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「教員を、辞めたい……」
毎日仕事に追われ、ふと一人になったとき、そんな思いが頭に浮かぶことはないでしょうか。
特に、希望を持って教壇に立ったものの現実との違いに戸惑っている初任の先生。キャリアを重ね、仕事でも家庭でも責任が増えてきた40代の先生。そして、心身ともに「疲れた」と感じている先生。
「辞めたい」と感じること自体を、すぐに「甘え」「逃げ」と決めつける必要はありません。
大切なのは、今すぐ辞めると決めることでも、無理に続けることでもなく、「自分は何に困っていて、何を変えたいのか」を整理することです。
教員を続ける。
異動する。
一度休む。
学校内で役割を変える。
学校外の教育分野へ進む。
民間企業へ転職する。
選択肢は「辞める・辞めない」の二つだけではありません。
この記事では、教員を辞めたいと感じる理由、負担が大きくなりやすい時期、公的なデータ、年度途中の退職や退職手続きの考え方、そして辞める前に確認しておきたいことを整理します。
【この記事で分かること】
- 先生が「辞めたい」と感じやすい主な理由
- 初任者を含む教員の離職・休職に関する最新の公的データ
- 年度途中の退職を考えるときに確認したいこと
- 退職の意向をいつ・誰に伝えるか
- 教員を辞めた後に得るもの・失うもの
- 40代で転職を考えるときに確認したいお金と生活
- 学校以外にどんな仕事の選択肢があるか
- まだ辞めるか決めていない段階でできること
先生が辞めたいと思う理由は何ですか?
「教員を辞めたい」と感じる理由は一つではありません。
仕事量、人間関係、保護者対応、責任の重さ、家庭との両立など、複数の要因が重なっていることもあります。
1.長時間労働と膨大な業務量
授業準備、教材研究、採点、所見、学級通信、調査への回答、会議、研修、校務分掌、学校行事、保護者対応。
教員の仕事は、授業だけではありません。
特に小学校では、複数教科の授業準備と学級運営を並行して行うことも多く、業務が重なると勤務時間内だけでは処理しきれない状態になることがあります。
2.負担の大きい保護者対応
保護者との連携は、子どもを支えるうえで大切な仕事です。
一方で、考え方が大きく異なる場合や、対応の難しい相談・要望が続く場合には、教員側の負担も大きくなります。
「どこまで対応すればよいのか」「この伝え方でよかったのか」と、勤務時間外まで考え続けてしまうこともあります。

3.職場の人間関係
学校では、学年、校務分掌、管理職など、多くの人と連携しながら仕事を進めます。
学年内で考えが合わない、管理職に相談しにくい、職員室で孤立していると感じるなど、対人関係が大きなストレスになる場合もあります。
文部科学省の調査でも、精神疾患による病気休職の要因として、児童生徒への指導そのものに関する業務、職場の対人関係、校務分掌や調査対応などの事務的業務などが多く挙げられています。
4.理想と現実のギャップ
「子どもたちの成長を支えたい」
そう考えて教員になったのに、現実には授業以外の仕事に多くの時間を使っている。
子ども一人ひとりと向き合いたいのに、その時間を十分に確保できない。
こうした理想と現実のずれが、「自分は教員に向いていないのではないか」という悩みにつながることがあります。
特に経験の浅い時期は、授業・学級経営・保護者対応などを同時に覚える必要があり、負担を大きく感じる場合があります。
5.「教員を辞めたい40代」が考えること
40代になると、若い頃とは違う悩みも加わります。

- 仕事上の責任:学年運営、校務分掌、若手支援など、任される仕事が増える
- 家庭との両立:住宅費、教育費、親の支援など、生活上の責任が増えることがある
- 今後の働き方:「この働き方をあと10年、20年続けたいのか」と考えるようになる
- 転職後の収入:現在の教員給与を手放した場合、家計を維持できるか確認する必要がある
40代では、単に「転職できるか」だけでなく、現在の年収・家族・固定費・これまで積み上げた経験も一緒に考える必要があります。
40代教員の転職については、年収や家計、転職先まで含めてこちらの記事で詳しく整理しています。
▶ 40代教員の転職は遅い?未経験転職の現実・年収・転職先と後悔しない準備
教員がしんどいと感じやすい時期はある?
