フリースクールってやばいの?現場から見えた本当の姿とメリット。学校だけが学びの場じゃない

保護者・連携

「この子にとって、本当に安心できる学びの場所はどこだろう?」

特別支援学級の担任として、そして一人の人間として、私はいつもこの問いと向き合ってきました。学校の教室だけが学びの場ではない。そう確信したのは、不登校や行き渋りに悩む子どもたちと出会い、彼らが「学校の外」で驚くほど輝く姿を目の当たりにしてきたからです。

この記事は、不登校や通級がちなお子さんを持つ保護者の方、特別支援教育に携わる先生方、そして「学校以外の学び」に関心のあるすべての方へ。週に1回、あるいは月に1回のフリースクール参加や、家庭での小さな工夫が、いかに子どもの世界を広げ、自己肯定感を育むかを、私の実体験とともにお伝えします。

不登校の初期対応については、こちらの記事を参考にください。👇


1. その子に必要なのは「安心して学べる選択肢」

かつては私も、「学校に行けないと学べない」「教室にいないと成長できない」と考えていた時期がありました。しかし、特別支援学級の担任として多くの子どもたちと接する中で、この考えは大きく変わりました。

その子が安心して自分らしくいられる場所こそが、本当の学び場。

現代社会では、多様な子どもたちが存在し、それぞれが異なる学習スタイルや環境へのニーズを持っています。学校という画一的な環境がすべての子どもにフィットするわけではありません。だからこそ、子どもたちが自分らしくいられる「学びの選択肢」を用意することが重要だと感じています。

その選択肢の一つとして、近年注目を集めているのが体験型フリースクールです。成績や評価に縛られず、五感を使ったリアルな活動を通して「純粋な楽しさ」を感じられる場所。学校では得られにくい多様な人間関係や、本物の道具を使った活動、自然の中での五感刺激など、かけがえのない成長の機会がそこにはあります。


2. 【実例1】月1回のフリースクールが支援学級の子どもに与えた変化

まずは、月に1回のフリースクール参加が、子どもの心と行動に大きな変化をもたらした事例をご紹介します。

彼(A君)はASD傾向が強く、人との距離感や集団の刺激に敏感な男の子でした。週5日学校に通うのが難しく、支援学級に在籍しながらも、登校には大きなハードルを感じていました。そんな彼が参加していたのは、季節ごとに年4回開催される体験型フリースクールです。

フリースクールでは、自然体験、農作業、料理、外遊びなど、「五感を使ったリアルな活動」が中心でした。学校では見られなかった、彼が心からリラックスし、のびのびとイキイキとした表情を見せる姿に、私は深く心を打たれました。

A君の変化は、こんな形で明確に表れました。

  • 学校では少なかった会話が、フリースクール後には自然に出るようになった。
  • 活動の前日から「明日は○○だよね」と期待感を持てるようになった。
  • 「できた!」「楽しい!」という自己肯定感が明らかに高まった。

たった月に1回の参加でも、彼の中で「安心できる学びの場所」が増えたことは、自分のペースで進む力、そして自分を肯定する気持ちを育む上で、計り知れない意味を持っていました。この小さな一歩が、彼自身の世界を広げ、その後の成長に繋がっていったのです。


3. 【実例2】週1回のフリースクールが“つながる力”を育てた話

次に、週に1回のフリースクール参加が、子どもの「通いたい気持ち」を育み、学校とのつながりを深めていった実例をご紹介します。

私が担任したのは、ASD傾向と感覚過敏のある児童(B君)。学校の音や匂い、特に理科室やトイレのにおい、床をこする音、低学年の子の甲高い声などが苦手で、朝の登校は彼にとって大きなハードルでした。学校に来られない日が続きましたが、保護者の方と相談し、週1回だけ体験型のフリースクールに通うことになりました。

初めてフリースクールを見学に行ったとき、私はB君の表情の違いに驚きました。大きなぬいぐるみに顔をうずめ、ふかふかのクッションにもたれて、心からリラックスしているのです。

フリースクールには、彼が安心できる工夫がたくさんありました。

  • 靴を脱いで上がれるやわらかいマット
  • においの少ない換気や空間設計
  • 騒音がない静かな空間
  • 人との関わりも「話したい時だけ」でOK

活動内容もユニークで、彼は犬の散歩や料理、季節の体験活動をとても楽しみにしていました。

学校との「つながり」を絶やさない工夫

B君が学校に来られない日は続きましたが、私は彼との「つながりを切らさない」ことを何よりも大切にしました。彼がフリースクールや自宅で取り組めるように、その子専用の学習プリントを毎週準備しました。それは単なる教材ではなく、私と彼をつなぐ「手紙」のようなものでもありました。

「今日もプリントが入ってるね」
「先生に見せるから、ちゃんとやってみよう」

そんな気持ちが、少しずつB君の中で芽生えていきました。

あるとき、保護者の方からこんな言葉をいただきました。

「週1回のフリースクールが“頑張る日”になり、学校も“ちょっと頑張ってみようかな”になってきたんです」

もちろん、ずっと順調だったわけではありません。途中で疲れが出て、学校にもフリースクールにも行けない週が続いたこともあります。しかし、私は無理に引き戻そうとはしませんでした。学校に来ることだけが「成長」ではない。休みながらでも「つながっている」ことが大切だと考え、彼に合ったペースで学びとつながる方法を模索しました。


