ADHDの子が集中できる家庭学習のコツ3選|今日からできる優しい工夫

保護者向け

「どうしてうちの子は、こんなにすぐ気が散ってしまうんだろう…?」

ADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けたお子さんを育てる中で、家庭学習に苦戦している保護者の方も多いのではないでしょうか。

でも、大丈夫です。お子さんの「集中しにくさ」は、決して「怠け」ではなく、脳の特性からくるもの。だからこそ、「その子に合った工夫」を取り入れることで、少しずつ集中しやすい環境をつくることができます。

この記事では、特別支援教育の現場で18年間子どもたちと向き合ってきた筆者が、ADHDの子が家庭で集中できる3つの工夫を、保護者の皆さんに向けて丁寧にお伝えします。

1. 環境を整える「3つのポイント」

視覚的な刺激を減らす

ADHDの子どもたちは、目に入った情報をすぐにキャッチしてしまう特性があります。そのため、学習机の上がごちゃごちゃしていたり、テレビやおもちゃが視界に入る場所では集中が続きません。

まずは机の上をスッキリと整理してみましょう。必要な教材だけを出し、壁もできるだけシンプルに。100均のパーテーションやついたてを使って、視界を限定するのもおすすめです。

「学習スペース」は一定の場所に決める

家の中でも、「勉強はここ」と決めたスペースがあると、気持ちの切り替えがしやすくなります。たとえば、リビングの隅に小さな勉強コーナーをつくるなど、落ち着ける定位置をつくりましょう。毎回場所が変わると、そのたびに集中のスイッチが入りづらくなってしまいます。

「5分だけ勉強しよう」から始める

集中力に波があるADHDの子には、「いきなり30分勉強しよう!」はハードルが高すぎます。最初は**“5分だけやってみようか”**と短い時間から始めて、少しずつ伸ばしていく方法が有効です。タイマーでカウントダウンすると、「あとちょっと」が見えてやる気につながります。

2. 学習スタイルをその子に合わせて工夫する

「書く」以外の学習方法も取り入れる

ADHDの子の中には、書く作業が苦手だったり、じっと座っているのがつらい子もいます。そんな時は、音読・動画・リズムに乗せた暗記など、五感を使った学習法を取り入れてみてください。たとえば、九九の暗記をリズムに合わせて歌うだけでも、楽しく学べることがあります。

タイマーで「見える時間管理」

「あと何分やれば終わるの?」と頻繁に聞いてくる子には、キッチンタイマーや砂時計がおすすめです。**「目で見て分かる時間」**があると、見通しをもって取り組みやすくなります。「この時間が終わったら休憩ね!」と伝えておくと、安心して取り組めるようになります。

「できた!」をすぐに味わえる仕組みを

成功体験は、次のやる気につながります。たとえば、学習の最後に「今日のがんばりシート」に丸をつけたり、ミニシールを貼るなど、“小さな達成感”をすぐに味わえる工夫をしてみましょう。おうちの人が「すごいね!」「よくがんばったね」と声をかけてあげるだけでも、子どもの自信は大きく育ちます。

3. 一番大切なのは「気持ちに寄り添う声かけ」

否定せず、まず共感のひとこと

「また集中してない!」と叱るよりも、「がんばろうとしてるの、わかってるよ」と、まずは子どもの気持ちを受け止めるひとことを意識してみてください。「集中しようとしてるんだよね」「今日は疲れてるかな?」と共感を示すと、子どもは安心して心を開いてくれます。

「やる気スイッチ」は親子の信頼関係から

子どもは、大好きな大人との関係が安心できるものであればあるほど、チャレンジする勇気を持てるようになります。日ごろから「できたね」「大丈夫だよ」と寄り添ってあげることで、学習にも前向きな気持ちを持てるようになります。

うまくいかない日があっても大丈夫

ADHDの特性上、調子の波は誰にでもあります。ある日は集中して勉強できても、次の日はまったく手につかない…そんなことはよくあります。「今日はおやすみにしようか」と休む選択も、親子の大切な学びになります。焦らず、少しずつ「自分らしい学び方」を見つけていきましょう。

まとめ|家庭学習は「できた体験」を積み重ねること

ADHDの子どもたちは、周りの子と比べられて自信を失いやすい反面、一つでも「できた!」という経験があると、大きな力を発揮することもあります。

家庭での学習は、完璧である必要はありません。

親子で一緒に笑ったり、頑張ったり、ちょっと疲れて休んだり…。そんな時間の中で、「勉強って悪くないかも」と子どもが感じられることが、一番の目標です。

今日から少しずつ、お子さんに合った家庭学習のスタイルを見つけていきましょう。

どんなときも、あなたの愛情と関わりが、子どもにとって一番の支えになります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました