【SST・自立活動】簡単にできるカードゲーム「すきなのどっち」でコミュニケーション力を育てよう

自立活動•SST

「すきなのは、カレーとラーメン、どっち?」

こんなシンプルな質問でも、子どもが「自分はどっちかな?」と考え、自分なりの方法で伝え、友達の答えを知るきっかけになります。

今回紹介するのは、私が特別支援学級の自立活動で行ってきた「すきなのどっち」という活動です。

二つの選択肢から好きな方を選び、必要に応じて理由を伝えたり、友達の答えを聞いたりします。

この記事で分かること

  • 「すきなのどっち」のねらいと進め方
  • 話す・選ぶ・聞くことが難しい子への支援
  • 自立活動6区分27項目との関連の考え方
  • めあて設定と振り返りの方法
  • 無料で使える「すきなのどっち」カード
  • カード50枚+指導書セットの内容

無料サンプルは記事後半からダウンロードできます。

  1. 「すきなのどっち」はどんな自立活動?
  2. 活動で育てたい力は、子どもによって違う
  3. 自立活動6区分27項目とはどう関連付ける?
  4. 「どっちか選ぶ」ことを無理に求めない
  5. 話す・目を見ることを参加条件にしない
  6. 活動前に一人ひとりの「めあて」を決める
    1. めあては子ども自身に全部考えさせなくてよい
  7. ルールと活動の流れを見えるようにする
  8. 「すきなのどっち」の具体的な進め方
    1. ① 今日の流れとめあてを確認する
    2. ② カードを1枚選ぶ
    3. ③ 自分の答えを選ぶ
    4. ④ 話せそうなら、理由を聞いてみる
    5. ⑤ 友達の答えを聞く
  9. 教師も参加すると活動のモデルを示しやすい
  10. 子どもの様子に合わせた支援の工夫
    1. 選ぶことが難しい場合
    2. 話すことが難しい場合
    3. 人の話を待つことが難しい場合
    4. 大人数が負担になる場合
  11. 活動の最後は「できた・できない」だけで終わらせない
  12. 実践で見られた子どもの姿
    1. 小さな声でも、自分の好きなものを伝えた子
    2. すぐ答えず、友達の話を待とうとした子
    3. 言葉以外の方法で選択を伝えた子
  13. 授業参観でも使いやすい理由
  14. 無料ダウンロード|「すきなのどっち」カード8枚
  15. 「すきなのどっち」カード50枚+指導書
  16. 実践で大切にしたい5つのポイント
    1. ① 「選ぶこと」そのものを評価しすぎない
    2. ② 「理由を言えたか」を全員の目標にしない
    3. ③ 違う答えを歓迎する
    4. ④ 個人的な情報を無理に話させない
    5. ⑤ 授業でできたことを日常へつなげる
  17. まとめ|「どっち?」から、自分を知り、相手を知る
  18. 関連する自立活動・SST
    1. 支援級パック(自立活動・SST教材フルパック)

「すきなのどっち」はどんな自立活動?

活動はとてもシンプルです。

例えば、

「すきなのは、イヌとネコ、どっち?」

「行ってみたいのは、海と山、どっち?」

「遊ぶなら、おにごっことかくれんぼ、どっち?」

といった質問から一つ選びます。

答え方は、必ずしも文章で話す必要はありません。

  • 言葉で答える
  • 指差しで選ぶ
  • カードを渡す
  • 視線やジェスチャーで示す
  • 「どっちも好き」と答える
  • 「どっちも好きじゃない」と答える
  • 「分からない」「パス」と答える

など、本人に合う方法を使います。

すきなのどっちを使ったSST・自立活動

活動で育てたい力は、子どもによって違う

「すきなのどっち」という同じ活動をしていても、ねらいは全員同じとは限りません。

例えば、ある子には、

  • 自分の好きなものを一つ選ぶ
  • 選んだものを自分なりの方法で伝える

ことを目標にします。

別の子には、

  • 友達の答えを聞く
  • 自分と違う選択があることを知る
  • 「そうなんだ」など、短く応じる

ことを目標にすることもできます。

また、

  • 順番を待つ
  • 困ったときに「パス」と伝える
  • 理由を一言だけ付け加える
  • 自分が決めた今日のめあてを振り返る

ことを目標にする場合もあります。

「すきなのどっちをする」ことが目標ではなく、その子の困りごとや育てたい力に合わせて、活動を使うことが大切です。

自立活動6区分27項目とはどう関連付ける?

