「授業参観、何をしようか迷っている」「保護者に子どもの成長を見せたいけど、準備が大変すぎる」——そんな悩みを持つ特別支援学級の先生に読んでほしい記事です。
この記事では、多学年の特別支援学級でそのまま使える授業参観アイデアとして、「絵の具スタンプで花束アート」の実践を紹介します。5月の母の日はもちろん、「ありがとうの日」として誰に向けてもできるテーマなので、家庭環境が多様なクラスにも安心して使えます。
この記事でわかること
- 授業の流れ(45分の完全版)
- 発達段階別の個別目標と工夫
- 準備物と当日の失敗しないコツ
- 保護者向けメッセージ文例
- 家庭環境が多様なクラスへの配慮の視点
※授業をする際は、「みんなに当てはまる」前提を持たず、「当てはまらない子がいるかもしれない」視点を持ってください。もしよければ「おわりに」を先に読んで頂けたらと思います。
活動を通して、子どもたちの自己表現と達成感が引き出せるよう工夫した授業の流れや準備物、個別の支援アイデアも詳しく紹介します。
こちらは、完成作品例です。

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- 絵の具やスタンプの感触に慣れ、感覚刺激を楽しむ
- 道具の扱い方や順序を理解し、見通しを持って活動に参加する
- 色や形を通して「ありがとう」の気持ちを表現する
- 自分なりの構成で花束をつくり、達成感を得る
※特別支援学校教育要領 学習指導要領解説 自立活動編を参考にしています。
準備物リストと事前準備のポイント
必要な材料
| 材料 | 用意する数・備考 |
|---|---|
| 画用紙(A4またはB4) | 1人1枚・白または薄い色 |
| 絵の具(赤・ピンク・黄・緑など) | 1グループに1セット・水を少量用意 |
| スタンプ用スポンジ・ラップの芯など | 丸・花形などを事前に用意しておくと時短 |
| 花型紙・葉っぱ型紙(貼り絵用) | 低学年・手先が不安な子用に多めに準備 |
| クレヨン | 茎・リボン・花瓶などの下絵用 |
| メッセージカード(小さめ) | 1人1枚・なぞり書き用の下書き版も準備 |
| 新聞紙・テーブルカバー | 絵の具が机に付かないよう全面に敷く |
| 手袋(薄手のビニール手袋) | 感覚過敏の子用に数枚用意しておく |
事前準備で失敗を防ぐ3つのポイント
① 花型紙・葉っぱ型紙は前日に大量に切っておく
当日に切り始めると時間がなくなります。低学年や手先の不安な子が使う分を含めて、多めに用意しておくのが鉄則です。
② 絵の具の水の量は「少量」を徹底する
水が多すぎると色がにじんでスタンプがうまく押せません。事前に試し押しして「このくらいの水加減」を子どもに見本として見せると安心です。
③ 支援者の配置を事前に決めておく
授業参観では保護者の目がある中で動くことになります。どの子にどの支援者がつくかを事前に確認し、当日にバタバタしないようにしておきましょう。
授業の構成(45分)
活動の流れ
1. 導入(5分)
- 母の日についての話や絵本の読み聞かせ
- 見本作品の紹介(実物または画像)
- 今日の目標:「お母さんにありがとうを伝える花束を作ろう!」
2. 花束の台紙づくり(5〜10分)作り方説明。(実演)
- くれよんで花束の下絵を描く(茎・リボン・花瓶など)
- 実態に応じて、花型紙や花パーツ(貼り絵)も選べるようにする。こちらがおススメです。作品映えしますし、低学年や手先の不自由な子への支援もしやすいです。
- ※花型紙や花パーツ(貼り絵)事前に作っておきスタンプに時間を使うことをおすすめします。

3. 絵の具スタンプで花を描く(20分)
- 絵の具を使ってスタンプ遊び(色の選択や混色を楽しむ)
- 型紙の上にスタンプしてもOK
- 花びら・葉などは事前準備したパーツで対応可
- 水は数滴でよいです。水が多いと色がつきません。スタンプにつける水の量は、教師が確認するとよいでしょう。

