新学期や長期休み明け、「子ども同士が少しずつ関われる活動をしたい」「でも、いきなり自由に自己紹介するのは難しそう」と感じることはありませんか?
今回は、特別支援学級の自立活動やSSTで使いやすい「自己紹介ビンゴ」を紹介します。
「すきなこと」「すきないろ」「すきなたべもの」など、自分のことを書いたカードを使い、友達と質問し合いながら共通点を見つけていく活動です。
無料PDFもダウンロードできます。
ただし、「人と話すこと」そのものが大きな負担になる子もいます。
全員に同じ参加方法を求めるのではなく、ペアで行う・先生と一緒に質問する・カードを指さす・見学する・パスするなど、その子が参加しやすい方法を用意して実践してみてください。
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自己紹介ビンゴとは?
この自己紹介ビンゴでは、まず自分のカードに、
- すきなこと
- とくぎ
- しょうらいのゆめ
- すきないろ
- いまのきぶん
- すきなたべもの
- すきなどうぶつ
- すきなきょうか
- すきなあそび
などを書いたり、絵で表したりします。

カードが完成したら、友達に一つずつ質問してみます。
例えば、自分の「すきないろ」に「青」と書いた場合、
「好きな色は何ですか?」
と質問します。
相手も「青」だったり、「水色」など近い答えだったりしたら、そのマスに○を付ける、といったルールにできます。
タテ・ヨコ・ナナメのどこかがそろったらビンゴです。
ビンゴを競うことが目的ではありません。質問する、答える、相手の話を聞く、共通点や違いに気づくといったやり取りを練習するための活動として使います。
少人数の特別支援学級ならルールを変えてOK
特別支援学級では、学級の人数が少ないこともあります。
その場合、「1人につき1マス」といったルールにする必要はありません。
- 同じ友達に複数の質問をしてもよい
- 先生や支援員も参加する
- 2人組でカードを見せ合う
- ビンゴにせず「同じところ探し」にする
など、人数や子どもの実態に合わせて変えてください。
自立活動として行うときの考え方
自己紹介ビンゴを行えば、自動的にコミュニケーション力や社会性が育つわけではありません。
自立活動として行う場合は、最初に「この子はどんな場面で困っているのか」「この活動で何を練習したいのか」を考えることが大切です。
基本の順番
子どもの実態・困りごと
↓
今回の目標
↓
必要な自立活動の項目を選ぶ
↓
具体的な活動として自己紹介ビンゴを使う
自立活動は現在、6区分27項目で整理されています。
自己紹介ビンゴの場合、児童の実態や目標によっては、例えば次の項目との関連が考えられます。
- 3-(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること
- 3-(2) 他者の意図や感情の理解に関すること
- 3-(4) 集団への参加の基礎に関すること
- 6-(2) 言語の受容と表出に関すること
- 6-(4) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること
- 6-(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること
ただし、「自己紹介ビンゴ=この6項目を指導する活動」と固定して考えるものではありません。
目の前の子どもの実態から必要な項目を選び、個別の目標と結び付けて使います。
参考:文部科学省「特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編」
目標は子どもによって違ってよい
同じ自己紹介ビンゴをしていても、一人ひとりの目標は違って構いません。
| 子どもの実態 | 目標の例 | 参加方法の例 |
|---|---|---|
| 自分から声をかけることに不安がある | 教師と一緒に友達へ質問する | セリフカードを見ながら質問する |
| 話して答えることが難しい | 自分の好きなものを相手へ伝える | カード・指差し・文字などで伝える |
| 相手の話を聞くことが課題 | 相手の答えを聞いて一つ確認する | 一対一や少人数で行う |
| 集団参加への負担が大きい | 安心できる方法で活動へ参加する | 見学、教師とのペア、途中参加などを認める |
自己紹介ビンゴの授業の進め方【45分例】