学校によって年間行事や繁忙期は異なりますが、仕事が重なりやすい時期があります。
- 4月〜5月:新年度準備、学級づくり、保護者対応、授業づくりなどが集中する
- 6月〜7月:行事、評価、通知表作成などが重なりやすい
- 秋:学校行事や研究・研修、日常の学級運営が並行する
- 2月〜3月:評価、指導要録、卒業・進級関係、次年度準備などが重なる
「この時期だから一時的につらい」のか、「年間を通して働き方そのものが限界に近い」のかを分けて考えることも大切です。

教員の1年目の離職率は?最新の公的データを確認
「1年目で辞めたいと思うのは自分だけなのか」と気になる人もいるでしょう。
ここでは、数字の意味を混同しないように注意が必要です。
文部科学省の「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」では、令和6年4月1日〜6月1日に採用された条件付採用者について、正式採用とならなかった人は全国で897人、採用者数に対する割合は2.56%でした。
その内訳では、依願退職が885人となっています。
ただし、この2.56%をそのまま「小学校教員の1年目離職率」と呼ぶことはできません。
校種を横断した条件付採用者の集計であり、不採用・依願退職などを含む「正式採用とならなかった割合」です。
また、令和6年度の公立学校教育職員のうち、精神疾患による病気休職者は7,087人、全教育職員の0.77%でした。
学校種別では、小学校が3,458人、0.83%となっています。
これらは「辞めるべき」という数字ではありません。
一方で、教員の中に休職や退職に至る人が実際にいることを示す公的データではあります。
教師は年度途中でも退職できますか?
年度途中だからといって、退職という選択肢が一律に認められないわけではありません。
ただし、公立学校教員は地方公務員であり、実際の退職手続きや提出書類、申し出の時期などは、所属する自治体・教育委員会の規定や運用を確認する必要があります。
また、年度途中で担任や担当者が変わる場合には、
- 児童生徒への説明
- 後任者の確保
- 学級・授業の引き継ぎ
- 校務分掌の引き継ぎ
などの調整が必要になります。

一方で、心身の状態や家庭事情などによっては、「年度末まで続けること」だけを前提に考えない方がよい場合もあります。
退職時期、年度途中・年度末それぞれの考え方、実際の手続きについては、こちらの記事で詳しく整理しています。
▶ 教員を辞めるタイミング|年度途中・年度末と退職手続きを考える
教員を辞めるときは何ヶ月前に伝えればよい?
「何ヶ月前なら大丈夫」と、全国の公立学校教員に共通する一つの数字で考えるのは避けた方が安全です。
自治体によって必要な手続きや書類、校内での人事スケジュールなどが異なるためです。
年度末での退職を考えている場合は、次年度の人事計画に関わるため、意思が固まった段階で所属校の管理職や自治体の規定を早めに確認するのが現実的です。
学校によっては秋から冬にかけて次年度の意向を確認する時期がありますが、時期や方法は勤務先によって異なります。
「法律上○日前なら必ず大丈夫」とだけ考えるのではなく、
自分の任用形態・自治体の規定・退職希望日を確認することが重要です。
小学校教員を辞めると決めたら何をする?