4. メッセージカードを添える(5〜10分)
- 「ありがとう」「だいすきだよ」などの一言を添える
- 書字が難しい場合はなぞり書きや代筆で対応
- 最後にカードを作品に貼って完成!
5. ふりかえり・作品紹介(5分)
- 作品を机に並べてみんなで鑑賞
- 発表できる子は「ここをがんばったよ」など紹介
- 教師のコメントで子ども一人ひとりを認める
発達段階別の個別目標と表現の工夫
| 発達段階 | 個別目標 | 工夫例 |
|---|---|---|
| 感覚刺激に慣れる段階 | 絵の具の感触に親しむ | 手袋・スポンジを使った安心スタンプ |
| 道具操作が不安な段階 | 用具を見通しを持って使う | 型紙や貼り絵で活動を単純化 |
| 自己表現に支援が必要 | 気持ちを色や形で表す | 色選び、代筆で気持ちを表現 |
| 表現に意欲的 | 自分の構成で自由に表す | 背景や名前、リボンなどもアレンジ |
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活動の選択肢と柔軟な支援例
- 花を描く方法は複数用意
- くれよんで下絵 → スタンプで花を描く
- 型紙にスタンプで花を描く
- パーツを貼る → 飾りにスタンプを押す
- 活動方法を自分で選ぶことで主体性を引き出す
- 完成度より「楽しかった」「できた!」を大切にする
授業参観当日の工夫ポイント
- 活動の説明には選択肢をしっかり提示
- 支援者の配置は事前に確認し、安心して取り組めるように
- 作品は教室に掲示、または保護者と一緒に鑑賞する場を設ける
- 子どものがんばりをカードやコメントで伝えると保護者の満足度もアップ
掲示用&持ち帰り用メッセージ例
子ども向けに教室に掲示するメッセージ
ありがとうの気もち、つたえられたね!
みんなの花束、とってもすてきだったよ!
保護者向けメッセージカード文例
本日はご参観ありがとうございました。
今日の活動では、「ありがとう」の気持ちを色や形で表現しました。
一人ひとりの思いが込められた、世界に一つだけの花束です。
ぜひご家庭でも、子どもたちの成長を感じていただければ嬉しいです。
おわりに
母の日という身近な行事を通して、子どもたちの感謝の気持ちや思いやりの心を育むことができる授業になりました。
特別支援学級では、一斉活動の中に個別の配慮や選択肢を織り交ぜることがとても大切です。
どの子も「できた!」「楽しかった!」と感じられるような授業参観の一例として、参考になれば幸いです。
下記の視点を大切にしてください
「学校は子どもにとって逃げられない場である」という前提に立つと、家庭の状況が多様であることを前提にした配慮は、教師の大切な役割です。「母の日」や「父の日」といった行事は、家庭の形が多様化している今の社会では、必ずしもすべての子どもにとって心地よいテーマではありません。
たとえば、母親がいない・会っていない・関係が良好でないという子どもにとっては、「お母さんありがとう」と言葉にすること自体が苦痛になります。
ただ一方で、「感謝を伝える」「大切な人を思う」といった活動そのものには価値があります。そのため、どう扱うかは教師の「設計力」や「言葉の選び方」に大きく左右されるとも言えます。
たとえばこんな工夫も考えられます
- 「母の日」ではなく「ありがとうの日」として、誰に向けてもいい手紙を書く
- 「大切に思っている人にプレゼントを作ろう」とテーマを広げる
- 「家族」や「親」を直接テーマにせず、感謝や思いやりについて考える授業をする
教師として大切なのは、「みんなに当てはまる」前提を持たず、「当てはまらない子がいるかもしれない」視点を持ち続けてください。
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📖 参考資料
文部科学省の自立活動編では、「身体の動き」「コミュニケーション」「人間関係の形成」などの区分において、表現活動を通じた自己実現と他者理解が重要な目標として位置づけられています。花束アートは「感覚と運動」「身体の動き」「コミュニケーション」の複数区分にまたがる統合的な自立活動として機能します。
▶ 特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編(文部科学省)




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