自立活動では、活動名から区分・項目を決めるのではありません。

まず子どもの実態や学習上・生活上の困難を整理し、指導目標を設定します。

そのうえで、6区分27項目の中から必要な項目を選び、関連付けて具体的な指導内容を考えます。

個別目標の例関連を検討できる項目例
相手の答えや表情などから、相手の考えに気づく3-(2) 他者の意図や感情の理解に関すること
自分の好みや苦手さに気づき、自分に合う行動を選ぶ3-(3) 自己の理解と行動の調整に関すること
少人数活動へ自分に合う方法で参加する3-(4) 集団への参加の基礎に関すること
自分の好きなものや考えを言葉・カードなどで表す6-(2) 言語の受容と表出に関すること
質問する・答える・相手に応じるなど、場面に合うやり取りをする6-(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること

※実際に選ぶ区分・項目は、児童一人ひとりの実態と指導目標によって異なります。

文部科学省「特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編」

「どっちか選ぶ」ことを無理に求めない

この活動で特に大切にしたいのが、二択だからといって、必ずどちらかを選ばせないことです。

子どもによっては、

  • どちらも好き
  • どちらも好きではない
  • その日の気分では決められない
  • その質問には答えたくない

ことがあります。

「どっちも好きでもいいよ」
「どっちも違うでもいいよ」
「分からないでもいいよ」
「答えたくなかったらパスでもいいよ」

と伝えておくことで、選ばないことも含めて本人の意思として扱えます。

話す・目を見ることを参加条件にしない

「コミュニケーションの活動だから、みんなの前で話そう」「話している人の目を見よう」と一律に求める必要はありません。

本人によっては、

  • カードを指差す
  • イラストを選ぶ
  • 教師に代わりに読んでもらう
  • うなずく
  • 相手の方向へ身体を向ける
  • 聞いている間、別の場所を見ながら参加する

といった方法の方が取り組みやすいこともあります。

「上手に話せたか」ではなく、「本人なりの方法で選んだり、伝えたり、相手の答えを受け取ったりできたか」を見取ります。

すきなのどっちの自立活動で使うカード教材

活動前に一人ひとりの「めあて」を決める

活動前には、その日の個別目標を一つ決めます。

例えば、

  • 自分で一つ選ぶ
  • 自分の方法で答える
  • 友達の答えを一つ聞く
  • 「そうなんだ」と一度返す
  • 理由を一つ伝えてみる
  • 困ったら「パス」と伝える
  • 自分の番まで待つ