4. 支援学級の先生こそ、“外の学び”とつながってほしい理由

支援学級では、個別に応じた学びをデザインできます。しかし、学校内だけでは得られにくいのが以下のような体験です。

  • 年齢や背景の異なる人と関わる多様な人間関係
  • 本物の道具を使った活動や自然の中での五感刺激
  • 成績や評価に縛られない「純粋な楽しさ」を感じる時間

こうした体験は、“外の学び”だからこそ得られる、かけがえのない成長の機会です。支援学級の担任が、フリースクールなどの地域資源とゆるやかにつながることは、子どもの選択肢を広げる大きな力になります。

フリースクールの大きな魅力は「選べる安心感」と「体験から学べること」です。

学校で難しいことフリースクールでできること
匂いや音に敏感な子への配慮静かで安心できる空間設計
自分のペースでの活動活動参加も自由、無理強いなし
人間関係のストレス必要なときだけ関わればOK
成績や評価によるプレッシャー「できた!楽しい!」を実感できる体験

こうした場が週に1回あるだけでも、子どもの安心感はまったく違います。


5. 「学校に合わない=学べない」じゃない。親の不安に寄り添う視点

学校生活が難しいとき、親御さんは大きな不安を抱えています。

  • 「このまま不登校になったらどうしよう」
  • 「学びに遅れが出るのでは…」
  • 「社会性が育たないのでは…」

しかし、「学校じゃない場でも、ちゃんと学べている」という実例があると、その不安は希望に変わります。実際に、フリースクールを紹介したある保護者からは、こんな言葉をいただきました。

「“学校に行かなくてもいい日”があることで、心が安定しました」
「久しぶりに、子どもが“今日楽しかった”って言ったんです」

子どもの笑顔が、親御さんの不安を和らげ、安心感を与えてくれるのです。親御さんが安心することで、子どももまた、より落ち着いた気持ちで過ごせるようになります。


6. 家庭でのサポートに活かせる!おすすめ支援ツール5選

「フリースクールにはすぐに通えないけど、家でも安心できる学びを用意したい」
そんな方のために、家庭で取り入れやすい支援ツールをいくつか紹介します。これらは、私の教員経験からも、子どもたちの安心感を育むのに役立つと実感しています。

  1. 視覚支援カレンダー(予定の見える化)
    「今週のスケジュール」を見える化することで、子どもは先の見通しが立ち、安心感が高まります。特に、カラフルで直感的にわかるイラスト付きがおすすめです。

『マグネット式週間予定表』など、視覚的に分かりやすいデザインのものが多数市販されています。↓

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特に、朝の準備など、これまで時間がかかっていた行動が自分でできるようになり、親子ともにストレスが減ったという声が多く見られます。絵カードはラミネート加工済みで丈夫、角も丸く安全で、やさしい色合いのイラストが子どもにも好評です。

2. 感覚統合あそびグッズ
フリースクールで人気の「体を使った遊び」を家庭でも取り入れることで、感覚刺激を適切に得て、気持ちの安定に繋がります。

バランスボード感覚スライムセット、触り心地の良いやわらかもちもちクッションなど。お子さんの感覚の好みに合わせて選んでみてください。

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3. 自己表現をうながす絵カード・感情カード
活動の振り返りや、自分の気持ちを言葉にするのが難しい時に役立ちます。「今日は学校行けそう?」「行きたくない?」など、質問への返答が難しい際にも活用できます。

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4. 感覚過敏に優しい空間づくりグッズ
音や匂いに敏感な子どもにとって、家庭で安心できる空間を作ることは非常に重要です。

防音イヤーマフ(MOLDEX 子ども用イヤーマフなど)、理科室やトイレのにおい対策にはにおいブロックスプレー、そして先述した感触が心地よいクッションも有効です。↓

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5. 活動と学びをつなぐプリントケース
学校からのプリントを「自分専用の宝箱」のように扱うことで、学校とのつながりをポジティブに感じられるツールになります。

『取っ手付き・中身が見える学習ファイル』など、子どもが自分で整理しやすいものがおすすめです。

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これらのツールは、単なるグッズではなく、お子さんが「安心できる」「自分らしくいられる」場所を家庭の中にも作り出すための大切なアイテムです。


7. まとめ:月1回、週1回、そして家庭での小さな一歩が、子どもの世界を広げる

「たった月1回のフリースクール」
「週1回のフリースクール」
「家庭で少しだけ取り入れる体験学習」

どちらも、小さな一歩に思えるかもしれません。しかし、その一歩が、子どもの世界を広げ、自己肯定感を育て、そして未来への希望を育んでいくのです。

子どもは、自分のペースでしか進めません。無理強いは逆効果になることもあります。だからこそ、私たちは彼らのペースに寄り添い、様々な選択肢を提示することが求められます。

週1回のフリースクール、毎週のプリントのやり取り、家庭での静かな安心空間。どれも小さなことに思えるかもしれませんが、それが子どもにとっては「安心」「つながり」「自信」になるのです。

支援学級の中だけではできないサポートが、“学校の外”とゆるやかにつながることで生まれます。子どもの「その子らしい学び」を、学校と家庭、そして地域が一体となって、一緒に見つけていきませんか?

この情報が、子どもたちの笑顔と、彼らを取り巻く大人たちの安心に繋がることを願っています。

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