はじめに
特別支援学級の担任として、日々子どもたちと向き合う中で、
「45分間必ず授業を終えなければならない」
という先入観にとらわれがちです。
しかし、実際の現場では、子ども一人ひとりの個性や発達状況に合わせた柔軟な指導こそが、学びの質を高め、安心感や達成感を生み出すことにつながります。
本記事では、
✅ なぜ「45分を一律にこなす」ことにこだわる必要がないのか
✅ 子どもに寄り添った対応の方が大きなメリットをもたらす理由
✅ その根拠と具体的な実践方法
について詳しく解説します。
⸻
「45分をやりきる」教育の弊害
日本の学校教育では、「1コマ45分」という固定された枠組みが一般的です。
これは効率性を求めるシステムですが、特別支援学級の子どもたちにとって最適とは限りません。
45分の授業を無理にこなそうとすると、以下のような問題が生じる可能性があります。
1. 過度なストレスの蓄積
授業時間に追われると、**「終わらなかったらどうしよう」**という不安が生まれます。
→ 失敗体験が増え 「自分にはできない」 と思い込む可能性があります。
2. 集中力の限界
特別支援学級の子どもたちは、集中できる時間に個人差があります。
→ 「45分間座って学習する」こと自体が負担 になり、学びの質が低下することも。
3. 個別のニーズへの対応不足
時間に縛られると、
✅ 子どもが理解できるまでじっくりサポートできない
✅ 一人ひとりのペースに合わせられない
結果として、学びが定着しにくくなることもあります。
⸻
子どもに寄り添った指導のメリット
「45分間やりきること」にこだわらないことで、多くのメリットが生まれます。
1. 達成感が向上し、自己肯定感が育つ
「終わらせること」ではなく「やり切ること」を大切にすると、子どもたちは成功体験を積みやすくなります。
→ できた!という実感が 次の学習への意欲 につながります。
2. 個別の学習支援がしやすくなる
時間の枠を柔軟にすると、一人ひとりの学び方に寄り添った指導ができます。
✅ 読むのが苦手な子 → 先生の読み聞かせを増やす
✅ 書くのが苦手な子 → 口頭で答える形にする
といった対応がしやすくなります。
3. ストレスが減り、情緒が安定する
時間のプレッシャーが減ることで、落ち着いて学習できるようになります。
また、早く終わった子は
✅ 読書
✅ タブレット学習
✅ リラックスできる遊び
などを選べるようにすると、ストレスがたまりにくくなります。
4. 自律性や選択の機会が増える
授業の時間を柔軟に使うことで、子ども自身が学びをコントロールできるようになります。
✅ **「今日は何をやりたい?」**と選ばせる
✅ 終わったら好きな活動を選べるようにする
ことで、自分で考えて行動する力を育てることができます。
⸻
実践例:国語の授業(45分の使い方)
**「45分間フルに授業をしなければならない」**のではなく、子どもが学びやすいように時間を調整することが大切です。
1. オープニング(5分)
✅ 今日の流れを説明(視覚スケジュールや絵カードを使用)
✅ 軽いウォームアップ(挨拶・前回の復習など)
2. メイン学習(15~20分)
✅ 読み聞かせ・朗読(興味を引く教材を使用)
✅ 個別の課題に取り組む(一人ひとりに合った課題を設定)
✅ 終わった子には補助的な活動(語彙カード、イラスト描きなど)
3. ブレイクタイム(5~10分)
✅ 短い休憩(ストレッチ・体操など)
✅ 自由活動(タブレット、読書、ボール遊びなど)
4. まとめ・フィードバック(5分)
✅ 今日の学びを振り返る(「何が楽しかった?」など)
✅ 頑張ったことを具体的に褒める
✅ 次回の授業の予告(安心感を持たせる)
⸻
「45分にこだわらなくてもいい」根拠
このアプローチは、教育理論や研究でも支持されています。
✅ 多重知能理論(MI理論)
→ 一人ひとり異なる学びのスタイルがあり、時間を柔軟に使うことで 個性を活かせる
✅ 自己決定理論
→ 自分で選択できる環境があると 学習意欲が高まる
✅ 実際の教育現場の声
→ 時間の枠を柔軟にしたほうが、子どもが落ち着いて学習できる という報告が多い
⸻
まとめ
特別支援学級では、「45分間やらなければならない」という固定観念を捨てることが重要です。
✅ 「やり切る体験」を大切にする
✅ 子どものペースに合わせた学習を提供する
✅ 余った時間は自由な活動に使い、ストレスを軽減する
このような対応をすることで、子どもたちの学習意欲が高まり、情緒も安定することが期待できます。
教育現場では、ぜひこの考え方を取り入れ、子どもが安心して学べる環境を整えていきましょう!
コメント