はじめに
教室の環境づくり、教材の準備、学校全体の動きの把握……もちろん大事なことはたくさんあります。でも、何よりも大切なのは、目の前の子どもたちがどんなことに困っていて、どんなことが好きで、どんなふうに学校で過ごしたいと思っているのかを知ることです。

大丈夫です。まずは深呼吸して、一番大切なことに意識を向けましょう。それは、「児童を理解すること」です。
今回は、4月の忙しい時期に「まずやるべきこと」として、児童理解のために大切なポイントをお伝えします。少しでも先生の安心につながれば嬉しいです。
1. まずは「一人ひとりを知る」ことから
① 個別の指導計画(IEP)を読む
特別支援学級の児童には、それぞれの特性や学習状況に応じた「個別の指導計画(IEP)」が作られています。これは、子どもたちの特性や得意なこと、学校生活での困りごとなどが詳しく書かれた、大切な資料です。
※個別の指導計画(IEP=Individualized Education Program)
「この子はどんなことが好きなのかな?」
「どんなことが苦手で、どんなサポートが必要なんだろう?」
そんな気持ちでじっくり読んでみてください。
ただ、計画書だけではわからないこともたくさんあります。 例えば、「集中力が続かない」と書かれていても、どんな環境なら集中できるのかは実際に関わってみないとわからないことも。だからこそ、次のステップも大切になります。
② 前年度の担任や関係職員から話を聞く
実際に子どもたちと関わっていた先生や支援員、養護教諭、スクールカウンセラーから話を聞くことで、「生の情報」を得ることができます。
• 学校生活の中で落ち着いて過ごせる時間や場所(図書室が好き、給食後は不安定になりやすい など)
• 支援の工夫(声かけの仕方、パニック時の対応、学習の進め方 など)
• 友達との関わり方(一人でいる方が安心する、仲のいい友達がいるなど)
• 得意なことや好きなこと(車が大好きで、話すと嬉しそう など)
こうした情報を知っておくことで、子どもたちとの関係をスムーズに築くことができます。
③ 可能なら保護者とも話してみる
もし可能なら、保護者ともお話しする機会を作ることをおすすめします。
保護者は、「我が子の専門家」です。
家庭での過ごし方や、学校では見えない一面を知ることで、支援のヒントを得ることができます。
「学校では言葉が少ないけど、家ではたくさん話すんです」
「朝はゆっくり準備しないと落ち着かないんです」
こんな情報があると、学校での関わり方を工夫しやすくなりますよね。
もちろん、すべての保護者がすぐに協力的とは限りません。でも、「お子さんのことを大切に思っている」「一緒に成長を支えていきたい」という気持ちが伝われば、少しずつ信頼関係を築いていけるはずです。
2. 通常学級とは違う特別支援学級ならではのポイント
特別支援学級は、通常学級と大きく異なる点がいくつかあります。その違いを知っておくと、学級運営がスムーズになります。
① 学年がバラバラだからこそ、教材選びが重要
特別支援学級では、1年生から6年生までの子どもが同じ教室で学ぶこともあります。 そのため、通常学級のように一斉に同じ授業をするのが難しいことも。
そこで大切になるのが、子ども一人ひとりに合った教材を選ぶこと。
例えば、「算数の授業をする」と決めた場合でも、
• 1年生レベルの足し算を練習する子
• 3年生レベルのかけ算を学ぶ子
• 計算よりも時計の読み方を学ぶ子
と、それぞれ学ぶ内容が違ってくることがあります。
教材を選ぶときは、「学年」ではなく「その子に合ったレベル」で考えることが大切です。
② 児童ごとにスケジュールを工夫する
特別支援学級では、児童の特性に合わせて、一人ひとり違うスケジュールを組むこともあります。
例えば、
• 朝の会に全員で参加した後、それぞれの学習へ
• 休憩の時間をずらして、静かに過ごせるようにする
• 他のクラスに交流学習へ行く時間を調整する
など、個別のスケジュールを意識すると、子どもたちが落ち着いて過ごせることが多くなります。
無理に「みんな一緒にやらなきゃ」と思わず、「この子が安心して学べる形は何だろう?」と考えながら進めていけるといいですね。
3. まとめ──焦らず、一歩ずつ「子どもを知ること」から始めよう
新年度が始まると、たくさんの準備に追われ、「あれもやらなきゃ」「これも間に合わない」と焦る気持ちになるかもしれません。
でも、大切なのは、「まずは子どもたちを知ること」です。
• 個別の指導計画を読んで、その子の特性を知る
• 前年度の先生や支援員、養護教諭から話を聞く
• 保護者ともできる範囲でコミュニケーションをとる
これを丁寧に進めていけば、子どもたちが安心して過ごせる環境をつくることができます。
初めての特別支援学級担任としての一年、不安もあるかもしれませんが、子どもたちと一緒に「ここなら大丈夫」と思える教室を作っていきましょう。

ゆっくりで大丈夫です。先生の温かい気持ちは、きっと子どもたちにも伝わりますよ。
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