以下は45分で行う場合の一例です。実態によって、カードを書く活動だけ、ペアでのやり取りだけなどに分けても構いません。
① 導入・見本を確認する【5〜10分】
最初に、今日の活動の流れを確認します。
教師が短いモデルを見せておくと、質問の仕方が分かりやすくなる子もいます。
例えば、
👧「好きな色は何ですか?」
👦「青です」
👧「私も青です。一緒だね」
👦「うん」
という程度の短いやり取りです。
このとき、必ず目を合わせる、大きな声で話すなど、コミュニケーションの形を一律に求める必要はありません。
言葉、指差し、カード、ジェスチャーなど、本人が使いやすい方法で参加できるようにします。
② 自己紹介カードを書く【10分】
自分のカードを作ります。
- 文字で書く
- 絵を描く
- 選択肢から選ぶ
- 教師が聞き取って代筆する
- 写真や絵カードを貼る
など、記入方法も子どもに合わせて変えます。
カードには「しょうらいのゆめ」「いまのきぶん」など、自分について考える欄もありますが、答えたくない項目はパスして構いません。
「全部埋めること」を活動の目的にしないことが大切です。
③ ペアや小集団で質問する【15〜20分】
完成したカードを使って、友達に質問してみます。
- 「好きな食べ物は何ですか?」
- 「好きな遊びは何ですか?」
- 「好きな教科は何ですか?」
などから、一つ選んで質問します。
同じ答えや似た答えが見つかったら、そのマスに○やシールを付けます。
ビンゴになったら終了でもよいですし、勝敗を付けずに「同じものをいくつ見つけられたかな?」という活動にしてもよいでしょう。
人とのやり取りへの負担が大きい場合は、最初から自由に教室内を回らせず、
- 先生と子どもの1対1
- 決めた2人組
- 3〜4人の小集団
- 教師と一緒に友達へ質問
などから始める方法もあります。
④ 振り返り【5分】
最後に、活動で気づいたことを振り返ります。
例えば、
- 同じものが好きな人はいた?
- 知らなかったことを一つ見つけた?
- 話しかけるとき、どんな気持ちだった?
- 次にやるなら、どの質問をしてみたい?
などです。
ただし、振り返りも必ず言葉で発表させる必要はありません。
- 気持ちの絵を選ぶ
- 「できた・もう少し・パス」から選ぶ
- 指差しで答える
- 教師と個別に確認する
など、その子が表現しやすい方法を選びます。
自己紹介ビンゴで大切にしたい5つの配慮
① 「話したくない」は認める
自己紹介には、自分について他者へ伝える要素があります。
しかし、すべてのことを友達へ話す必要はありません。
「これはパス」「答えたくない」と言えることも、大切な自己選択です。
② 個人的すぎる質問は避ける
質問項目を追加するときは、教師が内容を確認します。
例えば、家庭事情、健康状態、障害、経済状況など、本人が話したくない可能性がある情報を、ゲームのために答えさせることは避けます。
「好きな色」「好きな遊び」「好きな動物」など、比較的答えやすい内容から始めると取り組みやすくなります。
③ 「全員に話しかける」を目標にしない
たくさんの人に質問することが、その子にとって必要な目標とは限りません。
一人に質問できたことを大切にする子もいれば、相手の質問にカードで答えることを目標にする子もいます。
ビンゴの完成数ではなく、個別に設定した目標に対してどのような姿が見られたかを見取ります。
④ 「目を見る」「大きな声」を一律に求めない
コミュニケーションの方法は一つではありません。
相手の方を向く、カードを見せる、言葉で答える、指差しするなど、その子にとって使いやすく、相手に伝わる方法を考えます。
⑤ 勝敗よりもやり取りを見る
「誰が最初にビンゴになったか」だけに注目すると、早く多くの人に聞くことが目的になってしまいます。
自立活動として行うなら、
- 自分に合った方法で質問できた
- 相手の答えを待てた
- 分からないときに教師へ助けを求められた
- 同じところや違うところに気づけた
といった姿を見取る方が重要です。
子どもに合わせた支援の工夫
| 活動で困りやすい姿 | 支援の例 |
|---|---|
| 何と言えばよいか分からない | 「好きな○○は何ですか?」「私は○○です」などのセリフカードを用意する |
| 書くことへの負担が大きい | 絵・写真・選択肢・シール・教師の代筆などから方法を選べるようにする |
| 人へ話しかけることに不安がある | 教師との練習、決まったペア、小集団などから始める |
| 一度に多くの情報を扱いにくい | 質問する項目を1〜3個に絞る、使わないマスを隠す、活動時間を短くする |
| 言葉で答えることが難しい | カード、指差し、ジェスチャー、タブレットなどの方法を用意する |
| 人が多い場所が負担になる | 静かな場所、少人数、着席したままのペア活動などに変更する |
「できるだけ通常のやり方に合わせる」のではなく、その子が活動のねらいに取り組める方法へ調整することを大切にします。
📝 SSTをプリントでも取り組みたい先生へ
SST・自立活動ワーク19枚+教師用指導書
友達とのやり取り、気持ちの理解、場面に応じた行動などを考えられるワークと、授業で使うための教師用指導書をまとめています。
※この教材は支援級パックにも収録されています。
19枚セットの詳しい内容を見る実際に自己紹介ビンゴをして感じたこと
私が実践したときには、普段はあまり話す機会のなかった子同士が、「それ、ぼくも好き」「同じだね」とやり取りする場面が見られました。
一方で、自分から次々に友達へ話しかけられる子ばかりではありません。
先生と一緒なら質問できる子、カードを見せることで伝えられる子、まずは友達のやり取りを見るところから始める子もいます。
だからこそ、自己紹介ビンゴで大切なのは「何人に話しかけられたか」ではなく、その子なりの方法で人とのやり取りに参加できたかを見ることだと感じています。
また、教師にとっても、
- 好きなもの
- 得意なこと
- 話しやすい話題
- 質問されると答えにくい内容
- どのような支援があるとやり取りしやすいか
など、その後の支援を考えるための情報を知る機会になります。
無料プリント「自己紹介ビンゴ」ダウンロード
今回紹介した自己紹介ビンゴは、無料でダウンロードできます。
1ページ目は項目入り、2ページ目は自由に項目を書き込める形式です。学年や子どもの実態に合わせて使い分けてください。

プリントは、目の前の子どもの実態に合わせて、項目数を減らしたり、教師が選択肢を用意したりして活用してください。
まとめ|自己紹介ビンゴは「全員に話させるゲーム」ではない
自己紹介ビンゴは、新学期や長期休み明けに、子ども同士が互いのことを知るきっかけを作りやすい活動です。
ただし、コミュニケーションの練習だからといって、全員に同じ方法で話しかけさせる必要はありません。
- 言葉で質問する
- カードを見せる
- 指差しで答える
- 先生と一緒に参加する
- ペアだけで行う
- 見学やパスを選ぶ
参加の仕方にはさまざまな形があります。
「子どもの実態 → 目標 → 必要な支援 → 活動」の順で考え、その子が取り組みやすい自己紹介ビンゴに調整してみてください。
ビンゴを完成させることよりも、一人ひとりにとって意味のある「伝えられた」「聞けた」「分かった」という経験を見つけることが、自立活動として活用するポイントです。
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