「校務分掌って、いったい何をするの?」「特別支援学級の担任でも、同じように分掌を担うの?」——そんな疑問を持ったことはありませんか?
この記事では、
小学校の校務分掌の種類と仕事内容を、学級担任として18年間働いてきた経験をもとに解説します。「分掌ってこういうものだよ」という教科書的な説明だけでなく、現場のリアルな声もお届けします。
これから教員になる方にも、特別支援学級を担当することになった方にも、きっと役立てていただける内容です。
校務分掌とは何か
校務分掌(こうむぶんしょう)とは、学校を運営するために必要な業務を、教職員で分担して担う仕組みのことです。
根拠は学校教育法施行規則第43条で、「小学校においては、調和のとれた学校運営が行われるためにふさわしい校務分掌の仕組みを整えるものとする」と定められています。つまり、学校が組織として機能するための、法的な根拠のある制度です。
わかりやすく言えば、学校という組織の「係分担」です。子どもたちが学級で係を分担して学校生活を支えるように、教員も学校全体を支えるための役割を分担しています。

クラス担任の仕事(授業・学級経営・保護者対応など)はいわば「本業」ですが、校務分掌はそれに加えてすべての教員が担う「学校運営の仕事」です。どの先生も、クラスを持ちながら何らかの分掌を担当しています。
小学校の校務分掌の種類と仕事内容
学校の規模や方針によって多少の違いはありますが、小学校の校務分掌は一般的に以下のような部・委員会に分かれています。
教務部
学校の教育活動全体を管理・調整する、いわば「学校の頭脳」的な役割を持つ部署です。主な仕事内容は次のとおりです。
- 年間の時間割・行事計画の作成
- 指導要録・出席簿などの法定書類の管理
- 教育課程の編成と管理
- 学校評価の取りまとめ
業務量が多く、学校全体の動きを把握している必要があるため、経験豊富な先生が担当することが多い部署です。教務主任は「主幹教諭」や「教務主任」の職層に就く先生が担うことが一般的です。

研究部(研修部)
学校全体の教育研究・研修を企画・運営する部署です。
- 校内研究のテーマ設定・授業研究の企画運営
- 研究発表会・公開授業の準備
- 外部研修への参加調整・案内
- 研究紀要の作成
学校によっては「研究・研修部」として一体化していることもあります。年度末に向けて研究まとめの作業が集中しやすい部署です。

生活指導部(生徒指導部)
子どもたちの学校生活全般にかかわる指導を担う部署です。
- 登下校・放課後の安全指導
- いじめ・不登校への対応と記録
- 問題行動への初期対応の仕組みづくり
- 地域・保護者との連携
突発的な対応が多く、精神的な負荷もかかりやすい部署です。特に生活指導主任は、担任からの相談を受けながら学校全体のケースを把握しておく必要があります。
保健安全部
子どもたちの健康と安全を守る取り組みを担う部署です。
- 健康診断の計画・運営補助
- 食育・給食指導の推進
- 学校安全に関する計画(防災・交通安全など)
- 環境整備(プール・遊具点検など)
養護教諭と連携することが多く、行事的な業務(健診の準備・運動会の安全管理など)が集中する時期には忙しくなります。
学習指導部(環境整備・図書・ICTなど)
学習環境を整えることが主な役割です。学校によって「図書部」「ICT推進部」「環境部」などに細分化されていることもあります。
- 図書室の管理・読書活動の推進
- 校内掲示・環境整備の計画
- ICT機器の管理・活用推進
比較的業務量が安定しており、初任の先生が配属されることもある部署です。
特別支援教育部・特別支援教育コーディネーター
特別な支援を必要とする子どもたちへの対応を、学校全体で推進する役割を担います。特別支援学級担任や通級担当の先生が兼ねることが多い分掌です。
- 校内委員会の運営(支援が必要な子どものケース検討)
- 個別の指導計画・個別の教育支援計画の管理補助
- 保護者・外部機関(医療・福祉・相談機関)との連絡調整
- 通常学級の担任への支援・アドバイス
特別支援教育コーディネーターに指名されると、校内外の橋渡し役として多忙になります。次のセクションで詳しく触れます。

特別支援学級担任と校務分掌〜現場のリアル〜
「特別支援学級って少人数だから、楽なんでしょ?」
この言葉、現場で何度聞いたかわかりません。でも実際は、そんな単純な話ではありません。
分掌と個別指導計画が重なる「年度末の地獄」
特別支援学級の担任には、通常学級にはない固有の業務があります。代表的なのが個別の指導計画と個別の教育支援計画の作成・評価・更新です。
これが曲者で、特に年度末・年度初めに集中します。在籍する子ども一人ひとりについて、目標の評価・保護者との確認・次年度の計画立案をしなければならない。しかも通知表も書く。
そこに校務分掌の年度末処理(研究紀要まとめ・次年度計画案の作成など)が重なると、退勤時間が深夜になる日が続くこともありました。「授業の準備をする時間が取れない」という本末転倒な状況に陥ることも、一度や二度ではありませんでした。

