下校時、突然〇〇くんが言いました。「ねぇ先生、特別支援学級って、ずるくない?」その一言に、あなたは自信を持って答えられますか? もし言葉に詰まってしまうなら、この記事がきっとヒントになります。
「特別支援学級ってどんな学級?」「僕も入りたいな」「それってずるくない?」
これは実際に、小学生から投げかけられることのある問いかけです。特に高学年になると、子どもたちは周りとの違いをよく観察し、時に正直な疑問を率直にぶつけてきます。
この記事では、実際に支援学級を担任する筆者が受けた質問と、その時の返し方、そこに込めた思いを紹介します。
こちらの記事から、支援学級の子への理解を深められると思います。👇
「特別支援学級ってどんな学級?」と聞かれたら
「特別支援学級はね、一人ひとりが自分のペースで学んだり、安心してすごせるようにするための学級なんだよ。たとえば音が苦手だったり、人と話すのが苦手だったり、気持ちのコントロールがむずかしい子もいるんだけど、その子が落ち着いて勉強したり生活できるように、先生たちが工夫してるんだ。みんなと同じように勉強したり遊んだりもするよ。」
ポイントは、「特別支援=特別な優遇」ではなく、「その子に合った学び方のひとつ」として自然に伝えることです。大切なのは、大人が先入観を持たず、子どもと同じ目線で向き合う姿勢です。 こう伝えると、Aくんは少し考えてから「ふーん、そっか、みんなそれぞれなんだね」と納得したような顔をしてくれました。

「じゃあ僕も入りたい」と言われたら?
「そう思ってくれるのはうれしいな。でもね、特別支援学級は“入りたい人が入る”っていう仕組みじゃなくて、その人にとって、どんな学び方や過ごし方がいちばん安心できるかを、先生やおうちの人といっしょに考えて決めているんだよ。○○くんは今のクラスでがんばれてるから、今の場所が合ってるってことだと思うよ。でも、もし学校生活で困ったことがあったら、いつでも先生に話してね。いっしょに考えよう。」
「あなたも大切にされている」というメッセージも忘れずに届けることが大切です。子どもが「自分も先生に見守られている」と感じられるよう、安心感を言葉に乗せて伝えましょう。
「それってずるくない?」と言われたら?
「“ずるい”って思ったんだね。そう感じた気持ちは大事だよ。でもね、特別支援学級の子たちは、“楽をしてる”わけじゃなくて、がんばり方がちょっとちがうだけなんだ。たとえば、足をけがしている人がイスに座って授業を受けてるのを見たら、“ずるい”って思うかな? その人にとっては、今はそれがベストなやり方なんだよね。特別支援学級も同じで、その子が安心して勉強したり生活できるように工夫しているだけなんだ。○○くんにも、○○くんに合ったやり方があるようにね。」
「ちがいは不公平ではない」ことを伝えるには、子どもがイメージしやすい例えを使うと効果的です。 身体的な違いは子どもにとって分かりやすく、心のバリアを取り除くきっかけになります。この例え話を聞いた後、Bくんは「そっか、そういうことか!」と顔つきが変わり、納得した様子でした。
子どもは、説明されることで理解できる
「子どもにはわからないだろう」と決めつけるのは簡単です。かつて私も「こんなこと、子どもには難しいだろう」と諦めかけたことがありました。しかし、ある時、丁寧に説明したことで子どもの表情がパッと明るくなったのを見て、「子どもたちの理解力を過小評価してはいけない」と痛感しました。
実際は、子どもたちのほうがまっすぐで、素直に物事を受け止めようとしてくれることも多いのです。大切なのは、質問されたときに逃げずに、その子のまなざしに向き合うこと。
一人でも多くの子が、違いを知り、それを認め合えるようになる──そんな日々の小さな対話の積み重ねが、共生の土台をつくっていくと私は信じています。
おわりに
この記事で紹介した返し方は、あくまで私なりの一例です。現場や子どもの性格によって、適切な言い方は違ってくるかもしれません。それでも、「どう伝えよう?」と悩むすべての先生や保護者の方に、少しでも参考になれば幸いです。
支援学級に通う子も、通常学級の子も、みんなが自分らしく過ごせる学校づくりに向けて、これからも考え続けていきたいと思います。
この記事を読んだあなたは、子どもたちからのどんな問いかけに、どう答えていますか? ぜひコメント欄であなたの経験や工夫を教えてください。
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