特別支援学級の子はどんな子?「できない子」ですか。

支援の工夫

「特別支援学級にいるからって、できない子どもだと思わないでほしい」

「障害があるからって、人より劣っているわけじゃない。得意なこともある。貴方が知らないだけです。」

「静かにしているからといって、心の中に思いがないわけじゃない」

これは、私が現場で抱いてきた率直な思いです。

そして、この思いを言葉にすることに、これまで少しためらいがありました。

でも今、改めて言いたい。

「支援学級にいるからといって、子どもたちを“できない子”と決めつけないでください」と。

見えにくい偏見が、日常の中にある

支援学級にいる子どもたちに対する偏見や誤解は、実は想像以上に日常の中にあります。

保護者の中にも、他のクラスの子どもたちの中にも、そして時には先生の中にも。

誰かが悪いという話ではありません。むしろ、「知らないから」「経験がないから」自然とそう見えてしまっているだけのことがほとんどです。

たとえばこんな声を聞いたことはありませんか?

  • 「普通学級に行けないから支援学級にいるんでしょ?」
  • 「ずっと支援学級にいるなら将来どうなるの?」
  • 「かわいそうだね…」
  • 「あの子は無理でしょ、難しいもん」

こうした言葉の裏には、「支援が必要=できない子」「障害=劣っている」という暗黙の思い込みが隠れています。でも、それは大きな誤解です。

子どもたちは「できること」を持っている

支援学級にいる子どもたちは、一人ひとりが違う背景や特性を持っています。たしかに、支援が必要な場面はあります。けれど、それは「できない」ことではなく、「サポートがあればもっと伸びること」にすぎません。

ある子は、人の気持ちにとても敏感で、友達が悲しんでいることに真っ先に気づいて優しく声をかけます。

ある子は、細かい作業が得意で、折り紙や工作で驚くような作品を作ります。

ある子は、日々のルーティンをしっかり守り、誰よりも安定した生活リズムで毎日登校します。

その子たちの「できること」に目を向けると、支援学級は「できない子が集まる場所」ではなく、「一人ひとりの力を見つけて育てる場所」なのだと分かるはずです。

「邪魔しないで」― 子どもたちの可能性を信じて

支援が必要な子どもたちの中には、自分でできることをたくさん持っている子もいます。それなのに、「どうせできないから」と周囲が先回りして助けすぎたり、「危ないから」と経験の機会を奪ったりしてしまうことがあります。

でも、それでは本来の成長の芽を摘んでしまいます。

大切なのは「支援=囲い込み」ではなく、「支援=可能性を引き出すサポート」であること。

できることまで邪魔しないでください。やってみるチャンスを奪わないでください。

できること、やってみたいことに自信を持てたとき、子どもたちはぐんと伸びます。その姿を、私は何度も見てきました。

「言わない」だけで、思っていないわけじゃない

言葉で自分の気持ちを伝えるのが難しい子もいます。

でも、それは「何も思っていない」わけではありません。

自分の気持ちをうまく表現できない子が、絵に込めた思いや、ふとした行動に込めた優しさ。言葉にはならなくても、しっかりと心がある。

だからこそ、大人が「この子はこう思っているのかな?」と想像し、寄り添おうとする姿勢がとても大切になります。

「話さない=何も考えていない」と決めつけるのではなく、「話さなくても感じていることがある」と信じて関わってほしいのです。

偏見のないまなざしが、子どもたちの未来を変える

子どもたちは、大人のまなざしの中で育ちます。

「あなたにはきっとできる」と信じてくれる大人がいるだけで、子どもたちは前に進めます。

逆に、「どうせ無理」と見られたら、自信を持てずに心が閉じてしまうこともあります。

偏見のないまなざしは、子どもたちにとっての“光”です。

支援学級にいるからといって、「できない」「かわいそう」「関係ない」と思わないでほしい。

むしろ、「この子のいいところはどこだろう?」「どんなことが得意なんだろう?」と、興味をもって見てほしい。

そのまなざしが、子どもたちの未来を広げます。

私たち大人にできること

では、どうすれば偏見を減らしていけるのでしょうか。

私たち一人ひとりにできることは、実はとてもシンプルです。

• 子どもたち一人ひとりの「できること」に目を向ける

• 「知らない」ことを悪いこととせず、まず知ろうとする

• 支援学級の子どもたちと自然に関わる機会を持つ

• 周囲の人の言動に違和感を覚えたら、小さくても声をあげてみる

小さなことでも、それが積み重なれば、大きな変化になります。

「支援学級にいる=かわいそう」という誤ったイメージを変えていくのは、私たち大人の役目です。

最後に ― すべての子どもにまなざしを

支援が必要な子どもたちは、誰よりも努力しています。

少しの変化を乗り越えるために、日々の生活の中で自分なりに頑張っています。

そして、その中でたくさんの「できること」「伝えたいこと」を持っています。

私たち大人が、その存在をしっかりと認めて、信じて、まなざしを向けていくこと。

それが、子どもたちの未来を支える最も大きな力になります。

どうか、「知らないだけで判断しないで」ください。

どうか、「その子なりの可能性」を見つめてあげてください。

そして、支援学級の子どもたちが、胸を張って歩ける社会を、一緒に育てていけたらと思います。

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