自閉スペクトラムの特性に合わせて教室をデザインする視点。日常の授業で最大の効果を出す方法を、現場目線でわかりやすく解説します。
① はじめに:こんな悩みはありませんか?
- 朝の会や活動の切り替えで不安が強くなる
- 「今、なにをすればいいですか?」と何度も聞かれる
- 指示を出しているのに行動につながらない
- 自立活動が「作業をこなす時間」になってしまっている
こうした悩みは、特別支援教育の現場で日常的に見られます。私(ゆた先生)も多くの子どもたちと関わる中で、「子どもが理解できていないまま不安だけが大きくなっている」場面に直面してきました。TEACCHは、そのヒントを与えてくれます。
② TEACCHって何?(超わかりやすく)
TEACCH(ティーチ)プログラムは、自閉症の特性を理解し、それに合わせて環境を整える支援の考え方です。重要なのは「訓練法」ではなく、環境設計という視点で子どもが理解しやすい世界をつくることです。
よくある誤解
- × 視覚支援を使えばTEACCHである
- × ただ作業をやらせる方法である
- ○ 本質は「子どもが理解できる世界を設計する」こと
ポイント:TEACCHは「子どもに理解させる努力」ではなく、理解しやすい形に環境を整えること。その結果、子どもの不安が下がり、自立した行動が促されます。
③ TEACCHの5つの基本(支援学級で見せる①〜⑤)
支援学級では、普段の学習活動において①〜⑤を視覚的に示すことで最大の効果が出ます。特に通常学級では「見通しを共有しない」「終わりが見えない」ことが多く、子どもの不安や混乱が続きやすいのです。一方、支援学級では個別に学習活動を視覚化し、次に何をすべきか・いつ終わるかを明確にします。以下がその5要素です。
- ① 物理的構造化(環境を分ける)
机やコーナー、棚、マットなどで「ここは何をする場所か」が一目で分かるようにする。視覚的な境界が指示を減らします。 - ② スケジュール(見通しを示す)
日々の流れ・次に何があるか・いつ終わるかを絵カードや写真で示す。「終わりが見える」ことが不安を下げます。 - ③ ワークシステム(自立活動の要)
「何をする/どれだけする/どうやってする/終わったらどうする」を明示するシステム。自分で始め、終えられる経験が自信につながります。 - ④ 視覚的手がかり(言葉を減らす)
絵カードや写真、実物などを使って指示を視覚化する。言葉の繰り返しが減り、注意や叱責も減ります。 - ⑤ 柔軟性(個別最適が前提)
型通りにするのではなく、その子にとって分かりやすいかを常に問い直す。成長に合わせて変えて良いという姿勢が大切です。
④ 実践例:普段の授業で起きる変化
例1:朝の会が落ち着かなかった子
Before:口頭で流れを説明していたが周りを気にして不安定。
After:簡単な朝のスケジュール(絵カード)+「座る→聞く→終わる」を可視化。数日で着席時間が安定しました。
例2:自立活動が続かなかった子
Before:途中で離席しがちで、声かけが多かった。
After:ワークシステム導入(タスクを区切る・終わり箱の設置)。「終わった」ことが分かると表情が変わり、自信につながりました。
ポイントは、「通常学級では見過ごされがちな『終わりの共有』」を支援学級では意図的に見える化していることです。これにより授業の中で自立的な行動が育ちます。
⑤ うまくいかないTEACCHの落とし穴
- 形だけ真似してしまい、本質(子どもに合わせる姿勢)が抜けている
- 全員に同じ支援を当てはめてしまう(個別化が必要)
- 視覚支援を増やしすぎて情報過多になっている
- 「できるようにさせる」こと自体が目的になってしまう
TEACCHはツールではなく視点です。常に「この子にとって今分かりやすいか?」を優先してください。
⑥ TEACCHと自立活動の関係性(重要)
自立活動は単なるスキル練習ではありません。本来は本人の困り感を軽くし、日常生活をしやすくするための時間です。TEACCHはその土台を整える考え方であり、視覚化された授業の中で自立活動が真価を発揮します。
支援学級では「個別に学習活動を視覚的に①〜⑤で示す」ことで、通常学級より短期間で落ち着きや自発的な行動の変化が見られることが多いです。つまり、TEACCHは日常の授業そのものを支援の場に変える力を持っています。
⑦ まとめ:TEACCHは「安心をデザインする」こと
TEACCHは子どもを型にはめるための方法ではなく、子どもが安心して力を発揮できる環境を一緒に作る考え方です。環境が変われば行動が変わり、新たな力に気づけます。



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