今回は、
教室内で安心して楽しめる運動あそびとして活躍する「ドッチビー的当てゲーム」の具体的な実践アイデアをご紹介します。
柔らかく安全なディスク型教材「ドッチビー」を使い、的を狙って投げるだけのシンプルな遊びですが、そこにちょっとしたルールの工夫や声かけを加えるだけで、「社会性」「感情のコントロール」「身体感覚」などの育ちを引き出すことができます。
おすすめの自立活動(室内運動遊び)はこちら👇
1. はじめに|熱中症対策にも!「教室で楽しく体を動かす工夫」を
「夏休み前の集中力低下…どうにかしたい」「外遊びができない日、子どもたちのエネルギーが有り余ってしまう」…特別支援学級の先生方、こんなお悩みはありませんか?
夏の暑さが厳しい日が続く中、特別支援学級では子どもたちの体を動かしたい気持ちと安全性の確保をどう両立するかが課題になります。
さらに、外での活動が制限される時期は、子どもたちの感情の安定や集中力の維持にも影響が出やすい時期です。
そんな先生方にぜひ試していただきたいのが、安全で手軽な「ドッチビー的当てゲーム」です。この活動は、単なる運動遊びではありません。ちょっとした工夫で、子どもたちの集中力、社会性、そして自己肯定感をぐんと伸ばす自立活動になるんです。
2. 活動の概要|教室に設置できる「大きな的」で達成感を得やすく
ドッチビーは、布とウレタンでできた軽くて安全なディスク教材です。教室の中でも安心して使え、特別支援学級では運動あそびの定番アイテムのひとつです。
私は、直径80cmほどの大きな丸い的を教室のドアに貼り付けて使用しています。ドッチビーを正確に窓に当てるのは意外と難しく、成功体験が得にくいため、的は大きめに作るのがポイントです。特に運動が苦手な子や、集中力が続きにくい子も、大きな的であれば「できた!」という喜びを感じやすく、次の活動への意欲につながります。

🎯 的の準備例
- 材料 四つ切り画用紙を2枚つなげて大きな円を作成
- 設置場所 教室のドア(平らで当たっても安全な場所)
- 中に描くもの 色・数字・顔マーク・キャラクターなど子どもが親しみやすい要素を(※何も書かなくてもいいです。私はそれがシンプルで汎用的だと思います)
3. 特別支援学級におすすめの遊び方5選|成長に目が向く工夫を
以下では、協力型・自己成長型のルールを中心に、特別支援学級でも安心して楽しめる5つの遊び方をご紹介します。

① 的当てチャレンジ(成功体験重視)
- 内容 自分のペースで好きな的に投げ、当たればOK
- 目的 集中して取り組む・力加減を調整する
- 声かけ例 「すごい集中力だね!」「さっきより遠くから当たったね!」「今日は2回も当たったね!」「狙いを定めていてかっこいいよ!」
✨ポイント
競争や勝敗にこだわらず、「昨日の自分より、ちょっとできた」という視点を大切にすることで、やる気を維持しやすくなります。
② 色の合図ゲーム(ルール理解+集中)
- 内容 教師が「赤→青→黄色」などと順に指示を出し、その通りに当てる
- 目的 聞く力・順序を記憶する力・集中力の強化
- 声かけ例 「指示通りにできたね、すごい!」「最後の黄色、しっかり当てられたね!」
✨ポイント
記憶力や注意力のトレーニングになります。当たらなくても「覚えていた」ことをしっかり認めましょう。
困った時のヒント
指示がなかなか聞けない子には、色のカードを見せながら声かけをする、または最初のうちは2色からスタートし、慣れてきたら徐々に色数を増やしてみましょう。
③ 協力リレーゲーム(チームで協力)
- 内容 2〜3人でチームを作り、交代で投げて合計点を目指す
- 目的 順番を守る・友達を応援する・待つ力を育てる
- 声かけ例 「○○さんの番、待っていてくれてありがとう!」「ナイスパス!」「みんなで力を合わせられたね!」
✨ポイント
チームで力を合わせることで、友達への関心や応援の気持ちが育ちます。点数よりも、友達との関わりや協力する姿を褒める視点を大切にしましょう。

④ 自分だけの成長記録チャレンジ(非競争型)
- 内容 1日3投×数日間続けて記録をつけ、自分の記録を更新していく
- 目的 自己理解・モチベーションの持続・目標設定
- 声かけ例 「昨日より1点アップしたね!」「自分だけの目標達成、おめでとう!」「この調子で頑張ろうね!」
✨ポイント
他人との比較ではなく、「自分の記録」と向き合うことで達成感を得やすいです。継続的な活動にもつなげられます。
⑤ 先生vsみんなチャレンジ(遊び心をプラス)
- 内容 先生と子どもたちで交互に投げ合い、合計得点を競う
- 目的 集団の一体感・笑顔のある活動
- 声かけ例 「先生、また外した〜!」「みんなナイスチーム!先生は負けちゃった〜(笑)」
✨ポイント
先生が「外す演技」をすると自然と盛り上がります。「勝ち負け」よりも、先生と子どもたち、子どもたち同士の関係づくりを重視したあそび方です。
4. 育つ力と「自立活動6区分27項目」とのつながり
このドッチビー的当てゲームは、文部科学省が示す「自立活動の指導」の枠組みに沿って、子どもたちの多様な能力を育むことができます。具体的にどのような力が伸びるのか、そしてそれが自立活動のどの項目と関連するのかを見ていきましょう。
特別支援学校教育要領 学習指導要領解説 自立活動編を参考にしています。
育てたい力 | 自立活動の該当区分 |
---|---|
力加減・身体感覚 | ① 身体の動きの調整 |
指示を理解する | ③ 認知・言語行動 |
順番を守る・待つ | ⑤ 集団への適応 |
自信をもつ | ② 心理的安定 |
協力・関わりを楽しむ | ④ 人間関係の形成 |
5. まとめ|簡単だけど深い「ドッチビー的当てゲーム」の魅力
ドッチビー的当てゲームは、
- 準備が簡単(的+ドッチビーだけ)
- 安全で教室内でも安心してできる
- 遊び方次第で一人ひとりに合わせた支援が可能
という点で、非常に汎用性が高い自立活動です。
競争が苦手な子もいれば、勝負が好きな子もいます。だからこそ、子どもの反応を見ながらルールを調整し、どの子も「楽しい」と思える形で関われることがこの活動の魅力です。
「自分の成長に目を向けられる活動は、自己肯定感を育てる入り口です。」
日々の生活の中で、子どもたちが「またやりたい!」と笑顔になる時間を大切にしていきたいですね。
さあ、今日からあなたの教室でも、この「ドッチビー的当てゲーム」を取り入れてみませんか?準備は簡単、でもその効果は計り知れません。子どもたちの「できた!」という笑顔と、自信に満ちた表情を、ぜひあなたの目で確かめてください。
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