などです。

めあては子ども自身に全部考えさせなくてよい

教師が、個別の指導計画や普段の様子から2〜3個の候補を準備し、そこから本人が選ぶ方法でも構いません。

また、「どうしてそのめあてにしたの?」と必ず説明させる必要もありません。

本人が自分の苦手さをみんなの前で話したくない場合は、教師と個別に確認します。

ルールと活動の流れを見えるようにする

見通しを持つことが難しい子がいる場合は、活動の流れを短い言葉やイラストで示します。

① カードを見る
② 自分の答えを選ぶ
③ 自分なりの方法で伝える
④ 友達の答えを聞く
⑤ 次の人へ

タイマーなどで終了時間を示しておくこともできます。

ただし、「ルールを守らせる」こと自体が目的にならないようにします。

参加しやすい環境を整えたうえで、その子に必要な目標へ取り組みます。

「すきなのどっち」の具体的な進め方

すきなのどっちの活動の進め方

① 今日の流れとめあてを確認する

最初に活動の流れを確認し、一人ひとりのめあてを決めます。

活動時間は、子どもの実態や人数に応じて調整します。私の実践では15〜20分程度で行うこともありました。

② カードを1枚選ぶ

例えば、

「すきなのは、ネコとイヌ、どっち?」

というカードを提示します。

文字を読むことが難しい場合は教師が読み上げます。

③ 自分の答えを選ぶ

答え方は自由です。

例えば、

  • 「イヌ」
  • イヌの絵を指差す
  • 「どっちも」
  • 「今日はネコ」
  • 「分からない」

などがあります。

④ 話せそうなら、理由を聞いてみる

本人が話せそうなら、

「イヌなんだね。どんなところが好き?」
「いつから好きなの?」

など、短く問い返します。

理由を答えることは必須ではありません。

「好きだから好き」で終わっても構いません。

⑤ 友達の答えを聞く

聞く側にも一律の形を求めません。

例えば、

  • 「そうなんだ」と返す
  • うなずく
  • 「ぼくも好き」と伝える
  • 「どうして?」と一つ質問する

など、本人の目標に合う方法で参加します。

好きなものを選んで友達と伝え合う活動

教師も参加すると活動のモデルを示しやすい

私は教師自身も活動に参加していました。

例えば、

教師「先生はラーメンかな」
子ども「なんで?」
教師「温かいスープが好きだから」

のように、自分の答えや理由を短く示します。

教師がモデルを示すことで、

  • どのくらいの長さで話せばよいか
  • 答えが違ってもよいこと
  • 「どっちも」と答えてよいこと
  • 友達の答えにどう応じられるか

を具体的に示せます。

子どもの様子に合わせた支援の工夫

選ぶことが難しい場合

  • 実物や写真を提示する
  • 「今食べるなら?」など場面を具体的にする
  • 十分に待つ
  • 「分からない」も認める

話すことが難しい場合

  • 指差しで選ぶ
  • カードを教師に渡す
  • 教師が代わりに読み上げる
  • 1対1から始める

人の話を待つことが難しい場合

  • 誰の番かをカードで示す
  • 待つ時間を短くする
  • 「次は〇〇さん、その次があなた」と見通しを伝える
  • 発言したいことをメモやカードで保持する

大人数が負担になる場合

最初から全員参加にせず、

  • 教師と1対1
  • 2〜3人
  • 少人数グループ

と段階的に広げても構いません。

活動の最後は「できた・できない」だけで終わらせない

最後に、その日のめあてを短く振り返ります。

例えば、

「今日は何を選べた?」
「友達の答えで、面白かったものはあった?」
「困ったとき、どうした?」
「次も使えそうな方法はあった?」

などです。

発表が負担なら、教師と1対1で振り返ったり、○をつけたりするだけでも構いません。

教師は、

「今日は指差しで自分の好きな方を伝えられたね」
「〇〇さんの答えを最後まで聞けたね」
「分からないときに『パス』って伝えられたね」

のように、実際に見られた行動を具体的に返します。

実践で見られた子どもの姿

実際に繰り返し取り組む中で、子どもによってさまざまな姿が見られました。

小さな声でも、自分の好きなものを伝えた子

普段は質問されても「分からない」と答えることが多かった子がいました。

最初はカードを引いてもなかなか答えられませんでしたが、活動に慣れてくると、ある日、

「ぼくは、メロンパンが好き」

と自分の選択を伝えました。

大切だったのは、大きな声で話せたことよりも、本人が自分の答えを決め、自分なりの方法で伝えられたことだと感じています。

自分の好きなものを伝える子どものイメージ

すぐ答えず、友達の話を待とうとした子

