今回は、特別支援学級(多学年)で行った、5月の授業参観にぴったりな制作活動をご紹介します。
「お母さんにありがとうの気持ちを伝えよう」をテーマに、絵の具スタンプで花束アートを作りました。
活動を通して、子どもたちの自己表現と達成感が引き出せるよう工夫した授業の流れや準備物、個別の支援アイデアも詳しく紹介します。
活動のねらい(自立活動の視点から)
- 絵の具やスタンプの感触に慣れ、感覚刺激を楽しむ
- 道具の扱い方や順序を理解し、見通しを持って活動に参加する
- 色や形を通して「ありがとう」の気持ちを表現する
- 自分なりの構成で花束をつくり、達成感を得る
授業の構成(45分)
活動の流れ
1. 導入(5分)
- 母の日についての話や絵本の読み聞かせ
- 見本作品の紹介(実物または画像)
- 今日の目標:「お母さんにありがとうを伝える花束を作ろう!」
2. 花束の台紙づくり(5〜10分)
- くれよんで花束の下絵を描く(茎・リボン・花瓶など)
- 実態に応じて、花型紙や花パーツ(貼り絵)も選べるようにする
3. 絵の具スタンプで花を描く(20分)
- 絵の具を使ってスタンプ遊び(色の選択や混色を楽しむ)
- 型紙の上にスタンプしてもOK
- 花びら・葉などは事前準備したパーツで対応可
4. メッセージカードを添える(5〜10分)
- 「ありがとう」「だいすきだよ」などの一言を添える
- 書字が難しい場合はなぞり書きや代筆で対応
- 最後にカードを作品に貼って完成!
5. ふりかえり・作品紹介(5分)
- 作品を机に並べてみんなで鑑賞
- 発表できる子は「ここをがんばったよ」など紹介
- 教師のコメントで子ども一人ひとりを認める
発達段階別の個別目標と表現の工夫
発達段階 | 個別目標 | 工夫例 |
---|---|---|
感覚刺激に慣れる段階 | 絵の具の感触に親しむ | 手袋・スポンジを使った安心スタンプ |
道具操作が不安な段階 | 用具を見通しを持って使う | 型紙や貼り絵で活動を単純化 |
自己表現に支援が必要 | 気持ちを色や形で表す | 色選び、代筆で気持ちを表現 |
表現に意欲的 | 自分の構成で自由に表す | 背景や名前、リボンなどもアレンジ |
活動の選択肢と柔軟な支援例
- 花を描く方法は複数用意
- くれよんで下絵 → スタンプで花を描く
- 型紙にスタンプで花を描く
- パーツを貼る → 飾りにスタンプを押す
- 活動方法を自分で選ぶことで主体性を引き出す
- 完成度より「楽しかった」「できた!」を大切にする
授業参観当日の工夫ポイント
- 活動の説明には選択肢をしっかり提示
- 支援者の配置は事前に確認し、安心して取り組めるように
- 作品は教室に掲示、または保護者と一緒に鑑賞する場を設ける
- 子どものがんばりをカードやコメントで伝えると保護者の満足度もアップ
掲示用&持ち帰り用メッセージ例
子ども向けに教室に掲示するメッセージ
ありがとうの気もち、つたえられたね!
みんなの花束、とってもすてきだったよ!
保護者向けメッセージカード文例
本日はご参観ありがとうございました。
今日の活動では、「ありがとう」の気持ちを色や形で表現しました。
一人ひとりの思いが込められた、世界に一つだけの花束です。
ぜひご家庭でも、子どもたちの成長を感じていただければ嬉しいです。
おわりに
母の日という身近な行事を通して、子どもたちの感謝の気持ちや思いやりの心を育むことができる授業になりました。
特別支援学級では、一斉活動の中に個別の配慮や選択肢を織り交ぜることがとても大切です。
どの子も「できた!」「楽しかった!」と感じられるような授業参観の一例として、参考になれば幸いです。
関連画像(作品見本)

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