実際に退職を考える場合は、次のように整理すると見通しを持ちやすくなります。
ステップ1|「なぜ辞めたいのか」を整理する
最初に、「辞めたい理由」をできるだけ具体的にします。
- 長時間労働を変えたい
- 担任から離れたい
- 今の学校の人間関係がつらい
- 教員という働き方そのものを変えたい
- 別の仕事へ挑戦したい
- 家庭との時間を増やしたい
ここを分けることが重要です。
「今の学校から離れたい」のか、「教員そのものを辞めたい」のかで、必要な選択肢は変わります。
ステップ2|辞めた後のお金と生活を確認する
退職前には、少なくとも次の数字を確認しておきます。
- 現在の収入
- 毎月の固定費
- 最低限必要な生活費
- 現在の貯蓄
- 転職後に許容できる最低年収
- 退職金の見込み
- 退職後の社会保険・年金
特に30代・40代では、仕事だけでなく家計全体で判断することが大切です。
ステップ3|管理職へ確認・相談する
退職の意思が固まったら、勤務先の手続きに沿って管理職へ伝えます。
退職届・退職願などの名称や提出方法も自治体によって異なる可能性があるため、必要書類と期限は勤務先で確認してください。
ステップ4|必要な引き継ぎを整理する
引き継ぎが必要な場合は、後任者や関係職員が業務を継続できるよう整理します。
- 学級・児童生徒に関する必要な情報
- 個別に配慮していること
- 学習や行事の進捗
- 保護者・関係機関との連携事項
- 校務分掌の仕事内容と進捗
- 必要な資料やデータの保存場所
個人情報の扱いについては、学校や教育委員会のルールに従ってください。
ステップ5|退職後の選択肢を具体化する
退職することと、次の仕事を決めることは別です。
可能な状態であれば、退職前から求人や仕事内容を確認しておくと、学校の外にどんな選択肢があるのか具体的に見えてきます。
教師を辞めてよかったことは?同時に失うものもある
教員を辞めた人の中には、転職後に働き方が改善したと感じる人がいます。

私が実際に聞いた元教員の事例では、
- 残業が大きく減った
- 仕事と休日を分けやすくなった
- 家族との時間が増えた
- 学校以外の仕事へ挑戦できた
- 心の余裕が生まれた
といった声がありました。
一方で、
- 収入が下がった
- 公務員としての安定を手放した
- 福利厚生の良さに退職後に気づいた
- 個人事業では収入が不安定になった
- 再び教員へ戻るか悩んだ
という人もいます。
教員を辞めれば、すべての悩みがなくなるわけではありません。
重要なのは、「何を得たいか」と同時に「そのために何を手放せるか」を考えておくことです。
実際に転職した元教員の事例と、「辞めてよかったこと」「辞めてから気づいた不安」の両方はこちらで詳しく紹介しています。
▶ 教員から転職して後悔する?「辞めてよかった」と答えた元教員たちのリアルな声
「教員しかできない」は本当?学校の外にも選択肢はある
教員を辞めたいと思っても、
「自分には教員しかできない」
「民間企業で働いた経験がない」
という不安から動けなくなることがあります。
しかし、教員として行ってきた仕事を細かく分けると、学校外の仕事でも活かせる経験があります。
- 相手に合わせて説明する
- 話を聞いて困りごとを整理する
- 複数の関係者と調整する
- 計画を作り、期限まで進める
- 資料を作成する
- トラブルに対応する
- 課題を見つけて改善する
- 人の成長を支援する
ただし、「教員だから自動的に民間企業で高く評価される」という意味ではありません。
自分が実際に何をしてきたのかを分解し、応募先でどう活かせるかまで説明できるようにする必要があります。
▶ 教員が転職で活かせる強み12選|民間企業に伝わるスキルと言い換え例
教員を辞めたらどんな仕事がある?