思いついたことをすぐ話したくなる子には、「友達の話を聞いてから自分の答えを伝える」という個別目標を設定しました。

教師が順番を視覚的に示したり、必要なときだけ短く合図したりする中で、友達の答えを待ってから自分の考えを伝えられる場面が見られました。

こうした姿は、活動そのものの「効果」と断定するのではなく、その子に合う目標と支援を組み合わせる中で見られた一つの変化として捉えています。

言葉以外の方法で選択を伝えた子

言葉で答えることが難しい子には、指差しでも参加できるようにしました。

最初は発話がなくても、カードを指差すことで「自分はこちらが好き」と伝えることができます。

教師が、

「ネコを選んだんだね。教えてくれてありがとう」

と返すことで、「この方法で伝わった」という経験につなげます。

指差しなどで自分の選択を伝える支援のイメージ

授業参観でも使いやすい理由

「すきなのどっち」は、授業参観でも取り入れやすい活動です。

  • 学年差があっても参加方法を変えやすい
  • 勝敗を競わない
  • 短い時間でも活動できる
  • 子どもの「選ぶ・伝える・聞く」姿を見取りやすい

という特徴があります。

ただし、授業参観だから全員に発表させる必要はありません。

保護者に見せるための「上手な発表」ではなく、その子が自分の目標に取り組む姿を見てもらうことを大切にします。

無料ダウンロード|「すきなのどっち」カード8枚

まず自分の学級の子どもに合うか試したい方に向けて、「すきなのどっち」カード8枚を無料で用意しています。

最初は1対1や2〜3人程度の少人数から始めても構いません。

「すきなのどっち」カード50枚+指導書

無料サンプルを使ってみて、「この活動をもう少し続けたい」「いろいろなテーマで取り組みたい」と感じた場合は、カード50枚と教師用指導書をセットにした教材も用意しています。

すきなのどっちカードのテーマ例

カードには、

  • 食べ物
  • 動物
  • 遊び
  • 学校生活
  • 「もし〜だったら?」と考えるテーマ

などがあります。

例えば、

  • 「すきなのは、りんごとみかん、どっち?」
  • 「すきなのは、イヌとネコ、どっち?」
  • 「遊ぶなら、おにごっことだるまさんがころんだ、どっち?」
  • 「行ってみたいのは、海と山、どっち?」

などです。

すきなのどっちカード50枚と指導書セット

💬 活動を継続して使いたい先生へ

「すきなのどっち」カード50枚+指導書

カードだけでなく、活動の進め方、発問、参加しにくい子への支援などを確認できる指導資料をセットにしています。

すきなのどっちカードの詳しい内容を見る

※この教材は支援級パックにも収録されています。

実践で大切にしたい5つのポイント

① 「選ぶこと」そのものを評価しすぎない

選べたからよい、選べなかったから課題がある、と単純には判断しません。

その日の気分や質問内容によって、選びにくいこともあります。

② 「理由を言えたか」を全員の目標にしない

「どうして?」に答えることが負担になる子もいます。

まず選択を伝えられたことだけで十分な場合もあります。

③ 違う答えを歓迎する

友達と答えが違ったときこそ、

「〇〇さんはネコなんだね。ぼくとは違うね」

と、考え方や好みの違いに気づく機会にします。

④ 個人的な情報を無理に話させない

家庭環境、経済状況、食事、旅行経験など、質問によっては本人が答えにくい内容につながることがあります。

活動で使うテーマは、子どもの実態や背景を考えて選びます。

⑤ 授業でできたことを日常へつなげる

「すきなのどっち」で自分の希望を伝えられた子なら、学校生活でも、

  • 「こっちがいい」
  • 「今はやりたくない」
  • 「どっちでもいい」
  • 「分からない」

など、自分の希望を伝えられた場面を具体的に認めます。

まとめ|「どっち?」から、自分を知り、相手を知る

「すきなのどっち」は、とてもシンプルな活動です。

しかし、使い方によっては、

  • 自分の好みに気づく
  • 自分で選ぶ
  • 自分なりの方法で伝える
  • 友達の答えを聞く
  • 自分と相手の違いに気づく
  • 困ったときに「パス」と伝える

といった経験につなげられます。

大切なのは、全員を同じ話し方や参加方法へ合わせることではありません。

子どもの実態
↓
今日育てたい力
↓
本人に合う参加方法
↓
活動中の見取り
↓
振り返り
↓
日常生活へつなげる

という流れで、自立活動として組み立てていきます。

まずは記事内の無料サンプルから、目の前の子どもに合うか試してみてください。

関連する自立活動・SST

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