今回は、
新学期や長期休み明けに、子どもたちが楽しみながら人との関わり方を学べる「自己紹介ビンゴ」を、自立活動として授業化した実践をご紹介します。
※ビンゴカードDLできます。
支援学級や通常学級の特別支援対象児にも対応できる内容なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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自己紹介ビンゴってどんな活動?
「自己紹介ビンゴ」は、ビンゴカードにある“特徴”をもとに他の人にインタビューをして、条件に合う人を探していく活動です。
例えば、カードのマスに「朝ごはんにパンを食べた人」と書かれていたら、「ねえ、今日の朝ごはんはパンだった?」と質問します。当てはまる人を見つけたらその人の名前を書き、タテ・ヨコ・ナナメのいずれかがそろったら“ビンゴ”!
この活動は、他者に関心を持つ・話しかける・自分のことを伝えるという、コミュニケーションに必要なスキルが楽しく自然に身につくのが魅力です。わくわくしながら他の子と関わる中で、自然と笑顔がこぼれてきますよ。

自立活動の観点から見たねらい
この活動は、以下のような自立活動の「人間関係の形成」「コミュニケーション」に深く関係しています。
◯ ねらい(例)
- 他者に関心を持ち、共通点を見つけようとする
これは、自己と他者の存在を認め、共生していく上で欠かせない第一歩です。 - 自分のことを相手にわかりやすく伝える力を育てる
社会生活を円滑に進める上で不可欠な、自己表現の土台となります。 - 人との距離感やマナーを意識しながら、会話を楽しむ経験を積む
これは、将来にわたって良好な人間関係を築くための大切な社会性を育みます。
活動の主目的は「関係づくり」。勝ち負けや完成を目指すのではなく、「声をかける」「聞いてみる」「ありがとうと言う」などの一つひとつの行動に目を向けて支援していきましょう。
特別支援学校教育要領 学習指導要領解説 自立活動編を参考にしています。
授業の進め方(45分想定)

① 導入(10分)
- 活動の目的とルールを説明します。
- 先生が1人2役で簡単な会話のロールプレイを見せると、子どもたちもイメージが持ちやすくなります。先生が率先して楽しむ姿勢を見せることが、子どもたちの安心感と意欲を引き出すカギですよ。
〈例〉
👧「“好きな食べ物がラーメンの人”って書いたんだけど、ラーメン好き?」
👦「うん、好きだよ!」
👧「じゃあここに名前書いてもいい?」
👦「いいよ、どうぞ!」
「ありがとう」「お願いします」などの丁寧な言葉づかいも確認しておきましょう。
② ビンゴカード作り(10分)
- 自分のビンゴカードのマスに、聞いてみたいこと・自分が当てはまりそうなことを書きます。
- 低学年や支援が必要な児童には、選択肢付きのカードや絵カードのテンプレートも準備しておくと安心です。
〈マスの内容例〉
- 兄弟がいる人
- 野菜が好きな人
- 誕生日が夏の人
- 昨日テレビを見た人
- おにぎりが好きな人
- ゲームが好きな人
- 〇〇先生が好きな人
- 今日、手を挙げて発表した人
子どもが「自分らしさ」を表現できる内容が入っていると、自己開示の第一歩になります。自分のことを話す練習にもなり、自己肯定感を育むことにもつながりますよ。
③ ビンゴタイム(15〜20分)
- 他の子に声をかけて、質問をしながらビンゴカードを埋めていきます。
- 「1人1マスまで」というルールを伝えておくと、多くの人と関わるきっかけになります。
活動中は、困っている様子のには「何か困ってることある?」「一緒に誰かに聞いてみようか?」と声かけをしたり、先生が一緒に回ったりして、成功体験につながるように支援します。
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④ 振り返り(5分)
活動の最後には、振り返りシートや対話の時間を設けましょう。活動を通して得られた気づきや感情を言語化することで、学びを定着させ、次への意欲につなげます。
〈ふりかえり例〉
- どんなことを聞いた?
- 同じものが好きだった友達はいた?
- 話しかけるとき、ドキドキした?楽しかった?
絵で感情を表す、星をつける、好きだった人にシールを渡す…など、子どものレベルに応じた振り返りができるよう工夫してくださいね。
支援の工夫とバリエーション
子どもの課題 | 工夫ポイント |
---|---|
声かけが苦手 | セリフ例カードを用意する:「○○好きですか?」「○○について教えてください」など →具体的な言葉を提示することで、最初のハードルを下げ、安心して行動に移せるようにします。 |
書くのが難しい | 絵カード形式のビンゴ、シールやスタンプを使う →視覚的な情報や簡単な操作で活動に参加できるため、書字が苦手な子も取り残されずに楽しめます。 |
人との関わりに不安がある | 事前に先生や支援員と練習・ロールプレイをして安心感を持たせる →成功体験のシミュレーションを通して、本番での不安を軽減し、自信をつけさせます。 |
認知負荷が高い | 3×3マスに減らす/相手の名札を見る/2人1組ペア活動にする →一度に処理する情報を減らすことで、集中力の維持や目標達成への見通しを立てやすくします。 |
活動を終えて感じたこと
この活動を通して、ふだんあまり話さない子同士が自然と笑顔で関わっている姿がたくさん見られました。「こんな子だったんだ!」「わたしもそれ好き!」といった共感や発見が、子ども同士の距離をぐっと縮めてくれました。
特に、自分から声をかけられた経験や、名前を書いてもらえた喜びは、子どもたちにとって大きな自信になります。
まとめ:人とつながる楽しさを“遊びながら”学ぶ
「人と関わる」ことが苦手な子どもにとって、それはときにとても大きなハードルです。でも、ルールがあって、目的があって、楽しく遊びながらだったら、ちょっとがんばってみようかな…という気持ちになることがあります。
「自己紹介ビンゴ」は、まさに、子どもたちの世界を広げ、未来を彩るための第一歩となる活動です。
特別支援の場面でも、多くの先生方にぜひ取り入れてほしい、おすすめの実践です。この活動が、一人ひとりの子どもたちの自信と成長、そして豊かな人間関係を育むきっかけとなることを願っています。ぜひ、あなたのクラスでも「自己紹介ビンゴ」を試してみてください!
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