教員の転職先は、教育関係だけではありません。
たとえば、
- EdTech
- 教材・出版社
- 学校法人・大学職員
- 塾・スクール
- 日本語教師
- 企業研修
- 人材・キャリア支援
- カスタマーサクセス
- 福祉・支援職
- 営業
- 人事
- 事務・プロジェクト支援
- 行政・団体
- IT・Web
- 編集・ライティング
などがあります。
ただし、「教員におすすめ」と書かれている仕事から選ぶのではなく、
教員としてやってきたことの何を残したいのか。
今の働き方の何を変えたいのか。
から考える方が、自分に合う仕事を絞りやすくなります。
15の転職先と、自分に合う候補を3つまで絞る方法はこちらで詳しく整理しています。
▶ 教員の転職先は?経験を活かせる仕事15選と後悔しない選び方
辞める前の選択肢として、校内・学校内で環境を変える方法もある
「学校の働き方はつらい。でも、子どもと関わる仕事そのものを辞めたいのかは分からない」
という場合は、転職以外の選択肢も考えられます。
- 異動を希望する
- 担当学年や役割について相談する
- 校内で別の役割を希望する
- 休暇・休職など利用できる制度を確認する
- 特別支援教育に関わる
などです。
特別支援学級という選択肢
通常学級の一斉指導や大人数の学級運営に強い負担を感じている場合、特別支援学級を希望することも一つの選択肢です。
特別支援学級では、在籍する児童生徒の実態に応じて、
- 個別の目標を考える
- 教材や学習方法を調整する
- 環境を整える
- 通常学級担任や保護者と連携する
- 本人の変化を見ながら支援を見直す
といった仕事を行います。
一方で、特別支援学級にも、個別の指導計画、交流学級との連携、保護者対応、児童生徒ごとに異なる支援など、別の難しさがあります。
「通常学級より楽だから」ではなく、自分がどんな教育に関わりたいのかを考えたうえで選ぶことが大切です。
まだ辞めるか決めていないなら、転職活動より先に整理してもいい
ここまで読んでも、
「辞めたいのか、続けたいのか自分でも分からない」
という人もいると思います。
その状態で無理に転職先を決める必要はありません。
まずは次のことを整理してみてください。
- 今、一番つらいことは何か
- 教員の仕事で好きな部分は何か
- もう続けたくない部分は何か
- 働き方の何を変えたいのか
- 転職後も残したいものは何か
- 生活に必要な収入はいくらか
一人で整理しにくい場合は、家族、信頼できる人、公的なキャリア相談、転職エージェント、教員向けキャリア相談など、第三者へ話す方法もあります。
相談先によって役割が違うため、「どこに相談すればいいのか」から知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
▶ 教員の転職・キャリア相談は誰にする?無料で使える相談先7つを元教員が解説
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「辞めたい。でも、本当に転職したいのか分からない」という先生へ
求人を見る前に、 なぜ今の働き方を変えたいのか、何を残したいのか を整理する方法があります。
教員向けキャリア相談のクジラボでは、転職すると決めていない段階から、教員としての経験や今後の働き方について相談できます。
※最新のサービス内容・相談条件はリンク先をご確認ください。
心身の不調が強い場合は、転職の結論を急がない
もし現在、
- 眠れない状態が続く
- 食事が十分に取れない
- 仕事へ行くことへの強い苦痛が続く
- 日常生活に支障が出ている
- 体調不良が続いている
などの状態がある場合は、「転職するか」「年度末まで働くか」だけを考え続けず、医療機関や勤務先の相談窓口などへの相談も検討してください。
キャリアの結論より先に、休養や現在の状態への対応が必要になる場合もあります。
まとめ|「教員を辞めたい」と思ったら、まず何を変えたいのか整理する
教員を辞めたいと感じたとき、すぐに「辞めるべき」「続けるべき」と結論を出す必要はありません。
まず確認したいのは、
- 何が一番つらいのか
- 今の学校を離れたいのか
- 教員そのものを辞めたいのか
- どんな働き方に変えたいのか
- 何なら手放せるのか
- 何だけは守りたいのか
ということです。
教員を続ける。
異動する。
休む。
学校の中で役割を変える。
学校外の教育分野へ進む。
民間企業へ転職する。
まず選択肢を知り、そのうえで自分に合う道を考えていけば構いません。
「辞めた後に後悔しないか」が一番不安なら、次は元教員の実例から得たもの・失ったものの両方を確認してみてください。
▶ 教員から転職して後悔する?「辞めてよかった」と答えた元教員たちのリアルな声
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