカードを探します。伏せずに見える状態から始める、枚数を減らす、職員と協力して探す方法もあります。小さなカードは扱いや誤飲の危険を確認します。
- しりとり:好きな言葉をつなぎます。絵カードを選ぶ、職員が言葉にする、「ん」で終わっても続けられるルールにするなど調整できます。答える速さを競わず、考える時間を確保します。
- 仲間分けゲーム:絵カードを「食べ物」「乗り物」などに分けたり、本人が決めた分け方を説明したりします。正解が一つとは限らない題材を使い、考えを聞く時間を作ります。
- 数字ビンゴ:数字を見つけて印を付けます。数字の代わりに絵や色を使う、職員が一緒に探す方法もあります。小さなチップの扱いに注意し、筆記具やシールで代用できます。
- 間違い探し:二つの絵を見比べ、違いを見つけます。指差し、丸を付ける、言葉で伝えるなど、答え方を選べます。見えにくい絵や細かすぎる絵を避け、疲れたら途中で終えられるようにします。
記録の視点:正答数だけを残さず、好きな題材、使いやすかった提示方法、自分から「もう一回」と伝えた場面、疲れたときの様子を記録します。
30の遊びと5領域をどう結び付ける?
こども家庭庁の放課後等デイサービスガイドラインでは、本人支援を「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5領域の視点から考えます。ただし、「風船バレー=運動・感覚」のように活動名だけで一つの領域へ固定するものではありません。
例えば同じ風船バレーでも、体を動かす方法を調整したなら運動・感覚、「疲れたから休みたい」を伝えられる方法を用意したなら健康・生活や言語・コミュニケーション、友達と役割を相談したなら人間関係・社会性の視点が関わります。どの視点が必要かは、その子の希望と支援の内容によって変わります。
詳しくは放課後等デイサービスの5領域の記事で、活動例と個別支援計画へのつなげ方を紹介しています。
活動の記録を個別支援計画につなげる具体例
ここでは「すごろく」を例に、活動後の記録をどう支援の検討につなげるか示します。以下は説明のための架空の例です。
本人の希望:「友達とすごろくをしたい」と本人が伝えた。
観察した事実:4人で始めたときは、順番が来るまでに席を離れた。職員と2人で短いコースを選び、順番を示す札を置くと、本人は3回続けて駒を動かし、「もう一回」と伝えた。
まだ確かめたいこと:待つ時間の長さ、人数、順番の分かりやすさのうち、どの条件が参加のしやすさに関係したかは、この一回だけでは決められない。
次に試す支援:次回は同じ短いコースと順番札を使い、本人に確認してから参加人数を一人増やす。本人が別の遊びを選んだ場合は、その希望を優先する。
このように、本人の意思、観察した事実、職員が調整したこと、本人の反応、次に試すことを分けて記録すると、児童発達支援管理責任者(児発管)が個別支援計画を検討する際の材料になります。「集団参加を必ず増やす」と先に決めるのではなく、本人にとって楽しい参加の形を確かめながら支援内容を見直します。
計画の作成手順や5領域との関連づけは、放課後等デイサービスの個別支援計画|書き方・5領域の記入例とPDCAの回し方で詳しく解説しています。
職員間で共有すると、遊びが次の支援につながる
同じ活動でも、職員によって声のかけ方やルールが大きく変わると、子どもが参加しにくくなることがあります。活動前には「本人は何を選んだか」「何を調整するか」「安全上の注意は何か」を短く共有し、活動後には「実際にどうだったか」を確認します。

活動名をそろえることより、観察した事実と本人の意思を共有することが重要です。職員同士で事例を話し合う方法は、放課後等デイサービスの職員研修|研修内容・新人育成・教材の使い方でも紹介しています。
活動後の「どうして?」を職員みんなで考えたい方へ
支援力向上研修システム|事業所研修版は、子どもの行動を観察し、背景の可能性と本人の意思を確かめ、試す支援を話し合うための研修教材です。スライド・講師用台本・受講者ワークなどの内容と教材見本を、販売ページで確認できます。
よくある質問
Q.集団遊びに参加したくない子には、どう対応しますか?
まず本人の意思を確かめます。見学、短時間の参加、別の役割、休息などを選べるようにし、何が負担だったかを決めつけずに見ます。その日に集団へ入ること自体を成果として求める必要はありません。
Q.遊び一つにつき、5領域のどれか一つを割り当てますか?
いいえ。活動には複数の領域が関わることがあります。実際に何を支援し、本人がどう参加したかをもとに考えます。5領域を活動名に機械的に当てはめないことが大切です。
Q.活動記録は毎回長く書く必要がありますか?
長さより、次の支援に使える具体性を大切にします。「本人の希望」「観察した事実」「行った調整」「反応」「次に試すこと」を、必要な範囲で簡潔に残します。
Q.何年生向けの遊びか、決めておくべきですか?
学年だけでは決められません。同じ折り紙やボール遊びでも、題材、道具、ルール、役割の選び方で楽しみ方が変わります。本人の興味と経験、その日の体調に合わせて調整してください。
まとめ|遊びの選択肢と、参加の選択肢を増やす
室内遊びの引き出しが30個あっても、全員に同じ方法で参加してもらう必要はありません。本人が選べる活動と役割を用意し、安全に実施できる形を考えます。そして、楽しめた条件や困った場面を職員間で共有し、次の支援に生かします。
活動から支援を考える際は、5領域の活動例、SSTの具体例、個別支援計画の書き方も、必要な場面に合わせてご覧ください。


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