特別支援学級の個人懇談はいつがベスト?時期別のねらいと年間スケジュール例(2期制)

支援の工夫

特別支援学級では、児童一人ひとりの実態に応じた支援計画や保護者との連携が欠かせません。その中でも大切な機会が「個人懇談」です。

しかし、「いつ懇談を行うのが効果的なのか」「どんな内容を話すべきか」に悩む先生も多いのではないでしょうか。

この記事では、私が実践している年間3回の懇談スケジュール(二期制)について、時期ごとのねらいや目的を整理し、図解つきでご紹介します。懇談を効果的に活用し、保護者との信頼関係を深めるヒントになれば幸いです。

個人懇談をより充実させ、保護者との信頼関係を深めるためには、事前の準備とコミュニケーションのヒントを知っておくことが大切です。もし「もっと保護者との対話術を磨きたい」「具体的な声かけの例を知りたい」とお考えでしたら、こちらの書籍が参考になります。

具体的な会話例や、保護者の思いを引き出すヒアリングのコツが満載です。私も現場で何度も読み返し、活用しています。

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年間3回の個人懇談が効果的な理由

個人懇談は、保護者と学校が子どもを中心に連携する大切な機会です。特別支援学級では、支援計画や個別の教育支援計画を立てるうえで、保護者の思いや願いを丁寧に聞き取る必要があります。

私は、年間3回(5月・9月・2月)の懇談が、教育的にも制度的にもバランスがよいと感じています。例えば、個別の教育支援計画の定期的な見直し時期と合致しやすく、一貫した支援を提供できるため、教育効果を高めやすいんです。

それぞれの時期に応じたねらいを明確にすることで、保護者との信頼関係も深まり、支援の一貫性が保てます。


2期制における懇談のベストタイミングとねらい

以下の図をご覧ください。これは、2期制における「懇談のタイミングと目的」をまとめたものです。

時期 目的・内容 補足
5月 ・前期の個別支援計画・教育支援計画に向けた合意形成
・保護者の願いや不安の共有、年度の見通しを立てる
・ゴールデンウィーク明けがおすすめ
・児童の様子が安定してきたタイミング
9月中旬 ・前期の評価と後期の支援計画調整
・入級申請や行事(修学旅行・宿泊研修など)の相談
・10月の入級申請前に実施がベスト
・行事対応の確認にも最適
2月 ・後期の評価と1年間のまとめ
・進級・進学に向けた希望共有、来年度の支援方針の確認
・担任が代わる場合の引き継ぎに有効
・内容次第で5月の懇談を省略することも可能

● 5月:前期の支援計画に向けた合意形成

  • 児童の1ヶ月の様子をふまえて、支援方針をすり合わせる
    例:「〇〇さんの1ヶ月の学校での様子ですが、給食の準備がとても丁寧になりました。お家ではいかがですか?」
  • 保護者の希望や不安を聞き取り、個別の教育支援計画に反映する
    例:「今年度、〇〇さんに特に力を入れたいことや、心配なことはありますか?」
  • 1年間の見通しを共有し、信頼関係の土台をつくる
    例:「この1年で、〇〇さんにこんな成長をしてほしいと考えています。一緒にサポートしていきましょう。」

● 9月:前期の評価+後期の計画調整

  • 前期の取り組みの評価を共有し、成長を確認
    例:「前期に取り組んだ『身の回りのことを自分でやる』という目標ですが、〇〇さんはこの点が大きく伸びましたね。ご家庭での様子はいかがでしたか?」
  • 入級申請や修学旅行・宿泊研修の相談にも活用
    例:「10月に入級申請書の提出時期が来ますが、何かご不明な点はありますか?」
  • 後期の支援内容や目標を保護者と再確認する
    例:「後期の目標として、集団活動への参加をさらに促したいと考えていますが、いかがでしょうか?」

📌 ポイント:9月中旬がベスト
入級申請書の提出(10月)や大きな行事の前に話ができるため、実務面でも重要な時期です。

● 2月:1年のまとめと来年度に向けた見通し共有

  • 後期の評価と1年間の振り返り
    例:「この1年で、〇〇さんは本当に色々なことができるようになりましたね。特に印象的だったのは、△△の場面です。」
  • 進級・進学の希望や将来のビジョンを保護者と共有
    例:「来年度に向けて、〇〇さんがこんなことができるようになったらいいな、というご希望はありますか?」
  • 担任が代わる場合は、次年度への「引き継ぎ情報」として活用
    例:「来年度は担任が変わりますが、〇〇さんのことで特に引き継いでおきたいことはありますか?」

具体的な事例や記入例が豊富に盛り込まれているため、初めて個別の指導計画を作成する先生でも安心して取り組めます。子どもの特性理解から目標設定、具体的な支援内容まで、段階を追って丁寧に解説されており、まさに「やさしい」ガイドブックです。保護者との連携を深めるためのヒントも満載で、子どもの発達をきめ細やかにサポートしたいと願う全ての方におすすめできます。

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5月懇談の省略は可能か?

もし2月の懇談で、来年度の支援の方向性や希望まで丁寧に共有できていれば、5月の懇談を省略または簡略化することもできます。教員の負担軽減にもつながり、より柔軟な運営が可能になります。

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 新担任からのあいさつを含む10分程度の短時間懇談
    「この度、〇〇さんの担任となりました、△△です。何かお困りのことがあれば、いつでもご連絡ください。」
  • 電話や連絡帳での文書によるフォロー
    「新学期が始まり、〇〇さんは落ち着いて学校生活を送っています。何かご心配なことなどあれば、ご連絡ください。」
  • 前年度担任からの引き継ぎ資料を活用し、スムーズな情報共有を図る。

少人数の学校では、連絡帳でのやり取りを密にする。新任の先生が多い場合は、初回の懇談で丁寧な資料説明を行う、といった調整も有効です。


まとめ|懇談を「目的化」せず、関係づくりの一環に

懇談は「形式的なイベント」ではなく、継続的な関係づくりの一環として活用したいものです。

年度内に3回の節目を設けることで、保護者と学校が同じ方向を向き、子どもにとって最適な支援ができるようになります。

学校の実態や人的配置に応じて、回数や時期を調整しながら、一人ひとりの成長を支える懇談のあり方をこれからも考えていきたいですね。

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