「特支だから」と外される・押しつけられる
校務分掌の配置では、特別支援学級担任をめぐって二つの極端な経験をしました。
一つは「特支担任だから子どもの対応で忙しいでしょ」と言われ、重要な分掌から外されるケース。表向きは配慮に見えますが、学校全体の意思決定から遠ざけられているような感覚がありました。
もう一つは逆で、「特支担任なら子どもの支援に詳しいよね」「コーディネーターもお願いできる?」と、複数の役割が一人に集中するケース。善意からの依頼でも、実務量は確実に増えます。特支担任が一人しかいない学校では、こちらのパターンに陥りやすい傾向がありました。
コーディネーターとして「学校を動かした」経験
一方で、特別支援教育コーディネーターを担ったことで、得られたものも多くありました。
校内委員会でケースを共有し、通常学級の担任と一緒に支援策を考える。医療機関や福祉事業所と連絡をとり、学校での対応につなげる。保護者との面談をコーディネートする。こうした経験は、一担任としては得られなかった「学校全体を俯瞰する視点」を与えてくれました。
大変な役割ではありますが、「自分の動き一つで、子どもへの支援の厚みが変わる」という実感は、コーディネーターならではのやりがいでした。

特支担任におすすめの分掌・避けたい分掌
これはあくまで私の個人的な感覚ですが、特別支援学級担任として働く立場から考えると、分掌には向き不向きがあります。
比較的担いやすい分掌:図書・ICT・環境整備など、突発的な対応が少なく、計画的に動ける分掌は負荷をコントロールしやすい傾向があります。
負担が大きくなりやすい分掌:生活指導部や研究部は、突発対応や年度末の集中業務が多く、個別指導計画の時期と重なると非常にきつくなります。担当する場合は、管理職に業務量の調整を相談することをおすすめします。
校務分掌はどうやって決まるの?
校務分掌の決定権は校長にあります。年度末〜年度初めにかけて、各先生の希望や経験・適性を考慮しながら、校長が最終的に割り当てを決定します。
学校によっては「希望調査票」を書く機会があり、担当したい分掌や避けたい分掌を申告できる場合もあります。ただし希望が通るかどうかは学校次第で、特に小規模校では先生の数が限られているため、希望通りにならないことも少なくありません。
新任の先生への一言アドバイスとして言えるのは、最初から全力でやろうとしすぎないことです。分掌の仕事は慣れれば要領がわかってきます。1年目は「まず学校の仕組みを覚える年」と割り切り、先輩の先生のやり方を丁寧に引き継ぐことを優先しましょう。
校務分掌と働き方改革
近年、教員の長時間労働が社会問題として注目されるなか、校務分掌の見直しも各学校で進んでいます。「この分掌、本当に必要?」「誰かがやらなければならないなら、もっと効率化できないか?」という問いが、現場でも聞かれるようになってきました。
文部科学省も「学校における働き方改革」の一環として、業務の整理・削減を推進しています。校務分掌においても、不要な書類作成の廃止や、ICTを活用した効率化が少しずつ広がっています。
特別支援学級担任の立場から特に感じるのは、「特支独自の業務量」が分掌の配置に十分考慮されていない学校がまだ多いという現実です。個別の指導計画・保護者面談・関係機関との連携——これらはすべて、通常学級にはない追加の業務です。学校全体として、この業務量の非対称性をきちんと認識した分掌配置が求められています。
管理職の先生方にも、ぜひこの視点を持っていただきたいと思っています。

まとめ
校務分掌は、学校を組織として動かすための大切な仕組みです。教務・研究・生活指導・保健安全・学習指導・特別支援教育など、さまざまな分掌が学校を支えています。
学級担任として18年間働いてきた経験から言えることは、分掌を「こなす」だけでなく、自分の専門性を活かせる場として捉える視点が大切だということです。特に特別支援教育コーディネーターの役割は、大変ではあるものの、学校全体の特別支援教育を底上げできるやりがいのある仕事です。
「校務分掌が多くて、子どもと向き合う時間が取れない」と感じている特別支援学級担任の先生に向けて、実践的な教材や指導のヒントをnoteにまとめています。ぜひのぞいてみてください。

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